思うように資金調達ができない方へ -2333ページ目

融資のノウハウ 銀行編 7

3月14日

今日は、「入金になるまで融資はどうなるか分からない」と言う点についてお話をして参ります。

当たり前ではないかと思われるかも知れませんが、この当たり前のことを勘違いしてしまった経験のあるお客様が結構いらっしゃって、とんだトラブルになっていることがありますので、ご案内したいと思います。

私は何度も何度も、数多くのお客様から、銀行が約束をした融資を中止したために、損害を被ったのいう話を聞いて参りました。

実は私も不動産の貸ビル業をやっていた時に、結果として、建築代金の融資を約束をしていた(・・・と勘違いをしていたのです。)と思っていたのに、融資を実行してくれないことがありました。

ところが、私の件も、お客様皆様の件でも、銀行は道義的には問題があっても、契約上は融資の約束なんてしていないんですね。

正式契約をした後でも、何らかの問題点が出て融資が実行されなくても、契約上は全く問題はないようになっていますので、残念ながら、損害賠償請求などをしても成立しないようになっています。

私も銀行被害の会のようなものをやっていた時がありましたが、残念ながら、融資約束違反で銀行から損害賠償を取ったケースを、私は知りません。
(もし取ったケースをご存知の場合はぜひ教えていただきたいと思います。)

それにお客様のケースも、私のケースも、冷静に見ると、そのケースのほとんどが、融資契約締結前の段階に起こっていることがほとんどですし、それも文書で証明できる場合も皆無でして、行員が社交辞令的な口約束を破ったレベルに過ぎない場合がほとんどだと思います。

皆様はこのような勘違いはなさらないと思いますが、私も今の仕事につく前は、銀行と密接に取引をしていたこともあって、まさか銀行が明確にやると言った融資を、直前に(当日キャンセルもありました)断わってくるなんてことは思わない、恥ずかしい限りですが、大甘な経営者でした。

でも私のような大甘な社長はけっこういらっしゃって、ドタキャンを一度でも体験する前は、多くの方が銀行がまさか、まさか・・・。と言うのが現状ではないでしょうか。

今の仕事になってからお目にかかったお客様のケースでも、正式契約後のキャンセルはラッキーにも1件もありませんが、正式契約の当日や契約の前日のケースなら、覚えきれないほど件数があります。

融資額と融資期間、金利など条件の提示があったからといって、銀行が融資をすると決定したのでは決してないということを、肝に銘じていただきたいと思います。
このような段階は、正式な稟議を上げる前の準備期間というのが正しい認識で、私もそうでしたが、なんとなく安心もしますし、対応してくれた行員の印象から、融資が決まったと勘違いをしてしまっているのが現実だと思います。

予定していた融資が実行されない場合、その資金が手形決済であった場合などは、間違いなくピンチです。

「業態によっては、手形の不渡り情報なんてどうってことはない」ということが書かれている書籍もありますが、このことは比較の問題で、高利の危険極まりないところから資金調達をして手形を決済するよりも、一回の不渡りなら、まだリスクが少ないと言う意味で、手形や小切手の不渡りは出さない方が良いに決まっています。

ですから、手形決済など、本当に先延ばしが困難(もちろんジャンプなどいろいろ方法はありますが)と思われる場合は、絶対に一金融機関のみに資金手当てを絞るのはお止めになることが安全です。

そんなことをやっていると、調達コストがかかってもったいないと言うお客様も多いのですが、財務内容がどんどん好転している状況ならいざ知らず、どちらかと言うと財務内容が悪化基調にあるお客様の場合で、先延ばしのできない資金の調達の場合は、次善の策を用意していないこと自体が、私は経営者として問題があると思います。

いろいろな原因があったと思いますが、バブル崩壊で多額の不良債権を持ってしまった銀行の重要な一つの原因が、顧客への与信を非常に情緒的に判断していたいう反省から、現在はどの行員が審査しても、そんなにぶれない数字的な審査体系になっている以上、どんなに担当の行員がやる気を見せていても、大きな懸念材料が一つ出ることで、融資が行われないようなシステムになっていますから、余計に「入金があるまで融資は行われない可能性があると」ご認識いただきたいと思っています。

融資のノウハウ 銀行編 6

3月13日

融資の具体的な手続きについては、銀行により、案件によって違うと思われますが、大体次のような手順で行われていると思われます。

打診⇒審査⇒正式申込⇒審査⇒契約⇒審査⇒融資実行

この手続きについては大した問題ではないと思いますが、この手続の中で気を付けていただきたいポイントが二つあります。

①金利至上主義にならない
②入金になるまで融資はどうなるか分からない

この二つのことは非常に重要ですので、ご案内したいと思います。


①について
弊社のお各様の中にも時々いらっしゃるのですが、融資条件などを聞くと、よく「金利は絶対に4%以下で、それ以上の場合はお断りをする。」という話になることがあります。
そもそもこのようなお話をされること自体が、今の銀行の融資のことをよくご理解されていないなと思いますし、財務内容によっては、この段階でお手伝いをお断りしています。

なぜなら、今の銀行の審査は、金融庁の示したガイドラインに沿って財務内容を中心に審査し、出た各付けによって、金利など条件が決まりますので、ある程度のアローワンスはあるものの、この部分で銀行間、あるいは行員間格差が出ないようになっています。
金利水準の希望は希望としてあって当然ですが、提示された金利水準は交渉によって条件が大幅に良くなるようなものではないと言うことなのです。
ですから、財務内容が良くなれば金利の条件も良くなりますが、財務内容の改善なくして、金利を下げる交渉など土台無理があるのです。

このようなことから都市銀行でも金利が10%弱なんていうことはあり得る訳で、逆に今までの都市銀行なら融資をしなかった会社にも都市銀行が融資をするようになった証でもありますので、私はこの点はこの点で評価しています。

あなたの会社が直接金融や既存の金融機関だけで将来にわたって資金調達に問題がない状況であれば問題はありませんが、売上も大きくなり業態も発展基調にある場合は、なかなか既存の地銀など金融機関だけでは不十分なことが往々にしてあります。

このような場合は、まず都市銀行と取引することを重点に考えて、金利水準にこだわるあまり、折角の取引のチャンスを逃さないようにしていただきたいと思います。

このことについて、銀行は強く否定すると思いますが、最悪の場合、あなたの会社が融資を断わったのに関わらず、しばらく経ってから融資を申し込んだ時に、あなたの会社の良からぬ情報が残っていて、断わられる可能性もあります。

一方、銀行も新規取引のときは非常に慎重であっても、取引を重ねるにしたがって、また会社の財務内容が良くなるに連れて、融資条件も好転し、融資額も何倍にもなっているケースを多く見てきていますので、新規融資の場合はあまり金利至上主義にならないようになさった方が良いと思います。

明日は、②についてお話をしたいと思います。
この②については私のお手伝いをした経験の中でも、本当に大切な事で、ゆっくり十分書くスペースを取ってお話をして参りたいと思います。

融資のノウハウ 銀行編 5

3月12日

昨日お話をしました、融資を申し込む時に絶対に必要な資料以外に必要と思われる資料のご案内をいたします。

まず準備した方が良いと思われる書類は次の通りです。
まあこの辺りは、銀行に融資を申し込めば、必要な書類を銀行がいろいろ請求してきますので、詳細はその時々に銀行にお聞きいただくとして、次の資料はすぐに提出できるかどうか確認をしておいていただいたほうが良いと思います。

①他の金融機関から融資を受けている場合は、毎月の返済支払い明細のコピー
②所有不動産の固定資産評価証明書のコピー
③登録免許などが必要な事業。
 あるいは、代理店契約や知的所有権使用契約などに基づく事業の場合は、
 その免許、契約の存在を証明する書類のコピー
④銀行口座の出入りが分かる通帳などのコピー
⑤消費税の申告書のコピー
⑥事務所、店舗などの賃貸借契約書のコピー
⑦資金使途が機械設備や店舗などを開設する資金の場合は、投資する詳細の分かる見積書やパンフレット
⑧不動産を購入するような場合、購入予定の物件の謄本、住居地図、固定資産評価証明書など
⑨会社の印鑑証明書 銀行によっては申し込み時に必要
⑩代表者個人を証明する運転免許証など  


そして、ここからは準備しないといけない資料の中で、ぜひお伝えをしたいことのご案内です。

申し込む融資の資金使途によって必要な資料も変わってきますが、必ずと言ってよいくらい説明や資料の提出を求められるのが、次の3点についての説明と資料提出です。
①会社のスタートから現況のアウトラインが分かる資料
②今後の事業計画とその見通しについての資料
③資金繰り表


①と②について
おおよそ下記のようなポイントを中心に、とにもかくにもシンプルで簡潔にまとめることが大切だと思います。
もちろん説明も同様で、簡潔で分かりやすいことが、自分の会社の事業や将来性そして融資の必要性を銀行に十分に理解してもらうことにつながると思います。

・創業の動機、理由・・・事業のコンセプト
・起業⇒現在までの、沿革と現在の事業内容と状況
・会社の同業他社に対する「強み」と「弱み」
 「強み」・・・他社との差別化ポイントとその理由。そして今後の強化策
 「弱み」・・・解消への具体的な対策
・今後の事業計画と計画実現への具体的方策、そしてそのリスク分析
・マーケットの現状と将来

私は行員ではないので確実には分かりませんが、彼らと話していて、次のような場合はたぶん困惑するだろうなと想像できます。

・すごいページ数の事業計画書⇒長時間の説明
・評論家の書いたようなマーケット分析などに重点を置いた資料⇒審査に必要な説明が不十分

私自身もよく経験するのですが、お客様と初めて会った時に、2時間も3時間も長時間にわたって説明される方がいらっしゃいます。しかし、このよう場合に限って、私の注意力散漫が原因か、お客様のご希望や、何をなさりたいのかが良く分からないことがよくあります。

また中には、会社や会社の事業計画のことよりも、業界の分析やマーケット予測、あるいはその背景となる社会状況の解説と展望、極端な場合は商材やサービスの理論的説明を、本当に長く長くされる場合があります。
資料も手提げ袋一杯の分量で、官報や雑誌の切り抜き、ビデオなど、次から次へと資料を出して説明いただくのですが、このような場合は、失礼ながら、「だから何をされたいのか?」「だからどうしたいのか?」正直イライラしてしまうことがあります。

たぶん銀行の担当者は、私より時間的な成約があると思われますし、より多くの会社と面談することも多いと思いますので、ここからは私見ですが、よほど銀行にとっての(行員にとっても)ビジネスチャンスを感じないと、「参ったな」と言うのが本音だと思います。

現在、銀行は店舗の数も行員の数も減らして効率化を図っており、行員一人が担当する顧客数は以前に比べて激増しているように思います。

弊社がお付き合いをしている、某都市銀行の東京港区の某融資セクションのある行員の方の担当顧客数を聞いたところ、「新規の顧客開拓など物理的にできるわけがないな」という印象を持ったことがあります。
このことは銀行の都合であって顧客の考えることではないと思われる方もいらっしゃるでしょうが、現実的にこのような状況の銀行から融資を受けるのですから、この現実も容認するしかない訳で、できるだけ短時間に簡潔で分かりやすい説明をし、資料もシンプルかつ分かりやすいものでないと、行員は理解しようとしないと言うことをご理解いただきたいのです。

ですから弊社では銀行への①②の資料は合計で最大A4で3枚、できれば2枚にまとめていただくよう様にアドバイスしています。


③について
資金繰り表は、必ず要求されますので、できれば希望する融資期間のものと、これから1年間の2種類のものを、やはり①②と同様、シンプルで分かりやすい表の作成をお薦めいたします。
資金繰り表はあくまでも資金繰り表ですから、過去の経理資料のように詳細である必要はありません。
むしろ注意したいポイントは、計算違いや論理矛盾を起こす表だけは作成しないようにしていただきたいことです。
財務資料同様、単純な計算ミスなどが全ての信頼感を損ねてしまいます。また手書きの資金繰り表も、錯覚かもしれませんが信頼感のイメージを落とす可能性があるので、必ずPCを使って作成して頂きたいと思います。(銀行指定のフォームに記入する場合は手書きでも良いと思います。)

万一、どのような資金繰り表を作成してよいか分からない時は、インターネットにも解説のページやテンプレートもありますのでご利用されたらいかがでしょうか?