ハザマランド -15ページ目

ほくそ笑まれた?

 立原透耶氏の『ひとり百物語』を読みました。

 腕が粟立った話にしおりを挟みながら読みました。

 読了後。本には三枚のしおりが挟まっていました。

 何気なく後ろからしおりの挟んだ箇所を開いてみました。

 九十九話、六十九話と来て、次の数字の終わりも九だったらちょっと嫌だな、可能性は低いだろうなと、最初にしおりを挟んだ箇所を開きました。

 三十九話でした。

「うおぃ! 」

 叫んでいました。叫びながらちょっと笑っていました。怖いのだけど本物と触れ合えて嬉しいといった心境でした。

 ちなみに各話のタイトルをたどった順に記すとこうなりました。

 『シーツ』

 『おいでおいで』

 『来ないで』

 一晩で読み切らず、二日に分けて良かったと思いました。

 いろんな意味で、おすすめです。



ひとり百物語 怪談実話集 (幽ブックス)/立原透耶
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ひょうひょう

 ブログもサボりすぎると何書いていいかわからなくなりますね。

 そんなときはブログ名を見て、「あぁ、ここはリアルともアンリアルとも取れる内容を書くために開設したんだよな」と思い出すことにしてます。

 一言で言えば嘘吐きですね。

 自分は嘘(映画や小説や漫画)に救われる人間ですので、おもしろい嘘を吐く人や嘘を嘘で終わらせない人に憧れます。

 つまり上質な嘘限定です。

 具体的にはそうですね。


 ここまで書いたことは全部嘘なんですよ。


 と、まぁこんな感じです。

 わかりにくいですか。そうですか。すいません。上質な嘘というのも嘘でした。これからは正直に生きたいと思います。

 ん? 何ですか? それも……何ですか? 

 どうやら急に耳が悪くなってしまったみたいです。何も聞こえません。だからあなたの言いたいことがわかりません。まったく、全然、わかりません。

 本当ですよ。

 嘘ですよ。

生きるなら

 生きるなら他人の喜びを生産しないといけません。

 自分も喜べるなら尚良ろし(ただし難度高め)


 そんなことを思ったり思わなかったりの毎日です。


 二月の更新ようやくできた(そこ、喜べないなんて言わない)

『リトル・リトル・クトゥルー』発売中

ハザマランド-リトル・リトル・クトゥルー

リトル・リトル・クトゥルー 史上最小の神話小説集

 もう店頭には並んでいるのかな。

 ワタクシは70ページ目にモアイの話を書いてます。

 最近、長編に取り掛かっているせいか、掌編の難しさや奥深さなど再認識する日々です。


新春対談

 明けたね。おめでとう。

「ありがとうございます」

 これでついに君もスタートラインに立ったわけだけど、今年はどんな年にしたい? 

「そうですね。あまり浮かれず自分なりにですが、地に足の着いた年にしたいですね」

 これまた最近の新人らしからぬ謙虚な意見だね。巷では劇的変化を起こしたい、今年こそはやってやるなどと言った抱負が多いのだけど、君の言葉は重みが違うように感じるよ。本気なんだね。

「はい。頑張ります」

 実に清々しい返事だ。私も過ぎ去った年月を言い訳にせず、何かしら始めたくなってきたよ。

「いけますよ。まだまだこれからじゃないですか」

 そう思うかい? 本当に? それじゃここらでもうひとふんばりしてみようかな。


 そんな初夢を見たお正月。

 会話していた二人の頭は四桁の数字でした。

 2009と自分の産まれた年。

 まるでギャグ漫画の世界ですが、目覚めたとき俺は、ベットの中で密かに拳を握り締めてました。


 名も知らぬ(一部を除く)友人達よ。今年もどうぞよろしくお願いします。

凛

 今年も残すところあとわずか。皆様にとって2008年はどんな年だったでしょうか。

 ワタクシはとても逢いたかった人に逢えた年でした。

 さて、そんな十二ヶ月の我がブログの更新回数は計32回。一年でようやく一ヶ月分の記事をアップする怠慢ブログですが、こうして巡り合ったのも何かの縁。下記にささやかな土産を用意しましたので、どうぞお持ち帰り下さい。

 そして、また気が向いたときにふらりとお立ち寄り下されば幸いです。

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薄化粧


 マッチ売り少女のように点ける。

「寂しい」

 八百屋お七のように点ける。

「寂しい」

 つぶやくたびに点けて、暗闇が溶けていくのを眺める。

「溶けろ溶けろ。みぃんな溶けろ」

 十字架に張り付けられたガリガリの神さんも、赤と白のデブったヒゲのじいさんも全部溶けてしまえばいい。

 軍手をしててもかじかむ両手で点けてやる。いくらだって点けてやる。

 不治の病だって? ふざけるな。

 来年は迎えられない? もう一週間もないじゃないか。

 十割負担で医者にかかってみた途端これだ。くそったれ。あんなヤブ医者に一円だって払ってやるもんか。

「ちきしょう……ちきしょうちきしょうちきしょう」

 どうせ死ぬなら点けてやる。全財産叩いて買いまくったこれを、ありとあらゆる家に点けてやる。

「これで私も犯罪者。執行される刑は火あぶりってか。上等上等。どうせそこまで持ちやしない」

 雪が降って来た。けれどもう寒くはない。

「この家が最後か。新築だね。ケッ、さぞかし家の中はあったかいんだろうよ。これからもっとあったくしてやるから待ってなよ」

 手早く点けて振り返る。深夜の住宅通りは自分が来たときより遥かに明るい。眩暈がするほどだ。額の前を星が瞬く。頭が回る。体に力が入らない。仰向けになって倒れ込む。雪のクッションで衝撃はない。それとも単に感じなくなっているだけか。いよいよだな。

「ヘヘヘ。やった。やってやった。ざまぁみろ」

 裂けるほどに下唇を強く噛む。小指を立てて軍手越しに紅を引く。


 十二月二十六日。早朝。ホームレスの老婆が住宅街の一角で凍死しているのが見つかった。老婆は昨夜、配線剥き出しの豆電球と単一電池を繋いだものを各家の玄関脇へ置き続けたらしい。イルミネーションのつもりだったのか。単なる嫌がらせか。各家庭の住人は例外なくその贈り物を廃棄した。勝手な行動を起こして勝手に死んだ老婆。死に顔には雪が薄く積もっていたと第一発見者は言った。

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追記

 リンク先に別作品があります。

 ひょっとこ はWEB幽の投稿怪談。

 リトル・リトル・クトゥルー は一月発売予定の掌編集です。一編執筆しています。

積畳と喪失

 夢で老婆に説教された。
 おそらく和室と思われる暗闇の中、皺の走った横顔を行灯の微かな明かりが撫でている。
「いいか。お前は何も失っちゃいない。人生というのは積畳。積み重ねなんだ。喜怒哀楽から派生する恐怖、閑寂、憐憫。ありとあらゆる感情を、人は重ねて生きていく。私が今、暗い感情ばかりを上げた理由がわかるかい? それはね。明るいものより暗いものの方が、より多くの感覚を尖らすからさ。それに飲まれない限り、人は強く大きくなれる。
 ただし、大きな力にはそれ相応の犠牲が伴うものだ。
 飲まれるな。失ったと思うなよ。
 でないとお前は重ねた場所から落ちていく。落ちたらお前は鬼になる。
 鬼は、退治されなきゃぁならない。
 恨むな。妬むな。いじけるな。お前は重ねた。大きく重ねた。何も失っちゃぁいない」


medicine or poison

 平日の昼間から映画館に入り浸っていると、ろくな人間に合わない。人のこと言えた義理じゃないけれどつくづくそう思う。
 火曜の午前十二時三十分。私はいつものように学校を抜け出して、映画鑑賞に耽っていた。高校生でも頭を使えば安くチケットを手に入れられるのだ。例えば転売された株主招待券だったり、大昔の映画を三本まとめて流しっぱなしにする映画館を狙ったりといろいろだ。
 ただし、そんな方法で見る映画には決まってそんな人間が集まってくる。授業をサボったり、上映中にも関わらずしゃがれた声で話しかける人間だ。
「音楽って毒だよな」
 そいつは空椅子三つ離れた右側に深々と腰掛けていた。スクリーンの反射で浮かんだ無精ひげは、見るからに面倒臭そうな生え方で、どう見てもまっとうな勤め人には見えない。重そうな瞼の奥の瞳は、照明が落ちた館内のどこよりも黒い。私は無視を決めこんだ。
 正面のスクリーンではスーパーマリオみたいなでこぼこ兄弟がさまざまな場所でトラブルを起こし音楽を奏でている。めちゃくちゃだけれど選曲と奏で方が巧みなので既に何度か見ているにも関わらず見入ってしまう。
 そいつはそんな私の態度にも構わずしゃべり続けた。
「俺はこの映画を見ると、いつも踊り出したくなっちまう。けど俺は常識人だからな。踊ったりはしない。穏やかな日常を狂わそうとするこの毒を、ただひたすらに耐え忍ぶんだ。するとどうだ。毒が全身に行き渡り、日常でたまった苦痛が麻痺してくるじゃないか。そして俺は明日もどうにか穏やかな日常をこなせるようになる」
 なんだこのオヤジは。酔っているのか。映画以上にめちゃくちゃなことを言っている。こんな輩は相手にしないに限る。だけどもそいつと同じくまっとうでない私は気づくと口を開いていた。
「それってさ。毒じゃなくて薬じゃん」
 黒い瞳が微かに揺れた。オヤジはふんと鼻で息をつく。
「いいや。毒だね。人間には毒が必要なんだ」
「わけわかんない」
 会話するだけ無駄だった。
 私は正面に向き直り、映画鑑賞を再開した。
 スクリーンの中ではコンサートが盛り上がりを見せ、観衆が歌詞の一部であるyouを連呼している。
 兄弟は歌う。
 人には人が必要だ。
 観衆が後に続く。
 人、人、人……
 私はまだそれを実感できないでいる。

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可愛い笑顔

 参った。何が参ったって、巧みに張られた伏線もさることながら一人の女優の演技に参った。これまで生きてきた中で、高齢なる人をこんなにも可愛いと思ったことはなかった。
 彼女は「ざまぁみろ」と小気味よい口ぶりで明るく放つ。
 言葉は乱暴だが、けして嘲る風ではない。だからこそ一杯食わされた相手も黙って空を見上げたのだろう。
 俺には無理だな。とてもじゃないが、あんな風に言葉を使える自信がないし、むしろ言葉に使われてばかりの毎日だ。
 歳をとっても可愛い人。歳をとったからこそ可愛くなる人。
 俺は死神に向かって笑えるのだろうか。

ボツ記事

 このところブログの文章を書いては、下書き保存のままにするということを繰り返しております。もちろん大したことは書いていないので、公開しても何の差支えもないのですが、どうにも気が乗らない。

 ざっとタイトルを見返したところ、「お化けなんてないさ」「甘皮のこころ」「粋という域」など、不可解な題ばかりをつけていて、中身はさらに名前負けというか、まったくもって収拾されていない。

 そんなわけで奇特な訪問者様には申し訳ないのですが、よほど劇的なことがない限り、このブログはもうしばらくこの状態が続きます。

 おとなしく小説と向き合って、まともなものを作れるように精進精進。

 長い目で見ていただければ幸いです。

 それでは。