ポジションは大事:横センター 壁 編
今回は横センター壁編について語りたいと思う。基本的に前回の横センター鏡編と同じではあるが、何が違うかといえば、鏡がないということだ。つまり、壁に向かって踊らなければならない場面に遭遇するのである。そして後ろには人がいて、みんなが自分を見ているという状況でもある。鏡編よりもさらに難易度が高い鏡編では、いざとなれば鏡越しに自分の動きを確認することができた。しかし壁編では、それが一切できない。インストラクターが目の前に来てくれれば確かに助かるのだが、いつも来てくれるとは限らないのが現実だ。そういう意味では、鏡編よりもさらに難易度が上がっていると感じる。完全に自分の感覚と記憶だけが頼りになるのである。あえて選ぶ「修行ポジション」私はこのポジションにはなかなか行かない。しかし中には、あえて修行として壁センターを選ぶ人もいる。そういう人たちは総じて動きが安定しており、どこに立っても揺るがない。実は窓がカンニングチャンスになることも!たまに鏡のない面が壁ではなく窓(または鏡面仕上げの壁)になっているスタジオがある。窓ガラスか壁の反射によって、鏡のように後ろ側の人たちの動きがうっすらと映し出されることがあるのだ。はっきりとではないが、影のように見える程度。それでも、人の大まかな反射(動き)で自分の動きが合っているか、こっそりカンニングするのに十分だったりするのである。周りに頼りすぎると、せっかくの記憶が飛んでしまうとはいえ、窓の反射や隣の人など、周りの情報に頼ろうとすると思わぬ落とし穴がある。せっかく自分の中に叩き込んだコリオの記憶が、意識が外に向いた瞬間にすっと飛んでしまうのだ。壁は確かに不便ではあるが、見方を変えれば余計な情報が遮断されているとも言える。なるべく自分の体と音楽に集中することが、壁センターを乗り越える一番の近道なのかもしれない。それでも忘れた時の奥の手集中していてもやっぱり忘れてしまう時はあるのが人間というものだ。そういう時の奥の手がいくつかある。ひとつ目は、力強く後ろを振り返って皆さんの踊りを観察するという作戦だ。なかなか勇気のいる行動ではあるが、いさぎよく振り返ることでコリオを思い出すきっかけになる。ふたつ目は、一歩後ろに引くという作戦だ。自分が少し後退することで、真横にいた人が相対的に前に出てくる。その人がしっかり踊れていれば、その人をガイドにして(カンニングともいう)、改めてコリオをキャッチしていくことができるのだ。まさかのお見合い事件しかし、世の中そう甘くはない。カンニングしようと右を向いたら、右隣の人もちょうど左の私を見ていた——という、まさかのお見合い状態になってしまったことがある。お互い「え?」という顔をしながら、気まずい空気が流れたのは言うまでもない。つまり、隣の人も同じようにカンニングを試みていたわけである。お互い様といえばお互い様なのだが、これはなかなかシュールな光景であった。まだまだ未熟者だと痛感した瞬間でもある。ということで結論:インストラクター、頼むから早く来てくれ窓の反射、後ろを振り返る、一歩引く、隣をカンニング——色々と策を練ってはみるものの、やはり最強の救世主はインストラクターの存在である。目の前に来てお手本を見せてくれるあの瞬間の安心感といったら、もう言葉にならない。インストラクターよ、どうか早く来てくれ。という切なる願いを胸に、踊っていると、背中(お立ち台)からインストラクターの可愛い声が聞こえてきた。「横の人ぉぉ、あとよろしくね~~~~」