思うように資金調達ができない方へ -2334ページ目

融資を受けるために 5

3月4日

今日は「融資を受けにくくする勘定科目」についてご案内をします。
堅苦しいような題名ですが、重要なポイントですのでお付き合い下さい。

融資の可否に自己資本率(資本の部/総資本)の高低が多大な影響を与えることについては再三お話をしている通りですが、いくら貸借対照表上、自己資本率が高くても、資産計上されている資産が本当に資産なのかどうか?あるいは計上されている額が妥当な額なのかどうかを銀行は厳しく審査をします。

固定資産は資産として分かりやすいのですが、流動資産については、その勘定科目の存在と状況によっては、我々が見ても怪しいと思ってしまうことが往々にしてあります。

まず金額が大きいと計上されているだけでまずいのが貸付金です。
社長、社長の親族などへの場合は、実際は役員報酬ではないかと思われ資産額から差し引かれます。
他社、他人への場合も、「なぜお金を貸すことになったのか?」ということが必ず審査段階で質問され、事業上の合理的な説明ができない場合、この点だけで融資を断わられることが多く、なぜかと言うと親しい会社や個人と、資金の融通をし合っているのではないかと疑われ、銀行は融資をした資金がこの融通資金にされてしまうのではないかと懸念するからです。

また合理的な説明ができたとしても、貸付額が全く返済されていなかったり、
金利を取っていない場合は、回収のできない資産、つまり資産ではないと判断され、当然自己資本率が下がって融資の可能性は低くなります。

このことは売掛金や仮払金でも同様な判断をされます。
売掛金も何期にわたって回収されていないような場合は、実際は回収できない売掛金と判断され、やはり自己資本率を下げてしまいます。

また仮払金の場合,仮に支払った資金なのですから、長期間にわたること自体が不自然ですし、まして額が大きいと貸付金同様、計上されているだけでかなり融資はヤバクなります。

またこの3つの流動資産は、現金、商品とともに粉飾決算をした場合に、不自然な状況(売上に比較して急に大きくなっている)になりがちなところですので、日常から不自然と思われるような状況になっていないか絶えずチェックする必要があるところです。

さらに売掛金については回収期間(サイト)が長いと現預金に比べて売掛金の額が大きくなりがちです。この売掛金の回収スピードについても融資の重要な判断ポイントになっているようですので、理想論かもしれませんが、できるだけ回収期間の短くなるようなビジネスモデルにできないか日常的に検討されることをお薦めいたします。

銀行は融資にあたって、財務内容の数字の良し悪しも見ますが、さらに透明性もかなり重要視していることは確かだと思いますので、特に売掛金など流動資産の状況を絶えずチェックすることは、融資を受けるにあたって非常に重要なポイントであるとご認識下さい。


融資を受けるために 4

3月3日

銀行からの融資の可能性は業種業態によって違うことがあります。
今日はこのことを3つのポイントに絞ってお話をしていきたいと思います。
昨日同様、主に都市銀行から新規融資を受ける場合の傾向とご了解の上お読み下さい。

①融資を受けやすい業種、難しい業種
②融資を受けやすい会社の規模
③シンプルな組織の会社が融資を受けやすい


【融資を受けやすい業種、難しい業種】
まず非常に融資を受けにくい主な業種は金融業、性風俗関連産業、産業廃棄物処理事業などです。

金融業の中でも金利水準の高い消費者金融系、商工ローン系には、風評を懸念するため、都市銀行が取引をすることは非常に稀で、大手と言われる一部の会社でさえ子会社のノンバンクを経由して融資を行う傾向があります。ただ銀行も一般消費者に対する金融に力を入れてきていますので、大手に対しては融資をする方向にあると思われます。

またファッションホテル、ソープランドや性風俗関連の事業を経営する会社への融資は99%行われません。ファッションホテルの場合のみ、通常のホテル旅館業がたまたま時間貸しをしているとエクスキューズできる会社には融資をする可能性はあるものの、風営法に基づいた営業をする会社にはまず融資は行われないと思われます。

産業廃棄物処理の事業会社も、財務内容が良くても、銀行が融資をしたがらない業種です。100%難しいと言うわけではありませんが、かなりの事業規模と優良な財務内容がないと難しく、弊社のお手伝いでも融資が成功したケースは非常に稀です。しかし地銀や信金についてはこの限りではありません。

弊社の顧客の中でも比較的数の多いパチンコ業界についてですが、数年前のように全社にネガティブと言う状況ではなく、銀行それぞれの基準で選別融資をしています。
財務内容が良く、数百億円以上の売上を多数の店舗で計上しいる会社には、かなり積極的に融資を行っています。この業界の件に関しては、後日改めて詳細を書くつもりです。

また90年代のバブル崩壊以降、不動産関連会社への融資は非常にネガティブでしたが、昨年の夏以降、銀行によってはかなり積極的に融資を実施するようになってきています。
ただ銀行の場合は、取得する不動産の収益が高くても、過去の会社の財務内容が良くないと融資は難しい上、審査に時間がかかるため、不動産を担保に運転資金を借りるような場合は良いのですが、スピードが必要な不動産取得のような時には機能しないことが多いと言えます。

以上の業種以外の業種による、融資の可能性の高低は基本的にはないと思われますが、前にもお話をしましたように、一般的には新規性、独自性、成長性などの要素が少ない業種の会社への融資は不利と言わざるを得ません。


【融資を受けやすい会社の規模】
以前にも書いたと思いますが、融資の条件をクリアした会社への無担保の融資額は、概算ですが月商の1~2ヶ月が基準です。
銀行も営利を追求する企業ですから、費用対効果を考慮し、また融資を担当する部署やスタッフの予算上の都合でも、500万円を融資するより3~5千万円の融資をできる会社を望む傾向がありますので、ミニマム1億円以上、理想的には3億~10億円の年商の会社が一番融資受けやすいように思います。このような傾向の真偽は分かりませんが、経験上の感想なので多分遠からずあたっていると思います。

ただ売上規模が10億円以上の会社なら更に可能性が高いか言うと、確かに高いのですが、そうとも言えない時があります。
事業規模の大きい会社への融資額は当然大きくなる場合が多いので、融資額が大きすぎると、銀行の営業部門が審査部門の審査を通す手続が大変で、会社の資産内容の査定やキャッシュフローの流れなどを通常より精査しますので、その結果、結局のところ融資が実行されないことも多々あり、売上規模の大きい会社ほど融資が受けやすいかと言えば、新規取引の場合は必ずしも受けやすいとはいえないところがあります。


【シンプルな組織の会社が融資を受けやすい】
弊社のお客様の中にも時々見受けられるのですが、多種多様の事業を多数の会社で運営していて、財務内容を拝見しても、実際のところどのような状況なのか、非常に分かりにくい場合があります。社長も分からないよう場合も多く、特にパチンコホールや飲食業などサービス業で良く見受けるのですが、このような状況の会社への融資はほぼ絶望で、できたとしてもかなり時間がかかります。
ですから弊社がお手伝いする場合、まず事業内容に応じて合併、廃止など整理をお願いし、シンプルな組織になってから、銀行に打診していただくようにしています。

融資を受けるために 3

3月2日

今日は「融資を難しくすると思われる会社の状況」についてお話をしたいと思います。
この件は昨日以上にコンサル業務の中から経験的に感じた私見ですのと、地域に密着した地銀や信金などの見解とは若干違う部分もあるかも知れません。

主に、新規に都市銀行と取引を希望されるお客様のお手伝いをした時の感想が中心であると思ってください。

融資を難しくすると思われる会社の状況については多種多様、様々な状況を考えることができますが、今日は次の2点についてご案内いたします。

・会社の代表者、所在地、決算期などの変更
・事業内容のオリジナリティー


【会社の代表者、所在地、決算期などの変更】
事業の運営上仕方がないことなのですが、会社の登記内容の変更については、理由が明白でない場合は、融資の可能性をかなり低くすることがあるように思われます。
再三再四変化があるような場合は、より悪影響があるとお考え頂いて良いと思います。
特に代表者の変更と決算期の変更は、理由が、たとえば前代表者が亡くなったとか、会社合併をしたというように、明確に理由を説明できない場合は、かなりの懸念材料になっているように思われます。

時々税金対策のために決算期を変更されているようなケースがありますが、銀行からの融資を検討されているような場合は、絶対に避けていただいたほうが良いと思います。

また本店所在地の変更や支店開設(特に)を融資申込みの直前にすることも、いかにも融資を引き出すための方策で、実質上の本店は変更前のところであったり、支店も活動拠点としての機能がなかったり、このようなことが明らかな場合は99%融資は難しくなります。

地方に本店を置く会社の場合は、東京に支店を置くことは、資金調達の選択肢を広げるのに効果がありますが、最低でも融資を申し込む6ヶ月以上前に開設をし、実質的にも支店が機能していることが大切です。

【オリジナリティーの低い事業】
銀行からの融資だけではなく、VCからの資金調達でも、事業のオリジナリティはとても大切なポイントです。

事業のオリジナリティが低いと、同じ財務内容であっても、銀行融資については、融資額、金利、融資期間など条件が低くなるような傾向を感じます。

たとえば、他社の代理店として活動する事業よりも、自社独自の商材やサービスを提供する事業の方が、融資の可能性も条件も有利です。
他社の代理店事業であっても、他の代理店にはないプラスアルファのサービスや相乗効果が期待できる複数の商材を持っているとか、ともかく同業他社との差別化ポイントを持っているかどうかが大切です。

とは言うものの、いくら事業にオリジナリティーがあっても、事業の具体性や具現性がなければ、前にもお話をしました誇大妄想社長になってしまいますので、融資の申込さえできないので、ご注意下さい。