中原昌也 著、『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』を読みました。
河出書房新社のハードカバーです。










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今日の本のお供は、エリーちゃんズにお願いしました。
あと、ガチャガチャでとったネコちゃんも。

このネコちゃん、サイズ的に着せ替え人形さんたちのペットに良さそうと思って、ガチャガチャを回したんです。
やはりぴったりでしたね。










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著者の中原昌也、大変面白い人ですね。
この方は小説を書く前から音楽家で、『暴力温泉芸者』というユニットでノイズミュージックをやっていた人です。
その後はHair Stylistics名義で音楽活動、美術活動もやってるそうです(Wikipedia)。

ノイズミュージックですから、かなり前衛的な音楽をやっていた人が小説を書いたということで。
たしか、小説家としてのデビュー作の本書『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』が出た時(1998年)にはかなり話題になっていた記憶があります。

この本の帯を書いている人も面白いですね。
文筆家の人たちではなくて、なんだか当時のオシャレ文化最前線な方々が書いていますよ。
小西康陽、小山田圭吾、石野卓球、望月峯太郎、清水アリカ、しまおまほ…

ミュージシャンから小説家になる方、たまにいらっしゃいますけど。
感性が独特で、元々の小説家とは一味も二味も違った作品を書いてくれるので、私は好きです。






本書、中身は短編集です。

路傍の墓石
血で描かれた野獣の自画像
ソーシャルワーカーの誕生
あのつとむが死んだ
とびだせ、母子家庭
つとむよ、不良大学の扉をたたけ
ジェネレーション・オブ・マイアミ・サウンドマシーン
消費税5パーセント賛成
独り言は、人間をより孤独にするだけだ
物語終了ののち、全員病死
暗い廊下に鳴り響く、淋しい足音の歌
レインボー・ドッグスーーー明日への挑戦状

以上12編、短いお話ばかりです。



ところで、この本はどんなお話の短編集なのかといいますと。
簡単に言うなら、和製、バロウズの『裸のランチ』ですかね。
雰囲気は全くそんな感じです。
(…この本の裏表紙はトイレで便座に座って、二の腕を縛り、自分の腕に注射器を当てている男の写真ですし。
『献血に協力するR君。この人道的行為によって三千人の命が救われた。』とかいう文が添えられてますけど。)

ウィリアム・バロウズの小説を読んだことのある方には、これだけの説明でこの本の短編小説たちがどういうものか、よくわかると思います。
ストーリーを楽しむようなものでは全くなくて、ただ沸き立つイメージを文字にして紙にぶつけたような、シロモノです。
不思議なイメージ、強烈なイメージ、不気味なイメージ、トンチンカンなイメージを、小説の脈絡だの整合性だのそんなまともなことは考えず、ただ受け止めてその場その場だけを、イメージが繰り広げられる今この瞬間だけを楽しむような楽しみ方で読むと面白い小説です。
夢の中を彷徨してるような感じで、今読んでいるそのワンシーンのみを後先考えずにただ受け止めて面白がって、ふわふわと楽しむと素敵な読書体験ができると思います。



本書には短編が12作収められています。
12作の中には、登場人物が共通している連作がいくつか(…つとむ君のシリーズと、マリ&フィフィのシリーズの二つですね)含まれていたりもしますが、基本は繋がりがなくバラバラです。

バロウズが駆使したような、カットアップとかフォールドイン ぽい手法を使ったような表現も見受けられますけど。
これはどうやって書いたのかな?やっぱりこの著者もそんな感じで、書いたのでしょうかね?
どこからかサンプリングしてきた材料(文章)を組み入れたり、こね回したりしたような跡を感じます。
なんかすごく…サンプラーを使った音楽っぽいんです。それの文筆バージョンみたいな。

収録されている短編は本当に短いものばかりですけど、その短いお話の中でイメージがかなりの勢いで膨らんで流れていくので、びっくりしますよ。
その上、何作かは、お話の最初の方で伏線を張って、最後に回収してちゃんとオチをつけていて、「おっ、やるなー!」なんて感心してしまうものもあります。
そして、どの作品もイメージを垂れ流しにし続けず、時が来たらスパッと断ち切るようにしてお話を終えてしまいます。
せっかく膨らませたイメージを、ここまで膨らませたんだからこれから展開させたくなるようなイメージを、惜しげも無くスパッと終わらせてしまいます。清々しいほどの潔さです。

暴力的でエロティックなイメージや、下品で不潔なイメージも多いですが、ユーモアも豊富です…皮肉なユーモアから白痴的なユーモアまで。
読んでいると、ところどころでニヤッとさせられますよ。










…と、まあ。色々と感想を書いてみましたけど。

この本は実際に読んでみてもらわないと、どんなものなのかうまく説明できませんねぇ。
一言で言うなら、支離滅裂で破茶滅茶でよくわからない短いお話のたくさん詰まっている本です。
ハマる人にはハマりますが、つまらない人には存在意義もわからないものになると思います。
内容は道徳的でもありませんしね、誰にでも勧められるものではないです。



支離滅裂で破茶滅茶なお話が好きな人。
ちょっと尖ったアヴァンギャルドでアートなお話が好きな人。
向精神薬によるような幻覚世界や妄想世界が好きな人。
バロウズが好きな人。
ソローキンが好きな人。
ナンセンスなお話が大好きな人。
奇妙なものが好きな人。
…そんな人に、おススメします。

私は中原昌也の本はこれが初読なんですけど。
他の作品も読もうと思ってます。
とても面白かったです。

なんとなく、今まで読まずに来てしまいましたけど…
もっと早くに読んでおけば良かったな。











今回取り上げた『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』が好きな方にはオススメの、その他の作家の本について、私の書いた読書感想文の記事です↓
福永信『アクロバット前夜』
福永信『コップとコッペパンとペン』
福永信『一一一一一』
…なんかいっぱいあったなぁ。
私、ナンセンスなお話大好きなんです。

興味のある方は、どうぞ。

















最後に、暴力温泉芸者の音がYouTubeにいくつかありましたで。
聞きやすいものを貼ってみます。








この辺の曲はノイズといっても聞きやすいし、普通にオシャレでカッコいいですね。





















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私のブログ内で、読書感想文の記事はインデックスページを用意してまとめてあります↓





過去記事もよろしくお願いします。












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私は右利きです。

そして、私のステディなボーイフレンドは左利きです♡
だから手を繋いで歩くときは、お互いに利き手をつなぐことになります…私が右手を差し出しちゃうからですけど。

ところで、今年もラインで「花火」って入力すると、花火が打ち上がるしかけ、ありましたね。
彼と二人で「花火」って入力して遊びました。




サリーとブラウンとコニー!
可愛いです♡