あらためて小泉進次郎大臣の慧眼に感服した次第だ。
【目次】
◇ 原油価格とインフレ率が強い相関
◇ 原油価格と労働分配率がなぜか相関
◇ カレツキの価格理論
◇ インフレ率を予測する!
◇ インフレの波が押し寄せている
◇ インフレ抑制方法=石油元売りの価格統制
最近、「原油価格先行インフレ論(意識低い系モデル)」と名づけたテーマを断続的に研究している。
調べていくうちに、原油価格の動向さえわかればCPI(インフレ率)を予測できることがわかった。
まだ研究途中だけど、途中経過ということでここに記録したいと思う。
カレツキの価格理論から、
[原油・原材料価格→企業間取引価格→労使間賃金交渉→物価]
または[原油・原材料価格→企業間取引価格→物価→労使間賃金交渉]
という価格の波及経路を想定し分析している。
原油価格とインフレ率は相関する。もちろん輸入物価や企業物価も。
つまり原油価格が上がると、(間にもろもろの波及がありながらも)インフレ率が素直にその分上がる。


(数か月前に作った図なので最新版ではない。そしてWTIではなく、日本が輸入する原油の大部分を占めるドバイ原油を指標に使ったほうが妥当だ)
この関係を始めて知る人は驚くと思う。
これは、インフレの主因は通貨発行量や需要、成長関数、または為替動態ではないことを決定づける。
インフレの原因は、ほぼほぼ原油高なのだ。
こんなに簡単な話なので「原油価格先行インフレ論(意識低い系モデル)」と名づけた次第だ。
そして原油価格→CPIではだいたい6~10カ月のラグ(最大値は8か月目)なので、「原油価格によって半年後のCPIが予測できる」ということだ。
私は、内閣府や日銀のインフレ予測指標である「需給ギャップ」はクソだと思っているが、この主流経済学方式の需給ギャップがクソであることを同時に証明することもできる。
(主流派の問題は、コブ=ダグラス/ソローモデルの関係式とういう誤ったツールを使ってるということだ。例えるなら、プラスドライバーを使って本棚を組み立てなければならないところを、ずっとマイナスドライバーを使ってネジ穴をダメにし続けている、という感じだ)
私が「原油価格→CPI」の重要性に気づいたのは、ドイツのMMT派デルク・エンツ氏の教科書の記述だった。
ブレント原油価格(点線)とアメリカのインフレ率(実線)がわりと相関してるという図。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) May 16, 2026
マネーストック量がインフレに影響を与えるとの神話は誤りだと。
やはり物価は、デマンドよりもコスト(実物資源の供給制約)に影響される部分が大きいのでは。
コストを割り引いて価格を決めるのは企業だしね。 https://t.co/pTv4adDKWW pic.twitter.com/EFI93U9kWc
原油価格とインフレ率が相関することは、PK/MMT派にとってみれば、わりと「わかりみ案件」であろう。
だけどこっちはさらに意外に感じるはずだ。

原油価格と労働分配率がそこそこ相関する。
製造業では、1990年から全期間の相関係数は約-0.46(*Claudeによる簡易季節調整後)となる。
2015年以降だと簡易季節調整後の相関係数は-0.66まで高まる。これはやや強い逆相関だ。
グレンジャー検定はラグ2Q(6ヶ月)から全ラグでp<0.0001と高度に有意。逆方向は全ラグで非有意となった。因果の向きも確定的だ。
全産業の場合はラグは15カ月まで拡大する。
簡単に言うと、「原油価格が上昇するほど労働分配率が低下する」という関係が35年間にわたって成立している。
原油価格上昇 → 労働分配率低下
原油価格下落 → 労働分配率上昇
カレツキ的解釈をするならこうなるだろう。
原油・輸入原材料価格上昇 → 企業の投入コスト上昇 → 企業が販売価格を引き上げる → 賃金調整は遅れる → 名目付加価値に対する雇用者報酬の比率が低下 → 労働分配率低下
原油高でコストが上がると企業は利益を守るために賃金に回す割合を削る、あるいは企業収益が原油高で圧迫されて労働分配率が下がる、という構造になっている。
原油価格が上がると、まず製造業の投入コストが上昇し、企業が販売価格を引き上げる。一方、賃金は契約・春闘・雇用慣行などによってすぐには動かない。
その結果、
販売価格・名目付加価値の上昇 > 賃金の上昇
となり、短期的に労働分配率が下がる、というメカニズムが考えられる。
これは、主流派の「賃上げは企業努力次第」、「生産性が上がると賃金が上がる」という論調を根底から揺るがすグラフとなりえる。
ちなみにだが、主流派や公官庁はここでもコブ=ダグラス/ソローモデル式を使ってるため、生産性増→賃金増というアホな想定に立つ。
しかし上図の通り、カレツキやポストケインズ派の[価格=マークアップ率(企業の利益確保率)+コスト+人件費]との定式が示すその通りの結果となったということだ。
実は原油価格と労働分配率以上に相関するはずなのが、輸入物価または企業物価と労働分配率だが、これは今度やってみることとする。
(例えば労働分配率は連続した期間の数値が存在しないため、法人企業統計から付加価値や人件費などを割り出し、再計算しなければいけないため大変なのだ)
カレツキの価格理論をおさらいする。

カレツキ式だと、[原油・原材料価格→企業間取引価格→労使間賃金交渉→物価]という経路になるが、
私は原油・原材料価格→企業間取引価格→物価→労使間賃金交渉だと思ってる。
もちろん、賃金と消費者物価間のフィードバックもあるけども、賃金の設定にはあまり関係なく物価は上がると見ている。
そもそも賃金が上がって需要が増え、モノがたくさん売れたからといって、企業は販売価格を上げるだろうか?
もっと数を売ろうとするんじゃないだろうか。
つまり賃金→物価のフィードバックはさほどないと考えている。
過去にもインフレ率を予測しているが、今後は精度を高めたいと思っている。
簡単には、3月頭にイラン戦争の影響で原油価格が高騰したため、そこから6カ月後くらいから影響が現れ、8か月後にピークを迎えるはずだ。
つまり、9月が6カ月目、10月が7カ月目、そしてピークを迎えるのが8カ月目の11月になる。
統計局のインフレ率の公表は、だいたい1カ月と20日後になるため、現在わかっているのは7月のCPI(七月ぶんは1.9%)だ。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/
9月の20日ごろに8月のCPIが公表されるが、私は大雑把には2~2.5%を予測している。
下記は、過去のインフレ率予測に関わる私の投稿だ。
高市は「成長したからインフレ率が1.9%に上がったのだ」と言うけど、そうじゃないはずです。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) August 21, 2026
「原油高が販売価格に転嫁されインフレとして観測された」というルートが真の原因でしょう。
画像は数週間前の私の予測。
(「7月のCPIは2%を超える」という予測は、0.1%足りず惜しくも外れた) https://t.co/7Or6F9lArr pic.twitter.com/6GT5ycfxmL
企業物価が7%上がったからといってそのまま消費者物価(インフレ率)にスライドするわけではない。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) July 10, 2026
企業が努力して価格を抑える(日本では「隣組法」も生きている)。
私の原油価格先行インフレモデル(意識低い系モデル)では、
企業物価の約半分が価格転嫁されるとすると
消費者物価は8月に1.5%、 https://t.co/yaPx4KQzdO
何度も言ってるけど現在のCPIは半年ほど前の原油価格を強く反映しているため、2025年12月の原油水準60ドルが反映された状態。これは22年夏頃の120ドルから半減した「底」となる。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) June 6, 2026
今は底なのでインフレ率が最も低い。
夏にはインフレ率が急騰するため、実質賃金も自ずと下がる。安心しろ庭の湯 https://t.co/MYIddDhWPp pic.twitter.com/snkYer0Lln
今わかってるCPI=インフレ率は6月分で、1.7%と低かった。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) August 8, 2026
理由は、まだ3月の原油急騰の波が到達していないからです。
原油→ガソリンや軽油、ナフサを生成→企業間取引→プラスチック製品製造→小売→我々に届く
このラグが6〜10ヶ月。
一番早い波が8月に到達。
しかし8月のCPIは10月に公表されます https://t.co/f9476o1Mhe
統計局のインフレ率公表がなくてもある程度は予測できる。
帝国データバンクの「価格改定情報」を見れば大雑把な予測はつく。
7月→8月の価格改定品目は二倍、8月→9月の価格改定品目はさらにその二倍である。
3月に暴騰した原油価格がインフレとして到達し始めているのだ。
インフレ率(CPI)の公表はだいたい1カ月+20日後なので、
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) August 1, 2026
現時点では6月分しかわからない。
だけど7月、8月のおおよその物価感が「価格改定」調査で掴める。
画像は価格改定予定データ。
次に、6月31日付の7月価格改定データを見てみる。
1/5 https://t.co/T0eSJLKwYA pic.twitter.com/13HjHGq9ko
7月末のTDB情報では、9月値上げ予定は4530品目だったが、8月末の確定値では4923品目へと拡大。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) August 31, 2026
エセ保守は「6月にナフサは詰まなかったw」と勝利宣言しているが、詰むまでいかなくてもインフレとして徐々に生活を直撃する。
庭の湯経済学による「高市さんのおかげでインフレ回避!」は間違いです。 https://t.co/MgXFW4X69s pic.twitter.com/4eGXGXCoES
本当にまずいなあ。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) August 23, 2026
7月に原油の輸入額+88%ということは、少なくともあと10ヶ月ほどはインフレが続くということですよ。 https://t.co/wNXeVHLLuu
「原油価格先行インフレ論(意識低い系モデル)」では、インフレを、16年以降は7割程度、00年代以降なら6割がたが原油価格で説明できる。
他の3,4割の要因は何かというと為替や自然需要、輸入元国の賃金動向などで分散されるため、説明変数として原油価格が最も大きいと言うことだ。
様々な分析が、私の原油価格先行インフレ論(意識低い系モデル)を補足してくれてる。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) July 8, 2026
高橋洋一は間違っている。 https://t.co/LRyBxYu9mV pic.twitter.com/TPd6HVhQ2T
多くの人が主流経済学派のおかしなプロパガンダのおかげで勘違いしているが、
金利水準がインフレを統制しているわけでもないし、利上げでインフレを抑制できるわけでもない。
Fedにはインフレを直接解決する力はない。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) September 8, 2026
ガルブレイスの中心命題は「(現在のエネルギー高騰による)インフレを抑えるには、利上げではなく、供給側の産業政策やエネルギー政策などの大きな戦略変更が必要だが、Fedにはそれはできない」というもの。 pic.twitter.com/PpY2IhBGlZ
リベラル派が金融屋さんの「お為ごかし論法」に騙されるのなぜなんだろうな…。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) September 3, 2026
何度も言ってる事実だけど、
①インフレの元凶である原油価格は利上げでは下げられない
②利上げは「不況にすることで物価を下げよう」とするトンデモ策
③例え利上げで円高にしても物価は大して下がらない https://t.co/63cZYybi4r pic.twitter.com/tKjqujZnjh
「物価上昇を抑制するには利上げと支出削減」というご主張のようですが、
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) July 22, 2026
たいていのインフレはコストプッシュ型なので、
支出を減らしても、金利を上げても、
あまり効きません。
もし効いたとしても、それは需要を削って不況にした惨状を物語るものです。 https://t.co/fmUuYayHhV pic.twitter.com/scGcQ1IuHz
>物価と金利は連動する
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) June 12, 2026
それはたいていは「そう見える」だけの話でしょうし、近年は乖離が甚だしいですよ。
中銀が物価に合わせて金利を上げ下げしなければ連動しないんです。 https://t.co/bqIcCYXWPo pic.twitter.com/sbEqGauJh2
佐々木百合教授のモデルによると、
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) June 16, 2026
為替→CPIのパススルー弾性値はドル円1%につきコアCPI0.02%です。
例え金利差を縮小させ160円→130円に円高にしたとしても、コアCPIは0.375%しか下がりません。
弾性値が予測最大値の0.04だとしてもコアCPIは▲0.75%です。 https://t.co/IiKF6TCfra pic.twitter.com/2rTBxOCw8q
利上げしても、緊縮財政しても、円高にしても、ほぼほぼインフレは抑制できない。
なぜなら原油価格が原因だからだ。
MMT/PK派のジェームズ・ガルブレイス教授と、「Greedflation(便乗値上げ論)」でお馴染みのウェバー准教授が、価格統制(エネルギー企業への補助金、価格カルテル、消費者への助成)を勧めている。
これは私もずっと言ってきたことだ。
ガルブレイス教授が引用元記事にておすすめする、ウェバー教授のインフレ抑制方法=価格統制(エネルギー企業への補助金、価格カルテル、消費者への助成)
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) September 9, 2026
価格統制(石油元売りへの補助金)は、私もずっと推奨している。https://t.co/FSsVA1TWYm https://t.co/gIYJLawrQj pic.twitter.com/U4JINOn20G
ここからわかるのは、石油元売りやナフサ輸入業者に補助金を入れれば、インフレを抑制し、またコントロールできるということ。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) September 2, 2026
利上げは、的を絞ってインフレ抑制できないばかりか不況をもたらす。
私やMMT派が4年前から言ってきた「インフレ抑制は財政支出と税制でやるべき」が証明されてる。 https://t.co/llVn3KWaXs
(ガソリンの小売りは減税で抑制できてる)
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) August 1, 2026
確認可能な現状の物価高騰の経路:
原油価格+60%(3月〜)
→輸入物価+25%
→石油卸値+10〜15%超
→企業物価+7%
→消費者物価+3%(8月〜/予測)
石油元売りへの補助金や代替原油確保の政策は効いてないことはないが、
2/ pic.twitter.com/VceVPLi4xY
ただし、れいわの対案にあるガソリン減税だけでは、石油を精製した製品や重油には届かないので、やはり石油元売りやナフサ輸入業者にも補助金を積むべきだと思う。
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) June 6, 2026
とにかく、高市の激ショボ予算のままでは大変な危機になるのではないかと心配している。
ずっと私も松尾先生の言う通りだと思ってきたが、そうではなかった。
石油元売りは補助金で儲けているとは言えなかった。補助金はそれなりに適切に処理、価格低減に利用される。
大半は原油価格高騰で儲けているのだ。
松尾匡の予言
— cargo 💴💶💵🌹🐾🍉 (@cargojp) May 11, 2022
>ガソリン税のような燃料関係の間接税も停止するべきです。岸田政権は、石油の元売りに補助金を出すことで燃料価格を下げようとしていますが、価格上昇の勢いは止まっていません。元売り各社は『補助金で儲けてはいない』と主張しますが、原油高騰で利益が爆上げしたのは事実です。 https://t.co/0n8wWzF6xZ
以上。
cargo






















