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本日のサマリー
皆さんは、ヘッドハンターから次のような電話が掛かってきたことはないか?
人材紹介は年収の2~3割が契約フィーだと言われている。
ヘッドハンターはさらに高く、4~5割は当たり前だと聞く。
皆さま、おはようございます!!
コラムニストの尾藤克之です。
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ヘッドハンターからの電話
私、V社にて、ヘッドハンティング採用を担当しています、岡本と申します。貴殿のお噂はかねがね拝聴しております。御社の中でもトップクラスの成績を上げておられるようですね。もしよろしければ、一度ご面会いただけないでしょうか
軽い気持ちで岡本との面談を承諾してしまった私は、
後日、ある駅の改札口で待ち合わせすることになった。
ただでさえ人でごった返している改札周辺である。
顔も知らない人間に本当に出会えるのか。
私は不安を覚えていた。
約束の時間になり、
それらしき人物が現れないことに苛立ちながら、
時計と周囲を交互に見回していると声をかけられた。
私、V社の岡本と申します。さっそくですが、どこか喫茶店にでも入ってお話をしましょう
岡本は先頭に立って歩き始めた。
5分ほどしてカフェにたどり着いたが、
あいにく満席であった。
「他のお店にしましょうか?」。
岡本に促される形で、私たちは店を退出した。
それから数分ぶらぶら歩くも適した店は一向に現れない。
良さそうな喫茶店が見つかっても満席である。
岡本は、「もういっか、今日は一杯やりません?」
とグラスを傾けるジェスチャーをした。
酒を飲もうと言っているらしい。
こいつ、本当にヘッドハンティングの採用担当者か?
徐々に不安が芽生えてきていたが、
お開きでというわけにもいかない。
私たちは雑居ビルの3階にある
某チェーン店の居酒屋に入店した。
席に着くやいなや、岡本は私の意向を聞くこともなく、
勝手に生ビールの中ジョッキを2つ注文した。
そして、枝豆やホッケの開き、軟骨の唐揚げ、
たこわさ、きゅうりの浅漬けと食べたい物を注文すると、
「なんか食べます?」とメニューを差し出してきた。
すでに早く帰りたい気持ちでいっぱいだった私は、
黙って首を横に振り、メニューをラックに返した。
結局、1時間ほど飲んでその場はお開きになった。
その間、岡本はずっと話し続け、
私は拷問のような時間を味わわされた。
そのうえ、ほとんど岡本が飲んで食ったくせに、
会計時には割り勘を請求され、
さらに岡本は店員からちゃっかり領収書まで受け取っていた。
あまりの軽薄さに怒りはとうの昔に通り越し、
ただただ与太話に付き合わされた自分の不運を呪っていた。
後日、私が仕事をしていると、隣の席の同僚が
「V社の岡本って知っていますか?」
「なんか今、すごく怪しげな電話が掛かってきて」
と話しかけてきた。
内心ぎくりとしたが、
「聞いたことないな」とパソコン画面を見ながら、
素知らぬふりを通す。
ヘッドハンティングの採用担当ですって。あなたのような素晴らしい人材を探しているって、いつ俺の成績なんか調べたんだよ。絶対ヤバい系ですよね、これ。超うさんくさいし。こんなの引っかかるやつ、いるのかなぁ~
私は口をつぐみ続けた。
そして“ヘッドハンティング”という言葉を信用しないと決めた。
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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員
※11月に18冊目となる『バズらせて稼ぐ文章術 』(秀和システム)を上梓します。
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