思うように資金調達ができない方へ -2332ページ目

してはいけない資金調達のケース 2

3月6日

昨日お話をしました、借入金の返済をするために、高利の資金調達をするのは非常に危険であるという話の続きをしたいと思います。

なぜ二日にわたり同じようなことを書くかと言えば、類似する案件の相談が非常に多く、資金調達をすることが、未来につながらない、むしろ悪い状況に自身を追い込む危険な状況であると思われる方が多いからです。

最近、経済状況を原因とする自殺者が非常に多くなっていることは、新聞やテレビでも問題になっているところです。更に家庭崩壊など生活基盤を失った方も相当な数になると思われます。
このような方々の多くが、私見ですが、昨日お話をした状況を経過しているのではないかと思われます。

決して会社経営者だけの問題でなく、住宅ローンやカードローンなどの支払いが引き金になって家庭崩壊に至った個人のケースも多く、この問題は深刻な問題だと思います。

そこで、一昨年の案件の実例をお話ししたいと思います。
同じような状況に陥ったのに、対処した方法で全く違った結果になった実例です。

中堅サラリーマンのA氏とB氏の話です。
両者とも一昨年の2003年の春と秋にご相談に来られた案件で、消費者金融とクレジットカードの支払いのための資金調達を手伝って欲しいという依頼内容でした。
通常は個人の方へのお手伝いは、あまりしないのですが、両案件ともお客様の紹介だったのでお話を聞いた記憶があります。

両者の状況は若干違うものの、大筋は昨日お話をしましたように、転職や降格により年収が下がって、銀行などの住宅ローンの支払いが厳しくなたため、消費者金融やカードローンを借りたことがきっかけで、借入額が膨らんだ上、その金利水準も高くなり、両者とも借入額は1500~2000万円で、ほぼ年収の2倍から2.5倍になっている状況でした。
今後の収入状況を確認をしたところ、両者とも今の収入が減ることはあっても、上がる可能性は非常に低いということと、ご家族の方の別の収入もあまり期待できない状況で一致していました。しかし当面は安定した収入を、満足な額ではないが確保されていることは間違いのない状況でした。

このような状況ですから、弊社はお二人ともに、返済は断念して、民事再生法の個人版を検討してはいかがかと提案しました。
まさにこの法律はこのお二人のために作られたのではないかと言うぐらいに条件が合っていました。

まずA氏ですが、最初はマイホームを手放したくないとか、会社に知られると首になるかもしれないと懸念され渋られたのですが、民事再生の場合は住宅を残すことも可能で、会社に知られる可能性も高くないし、万一知られても何らかの不利益を懸念するリスクより、このまま高利の資金を借入れていくことによるリスクの方が、圧倒的に高いと言う説得に応じて、弁護士に相談され民事再生法の個人版を申請されました。

一方B氏は、ご本人は納得されたのですが、ご家族の反対もあって民事再生法の個人版の申請をしないで、資金調達をして返済を継続することを選択されました。ご家族が反対された理由はいろいろありましたが、最も大きな理由は地方都市に住んでおられたので、世間にばれて名士でもあるB氏のお父様に迷惑がかかるということだったようです。
今でも反省しているのですが、ご本人と紹介者のたってのご希望であったため、お父様とお父様の友人を保証人として、某ファイナンス会社から500万円の融資のお手伝いをしてしまったことを記憶しています。

この両者の現在は全く違った結果になってしまい、このことを契機に、「してはいけない資金調達を手伝ってはいけない」と確信した案件となりました。

A氏は弁済をしているので生活のゆとりはないものの、従来のマイホームに住み、従来の会社で働いていらっしゃいます。

一方、B氏は紹介者の話によると、一家離散状況でご本人の消息はつかめず、お父様も職と自宅を失われたと聞いています。
弊社でお手伝いしたとき以降の状況の詳細は分かりませんが、合法的でない貸金業者からの取立てが厳しかったという紹介者の話から推測すると、借入金が雪だるま式に増え、条件の厳しい金融会社の取立てに耐え切れなかったのではないかと思います。

B氏の場合ですが、もしご依頼のあった融資のお手伝いをしていなければ(ご自分でされたかも分かりませんが・・・)、その当時の借入金の借入先は、巷で大手の言われている金融機関がほとんどでしたので、結局は民事再生法の個人版を使われたかもしれませんし、特定調停やせめて弁護士に債務整理を委託するなど、少なくとも厳しい取立ての被害を被るようなことはなかったと思います。
この意味で、繰り返しになりますが、最終的にお客様の立場や状況を悪くしてしまう懸念がある資金調達のお手伝いを絶対にしないように肝に銘じた次第です。

この問題はまだまだお伝えしたいことがありますので、後少し関連の話題について書いていきたいと思っています。

してはいけない資金調達のケース

3月5日

昨日依頼のあった案件は非常に気の重い案件でした。
資金調達コンサルという仕事柄、資金調達のお手伝いをするのが仕事で、資金調達をご支援できないなら何の値打ちもない仕事です。

しかし、10年やってきて思うのは、やはり明らかに、してはいけない資金調達というものがあって、してはいけない資金調達のお手伝いをするのは止めるべきだと思っています。
さらに最近、してはいけない資金調達をお客様に思いとどまっていただくのも、資金調達コンサルタントの仕事ではないかとさえ思っています。

してはいけない資金調達ってどのようなものかと言いますと、代表的なものは、昨日の案件もそうだったのですが、借入金の返済をするために、返済する借入金より高い金利で資金調達をする場合です。
もちろん融資期間が長くなってキャッシュフローがプラスになる場合とか、借り替える資金調達の金利水準が年利10%以下のような場合はまだ良いのですが、昨日の案件のように、年利18%の借入金の返済資金がショートして、金利はいくらでも良いから3月10日までに調達をしたいという場合は、このような資金調達は絶対にするべきではないと私は思っています。

数多くのお客様の中には、倒産されたり、悲惨な場合は夜逃げや、自殺をされた方まで残念ながらいらっしゃいます。

このような方の多くの場合、実は弊社がお手伝いをした時、あるいはその後に、低利から高利へと借入金がシフトしていることが多く、分かりやすく説明しますと、たとえば住宅金融公庫への支払いを消費者金融から借りて支払い、さらに消費者金融への支払いを闇金融から借りて支払うといったような悪循環になっている状態が多いのです。

でも、「どうしても支払わないといけない場合はある」と思われるかもしれませんが、確実にまとまった資金の入る予定がある場合を除いては、高利の資金で返済をしないように金融機関と交渉する努力をしていただくのがベターな選択です。

確かに銀行はじめ金融機関は喜んで、支払猶予を了承することはありませんが、払えないものは払えないわけですから、ここは腹をくくって交渉するしか、実は解決方法はないとご認識頂きたいと思います。

こんなことを書くと金融機関の人たちはうそだと言うかもしれませんし、モラルハザード云々と言われる方もいらっしゃるかも知れませんが、誤解を恐れずに言えば、やはり払えないものは払わないのが最も安全な方法であることは、私は自分のときの経験も含めて思います。

独り言としてお聞きいただきたいのですが、サービサー法(平成11年2月施行された債権管理回収業に関する特別措置法という法律で金融機関は不良債権を無税償却できるようになった)や、会社分割が可能になったり、個人にとっても民事再生法個人版とか特別調停など、過大な多重債務者になって逃亡などしなくてもよいように、法律の整備ができてきていますので、返済の一時猶予やリスケ(返済条件変更)などは、一言で言えば、金融機関は日常の業務の一部で、債務者が思っている程は大したことでなく、怪しい高利の闇金などからの借入がかさみ、倒産されたり夜逃げされるよりはずっとマシだと思っている場合が多いと思います。

もちろんリスケや返済猶予など申し出ると、新規での追加融資は難しくなりますが、このような状態に陥っている会社には、粉飾などでごまかしていない限り、もともと新規の融資は不可能なのですから、こんなことを気にして、返済できないような条件で資金調達をして返済するなんてことは絶対にやらないほうがベターです。

お金の貸借に関しては、「借りたものは返さないいけない」という大前提があることは大切なことと私も思いますが、絶対に返済できないような条件で借りてまで返さないといけないと言うことではないと私は思っています。

なぜなら絶対に返せないと思われる条件で新規に借りる金融機関には結局のところ、返せない可能性が高いわけですから、返せない金融機関を、銀行から消費者金融か、商工ローンへ、そして闇金融へとシフトしているに過ぎないと思われるからです。

また必ず金利が高くなればなるほど、金融機関の条件は厳しくなり、担保や保証人を求められます。多くの場合は担保がないため、複数の保証人をつけての融資になるため、ご本人だけの問題が親族や人脈の方々まで巻き込んでのトラブルになってしまう事態になってしまいます。

この問題は、まだまだお話をしたいことがあるので、明日もこの問題や関連問題についてお話をしたいと思いますが、すっと何回も述べてきていますように、資金調達を受ける条件がクリアできない場合は、日本全国どこに行っても資金調達はできないのですから、銀行などに対する返済ができなくなったような場合、狼狽することなく、事態を冷静に受け止め分析して、闇雲に高金利の資金には手を出さないようにくれぐれもご注意願いたいと心から思います。

融資を受けるために 5

3月4日

今日は「融資を受けにくくする勘定科目」についてご案内をします。
堅苦しいような題名ですが、重要なポイントですのでお付き合い下さい。

融資の可否に自己資本率(資本の部/総資本)の高低が多大な影響を与えることについては再三お話をしている通りですが、いくら貸借対照表上、自己資本率が高くても、資産計上されている資産が本当に資産なのかどうか?あるいは計上されている額が妥当な額なのかどうかを銀行は厳しく審査をします。

固定資産は資産として分かりやすいのですが、流動資産については、その勘定科目の存在と状況によっては、我々が見ても怪しいと思ってしまうことが往々にしてあります。

まず金額が大きいと計上されているだけでまずいのが貸付金です。
社長、社長の親族などへの場合は、実際は役員報酬ではないかと思われ資産額から差し引かれます。
他社、他人への場合も、「なぜお金を貸すことになったのか?」ということが必ず審査段階で質問され、事業上の合理的な説明ができない場合、この点だけで融資を断わられることが多く、なぜかと言うと親しい会社や個人と、資金の融通をし合っているのではないかと疑われ、銀行は融資をした資金がこの融通資金にされてしまうのではないかと懸念するからです。

また合理的な説明ができたとしても、貸付額が全く返済されていなかったり、
金利を取っていない場合は、回収のできない資産、つまり資産ではないと判断され、当然自己資本率が下がって融資の可能性は低くなります。

このことは売掛金や仮払金でも同様な判断をされます。
売掛金も何期にわたって回収されていないような場合は、実際は回収できない売掛金と判断され、やはり自己資本率を下げてしまいます。

また仮払金の場合,仮に支払った資金なのですから、長期間にわたること自体が不自然ですし、まして額が大きいと貸付金同様、計上されているだけでかなり融資はヤバクなります。

またこの3つの流動資産は、現金、商品とともに粉飾決算をした場合に、不自然な状況(売上に比較して急に大きくなっている)になりがちなところですので、日常から不自然と思われるような状況になっていないか絶えずチェックする必要があるところです。

さらに売掛金については回収期間(サイト)が長いと現預金に比べて売掛金の額が大きくなりがちです。この売掛金の回収スピードについても融資の重要な判断ポイントになっているようですので、理想論かもしれませんが、できるだけ回収期間の短くなるようなビジネスモデルにできないか日常的に検討されることをお薦めいたします。

銀行は融資にあたって、財務内容の数字の良し悪しも見ますが、さらに透明性もかなり重要視していることは確かだと思いますので、特に売掛金など流動資産の状況を絶えずチェックすることは、融資を受けるにあたって非常に重要なポイントであるとご認識下さい。