ハザマランド -14ページ目

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 出しました。

 第7回ビーケーワン怪談大賞  。


『後追い 』
『五感 』

『葬式 』 


 夜明けと夕刻にヒグラシが鳴いています。

 夏ですね。

開催、刊行、おまけ復活

 全国的に梅雨入りとなっている今日この頃。

 始まっていますね。

 

 第7回ビーケーワン怪談大賞


 それに合わせて傑作選と銘打った文庫。てのひら怪談己丑(きちゅう) も無事に刊行されました。20ページ目に一編(門番)掲載されてます。

 

 そして巻末のワタクシのプロフィールにはアドレスが一つ貼り付けてます。アドレス先では勝手気ままに綴った掌編をいくつかアップしていたのですが、先日久しぶりにアクセスしてみたら見れなくなっていました。どうやらテンプレートの使用期限が切れていたようです。文庫も刊行されたので、百話目指してひっそりと手直ししながら再開したいと思います。タイトルは敬称百物語です。

 

 よかったら文庫と合わせて覗いてみて下さい。 


ハザマランド-ぶんこちゃん

不思議伝達

白昼夢(二)

白昼夢(二)


 蝶を拾う女を見た。
 飛ばなくなった黒揚羽を黒髪の女が掌に乗せていた。
 俺はマンションのベランダから彼女を眺めていた。腰を折り曲げる仕草と、蝶の羽をつまむ指先に軽い眩暈を覚えた。強い香りの花をふいに嗅がされたような戸惑い。目が離せなくなった。
 三十代前半、いや後半だろうか。若く見えるが自分より年上なのは間違いない。女は三十年辺りをめどに一つの節目を迎えるらしいが、どことなく朧げに見えるのはそのせいだろうか。
 彼女は拾った蝶にもう片方の手を被せると、辺りを見渡して近くの花壇に近づいた。両脇がわずかに開く。うしろ姿ではっきしないが蝶を落としたようだ。俯いていた頭が上がる。

 何を見ているのだろう。

 伸びた背筋は凛としていて、皮を脱いだ蛹【さなぎ】を思わせる。
 話しかけるなら今だ。しかし距離がある。大声になってしまう。驚かせて最初の印象を悪くしたくない。

 早くしないと飛び立ってしまう。
 彼女は落とした蝶に見向きもせずに正面を向くと、颯爽【さっそう】と歩き出した。黒髪の毛先が踏み出す足に合わせて舞い上がる。
 俺は玄関に向かって駆けていた。部屋を飛び出して、突き当たりのエレベーターに目を向ける。点灯しているのは1の数字。三階のここからなら上がって来る箱を待つより階段を下りた方が早い。走った。全速力で走らずにはいられなかった。
 追いついたらなんと言おう。
 優しいですね? 綺麗ですね? 彼氏はいるんですか? 
 眺めていた路上に着いた。肩で息をしながら周囲を見渡す。
 いない。影すら見えない。

「なんっだよ」

 夢でも見てたってか。

 俺は花壇に近づいて、クルメツツジの根元を見下ろした。

 一匹の黒蟻が強靭な顎で蝶の羽を噛み締めながら引きずっている。

 やはり彼女はここにいたのだ。

 黒髪、黒蝶、黒蟻。黒、黒、黒。新緑の眩しい時期だからこんなにも際立って見えるのだろうか。

 のろまな蟻の動きに飽きた俺は視線を路面にずらした。花壇の影に何かある。

「黒い、手帳」

 俺は迷うことなくそいつを拾った。


白昼夢

白昼夢


 油断をしてると風邪をひく。この時期はいつもそうだ。うららかな陽気と花冷えの名残りに翻弄されて体調を崩してしまう。

 でも嫌いな季節じゃない。外に出れば青々と色づく木々の葉に目元を緩める自分がいる。日を透かして輝く新緑は無言の活力に溢れていて、ささやかだけども確かな元気をくれる。

 連休を控えているせいか人々の動きも活発だ。そんな人々に目もくれず、風は涼しくなったり寒くなったりして私の隣を抜けていく。人なら顔を歪める程度で済むが、小さな命はそうでないらしい。

 今年も私は蝶の屍骸を拾った。

 無数の命が芽吹く狭間で、落ちる花弁のように蝶は静かに死んでいた。

 硬いアスファルトの上で横たわるそれを、そっとつまんで掌に乗せる。風で飛ばされないように、つぶしてしまわぬように、残った片手を屍骸に被せる。それでも風は指の隙間から入り込んで来て、はたはたと屍骸の右の羽を揺らした。

 今、両手を開いたら左の羽も動き出すかもしれない。

 再び飛び立つ蝶の夢を見ながら辺りを見渡すと、道の隅にクルメツツジが咲いていた。つま先が当たるほど花壇に近づいて掌を開く。掌の屍骸が柔らかく土の上に落ちて片羽を揺らした。蟻が気づくか。土に還るか。しばらくしたら別な命に変わるだろう。

 私はなんとなく空を見上げて、息を一つつくと、その場を後にした。

頭脳明晰

 ホントに頭がいい人というのは、「思考と触覚の鈍化を防ぐ=技」を持っているんだなぁと、↓の漫画を読んで思いました。頭の悪いワタクシなどは、手始めにこれらの言葉を、自分にも相手にもわかりやすくしないといけません。

 そんな反省とささやかな成長の日々。

 風が気持ちいい季節になりましたね。

 

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人間って、オモシロ!

 最近、人様のブログを読むのが自分の中で再燃しています。

 当たり前ですが世の中にはいろんな人がいて日々を生きている。

 例えば、三人の育児と仕事に翻弄されながらも、前向きに生きようと奮闘しているシングルマザー。

 歌い続ける困難に陥りながらも、明るく曲作りを止めないシンガー。

 連日続く接客業に疲弊しながらも、飼い猫に惜しみない愛情を注ぐ女性。

 三十歳離れた年上の彼女に心底惚れ込み、妊娠、出産を支える男性。

 乙女ちっくな恋心を砕かれながらも、小気味良い話に変えて空を見上げる三十歳。

 詰めに詰めた重労働で文字通り忙殺され、封じ込めた自分らしさを取り戻そうとブログを再開した編集者。

 みんな自分で考えて行動しているのだけど、誰として同じでない。

 そんな人々の日々の言葉を読みながら、すげぇ、おもしれぇと、ワタクシはマウスを握り締めています。

 負けられない。自分もそちら側に行きたい。

 強くそう思います。

 自分にもこんな熱い部分があったんだなと、恥ずかしいのでひっそりブログに書いてます。

 ちなみに↓の恋愛もどきの小説は、↑の中の一人に

「怪談ばかり書いてないで、たまにはあま~い話でも書きなよ。春なんだからさ」

と、たきつけられたものです。

 彼女には世話になっています。ありがとう。

 そう言えば、↑のブロガーのほとんどが女性なのに今、気付きました。

 男頑張れ!!

 そう励ましながら十二日ぶりのブログ更新終了です。

あまい話

『嗅愛行動』


 日曜の朝はなるべく二度寝しようと決めてある。始めて言われたときは、もったいねぇな、出かけたほうが楽しいだろうと思ったが、やってみると意外と悪くなく、週に一回、目覚まし時計を使わなくなった。

 一夫は眠りが浅いタイプの人間だ。しかしせがまれれば腕枕だってするし、絡み付いてくる腕や足も受け入れる。

 理由は一つ。嗅げるから。

 添い寝をする代わりに、細い首や白いうなじ、浮き出た鎖骨に一夫は鼻を寄せる。

 この甘い匂いはいったいどこから来てるのか。乳房か、子宮か、もっと遠いとこからか。

 匂いは春に最も強くなる。一夫はそれを嗅ぎながらまどろむ。そして芳【ほう】が起きるのを待つ。

 出逢ったときはおかしな名前と思ったが、一緒に眠ってみてわかった。芳という字は芳【かぐわ】しいだけでなく、香りのよい花という意味もあるらしい。名付けたのはおそらく母親だろう。

 隣で軽い唸り声が上がった。目覚める兆候。

 一夫は芳の小さな耳たぶに下唇を触れさせながら囁いた。

「芳。そろそろ起きろ。今日は午後から花見に行くんだろ。いつもの公園。もう満開らしいぞ」

 芳は起きない。一夫は鼻で息をついて、そのまま強めに呼吸する。

 外は青空。カーテンの隙間から日の光が差し込んで、鳴らない時計を照らした。時計の針は三本全て重なっている。贅沢な半日。

 一夫は再び香る布団の中へ潜った。

 

了


春の怪談

 まずは一曲。


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 桜は好きだ。大好きだ。永久(とわ)の宴(うたげ)を続けよう。花見酒に月見酒。夜は明けない。明けるは命。歌え、踊れ、笑え、飲め。桜は好きだ。大好きだ……

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 


 先日、WEB幽に一編の小説を投稿したのですが、上記の文はその小説の中で宴の歌として書いたものです。ストーリーの都合でカットしました。お暇な方は下記のリンク先をクリックして下さい。投稿した小説に飛びます。


 掌編 嫌いな花。桜。

 

 あなたは桜が好きですか? 嫌いですか?

本音と建前

 あるカップルの話。

 裸になった男が服を着た女に言う。

「俺は服を脱いだのに、君は服を着たままなんだね。ずるいぞ」

 女は男に言い返す。

「ずるいのはあなたの方よ。服を脱ぎたくないのが私の裸の思いよ。あなたは体の服だけ脱いで、心の服は脱いでいない。本音を隠してる」

「屁理屈だ。この嘘つきめ」

「どっちが」


 最初とは違うカップルの話。

 裸になった女が服を着た男に言う。

「私は服を脱いだのに、あなたは服を着たままなのね。ずるいわ」

 男は女の言葉に一度頷いてから言い返す。

「わかっているさ。でも怖いんだよ。僕は君のように裸が平気なほど強くない。だけど弱いままでもいたくない。靴下を脱ぐよ。これでいいかい? 」

「全然、足りないわ」

「わかったよ。じゃあ次は……」


 最初ともその次とも違うカップルの話。

 裸の男女が話している。

「ねぇ、気持ちいい? 」

「何が? 」

「私と一緒にいるの、気持ちいい? 」

「もちろん気持ちいいよ」

「でも、最高ではないのよね」

「そうだな。三番目ぐらいかな」

「……別れましょ」

「何故だ。俺はお前に隠しごとなんかしてないぞ」

「理由を知りたい? 」

「当然だ。本音で話してくれ」

「じゃあ教えてあげる。それはね。私が優しい嘘もつけない男と一緒にいられるほど強くないからよ」

 そう囁く女が医師に不治の病を告知されたことを男は知らない。


 思いやりって大事だよね。という話。