発明家の会社が陥るよくあるパターン 2
昨日書いたように、
今日は開発系の会社にとって必要な財務の具体的な話を書きたいと思います。
ちょうど今日も、昨日お話した会社とは別の開発系の経営者から相談を受けました。
今日の経営者の場合は、それほど財務内容を悪くしないで開発は完了していますし、
既存事業の売上が6億円ほどあるので、
昨日の会社とは比較にならないくらい今後の展開がスムーズに行く可能性があります。
なぜかと言えば、
製品の開発が終わり、これから製造販売をしていく訳ですが、
製品開発のために滅茶苦茶な資金調達をしていないことと、
多少の債務があっても、財務内容を悪くしない程度の既存事業からの利益がある点で、
今後の事業資金の調達が比較的楽だからです。
開発系の会社は、当然ながら、開発に膨大な時間と資金が必要です。
ここで事業が本当にうまく行くかどうかは、
目的とする製品開発ができるのと同じくらいの重要度で、
経営者個人の自己資金の額と、金融機関に頼らない資金調達がいくらできるかがとても重要です。
このブログをお読みいただいている方ならお分かりと思いますが、
資金調達するにあたって、財務内容が債務超過になっているかどうかはとても重要です。
理想的には、開発費の部分は会社における自己資金の範囲、
いわゆる資本金の範囲でできることです。
資本金の範囲でまかなえない場合は、
できればすぐに元金返済が不要な社債をプラスした範囲でできること。
そしてこの範囲でも難しい場合は、
低利の長期借入金をプラスした範囲に収めることです。
ご存知のように、社債も長期借入金も返済が不要ではない債務ではありますが、
金融機関が見た場合、みなし自己資金的な判断が可能なこともあるので、
開発費を資本金の範囲に納めることが理想ですが、
まだ社債や長期借入金の範囲に納まればなんとかなると言うようにご理解いただきたいと思います。
ここで誤解して欲しくないのは、
ここで言う、資本金、社債、長期借入金を全額金融機関から調達しようとする方が、
何を考えているのかと思うのですが実際多いことです。
しかしながら、今日の会社のように、既存事業である程度売上がある場合はまだしも、
純粋に開発する製品のために設立した会社の場合、売上は、
開発段階ではほぼゼロであるのが普通なので、
経営者の自己資金とお知り合いの会社や個人から調達する以外に、
現実的にはなかなかないのが実状です。
もちろん、経営者の経歴や製品の将来性と具現性が非常に高く感じられるケースでは、
稀にVCや銀行から資金調達ができる場合も、まったくないわけではありませんが、
これは非常の稀なことですし、やはり調達できるケースは、それなりに、
自己資金の範囲で具体的に、製品開発、あるいは事業化の目処が立っているケースがほとんどで、
純粋に金融機関からの調達だけでまかなえているケースは皆無です。
このため、開発系の会社が成功する条件として、
良い製品の開発とともに、
経営者の直接金融の調達能力が必須だと言えます。
もちろん開発する発明家自身に、この能力を求めるのではありません。
ご自身が持っていることに越したことはありませんが、
ビジネスパートナーにこのような能力に長けている人が絶対に必要だと言うことを言いたいのです。
今は世界的な大企業になっているホンダやソニーもその昔は、
まさにベンチャー企業で、
特にホンダの場合本田宗一郎と言う稀代の発明家の影には、
財務と販売を一手に仕切った藤沢武夫の存在があったし、
ソニーの場合も井深大と盛田昭夫の二人の技術者が興した会社ですが、
盛田昭夫の資金調達能力が凄かったことは有名な話です。
これは事実かどうか分かりませんが、
創業時のソニーの社員の給料は盛田昭夫の実家の酒屋から出ていたと言う逸話もあるし、
銭形平次の作者で有名な野村胡堂から出資を受けていたらしいですよ。
このように世界のホンダだってソニーだって起業時の資金繰りは厳しく、
技術と製品開発のための資金調達は大変で、
金融機関だけに頼るような楽な状況でなかったことは事実です。
このように、もしあなたが新しい世界に類を見ない製品を開発しようとしているのなら、
技術開発と同じぐらい、直接金融もできるかどうかが、成功のために大切だと思ってください。
もし自分にその能力がないのなら、事業パートナーとして能力のある人を探してください。
あるいはその力には限界がありますが、親身に相談に乗ってくれるコンサル会社を探していただきたいと思います。
万一このような能力を自社に見出せないとしたら、
私は極論かもしれませんが、事業化はあきらめた方が身のためだと言っても過言ではないと思ってます。
こんな仕事をしていたら、
志半ばで倒れた経営者を何人も知っているので、身につまされます。
お願い!
お一人でも多くの方にお読みいただけますよう、ブログランキングに参加しています。
発明家の会社が陥るよくあるパターン
4月12日
今日たまたま、ご相談を受けた案件。
これがタイトルにもあるように、
まさに開発系の会社の起業の難しさを物語る、
本当によくある、良くないパターンに陥りつつあるケースでした。
それは、発明家の社長が製品開発に力を入れるあまり、
恐ろしく財務内容を毀損していること。
そして、肝心の販売方法が確立していず、
訳の分からない会社を代理店にして販売もうまくいっていないことです。
非常に申し訳のない言い方になりますが、
このような状態になっている会社で、その後成功した会社を見たことは非常に少なく、
つまり、数年以内に潰れるか、他人の手に渡ってしまうようなケースが非常に多いのです。
開発系の会社は、
製品の開発が完了しないと、会社の存在自体、意味がないことから、
無理もないところではあるのですが、
何はともあれ、お金をかき集め、製品開発にだけ力を注いできているため、
いざ製品が開発でき、事業化、つまり製品を製造販売する段階になった時、
販売の術も持たず、資金も続かなくなり、身動きが取れなくなるケースが本当に多いように思います。
つまり、財務内容など会社の見てくれと言うか、体裁と言うか、
他人から見た場合、製品の良さはともかく、良い会社に見えない状態になっているのです。
資金的には、ケースによって金額は違いますが、
製品開発に、数億円から十億円程度の資金使っていることが多く、
実際、何らかの方法で調達はしてきてはいるのですが、
その調達方法がほとんどの場合、無計画と言うか滅茶苦茶で、
デットファイナンス、いわゆる債務になる資金のみでやっていて、
製品開発費は短期で回収できないのに、
長期安定資金な調達できていないため、資金繰りが大変になっているのです。
おまけに長期で低利なお金を調達できているケースは少ないので、
だいたい高利なうえ、返済期間も短くから、余計に資金繰りを悪化させています。
その結果、総資本は10億円近くあるのに、資本金が1000万円のようなケースが多いのです。
また悪いことに、この種の会社の場合、
開発が終わるまで売上は立ちませんし、
先ほども言ったように販売方法も、
手が回らなかったのか、製品が良ければ勝手に売れるかもしれないと錯覚していたのか、
販売方法が確立されていないことが多く、
製品開発が終わっていても、 売上が立ち難いため、
すごい製品を開発するポテンシャルはあっても、
見かけは、非常に宜しくない、倒産寸前のような危ない会社に見えてしまうのです。
このブログをお読みの方ならお分かりの通り、
売上がなく、資本金も小さく、総資本が大きい場合、
当然債務超過状態になっていて、
いくら2期以上の決算を経過していても、
この段階では、よほど運が良くないと、
銀行など金融機関から資金をスムーズに調達できない形になっているため、
弊社のようなコンサル会社に相談に見える場合が多いのでしょうね。
でもこの段階で相談を受けても、本当はアドバイスし難いのが本音で、
いつももっと前に相談を受けれていればと思うケースがほとんどですね。
また、たまたま、製品の良さが認められ、
大手の会社や、今日のケースでは、某地方自治体ですが、
大型の注文があればあったで、
前金で製品代をもらえる場合は別にして、
製品を製造する資金を調達できずに、立ち往生していて、
多少高利でも、絶対に資金調達が必要と、
切迫した相談内容のケースも多いですね。
でも、このような状態では、時間が限られると、
本当は知り合いから調達する以外困難なので、
相談を受けてもなかなか社長の意向に沿ったお手伝いができないことも事実なのです。
結局は製造できなかったり遅れたりして、納期を守れなくなり、
せっかくの一大チャンスを逃してしまい、信用も失って、
このこときっかけとなって、会社をつぶしてしまうか、他の会社に乗っ取られるようなことになってしまうのです。
では、このような開発系の会社にとって何が必要かというと、
製造システムの確立や販売方法の確立も必要ですが、
このことは別にして、
まずは製品の開発に注力するのと同様、
製品開発費やその後の事業化に必要な資金をスムーズ調達できる、
バランスの取れた財務内容を作ることが大切だと思うのです。
ではそのための具体的な内容とはについて、明日以降に書いていきたいと思います。
お願い!
お一人でも多くの方にお読みいただけますよう、ブログランキングに参加しています。
新聞記事との違和感
日銀が11日発表した06年度の貸出・資金吸収動向(速報)によると、銀行の貸出金の平均残高は、前年度比1.5%増の386兆2030億円だった。前年度を上回ったのは96年度以来10年ぶりで、伸び幅の大きさは比較可能な93年度以降で最大となった。
景気回復に伴う企業の高い資金需要を受け、地銀・第2地銀の貸出金が同2.7%増と大きく伸びた。都銀も同0.5%増と堅調だった。
3月単月の平均残高は、前年同月比1.1%増の390兆3440億円と14カ月連続で前年同月比プラスを維持した。伸び幅は前月より0.3ポイント縮小した。
この記事の中にもあるように銀行全体では貸金が増えていることは確かなようですが、
顧客が新規取引で銀行に融資を申し込んだ時の銀行の印象は、
明らかに、ここ数年よりはネガティブな感じになっている印象を受ける方は多いと思います。
また記事の中にもあるように、
一時中小企業のマーケットにすごい勢いでビジネスローンを貸し出していた都市銀行などより、
地銀の方が伸びが高いことは以前お伝えしたとおりで、
弊社のような資金調達のお手伝いをしているものから言えば、
この部分は非常に実感できるところです。
でも、あれほど新規開拓に余念がなかった都市銀行が、
なぜ現在のように新規開拓に熱心でなくなったかと言えば、
これはある都市銀行のある拠点の新規取引先への決済権者に聞いた話ですが、
その理由は一言で言って、コンプライアンス上の問題が大きな原因だそうです。
と言うのは、これも何度も書いていることですが、
最近の銀行の一般の中小企業への融資は、個別対応型のオーダーメードのような融資から、
ビジネスローンと言う、定形型の大量生産型の融資形態に変わっています。
この審査方法をスコアリングと言い、
パソコンに財務データを中心にインプットすると、
融資の可否だけでなく、融資の条件まで、その結果が一発で分かるようになっていて、
行員は個別対応型の審査をしなくなっているのです。
このため行員の企業との癒着による不正融資は防げても、
逆に財務データや属性調査だけでは分からない、
行員独自で判断する会社のポテンシャルなどを審査に加味することもできないし、
行員の勘で少し懸念を持っても、形だけ整っていれば融資が実行されるようなシステムになっています。
こんなことから時々皆様も聞かれるかもしれませんが、
決算内容を改ざんして融資を斡旋するような、
怪しからぬコンサルタントの出現も許すことになったり、
少しこつをつかめば、どんな会社でもけっこう簡単に融資を受けることができるようにもなっているのです。
だから計画的に融資を取り込んでデフォルトを起こすような人物でも、
体裁を整えれば簡単に融資を受けることが、
結果としてできるようになり、
このような案件が非常に多くなっているそうです。
だから、必然的に、銀行としては、
既存取引先で優良な企業には思いっきり融資をするような姿勢に変化せざる得ないので、
新規取引先への融資は、より慎重になっているのだそうです。
慎重と言えば、この間年商20数億円の会社に地銀からの融資をアレンジしたのですが、
なんと3000万円で融資期間6ヶ月でした。
まだ新規取引先に対して、アクティブな有力地銀でさえ、
新規取引先への融資はあまりにも慎重なので驚いたところです。
こんな状況だから、
新規取引の銀行に融資を申し込んだ時、
厳しい条件の提示があっても、今はスタンダードなのだと言う認識を持って、
間違っても、こんな条件なら融資はけっこうなんて断らない方が良いですよ。
ここ数年は、まずは既存取引先になることが先決です。
お願い!
お一人でも多くの方にお読みいただけますよう、ブログランキングに参加しています。


