青空文庫さんを利用させていただきました。










ところで、青空文庫というのは。

『青空文庫は、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、図書館のようにインターネット上に集めようとする活動です。
 著作権の消滅した作品と、「自由に読んでもらってかまわない」とされたものを、テキストとXHTML(一部はHTML)形式に電子化した上で揃えています。』
(青空文庫 早わかりより)

…と、いうようなものなのです。
収録されている作品のほとんどは、すでに作家が亡くなってから長い時間が過ぎ、著作権の切れているものなのです。


しかし、今回はまだ著作権の切れていない作品、今をときめく現代の作家さんが提供している作品を読んでみましたよ。


『別府大学で催されたイベント“文学への誘い 別府を読む×別府を書く”を機に書き下ろされ、大分合同新聞で発表された円城塔氏の『ぞなもし狩り』、澤西祐典氏の『湯けむり』、福永信氏の『グローバルタワーにて』の3作品』
(引用元サイト)

です。













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円城塔 『ぞなもし狩り




「ぞなもし」なるものを、別府に狩りに行く男のお話です。

「ぞなもし」とは、愛媛県の道後温泉の名産で、『明治の頃に、中学校の数学教師が発見し、以来、道後温泉を象徴する生き物となった』そうで、『発見の仔細は『坊ちゃん』という小説でよく知られる』そうです。

フェリーやWi-Fiなんていうものが出てくるので、作品の舞台は、一見リアルな現実世界のようですが。
何故か別府は電波の届かない国らしいので。
ちょっと我々の現実世界とは違うようです。

この作品、あらすじというようなあらすじは、特にありません。
よくできた、ナンセンス小説です。

この作品を最初から読んでいくと。
ふむふむ、これからこのお話は、こういう方向に向かって行くのか…と思いきや、肩透かしをくらう感じで、話は止まり。
今度はまた別の方向に話が進み出す気配があって、ああなるほど、このお話はそういうふうなお話になるのかな…と思いきや、また話はそれ以上進まず。

こちらの予想を裏切る…というか、自然にかわされる…というか、こちらの予想のことなんて知ったこっちゃない…というか。
軽妙な筆で、なんだかよくわからないうちに、すらすらすらと読まされて、ふと気づけば小説の終わりに辿り着いてしまいます。

この肩透かしの連続が、小気味好く、読んでいてなんだか妙に気持ちいいです。



私、円城塔は未読だったのですが。
…非常に面白いですね。

何か、作品、読んでみようかな?













福永信 『グローバルタワーにて




主人公は若い男です、電車に乗っています。

この男が、乗り合わせた年配の男に、目的地として温泉を勧められ、パンフレットを渡されます。
若い男は、そこへ向かうことにします。

車掌が「切符を拝見」とやってきたので、車掌も含めて三人で酒盛りを始めます。
三人で話すうちに、温泉だと思っていたものはそうではない施設だということがわかりますが、年配の男も車掌も、しきりに勧めます。

若い男のめざす施設は、パンフレットによると総合コンベンションセンターの中にあるらしく。
その総合コンベンションセンターには高層展望タワーがあるはずですが、タワーなど見えません。

施設についてみると、それはもう素晴らしい演劇を見ることができました。





こちらも、ナンセンス小説です。

福永信は私の好きな作家です。
かなりぶっとんだナンセンスぶりで、アヴァンギャルドに攻めて来る作家なんです。

お話にまともな筋が無くて、「人物」というか「キャラクター」が書かれていなくて、現実にはありえない状況とありえない行動だけでストーリー(と呼べるようなもの)が転がされていく…という作風です。


過去にも、このブログで福永信の本について三つ、感想文を書きました。
『アクロバット前夜』
『コップとコッペパンとペン』
『一一一一一』
よろしければ、こちらもどうぞ。

















澤西 祐典 『湯けむり




別府港を離れようとするフェリーに、首藤は一人で乗っていた。
家族づれやカップルの中に一人混ざって、出航の時に港に投げる紙テープを握って。

孤独な初老の男、首藤の脳裏によぎるのは、故郷の別府を離れざるを得なくなった事件のことである。

ヴァーミリオン・サンズという街から、雲の彫刻家を名乗る芸術家がやってきて、別府の湯煙を彫刻しようと企画した。
別府の若者たちや芸術家団体は彼を支援したが、それに反対する運動も沸き起こった。

首藤は運の悪いことに彼らの小競り合いに巻き込まれてしまい、結果、四面楚歌の状況に陥って別府を離れなくてはならなくなってしまったのです。






先の円城塔と福永信の小説に比べたら、こちらはかなりわかりやすいです。

ナンセンス小説と言えば、たしかにそうではありますが。
この作品は少し、マジックリアリズム寄り…かな?
ちゃんとしたストーリーがあります。
地に足をつけて読める感じです。

首藤が、湯煙彫刻の反対派の老人に吐き捨てられた言葉が生きてくる結末が、面白いです。



この澤西祐典も私は初読だったのですが、なかなか面白いですね。
こちらも、何か他の作品も、読んでみたいなと思いました。
















というわけで、今回は、以上の三作品を読んでみました。
どれもユーモア溢れる面白く可笑しい小説でしたよ。
全て短編なので、10分もあれば読めると思います。






せっかくだから三作品を、私の評価で比べてみますと。

読みやすさは、
澤西祐典>円城塔>福永信
ですね。

ナンセンス度は、
福永信>円城塔>>澤西祐典
かなぁ。

ちなみに、私が面白く感じた順だと、
円城塔>澤西祐典>福永信
でしたね、今回の三作品では。

でも、どれも面白かったです。
オススメします、只で読めますしね。













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取り上げたどの作品も、青空文庫さんで無料で読めますよ。

過去記事へのコメント等も歓迎致しております、お気軽にどうぞ。










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コラーゲン、気にしてる?

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そういえば、去年はコラーゲンのサプリ、飲んでたのですが。
いつも買っていたメーカーさんが生産をやめてしまったので、それからは飲んでないんですよねぇ。

コラーゲンは食べても意味がないとか言われますが、実際、飲んでた時は肌の調子が良かった気がします。
プラシーボだろうが、まだ解明されてない科学的な根拠が実はあったりしようが、はたまたただの気のせいだろうが、とにかくなんだか良い効果があるような気分になって私自身がそれで喜び、なおかつ特に体に悪いものでもなさそうでしたから、続けておりましたよ。

ああ、あのコラーゲンのサプリ、なんで生産中止になっちゃったのかしら???
残念です。

国産のフィッシュコラーゲンで、そこそこお買い得な良い商品を見つけたら、また飲んでみたいと思います。