してはいけない資金調達のケース 2 | 思うように資金調達ができない方へ

してはいけない資金調達のケース 2

3月6日

昨日お話をしました、借入金の返済をするために、高利の資金調達をするのは非常に危険であるという話の続きをしたいと思います。

なぜ二日にわたり同じようなことを書くかと言えば、類似する案件の相談が非常に多く、資金調達をすることが、未来につながらない、むしろ悪い状況に自身を追い込む危険な状況であると思われる方が多いからです。

最近、経済状況を原因とする自殺者が非常に多くなっていることは、新聞やテレビでも問題になっているところです。更に家庭崩壊など生活基盤を失った方も相当な数になると思われます。
このような方々の多くが、私見ですが、昨日お話をした状況を経過しているのではないかと思われます。

決して会社経営者だけの問題でなく、住宅ローンやカードローンなどの支払いが引き金になって家庭崩壊に至った個人のケースも多く、この問題は深刻な問題だと思います。

そこで、一昨年の案件の実例をお話ししたいと思います。
同じような状況に陥ったのに、対処した方法で全く違った結果になった実例です。

中堅サラリーマンのA氏とB氏の話です。
両者とも一昨年の2003年の春と秋にご相談に来られた案件で、消費者金融とクレジットカードの支払いのための資金調達を手伝って欲しいという依頼内容でした。
通常は個人の方へのお手伝いは、あまりしないのですが、両案件ともお客様の紹介だったのでお話を聞いた記憶があります。

両者の状況は若干違うものの、大筋は昨日お話をしましたように、転職や降格により年収が下がって、銀行などの住宅ローンの支払いが厳しくなたため、消費者金融やカードローンを借りたことがきっかけで、借入額が膨らんだ上、その金利水準も高くなり、両者とも借入額は1500~2000万円で、ほぼ年収の2倍から2.5倍になっている状況でした。
今後の収入状況を確認をしたところ、両者とも今の収入が減ることはあっても、上がる可能性は非常に低いということと、ご家族の方の別の収入もあまり期待できない状況で一致していました。しかし当面は安定した収入を、満足な額ではないが確保されていることは間違いのない状況でした。

このような状況ですから、弊社はお二人ともに、返済は断念して、民事再生法の個人版を検討してはいかがかと提案しました。
まさにこの法律はこのお二人のために作られたのではないかと言うぐらいに条件が合っていました。

まずA氏ですが、最初はマイホームを手放したくないとか、会社に知られると首になるかもしれないと懸念され渋られたのですが、民事再生の場合は住宅を残すことも可能で、会社に知られる可能性も高くないし、万一知られても何らかの不利益を懸念するリスクより、このまま高利の資金を借入れていくことによるリスクの方が、圧倒的に高いと言う説得に応じて、弁護士に相談され民事再生法の個人版を申請されました。

一方B氏は、ご本人は納得されたのですが、ご家族の反対もあって民事再生法の個人版の申請をしないで、資金調達をして返済を継続することを選択されました。ご家族が反対された理由はいろいろありましたが、最も大きな理由は地方都市に住んでおられたので、世間にばれて名士でもあるB氏のお父様に迷惑がかかるということだったようです。
今でも反省しているのですが、ご本人と紹介者のたってのご希望であったため、お父様とお父様の友人を保証人として、某ファイナンス会社から500万円の融資のお手伝いをしてしまったことを記憶しています。

この両者の現在は全く違った結果になってしまい、このことを契機に、「してはいけない資金調達を手伝ってはいけない」と確信した案件となりました。

A氏は弁済をしているので生活のゆとりはないものの、従来のマイホームに住み、従来の会社で働いていらっしゃいます。

一方、B氏は紹介者の話によると、一家離散状況でご本人の消息はつかめず、お父様も職と自宅を失われたと聞いています。
弊社でお手伝いしたとき以降の状況の詳細は分かりませんが、合法的でない貸金業者からの取立てが厳しかったという紹介者の話から推測すると、借入金が雪だるま式に増え、条件の厳しい金融会社の取立てに耐え切れなかったのではないかと思います。

B氏の場合ですが、もしご依頼のあった融資のお手伝いをしていなければ(ご自分でされたかも分かりませんが・・・)、その当時の借入金の借入先は、巷で大手の言われている金融機関がほとんどでしたので、結局は民事再生法の個人版を使われたかもしれませんし、特定調停やせめて弁護士に債務整理を委託するなど、少なくとも厳しい取立ての被害を被るようなことはなかったと思います。
この意味で、繰り返しになりますが、最終的にお客様の立場や状況を悪くしてしまう懸念がある資金調達のお手伝いを絶対にしないように肝に銘じた次第です。

この問題はまだまだお伝えしたいことがありますので、後少し関連の話題について書いていきたいと思っています。