あらためて小泉進次郎大臣の慧眼に感服した次第だ。

 

【目次】
◇ 原油価格とインフレ率が強い相関
◇ 原油価格と労働分配率がなぜか相関
◇ カレツキの価格理論
◇ インフレ率を予測する!
◇ インフレの波が押し寄せている
◇ インフレ抑制方法=石油元売りの価格統制

 

最近、「原油価格先行インフレ論(意識低い系モデル)」と名づけたテーマを断続的に研究している。

調べていくうちに、原油価格の動向さえわかればCPI(インフレ率)を予測できることがわかった。
まだ研究途中だけど、途中経過ということでここに記録したいと思う。

カレツキの価格理論から、
[原油・原材料価格→企業間取引価格→労使間賃金交渉→物価]
または[原油・原材料価格→企業間取引価格→物価→労使間賃金交渉]
という価格の波及経路を想定し分析している。

 

 

 原油価格とインフレ率が強い相関


原油価格とインフレ率は相関する。もちろん輸入物価や企業物価も。

つまり原油価格が上がると、(間にもろもろの波及がありながらも)インフレ率が素直にその分上がる。



(数か月前に作った図なので最新版ではない。そしてWTIではなく、日本が輸入する原油の大部分を占めるドバイ原油を指標に使ったほうが妥当だ)

この関係を始めて知る人は驚くと思う。
これは、インフレの主因は通貨発行量や需要、成長関数、または為替動態ではないことを決定づける。

インフレの原因は、ほぼほぼ原油高なのだ。
こんなに簡単な話なので「原油価格先行インフレ論(意識低い系モデル)」と名づけた次第だ。

そして原油価格→CPIではだいたい6~10カ月のラグ(最大値は8か月目)なので、「原油価格によって半年後のCPIが予測できる」ということだ。
私は、内閣府や日銀のインフレ予測指標である「需給ギャップ」はクソだと思っているが、この主流経済学方式の需給ギャップがクソであることを同時に証明することもできる。
(主流派の問題は、コブ=ダグラス/ソローモデルの関係式とういう誤ったツールを使ってるということだ。例えるなら、プラスドライバーを使って本棚を組み立てなければならないところを、ずっとマイナスドライバーを使ってネジ穴をダメにし続けている、という感じだ)

私が「原油価格→CPI」の重要性に気づいたのは、ドイツのMMT派デルク・エンツ氏の教科書の記述だった。

 

 

 原油価格と労働分配率がなぜか相関


原油価格とインフレ率が相関することは、PK/MMT派にとってみれば、わりと「わかりみ案件」であろう。
だけどこっちはさらに意外に感じるはずだ。



原油価格と労働分配率がそこそこ相関する。

製造業では、1990年から全期間の相関係数は約-0.46(*Claudeによる簡易季節調整後)となる。
2015年以降だと簡易季節調整後の相関係数は-0.66まで高まる。これはやや強い逆相関だ。

グレンジャー検定はラグ2Q(6ヶ月)から全ラグでp<0.0001と高度に有意。逆方向は全ラグで非有意となった。因果の向きも確定的だ。
全産業の場合はラグは15カ月まで拡大する。

簡単に言うと、「原油価格が上昇するほど労働分配率が低下する」という関係が35年間にわたって成立している。

原油価格上昇 → 労働分配率低下 
原油価格下落 → 労働分配率上昇

カレツキ的解釈をするならこうなるだろう。
原油・輸入原材料価格上昇 → 企業の投入コスト上昇 → 企業が販売価格を引き上げる → 賃金調整は遅れる → 名目付加価値に対する雇用者報酬の比率が低下 → 労働分配率低下

原油高でコストが上がると企業は利益を守るために賃金に回す割合を削る、あるいは企業収益が原油高で圧迫されて労働分配率が下がる、という構造になっている。

原油価格が上がると、まず製造業の投入コストが上昇し、企業が販売価格を引き上げる。一方、賃金は契約・春闘・雇用慣行などによってすぐには動かない。

その結果、

販売価格・名目付加価値の上昇 > 賃金の上昇

となり、短期的に労働分配率が下がる、というメカニズムが考えられる。

 

これは、主流派の「賃上げは企業努力次第」、「生産性が上がると賃金が上がる」という論調を根底から揺るがすグラフとなりえる。
ちなみにだが、主流派や公官庁はここでもコブ=ダグラス/ソローモデル式を使ってるため、生産性増→賃金増というアホな想定に立つ。

しかし上図の通り、カレツキやポストケインズ派の[価格=マークアップ率(企業の利益確保率)+コスト+人件費]との定式が示すその通りの結果となったということだ。

実は原油価格と労働分配率以上に相関するはずなのが、輸入物価または企業物価と労働分配率だが、これは今度やってみることとする。
(例えば労働分配率は連続した期間の数値が存在しないため、法人企業統計から付加価値や人件費などを割り出し、再計算しなければいけないため大変なのだ)

 

 

 カレツキの価格理論
 

カレツキの価格理論をおさらいする。



カレツキ式だと、[原油・原材料価格→企業間取引価格→労使間賃金交渉→物価]という経路になるが、
私は原油・原材料価格→企業間取引価格→物価→労使間賃金交渉だと思ってる。

もちろん、賃金と消費者物価間のフィードバックもあるけども、賃金の設定にはあまり関係なく物価は上がると見ている。

そもそも賃金が上がって需要が増え、モノがたくさん売れたからといって、企業は販売価格を上げるだろうか?
もっと数を売ろうとするんじゃないだろうか。
つまり賃金→物価のフィードバックはさほどないと考えている。

 

 

 インフレ率を予測する!


過去にもインフレ率を予測しているが、今後は精度を高めたいと思っている。

簡単には、3月頭にイラン戦争の影響で原油価格が高騰したため、そこから6カ月後くらいから影響が現れ、8か月後にピークを迎えるはずだ。
つまり、9月が6カ月目、10月が7カ月目、そしてピークを迎えるのが8カ月目の11月になる。

統計局のインフレ率の公表は、だいたい1カ月と20日後になるため、現在わかっているのは7月のCPI(七月ぶんは1.9%)だ。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/

9月の20日ごろに8月のCPIが公表されるが、私は大雑把には2~2.5%を予測している。

下記は、過去のインフレ率予測に関わる私の投稿だ。

 

 

 

 

 

 インフレの波が押し寄せている


統計局のインフレ率公表がなくてもある程度は予測できる。
帝国データバンクの「価格改定情報」を見れば大雑把な予測はつく。
7月→8月の価格改定品目は二倍、8月→9月の価格改定品目はさらにその二倍である。

3月に暴騰した原油価格がインフレとして到達し始めているのだ。

 

 

 


「原油価格先行インフレ論(意識低い系モデル)」では、インフレを、16年以降は7割程度、00年代以降なら6割がたが原油価格で説明できる。

他の3,4割の要因は何かというと為替や自然需要、輸入元国の賃金動向などで分散されるため、説明変数として原油価格が最も大きいと言うことだ。

 

 

 

 インフレ抑制方法=石油元売りの価格統制


多くの人が主流経済学派のおかしなプロパガンダのおかげで勘違いしているが、
金利水準がインフレを統制しているわけでもないし、利上げでインフレを抑制できるわけでもない。

 

 

 

 

 


利上げしても、緊縮財政しても、円高にしても、ほぼほぼインフレは抑制できない。
なぜなら原油価格が原因だからだ。

MMT/PK派のジェームズ・ガルブレイス教授と、「Greedflation(便乗値上げ論)」でお馴染みのウェバー准教授が、価格統制(エネルギー企業への補助金、価格カルテル、消費者への助成)を勧めている。
これは私もずっと言ってきたことだ。

 

 

 

 


ずっと私も松尾先生の言う通りだと思ってきたが、そうではなかった。
石油元売りは補助金で儲けているとは言えなかった。補助金はそれなりに適切に処理、価格低減に利用される。
大半は原油価格高騰で儲けているのだ。

 

 


以上。

cargo

 

 

 

 

ローザ・ルクセンブルグ

 

れいわ/いのちの内紛が終わらないようだ。
私には何が問題とされているのか詳細はよくわからないが、どうやら山本太郎イズム「与党も野党も茶番」路線の継承か、「他党との協力か」で意見がわかれているようだ。

直近の問題は、2月の衆院選挙に大敗したことに始まり、イスラエル渡航を問題視された多ケ谷パージ事件を機に党内の確執が深化したことだろう。

多ケ谷氏は他党との調整、またイスラエルとの調整の意味で渡航したとのこであったが、件に限らず従来から執行部との意見の相違があったようだ。

人間は大きな失敗や不条理に直面すると「犯人捜し」を始めるものだ。
明確な犯人がいなくても誰かに責任を負わせようとする心理になってしまう。(心理学では「スケープゴーティング」や「自己防衛的帰属」というようだ)

そのような雰囲気のなか、パージされた多ケ谷氏の秘書給与問題の告発(難クセ)によりテンションが高まった。
私個人は多ケ谷氏をパージしたのはやり過ぎだったと考えている。当時もそのことをX上で表明したが、事件の過程で山本太郎代表が「調整役なんかいらない」等と発言したのも問題だと思っていた。

ご存じの方もいると思うが、私はX上で最も多くシオニズムやガザ虐殺批判を繰り返すアカウントの一つで、そのことでXからアルゴリズム規制を喰らったほどだが(私の投稿は人々に届かないように操作されている)、そんな私でも「多ケ谷パージ」はやり過ぎだと考えている。

「反与野党茶番 路線」に関しても、私はバラモン・リベラルを批判し続ける急先鋒といったところだが(笑)、私は、「調整役」や「他党との協力」派はありがたい存在だと思っている。
どんなに急進的な集団であっても、調整や交渉のルートは残しておかないといけないからだ。

「左翼の内ゲバ」と一言で評してしまえば元も子もないが、左翼は「人間の知性・理性が自然を凌駕する」と考えるため、際限のない理性同士の衝突が起こる。
世の中は理性のみで解決できるようになどできていないのにだ。

左翼の内ゲバは歴史が長い。
今日は、元祖「与野党茶番批判派」とも呼べるローザ・ルクセンブルグについて書きたい。

◇◇◇◇◇

ローザ・ルクセンブルグは、1900年代初頭に活躍したドイツのマルクス主義学者/法学博士/活動家で、一級の弁士でもあった。

ローザ・ルクセンブルグは1871年にポーランドのユダヤ人家庭に生まれた。
1889年代、18歳で、ロシア帝国の弾圧を逃れるためスイスに亡命した。
1893年にはスイスにて、夫ヨギヘスとともに、ポーランド王国社会民主党(SDKP)を創設する。
革命活動を続けるなか、1898年にヨーロッパ社会主義の中核であったドイツ社会民主党(SPD)に入党するためドイツ・ベルリンに移住した。

SPDについては、前身のドイツ社会主義労働者党(1875年創設)はマルクス自身が、またドイツ社民党に改名した後(1891年)にはエンゲルスが直々に綱領草案に関わった、由緒ある党だ。

しかし、帝政ドイツでも社会主義者への弾圧・違法化が常態化していた。
SPD発足当時の議員は十数名しかいなかったが、徐々に党勢が拡大し、ルクセンブルグが入党した頃には第二インターナショナル最大の組織になっていた。

1899年、SPDの幹部エドゥアルト・ベルンシュタインは『社会主義の前提と社会民主党の任務』を出版し、マルクス主義の革命論を修正した。
ベルンシュタインは、資本主義はマルクスが予想したような崩壊には向かわず、むしろ資本主義の発展と民主主義の拡大の中で、労働者の生活を改善しながら社会主義へ漸進的に移行できると主張した。
SPDは、革命による資本主義の打倒を目指すのではなく、議会制民主主義下での議会活動や労働組合運動を通じて、既存の経済体制の中で社会改革を積み重ねるべきだと路線変更した。


ルクセンブルグの「社会改革か革命か」


これに対し、当時28歳だったローザ・ルクセンブルクは、ベルンシュタインの「修正主義」を激しく批判した。
彼女にとって、資本主義の枠内での改良を社会主義への道とすることは、労働者階級による資本主義の変革という社会民主主義の本来の目的を放棄することだった。
ルクセンブルクは同年『社会改革か革命か』を発表、ベルンシュタインを徹底的に批判し、結果的に党にこの修正路線を非採用とさせた。
これによって彼女は、ドイツ社会民主党内の左派を代表する理論家として知られるようになった。

彼女は、党の指導部が妥協的すぎると考え対立した。党大会では何年も続けて演説を行い、修正主義的な党指導部を批判した。正統派マルクス主義者としての立場を貫いた。
妥協を許さない原理主義、「反与野党茶番派」の誕生である。
(*勘違いしないでほしいが、筆者自身も反与野党茶番派であるし、かのカレツキが影響を受けたルクセンブルグはスターの1人だと認識している )

 

SPD内でも「調整派=中央派」と「反与野党茶番派=急進左派」の争いがあったのだ。


その後、急進左派ルクセンブルグは、皇帝を侮辱し、ゼネストに大衆を扇動するなどの過激な言論活動により何度も逮捕・投獄されているが、民衆からの支持は驚くほど厚かった。


1904 年にアムステルダムで開催された第二インターナショナルの大会におけるルクセンブルク。唯一の女性だ(中央付近、リボンをつけている)
https://en.wikipedia.org/wiki/Rosa_Luxemburg



1907年、社会主義大会で演説を行うルクセンブルグ
https://www.t-online.de/nachrichten/panorama/kriminalitaet/id_87101510/rosa-luxemburg-wer-steckt-hinter-der-ermordung-der-roten-ikone-.html


1900年代、ルクセンブルグは党代表として国際会議にも多数出席している。
1907年にロンドンで開催されたロシア社会民主労働党の第5回党大会にはポーランド代表として出席し、レーニンと対面した。
第二インターナショナルのシュトゥットガルト大会で採択された戦争反対決議案(反戦のために全ヨーロッパ労働者階級の結束を求めるもの)は、ルクセンブルグとレーニンによって起草されたものだった。

多数派であった中央派(調整派)と急進左派(反与野党茶番派)の対立は1910年頃から激しくなり、ルクセンブルクらが街頭運動を大衆ストライキに発展させて革命的状況を作り出そうとするのを、幹部のカウツキーらは「一揆主義」と批判した。

中央派(調整派)はソビエト権力と、ソ連型革命による労働者評議会制を批判し、民主主義による社会主義の実現を主張した。
一方で急進左派(反与野党茶番派)は、ソビエト政権の議会弾圧やテロの手法、民主的自由の廃止などの独裁的政治を批判しながらも、革命によるプロレタリア独裁と労働者評議会制を望んでいた。


カール・カウツキー(1904年)、後にナチスにより殺害された。

1912年の帝国議会選挙では社民党は得票率34.8%を獲得して得票の上でも議席の上でも第1党となっていた。

1914年、第一次世界大戦が始まると、日和見主義のSPD指導部は帝国政府の戦争遂行に協力し、戦時国債にも賛成してしまう。
これに対してルクセンブルクら急進左派=反与野党茶番派は強く反発した。
「労働者は自国の資本家・政府のために、他国の労働者を殺すべきではない」という立場をとった。
彼女にとって、「ドイツ労働者 vs フランス労働者」という構図そのものが、帝国主義によって作られたものだった。
本来は、「ドイツ労働者+フランス労働者 vs ドイツ資本家+フランス資本家」という階級対立であるべきだ、という考えだった。

彼女の有名な言葉、「帝国主義か社会主義か」という二者択一は、戦争を止めることだけが目的なのではなく、「戦争を生み出す資本主義・帝国主義そのものを変えなければ、戦争は再び起きる」ことを示す。

1915年、ルクセンブルクら反与野党茶番派はSPD内の分派「スパルタクス団」を組織し、反戦運動を展開、カール・リープクネヒトらとともにSPD主流派を批判した。

なお、「スパルタクス団」の名称は、ローマ時代の奴隷反乱軍から。歴史上の組織という意味で、どことなく「新選組」とも通じる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%91%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%82%B9%E5%9B%A3


カール・リープクネヒト。ルクセンブルグの盟友でもあり、SPD立ち上げ時からの幹部だ

戦争への対応をめぐる対立はとうとうSPDを分裂させた。
1917年には反戦派=与野党茶番派を中心に「独立社会民主党(USPD)」が結成され、スパルタクス団も参加した。

1917年2月にロシアで革命が発生したこともあって、ドイツでも革命気運が高まっていた。
大戦末期の1918年11月、戦争に疲弊したドイツ軍水兵らが起こした反乱によって帝政が崩壊すると、SPDのフリードリヒ・エーベルトらは新政府を主導した。
「ドイツ革命」と呼ばれた。
これはUSPDやスパルタクス団にとっては予想外の出来事であった。

しかし革命のさらなる急進化を恐れたSPD指導部は、元帝国軍部や義勇軍(フライコール)と協力して、急進的な労働者運動を弾圧する道を選んだ。
革命後に、調整派SPDが旧帝政派と結託し、反与野党茶番派を暴力により弾圧したのだ。


しかし次いで起こったのが、反与野党茶番派の更なる分裂だった。

1919年1月1日、ローザ・ルクセンブルクとカール・リープクネヒトは、USPD内の革命派などとともに、ドイツ共産党(KPD)を結成した。
USPDの主流派とは「反戦」を軸に手を結んでいたが、プロレタリアート革命・独裁を否定していたため、袂を分かつほかなかった。

内ゲバに次ぐ内ゲバが左翼の本質だ。
左翼は、理念こそを自身の存在理由としているため、折れることはないのだ。

ルクセンブルグは共産党の結党に際し、「革命は大衆自身の手によって行われるべきものであり、下からの階級闘争を通じて、労働者たちが自らの行動と経験を通じて権力を握るべきだ」と演説した。

結果、調整派SPD 対 反与野党茶番派KPDとの本格的な争いに発展した。

KPDは、反乱を起こすことでソビエト方式の共和国の樹立を目指した。
エーベルト率いるSPD暫定政府の打倒、反革命軍の武装解除、そしてすべての権力を労働者・兵士の評議会に移譲することを求めた。

1919年1月初頭から、KPDに同調する労働者と兵士たちは、帝政打倒にとどまらない政治・経済の全面的民主化と革命の継続を求めて、ベルリンで武装蜂起(スパルタクス蜂起)を起こした。

エーベルト率いるSPD政府は、帝政崩壊後のドイツで議会制民主主義(ワイマール共和国) の樹立を目指していた。
一方、KPD(ドイツ共産党)はソビエト型のレーテ(評議会)による革命を主張し、武装蜂起に至ったのだ。


1919年、ベルリンでのスパルタクス団の蜂起。武装した労働者たち

これに対し、SPD政府は帝政ドイツの退役軍人で結成された右派ナショナリスト義勇軍「フライコール(Freikorps=free corps=自由軍団)」を投入し、蜂起を武力で鎮圧。多くの処刑・殺害が行われた。
スパルタクス蜂起鎮圧の死者は4500~5000人とされる。
3か月前のドイツ帝国に対するドイツ革命における死者が30人にも満たなかったことから、SPDとフライコールの弾圧、虐殺がいかに徹底し、凄惨だったかがわかる。


1919年、鎮圧した反共右派義勇軍「フライコール」、10年後にナチスの権力掌握にも協力する
https://en.wikipedia.org/wiki/Freikorps


これは、左翼同士の内戦であり、調整派SPDが「革命」よりも軍事力を背景にした「秩序」を選んだ瞬間であった。

1月15日、ルクセンブルクとリープクネヒトは、政府側と結託したフライコール部隊に逮捕・監禁された後に殴打のうえ、殺害された。
ルクセンブルグの遺体はベルリンのランドヴェーア運河に遺棄され行方不明となった。
ドイツ共産党KPD結党からわずか2週間のことだった。

フライコールは「ルクセンブルグは暴徒に襲われ殺害された」と虚偽の報告を行った。
遺体は半年後に発見され、検死報告書によると「銃剣での殴打による重度の頭蓋骨損傷」があったとされている。直接的な死因は拳銃による至近距離からの射撃だった。
実行犯は裁かれることなく、15年後にできたナチス政権では軍将校として昇進している。1930年代のフライコールはナチスに協力し共産主義者や社会主義者の弾圧を行った。


ルクセンブルクの遺体が投げ込まれたランドヴェーア運河にある記念碑

1919年のスパルタクス蜂起で数千人が犠牲になったこの内乱は、ドイツにとって1848年革命=三月革命(死者約200人)以来の大規模な武力衝突だった。

その後もバイエルン・レーテ共和国の鎮圧(1919年4〜5月)、ミュンヘンでの戦闘とその後の報復、その他の地域での衝突により1919年を通じてドイツ各地で起きたゼネストや武装蜂起の鎮圧でうまれた死者数は数千人にのぼり、この内乱での死者数の合計は8000人前後と言われる。

帝政に対する革命による死者(30人以下)よりも、その後の左翼同士の主導権争いによる死者のほうが圧倒的に多かったのである。

後にKPDはSPDを主な敵対勢力と見なし、「社会ファシスト」と呼んだ。当然だろう。
民主主義を標榜する者たちに虐殺されたのだ。

そのSPDは現在、連立政権としてドイツ政治のかじ取りを行っている。

この事件は、かつてドイツ労働者運動の旗手だったSPDが、革命による社会主義の実現を目指す勢力から、議会制民主主義と資本主義の枠内での漸進的改革に軸足を移す、歴史的な分岐点となった。


フランクフルトのローザ・ルクセンブルク通りにあるグラフィティ絵画

これがローザ・ルクセンブルグとドイツ左翼の闘争の物語だ。


さて、何が言いたかったのか。

私が初めて「左翼の内ゲバ」を体験したのは、2017年末に「薔薇マーク」運動に参加していた際に、立憲民主党に妨害工作を仕掛けられた時だ。あの時「ああ、本当に左翼の内ゲバってあるんだなあ」と感心したものだ。


反与野党茶番派(急進派) vs 調整派、
「左翼とは内ゲバするもの」なのだ。


時には殺し合いに発展するので、十分に気をつけなければならない。


以上。

cargo

歴史評論家の辻田真佐憲氏が「”失われた30年”は取り戻せない」と言っている。

▼【戦後史“最大の転換点”は90年代だ】もう“あの頃の日本”は取り戻せない|新しい戦前ではなく“新しい戦後”である|右か左かではない…本当の対立は「東京対地方」|歴史を引き受ける主体たれ【辻田真佐憲】
文藝春秋PLUS 公式チャンネル

 

最初に言わなくてはならないのが、【経済学を知らないとバラモン・リベラル化する】ということだ。
これは多くの「自称識者」が陥る罠でもある。
何か「衰退ポルノ」的推論がドМ心の琴線にふれるのかもしれないが、間違っているので反論しておかなければならない。
また、自己実現的予言を成就させるよう作用する危険な思想だとも指摘せざるを得ない。

◇◇◇◇◇◇


歴史評論家の辻田真佐憲氏は、「失われた30年」は幻想・思い込みであり、取り戻すべきものではないと言う。

戦後、農村から都市に移住が進み、人口も増加、米国の庇護のもと高度経済成長を成し遂げたのが90年代以前の戦後日本であり、これは幾重もの偶然が重なった結果だと評する。
バブル期までの好調な日本を取り戻そうと無理な経済政策をやると、無理が自分達に振りかかる、果ては戦争になる。したがって現在の成熟の状態を肯定すべきだとした。

具体的には、「田中角栄型の成長戦略はもう日本では通用しない」と言う。
なぜなら、政府にはお金がない、そして投資しても地方には人口減少によって、受注する土建業などの産業基盤が既にないとの認識だった。

また「『令和のコメ騒動』と言うが、日本の歴史上、コメを食べれたことの方が稀」だとも言い出している(笑

◇◇◇◇◇◇


以上の辻田氏の論考を聞いて、「またですか…」とため息をつく反緊縮派も多いと思う。
枝野幸男氏や金子勝教授などの「バラモン派」と異口同音の主張だ。

辻田氏らの主張は、「『失われた30年を取り戻す』というが、90年代以前は人口増加や米国の庇護といった偶然が重なって経済発展した。その偶然の産物を取り戻すことはできない」といったものだ。 

総じて評するに、彼らは「90年代以前の成長条件を見誤っている」と言えるだろう。

おそらく、脳内が金本位制になっているため、政府が投資するための資金をどこかに貯めていて、現在はその資金が枯渇している、また人口減少により労働リソースも不足しているため、以前のように成長はできないという考えだ。

これには簡単な反論で論破可能だ。

◇◇◇◇◇◇


90年代以降の”失われた30年”は「投資が足りなかった」、つまり、有効需要の原理を認識できていなかった。 
したがって有効需要原理を意識して、”失われた30年”を取り戻すべきだということだ。
「有効需要の原理」を知らないと、辻田氏のような誤った歴史認識を持つことになる。

「有効需要の原理」は、簡単には以下の式で表される。

S=I(貯蓄=投資)
または「I→Y→S」(投資→所得→貯蓄)

経済学の式は、左辺が結果で、右辺が因果を示す。
連関はあるが逆はない。
これは、貯蓄を元に投資しているわけではないということだ。
「貯蓄が先に存在して、それを原資として投資する」のではなく、「投資支出が所得を作り、その所得から貯蓄が生まれる」のだ。

さらに上の式に政府や海外を入れると、
S−I = G−T+(X−M)
 :*Gは政府支出、Tは税収、X-Mは純輸出
となるので、民間投資が弱くても政府赤字や輸出超過が民間の貯蓄を生み出すことがわかる。

要するに、投資をした結果、所得≒貯蓄が生まれ 人々の購買力≒需要が上がり、経済が回るというわけだ。


したがって、貯蓄の源泉は、(ゼロから信用創造された資金を元手にした)投資であるため、多少の人口減少などの弊害があっても、経済成長=「失われた30年」を取り戻すことができるのだ。

逆に言えば、[有効需要=貯蓄]を生み出す[I=投資]が足りなかったのが「失われた30年」となる。
(*高度経済成長期-バブル期は、[投資]が旺盛だった)

下図は、労働人口と経済成長に相関がないことを示す。




 

上図のように労働人口が減っている国も、政府支出によって経済成長していることがわかる。
日本が成長しないのは、労働人口減少のせいではなく(因果ゼロというわけではない)、[I=投資]が足りなかったというわけだ。

この原則が理解できないと、90年代以前の経済成長は「人口増加や米国の庇護があったためだ」といった誤った解を導き出すようになる。

ましてや「コメを食うことができないことのほうが自然だ」というような言いぶりは、人間の科学技術発展への冒涜とでさえあると言わざるをえない。
技術の進歩により、より少ない人数と労働時間で、あらゆる生産物を増産してきたのが人間の歴史だ。

◇◇◇◇◇◇


ここまでの話を聞いても、バラモン派からは
「信用創造で無から得たお金で投資をしたって、受注する側の人的リソースがいなければ道路や橋、学校も建設できないじゃないか?」
「人口減少するんだから道路や橋を作ってもムダだ!」

という疑問は残るだろう。

まず、有効需要の原理から、投資は所得や需要を創り出すことがわかったはずだ。
[投資→需要創出]によって、新たな仕事や雇用が生まれることもわかる。

「受注側の企業がいないから投資ができない」のではなく、「失われた30年」の間は、投資が少ないから受注側企業が育たないし、潰れてきたのだ。
これを逆回転すれば、受注側企業や産業を盛り返せることもわかるはずだ。

 

かつて12兆円以上あった公共事業関係費が7~8兆円ほどに減少している。これでは土建企業が撤退するのも無理はない。

 

つまり、[(政府の)投資・お金の創造 → 所得・需要増 → 雇用増 ]こそが真の波及経路となる。
供給能力側を増強させるのもまた需要あってのものだ。
投資は現在の需要であると同時に、将来の供給能力を作るのだ。

それに投資先ならいくらでもある。
むしろ労働人口が減少することが見こされているからこそ、省力化や機械化、エネルギー自給・グリーン・ニューディールなどといった投資先が山ほど存在することに気づくだろう。

繰り返すが、投資こそが所得や需要、仕事を創る。
さらに、この安定した雇用があるから、そして成長する未来があるから、人々は安心して家庭を築く。
そうやって人間社会は発展してきたのだ。
逆に言えば、あなたが年収300万円で将来の見通しもないとしたら、結婚して子供を産むだろうか?産まないだろう。

途上国が多産なのは将来見通しが明るいからだ。

そして、安定した雇用によって道路や橋、病院といった社会インフラが作られるから、人々は安心して移住する。
あなたは、病院や学校のない僻地に移住して子育てをしたいと考えるだろうか?
ないでしょう。
人が住んでいるからインフラができるのではないのだ(全くゼロではないが)。

「人口減少するんだから道路や橋を作ってもムダだ!」と、未来を創造せず、インフラを廃止し、自己実現的予言を成就させてはいけない。


以上。

cargo

 

 

噂のタラリコの演説が素直にすごかったのでまとめたい。

ジェームズ・タラリコは、2026年のテキサス州選出の連邦上院議員選挙で民主党候補となった人物で、「経済的正義は聖書に3000回も登場する」などと述べ、進歩的な主張を聖書を引用して展開する。
プログレッシブ派ではあるが、マムダニやAOCらのDSA系候補とは違う異色の存在だ。

2026年2月に収録されたインタビューは、CBSの法的判断によりテレビ放送されなかったものの、YouTubeで公開され数百万回の再生を記録。その結果、24時間で250万ドルもの巨額な選挙資金を集めることに成功した、大変話題の人物だ。
https://vi.web-platforms-vi.nyti.nyt.net/2026/03/03/us/politics/james-talarico-democrat-senate-candidate.html

▼A New American Dream: James Talarico's Full Policy Address
https://youtu.be/GK24thp_2Qo?si=6bk6dewUvUL2d6j0

 

上記の演説では、冒頭の、自閉症の孫のために空港で掃除の仕事に従事するお婆さんの話から、反緊縮的言説、クライマックスまで全てが計算されていて、このビルドアップは無茶苦茶参考になる。

そして、キャッチフレーズの「New American Dream」という、「みんなが忘れていたド直球」が人々の心を揺さぶる。

私は、タラリコに山本太郎を感じた。
内容もさることながら、演説を通じたビルドアップがそっくりだ。

サンダースやAOC、マムダニ、エル=サイードではこれはできないだろう。

タラリコもまた、民主社会主義者らのように反緊縮的な公約メニューを並べるが、やはり目玉商品はシンプルなキャッチフレーズ「アメリカン・ドリーム」だ。
「アメリカン・ドリーム」は社会主義ワードではなく、資本主義ワードであり、アメリカ人の誇りそのものだ。
彼はアメリカ人の誇り、この琴線に触れるワードを意図的に選んでいる。

社会学者のアーリー・ホックシールドが、インタビューの中で、トランプ支持の根底にあるのは、経済的苦境そのものではなく、「誇りの喪失」という感情だと分析しているが、まさにこのコンテクストをなぞるようなキャッチフレーズと演説内容となっている。
https://digital.asahi.com/articles/ASV4Z2VWGV4ZUHMC00JM.html

私が山本太郎に「メイド・イン・ジャパン」というキーワードを使ってほしいと勧めた理由もこれだ。
「メイド・イン・ジャパン」は、日本人としての誇りを取り戻す工程そのもの、そしてそのイメージをシンプルな一言で共有させることができるマジック・キーワードだ。
誰もが、「アメリカン・ドリーム」や「メイド・イン・ジャパン」という単語を聞いただけで共通の誇らしいイメージを思い浮かべるのだ。

山本も政策に織り込むことでしっかりと応えた。聴衆からの手応えもあっただろう。
惜しむらくは山本が途中で病に倒れたことだ。

◇◇◇◇◇◇◇

約30分ある演説を、抄訳する。

以下では、演説の意図やテクニカルな文脈をカテゴライズし、【小見出し】として表現してみた。

目次/小見出しはこうなる。

・冒頭:個人的な逸話 〜オーガスタお婆さんはあなた達だと示唆し演説に引き込む
・個人的ストーリーをマクロに拡大・ルサンチマンの種まき・格差拡大の例示
・敵=寡頭資本家の存在の明示 〜トリクルダウン批判
・敵の手口の明確化 〜政治献金で政治を歪める・上下階級の意識化
・寡頭資本家との対決姿勢をアピール 〜聴衆に団結を促す「左右ではなく上下」
・社会主義者ではなく資本主義者であることをアピール(アメリカのプロトコルに倣う)
・反緊縮的な公約を提示・熱狂の演出
・庶民→富裕層への公的債務負担の付け替え「富裕層の脱税を取り締まれ!」
・再エネ・AI・データセンターに関する最新の知見の共有- ex.サンダースやピケティ、マッツカートなど
・聴衆へのエンパワーメント「アメリカン・ドリーム」
・労働者へのエンパワーメント(有効需要原則の例示)
・公約=夢の共有「アメリカン・ドリーム」
・個人的エピソードの再提示=政治の自分ごと化・締め


この演説中に5回「アメリカン・ドリーム」と発していることにも注目いただきたい。

 

 

冒頭:個人的な逸話 〜オーガスタお婆さんはあなた達だと示唆し演説に引き込む

・テキサス州で会ったお婆さん、オーガスタは、自閉症の孫のために空港で掃除の仕事に就き、懸命に働いている。
ある時、航空会社は経費削減のため、掃除中の飛行機のエアコンを切ることにした。
テキサスの太陽の下、汗だくで働くオーガスタだが、値上がりした1500ドルの家賃を払うだけで精一杯で、孫のためにできることは少ない。
 

個人的ストーリーをマクロに拡大・ルサンチマンの種まき・格差拡大の例示

・オーガスタのように苦労する人々は沢山いる。ガソリン代も払えず、生活必需品の購入さえままならない。
昔はアメリカン・ドリームが当たり前で、分厚い中間層が存在した。
かつては父親1人の給料で家族を養い、高金利の奨学金も必要なかった。高齢になれば仕事を引退し悠々自適に暮らすことができた。
しかし今や中間層は没落し、テキサスの子供の5人に1人が貧困状態だ。

一方で、富はベゾスやザッカーバーグなどの金持ちに偏っている。
 

敵=寡頭資本家の存在の明示 〜トリクルダウン批判

・富裕層や大企業は政治献金の力でかつてのルーズベルトのニューディールを潰そうとした。
彼らは、マスコミには企業が善良に見えるよう宣伝させ、裁判所では企業を優遇する判事を選び、共和党・民主党双方の議員を買収した。
その結果、両党はトリクルダウン経済を採用した。
金持ちをさらに金持ちさせ、庶民を見捨てた。50年間、庶民を搾取し続けたのだ。

 

敵の手口の明確化 〜政治献金で政治を歪める・上下階級の意識化

・ビリオネアや大企業は我々アメリカ国民から富を盗み続けた。救済措置(金融危機時の大銀行の救済など)や法人減税などをもって盗み続けたのだ。
そして買収された政治家が裕福な献金者に利益をもたらすよう経済を操作した。
住宅価格を、ガソリン代を、そして医療費を高騰させた。
あなた達が保守派だろうが進歩派だろうが、我々は皆、騙されてきた。搾取されてきたのだ。

 

寡頭資本家との対決姿勢をアピール 〜聴衆に団結を促す「左右ではなく上下」

・ビリオネアは政治を買収してきた。ケン・パクストン(*テキサスでのタラリコの対抗馬、司法長官)のような政治家を買収してきたのだ。
彼らには政治的信念などなく、あるのは自分たちの利益だけだ。
彼らは我々を敵と見なしている。そろそろ我々も対抗するべきだろう。
彼らにより「製造された分断」を乗り越える時が来たのだ。
長年我々を搾取してきた権力者に立ち向う時だ。
この国における本当の戦いは左翼対右翼ではないく、上下の戦いだ。
これが我々が築き上げているムーブメントだ。
これは分断を煽る政治ではない。団結と友情を生む政治なのだ。
この新しい政治潮流こそがテキサスを変え、国を変えるのだ。
新たなアメリカン・ドリームを築くことができるのだ。

 

社会主義者ではなく資本主義者であることをアピール(米国のプロトコルに倣う)

我々は資本主義の根底にあったものを忘れている。
それは誰もが、労働に対して正当な報酬を受け取るということだ。
だが今はそうではない。
労働ではなく、富に報いる経済になってしまった。
ビリオネアがトリリオネアになる一方で、労働者が基本的な必需品さえ買えない状況は、市場が正常に機能しているとは言えない。
アダム・スミスもこの現状を資本主義とは認めないだろう。これはクローニー(縁故)資本主義だ。

 

反緊縮的な公約を提示・熱狂の演出

キング牧師は「金持ちには美しい社会主義があり、貧乏人には厳しい自己責任主義がある」と言った。
今こそ最低賃金を上げ、残業手当を拡充する時だ!
我々が生み出した富を正当に分配させるべき時が来たのだ!
上位1%に対する醜い減税を廃止し、そして1兆ドル分の生活費減税を行う時が来た!
大企業ではなく地元の中小企業への減税を行う時が来たのだ!
そして労働組合を再建し、従業員が雇用主よりも公正な賃金と福利厚生を交渉できる時が来た!
借金で溺れかけている人々の医療債務を帳消しに、過剰請求を止める時がやってきたのだ!
高すぎるクレジットカード金利に上限を儲けを抑制する時が来た。
そして、今こそ高額学生ローンをやめる時なのだ!

 

庶民→富裕層への公的債務負担の付け替え「富裕層の脱税を取り締まれ!」 *債務の償還は絶対にやってはならないが

米国の国家債務にも真剣に取り組まなくてはならない。
借金を減らす唯一の方法は労働者に負担を強いることだと言われているが、それはまったく真実ではない。
富裕層の税の抜け穴をふさぎ、脱税を取り締まることで何十億ドルもの海外流出を防ぎ、赤字を解消できるのだ。
 

再エネ・AI・データセンターに関する最新の知見の共有- ex.サンダースやピケティ、マッツカートなど

テキサスは石油も風力も、エネルギー供給では米国ナンバー1だ。再エネへの攻撃を政治化してはならない。
21世紀もテキサスがエネルギーの最先端であるために、再エネに投資すべきだ。
そしてAIの未来をビリオネアに委ねるのではなく民主化すべきだ。
データセンターが水資源を枯渇させ環境汚染の原因になるのなら、建設には反対する。
AI企業の株式を公共化し、彼らが我々の知的財産から利益を得たぶん、国民は正当な配当を受けるべきだ。
テスラやインターネットに政府が初期投資したのと同様に、社会投資を還元させよう。

 

聴衆へのエンパワーメント「アメリカン・ドリーム」

このように、左右や政党の違いを乗り越えアメリカン・ドリームを求める我々を、トップ1%は恐れている。
彼らは、社会主義者や共産主義者だとレッテルを貼り、批判するだろう。
しかしそんなものは使い古された脅し文句であり、それこそが古い政治の象徴であることの証左なのだ。
そのようなレッテルは、彼らの夢がいかに小さいかを露呈しているにすぎない。
我々の夢は大きい。

 

労働者へのエンパワーメント(有効需要原則の例示)

歴史的にも統計的にも、国民を見捨てる国より、国民を大切にする国の方が早く成長することは明らかだ。
1914年、ヘンリー・フォードが全従業員の賃金を倍にした際こう言った。
「賃金を上げれば、私の車を買えるようになる」と。
富裕層にお金を与えても貯め込むだけだが、働く人々にお金を与えれば消費する。
我々こそが経済を活性化する主体なのだ。
トリクルダウンの福音ではなく、国民のための経済こそが成長に寄与するのだ。

 

公約=夢の共有「アメリカン・ドリーム」

皆さんが政治を諦める気持ちもわかる。
しかし皆さんが、食料、住居、処方薬、ガソリンなど生きるための必需品を買うことにさえ苦労しているのは、あなた達が怠け者だからでも選択を誤ったからでもない。
ビリオネアやケン・パクストンのような政治家に、システムがあなた達に不利になるよう操作されているのだ。
だから、私は企業献金を受け取らない。
私は生活必需品を買う余裕がないテキサス州民のための議員になる。
皆さんの賃金を取り戻すために戦う。
アメリカン・ドリームを勝ち取るために戦う。
ルールを守って働きさえすれば自分の家を持てるようにする。
子どものための教育、快適な老後、自由な時間を取り戻す。
これが新しいアメリカン・ドリームだ。

 

個人的エピソードの再提示=政治の自分ごと化、締め

この演壇に立つ前、私は公立中学校の教師だった。
生徒のなかの移民の子どもたちは、多くのアメリカ人が忘れてしまった建国の父たちの信念を思い出させてくれる。
アメリカはチャンスの地であり、夢が叶うべき場所であるということだ。
我々は幸福を追求する権利がある。
かつてはそうだったことを、取り戻そう。
オーガスタとその孫、私の生徒だった子たちのために無限の可能性を秘めた国を築くことができるのだ。

これこそが私が出馬した意味だ。
米議会上院で、オーガスタを守る。教え子たちを守り抜く。全面的に支援する。
アーリントンに集まってくれてありがとう。
神のご加護がありますように。

◇◇◇◇◇◇◇

どうだろうか。
DSA(アメリカ民主社会主義者)系の候補とはまた違った演説内容ではないだろうか。

私自身は社会主義者(社民~民社主義)であるが、タラリコのような修正資本主義もまた良しとする。
というのも、アメリカ国民や日本国民には社会主義を理解できないからだ。
いきなり社会主義を前面に押し出しても、受け取る側がワケもわからずドン引きするだけとなるだろう。


タラリコもマルクスなんて引用しない。ルーズベルトやフォード、キング牧師らアメリカ人の資本主義者をあえて引用する。


「資本家の富を最大化することを目的とした資本主義国家アメリカ」では、資本主義は根源的な常識として受け入れられ、人々も洗脳されてしまっているため、斬新的な変革過程を歩まなければならない。

だからタラリコの言う「アメリカン・ドリーム」や、山本太郎の「メイド・イン・ジャパン」を、私は、社会主義の「生産手段の公共化」の過程であると位置づける。
これはマッツカートの「ミッション志向経済」とも通底する。

マルクスも「社会主義への道は各国の歴史的・国際的環境によって条件づけられる」、つまりそれぞれの国のお国柄によって社会主義の実装は異なるのだと説いた。

もちろん、タラリコの訴えの中には、上位階級による労働の成果の搾取(=マルクス主義の根幹)も内包されている。
「我々が生み出した富を正当に分配させるべき時が来た」というフレーズなどはその例だ。
彼は、M-C-M'のM'が、M+△M'だと理解している。△M'こそ資本家の搾取部分に繋がる。
これはマルクスの余剰価値論そのものだ。

加えて、タラリコの面白い部分は宗教者(正統派プロテスタント・神学を専攻)であることだ。

彼の演説は、富の偏在や富裕層の搾取は、宗教的道徳・価値観に反すると、まるで牧師の説法のように響く。
宗教者の多い南部では好印象をもって受け止められているようだ。

どことなくJFKに似ているのも人気の理由だろう。

私は、彼が今後の中間選挙で大きな台風の目になるのではないかと予想している。

以上

cargo
 

 

目次;

ベッセント「ドル安にするために、日本は利上げしろ!」
為替:なぜ円安になるのか?
インフレの原因は本当に円安なのか? → いいえ、原油高です
利上げすればインフレは止まる? → いいえ
利上げしちゃダメだって言うんなら、どうすんだ? → 財政を出しましょう。

 

ベッセント財務長官の会見を受けて、人々に混乱が拡がっているようです。


最初に一つ言いたいのが、「金融家のポジショントークをまともに聞くと騙されますよ」ということです。
ベッセントはソロスのファンドの社員として、ポンド危機やアジア通貨危機を起こした主犯格グループの一員です。

なぜ詐欺師の話を真面目に聞く人がいるのか、私には理解できません。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/62118

 

ついでに言えば、皆さんがご心配のトラスショックですが、これもトラスショックではなく、「金融屋ショック」でした。

 

*トラスショックがなんだったのか知りたい方はこの二つのツリーを確認してください。

 

金融屋さんのポジショントークに騙されないようにしましょう。

 

 

ベッセント「ドル安にするために、日本は利上げしろ!」

 

さて本題に移りましょう。

今回の話題は、簡単には、金融屋ベッセントが日本に「利上げをしろ」と迫っているという話になります。

 

 

ベッセントの「日銀が急に利上げしたら日本国債が売られて、米国債も売られる」というわけのわからないロジックにも苦笑してしまいますが、このような荒唐無稽な脅しを真に受ける人間が多いのにも落胆せざるを得ません。

 

この話は、要するにベッセントが日本に「利上げをして、ドル安にしろ!」と迫っているということです。

これは従前からのトランプ政権の方針となり、「ドル安にしたら米国の輸出がはかどるんだからジャップは円高/ドル安にしろ!」という類の要求となります。

(そして「円安是正のための為替介入で米国債を売ったら米国債金利が上がるやろが!」とも言ってますが、このあたりのことは今回は割愛しましょう)

 

また、ベッセントが示唆する「財政を拡大すれば国債が売られる(金利が上がる)」なんてこともありません

(「財政支出したらインフレになる!」もウソです)

 

 

なぜ財政拡大している時期に金利が下がり、財政縮小している時期に金利が上がるのですか?

財政=財市場と国債市場は別ものなので、連関はほとんどないんです。


金融/財政/国債/為替はそれぞれ別の市場であり、その連動の強さは異なります。

「財政を出したら金利が上がって円安(円高)になるのだ!」とのよく聞く、混乱した話も成り立たないことが、上図からわかると思います。
 

 

為替:なぜ円安になるのか?


為替は、"長期"では日米のGDPデフレーター差の域(≒PPPレート)に収束していきます。
これは簡単には日米の物価差のことです。
 

 

長期視点では、現在は、円高方面に収束する力が働いているところです。

そして為替は、"短期"では金利差に追随します。

(金利差縮小で円高、金利差拡大で円安に動きます)

https://pmam.co.jp/blog/post_3431/


しかし今、皆さんが目にしているのは、金利差が拡大したままであることから、投機筋が円キャリートレードで金儲けし続けるため、それがフィードバックして循環的に円安を助長している姿です。

(*例え金利差が少しばかり縮小方面に動いたとしても、日本の長期金利=2.7%/米国の長期金利=4.6%であるため、依然として広がったままです)
 

まとめると、長期では、為替は日米の物価差(PPP)を反映する水準へ近づく傾向があります。

短中期では、日米金利差やキャリートレードなどの資本移動が為替を大きく動かします。
現在は米国のインフレ率が日本より高いため、PPPの観点では長期的にはドル安・円高方向への調整圧力が生じます。

一方、日米金利差が大きい間は、その金利差が円安圧力として働き、PPPから乖離した状態が続くこともあります。

 

 

インフレの原因は本当に円安なのか? → いいえ、原油高です


では円安を止めるのに利上げしなければならないのでしょうか?

いいえ、そうでもありません。

 

皆さんが心配しているのは、円安が輸入物価を押し上げ、インフレをもたらすということですよね?

問題は円安そのものではなく、インフレです。


しかし、実際は為替安→CPI上昇のパススルー効果は小さいんです。

皆さんが思っている「円安だからインフレになったんだ!」という感覚は正しくないということです。
 


つまり円高にしてもインフレはたいして是正されないということです。

 

安倍政権で、円は80→120円と急激に、50%も円安になりました(2012~2015年)が、その3年間のインフレ率は4%以下ですよ。(https://ecodb.net/country/JP/imf_inflation.html)

例えこのインフレの全てが円安パワーによるものだったとしても、たいしたことがないと肌感でわかりますよね?

 

物価高騰、インフレの主因は原油高です。

 

 

多くの人は、「現在の物価高騰の主因は円安だ」という認識ですが、それは事実とは言い難かったということです。

 

皆さんが問題にしてるのはインフレです。円安そのものじゃありません。

そして、そのインフレの主因は原油高だということもわかってもらえたと思います。

 

 

利上げすればインフレは止まる? → いいえ

 

まず利上げの弊害は「不況になる」ことであり、金利差縮小→円安是正のメリットを上回る負の影響が襲います。

仮にガンガン利上げして円安を円高に変えても大してインフレは抑制できず、利上げにより不況になるのです。


イングランド銀行が説明するように、利上げでインフレを抑制するメカニズムは、需要を削って不況≒ディスインフレにすることです。

ええ、そうです。 「不況にしてインフレを抑える」というトンデモ策が利上げなのです。

 

繰り返しますが、皆さんが是正してほしいのは円安ではなく、インフレですね?

しかし、利上げしてもインフレの主因である原油高を是正できないことは言わずもがなです。
以下のように、欧州中央銀行総裁のラガルドの言う通りです。

 


インフレは財政や税制で対応すべきものです。


例えばですが、現にガソリンは石油元売りへの補助金と暫定税率廃止でだいぶ抑制されています。

 

財政や税制は、上記のガソリン価格の例のようにピンポイントで価格を抑制できます。

 

ゆえに、インフレは財政や税制で対応すべきものなのです。
的を絞れず、経済全体を不況にしてしまう利上げは、やってはいけない策だということがわかりましたね。

私はこれを2022年から言っています。


 

利上げしちゃダメだって言うんなら、どうすんだ? → 財政を出しましょう。


さて、利上げすると不況になる、そして円安にしてもたいしてインフレが抑制されないことがわかりました。
ではどうやってインフレ抑制しましょうか?

繰り返しますが、答えは財政を出すことです。

 

長期:供給力を強化し、食料やエネルギー自給率を上げてインフレ耐性のある経済の体質を作る。

短期:財政・減税で暮らしを支える。補助金・減税等で原油高の影響を抑える。


こうなります。

え?財政を出したらインフレになるって?

 

それもよく聞く間違いです。

 

 

日本で起こっているインフレはこの50年間、すべてコストプッシュインフレです。

 

 

 

まだまだ騙される人達が多いです。ため息ですね。

騙されて恥をかかないように、マクロ経済をしっかりと学びたいものです。

 

 

 

 

以上。