"It's All Too Much" | タコさんの庭

タコさんの庭

ビートルズの歌詞和訳に挑戦

"It's All Too Much"

Writers : George Harrison

Artist :  The Beatles

Recorded : 1967/5/25,31, 6/2, De Lane Lea Studios, 129 Kingsway, London

Released : 1969/01/13(US) 1969/01/17(UK) 1969/03/21(JP)

      「Yellow Submarine」A面5曲目

1995/11/20「The Beatles Anthology 2」 (Takes 3 & 12)

1999/09/13「Yellow Submarine Songtrack」

2009/09/09「Yellow Submarine」[Remastered] 

 

 

2024年2月15日追記。2023年2月16日歌詞変更。

改行・大文字・小文字は、ジョージ・ハリスン著『I・ME・MINE』の本に載っていた通りです。179ページ

 <歌詞和訳>"It's All Too Much"  邦題 "イッツ・オール・トゥ・マッチ"

       あまりにも多すぎる

[Intro]

It's all too much
It's all too much

あまりにも多すぎる

あまりにも多すぎる

 

[Verse 1]

When I look into your eyes
your love is there for me
And the more I go inside
the more there is to see

僕が君の目の奥を見たとき

君の愛が僕のためにそこにある

そして僕が中に入って行けば行くほど

それ以上の見えるものがある

    

[Chorus 1]

It's all too much for me to take
the love that's shining all around you
Everywhere it's what you make

for us to take it's all too much

僕にとって あまりにも多すぎる

君のまわり一面に輝いているその愛を受け取ることは…

いたるところで 君がかもし出すそれ(光)は

僕たちにとって 受け取るにはあまりにも多すぎる

 

[Verse 2]

Floating down the stream of time
From life to life with me
Makes no difference where you are 

or where you'd like to be

時の流れに任せて

命あるものから命あるものへと 僕と漂(ただよ)うことに

今君がいる場所も 君ができればいたいと思っている場所も

違いはない

僕を含めて命あるものから命あるものへと

時の流れに任せて漂(ただよ)っている

今君がいる場所も 君が居たいと思っている場所も

違いはない

 

[Chorus 2]  

It's all too much for me to take
The love that's shining all around here
All the world is birthday cake 

so take a piece but not too much

僕にとって あまりにも多すぎる

君のまわり一面に輝いているその愛を受け取ることは…

世界はすべて誕生日ケーキだよ

だから ひと切れは取っても 取りすぎは良くないよ

 

[Instrumental Break]

 

[Verse 3]  

Sail me on a silver sun
where I know that I am free
Show me that I'm everywhere

and get me home for tea

銀の太陽に向けて僕を乗せて船を出してくれ

僕が自由だとわかる場所へ…

どこにいようと僕であることを 僕に証明してくれ

そして(夕方の)お茶には僕を招待してよ

 

[Chorus 3]  

It's all too much for me to see
The love that's shining all around here
The more I learn the less I know
But what I do is all too much

僕にとって あまりにも多すぎる

このあたり一面に輝いているその愛を受け取ることは…

知れば知るほど よりわからなくなる

わかっていることは あまりにも多すぎるということだけだ

 

[Repeat Chorus 1]

It's all too much for me to take
The love that's shining all around you
Everywhere it's what you make 

for us to take it's all too much.

僕にとって あまりにも多すぎる

君のまわり一面に輝いているその愛を受け取ることは…

いたるところで 君がかもし出すそれ(光)は

僕たちにとって 受け取るにはあまりにも多すぎる


 

これ以降の歌詞は、ジョージの本『I・ME・MINE』には載っていませんでした。

 

????

1967年5月初旬ビートルズは、長編アニメーション映画「イエロー・サブマリン」に関する合意書に署名しました。

「マジカル・ミステリー・ツアー」と「イエロー・サブマリン」の2つのプロジェクトにとりかかっているビートルズ。

"It's All Too Much" は、ジョージが「イエロー・サブマリン」のために書いた曲です。

この時、ジョージは24歳です。

 

「I」は、ジョージ。

「We」は、ザ・ビートルズのメンバー4人。

「you」は、マネージャーのブライアン・エプスタインアセアセ

を妄想して訳しました。

 

[Intro]

It's all too much

It's all too much

    あまりにも多すぎる

    あまりにも多すぎる

 

too much」については、"You Like Me Too Much" で、勉強しました。

いい意味でも悪い意味でも物事が必要以上に多いことを示す際に用いられるけれども、

ほとんどがネガティブな意味合いを持っているそうです。

 

そして今回はその「too much」に「all」がついています。

all too」は辞書に以下が載っています。

英辞郎より

all too : あまりにも~すぎる◆【用法】望ましくない状態を強調するときに用いられる。


研究社 新英和中辞典での「all too」の英訳
all too : 残念なほど…すぎる.

all too」も、「too much」と同様、~すぎて困っている感じですね。

 

 

"It's All Too Much" について、ジョージは『I・ME・MINE』という本で次のように言っています。

「イッツ・オール・トゥ・マッチ」は、子どものように純粋な気持ちになって書いた曲だ。LSDの体験中および体験後に見えはじめ、のちに瞑想によって確かなものとなった感覚がもとになっている

 

「LSDの体験中および体験後に見えはじめた感覚がもとになっている」との事です。

 

イメージは、

「ブライアン・エプスタインの周りにある輝く光が、とても多すぎる」です。

なので、「あまりにも多すぎる」と直訳になりました。

 

 

[Verse 1]

When I look into your eyes
your love is there for me
And the more I go inside
the more there is to see

    僕が君の目の奥を見たとき

    君の愛が僕のためにそこにある

    そして僕が中に入って行けば行くほど

    それ以上の見えるものがある

 

the more there is to see」は意訳しました。

「ブライアン、君の目を見たとき、君の目の中に僕のための愛を感じた。そして僕がLSDを体験すると、それ以上の愛が、目に見える形で現れた」??

 

 

[Chorus 1]

It's all too much for me to take
the love that's shining all around you
Everywhere it's what you make

for us to take it's all too much

    僕にとって あまりにも多すぎる

    君のまわり一面に輝いているその愛を受け取ることは…

    いたるところで 君がかもし出すそれ(光)は

    僕たちにとって 受け取るにはあまりにも多すぎる

 

「ブライアン、君のまわりに見えている輝く愛を受け取るには、僕にとってはあまりも多すぎる。いたるところで君が醸(かも)し出すその光は僕たちビートルズが受け取るには多すぎる」??

 

 

[Verse 2]

Floating down the stream of time
From life to life with me
Makes no difference where you are 

or where you'd like to be

    時の流れに任せて

    命あるものから命あるものへと 僕と漂(ただよ)うことに

    今君がいる場所も 君ができればいたいと思っている場所も

    違いはない

    僕を含めて命あるものから命あるものへと

    時の流れに任せて漂(ただよ)っている

    今君がいる場所も 君が居たいと思っている場所も

    違いはない   

 

2023年2月16日 追記 「with me」の訳を変更しました。

with」の意味に、以下があります。

Weblioより

with : [包含を表わして] …をあわせて,…を含んで.

僕を含めて、人は死ぬと体から離れて漂い、次の生命体として生まれ変わる。それは君がいる場所でも、君がいたいと思っている場所(ビートルズと一緒いる所)でも、それは同じなんだ。」??

 

"Tomorrow Never Knows" に通じるもがあると思いました。

"Tomorrow Never Knows" [Verse 1] 

Turn off your mind relax and float down-stream
It is not dying, it is not dying

    あなたの心を無にしてリラックスして時の流れに任せて漂いなさい

    それは死んでいることとは違います それは死んでいることとは違います

 

『 The BEATLES アンソロジー』180ページ

 

ジョージ

―― 前略 ――

 宇宙的な悟りを開いた人間も、同じ感覚なんだと思う。 木の内側が見えたり、地中に埋まっている木の根っこが見えたり、樹液が木に浸透していくのがわかるんだよ。スーパーマンが壁を透視できるようにね。この世界のあらゆる物質は、純粋な知性がさまざまな形態で表現されているにすぎないんだ。"僕はこの身体の中にいる" って考えるのは、自己の精神と身体を同一視しているからだ。僕がLSDを通じて得たものは、"僕はこの身体の中に存在するわけじゃない。僕の純粋なエネルギーはあらゆるところから舞いあがっているこの身体は一時的に借りているだけだ" という思考なんだ。

 

181ページ

 僕には、それまで知らなかったことが見えてきた。僕は生まれて、幼年時代を過ごし、ビートルズとして生活し、LSDやいろんな体験をした、それがカルマ、つまり宿命だったんだ。LSDにはマイナスの面もあるけど、僕はこれを体験できたことを神に感謝しているよ。何年も無関心だった自己を目覚めさせてくれたわけだからね。人生にとって重要なことは "自分は何者で、どこへ行こうとしていて、どこから来たのか?" を自分に問いただすことだって思ったんだよ。それ以外のことは、ジョンに言わせれば "つまらないロックン・ロール・バンドみたいなもの" だ。つまり、どうでもいいんだよ。その他のことは、みんなくらだないことに思えたんだ。政府も、地球上のあらゆる人々も、やらなければならないことに翻弄されている。まさに時間の無駄だってね。みんな、大きな妄想を追いかけているだけなんだ。精神世界のルールに従って宇宙の法則に身を任せることができれば、政府や警察なんかいらないのさ。もしチャンスがあったら、僕は政治家たちのお茶の中にLSDを入れていただろうね。

 

 

[Chorus 2]  

It's all too much for me to take
The love that's shining all around here
All the world is birthday cake 

so take a piece but not too much

    僕にとって あまりにも多すぎる

    君のまわり一面に輝いているその愛を受け取ることは…

    世界はすべて誕生日ケーキだよ

    だから ひと切れは取っても 取りすぎは良くないよ

 

「All the world is birthday cake. so take a piece but not too much」は、

解釈するには難しいですね。

「独り占めという物欲からは、何も得られない。みんなで分かち合わないとだめだよ。」

と言っているのかな??

 

 

[Verse 3]  

Sail me on a silver sun
where I know that I am free
Show me that I'm everywhere

and get me home for tea

    銀の太陽に向けて僕を乗せて船を出してくれ

    僕が自由だとわかる場所へ…

    どこにいようと僕であることを 僕に証明してくれ     

    そして(夕方の)お茶には僕を招待してよ

 

「僕が『自分は自由だ』とわかるマネジメントしてくれよ。どこにいても自分の存在を感じるマネジメントをして僕に証明してくれ。そして(夕方の)お茶には僕を招待してよ」??

 

get me home for tea」の訳には迷いました。

Beatles Bible より

"I just wanted to write a rock ‘n’ roll song about the whole psychedelic thing of the time. Because you’d trip out, you see, on all this stuff, and then whoops! you’d just be back having your evening cup of tea! ‘Your long blond hair and your eyes of blue’ – that was all just this big ending we had, going out. And as it was in those days, we had the horn players just play a bit of trumpet voluntarily, and so that’s how that ‘Prince of Denmark’ bit was played. And Paul and John just came up with and sang that lyric of ‘your eyes of blue’."
George Harrison

訳は自信ないですが

「君だって夕方のお茶をするためにきっかり帰りたいだろう?」とインタビュアーに答えている気がしますが、

意訳してしまいました。

get me home for tea」「そして(夕方の)お茶には僕を招待してね)」

 

 

[Chorus 3]  

It's all too much for me to see
The love that's shining all around here
The more I learn the less I know
But what I do is all too much

    僕にとって あまりにも多すぎる

    このあたり一面に輝いているその愛を受け取ることは…

    知れば知るほど よりわからなくなる

    わかっていることは あまりにも多すぎるということだけだ

 

 

The more I learn the less I know」(知れば知るほど よりわからなくなる)は、

この頃、ブライアン・エプスタインはビートルズに内緒にしていることがありました。ジョージはそれをポールから聞いて知っていたのかもしれないと思いました。

 

「このあたり一面に輝いているその愛を受け取るには、あまりに多すぎる。君のことを知れば知るほど 君のことがわからなくなる。わかっているのは君の周りにある光(愛)が多すぎるということだけだ」??

 

 

 

[Outro] について

[Outro]

It's too much

Ah, It's too much
with your long blond hair and your eyes of blue

with your long blond hair and your eyes of blue
You're too much, ah

We all get too much

 

上の歌詞は、ジョージの本『I・ME・MINE』には載っていません。

with your long blond hair and your eyes of blue」は、

違う曲の歌詞を、ジョンとポールが思いついて歌ったそうです。

 

Beatles Bible より

‘It’s All Too Much’ contained a couplet from The Merseys’ 1966 hit single ‘Sorrow’:  “With your long blonde hair and your eyes of blue”. The trumpeters, meanwhile, performed a motif from Jeremiah Clarke’s ‘Prince of Denmark’s March’, also known as ‘Trumpet Voluntary’.

 

"It's All Too Much"はザ・マージーズの1966年のヒット・シングル"Sorrow" の歌詞2行が含まれている:  「With your long blonde hair and your eyes of blue」。

一方トランペット奏者は、ジェレマイア・クラークの『デンマーク王子の行進曲』(『トランペット・ヴォランタリー』としても知られている)のモチーフを演奏した。


"I just wanted to write a rock ‘n’ roll song about the whole psychedelic thing of the time. Because you’d trip out, you see, on all this stuff, and then whoops! you’d just be back having your evening cup of tea! ‘Your long blond hair and your eyes of blue’ – that was all just this big ending we had, going out. And as it was in those days, we had the horn players just play a bit of trumpet voluntarily, and so that’s how that ‘Prince of Denmark’ bit was played. And Paul and John just came up with and sang that lyric of ‘your eyes of blue’."
George Harrison

(一部だけの訳)

そしてポールとジョンは、「your eyes of blue」という歌詞をちょっと思いついて歌ったんだ。 
ジョージ・ハリスン

ウキペディア「It's All Too Much」より

The song quotes a line from the Merseys' 1966 hit "Sorrow" – "With your long blonde hair and your eyes of blue" – a reference that has led some commentators to interpret "It's All Too Much" as a love song to Harrison's wife, Pattie Boyd, a blonde-haired former fashion model. At another point on the recording, the trumpets play part of Jeremiah Clarke's "Prince of Denmark's March". The Beatles' use of musical and lyrical quotations here pre-dates "All You Need Is Love", which was written by Lennon and recorded in June 1967 for the group's appearance on the Our World television broadcast. 


この曲はザ・マージーズが1966年にヒットさせた"Sorrow"の一節「With your long blonde hair and your eyes of blue」を引用したもので、一部の解説者は"It's All Too Much"をハリソンの妻で金髪の元ファッション・モデル、パティ・ボイドへのラブソングだと解釈している。レコーディングの別の場面では、トランペットがジェレマイア・クラークの「デンマーク王子の行進曲」の一部を演奏している。ビートルズがここで音楽と歌詞の引用を使ったのは、レノンが作曲し、1967年6月にテレビ番組『Our World』に出演するためにレコーディングされた"All You Need Is Love"よりも前のことだ。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

 

1963年リリースした"Misery" の最後で、

「The Diamonds」がカバーした"Little Darlin" の曲の一節「ララララララ」を歌ったように…

 

これからレコーディングする"All You Need Is Love" の最後で、

"Yesterday" "She Loves You" の一節を歌うように…

 

「The Merseys」がカバーした"Sorrow"の一節「With your long blonde hair and your eyes of blue」を、"It's All Too Much" の [Outro] で歌ったのですね。

 

ウキペディア 「Sorrow (The McCoys song)」より

"Sorrow" is a song first recorded by the McCoys in 1965 and released as the B-side to their cover of "Fever".It became a big hit in the United Kingdom in a version by the Merseys, reaching number 4 on the UK chart on 28 April 1966. A version by David Bowie charted worldwide in 1973.

A line from the song – "With your long blonde hair and your eyes of blue" – is used in the Beatles song "It's All Too Much" which was featured on their 1969 album Yellow Submarine.

 

"Sorrow "はザ・マッコイズ(4人グループです)が1965年に初めてレコーディングした曲で、カヴァー曲"Fever" のB面としてリリースされた。
イギリスではザ・マージーズ(2人グループです)のヴァージョンで大ヒットし、1966年4月28日に全英チャート4位を記録した。
デヴィッド・ボウイのヴァージョンは1973年に世界チャート入り。

ビートルズの1969年のアルバム『Yellow Submarine』に収録された "It's All Too Much" には、この曲の一節「With your long blonde hair and your eyes of blue」が使われている。

 

リヴァプール出身「ザ・マージーズ」のバージョンの"Sorrow" を聴くと

 "A Hard Day's Night" が織り込まれいましたラブラブ音符キラキラ

 

 

ウキペディア「The Merseybeats」より

The Merseybeats are an English band that emerged from the Liverpool Merseybeat scene in the early 1960s, performing at the Cavern Club along with the Beatles, Gerry and the Pacemakers, and other similar artists.

 

The group's original members were Tony Crane (vocals, lead guitar), John Banks (drums), Aaron Williams (rhythm guitar) and Billy Kinsley (vocals, bass). Kinsley left the group at the beginning of 1964 and was replaced by John Gustafson, though Kinsley returned at the end of that year. The group split in 1966, with Crane and Kinsley continuing as a duo dubbed The Merseys. The Merseys ended in 1969. During the 1970s and 1980s, the Merseybeats would stage several occasional reunions before reforming permanently in 1993.

 

ザ・マージービーツは、1960年代初頭にリバプールのマージービートシーンから生まれたイギリスのバンドで、ビートルズ、ジェリー・アンド・ザ・ペースメイカーズ、その他同様のアーティストと共にキャヴァーン・クラブで演奏していた。

 

グループのオリジナル・メンバーは、トニー・クレイン(ヴォーカル、リード・ギター)、ジョン・バンクス(ドラムス)、アーロン・ウィリアムス(リズム・ギター)、ビリー・キンズリー(ヴォーカル、ベース)。1964年初めにキンズリーが脱退し、ジョン・グスタフソンに交代したが、同年末にキンズリーが復帰。グループは1966年に解散し、クレインとキンズリーはザ・マージーズと名付けられたデュオとして活動を続けた。ザ・マージーズは1969年に解散。1970年代から1980年代にかけて、ザ・マージービーツは1993年に再結成を果たすまで、何度か再結成を繰り返した。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました

 

 

ブライアン・エプスタインがビートルズに内緒にしていたこと

ブライアン・エプスタインは、ビートルズに内緒にしていたことが3つあります。

ピーター・ブラウン、スティーヴン・ゲインズ著「ビートルズ ラヴ・ユー・メイク 下」 小林宏明訳 44ページ

 同じ年(1966年です。コンサートをしないと決めた年です)の秋にビートルズが別行動をはじめて、ブライアンにかかる責任の多くが軽減されたとき、彼は信じがたい決意をかためていた。多くのタレントをかかえて仕事がふえつづけていくNEMSの運営は抑圧が多すぎる、と彼は考え、ビートルズとシラ・ブラックをのぞくすべてを自分から切り捨ててしまいたいと思ったのだ。彼はビートルズとシラ・ブラックのことしか気にかけていなかった。ほかのタレントは、だいたいにおいてあまり満足いく成果をおさめていなかった。

 

ピーター・ブラウン、スティーヴン・ゲインズ著「ビートルズ ラヴ・ユー・メイク 下」 小林宏明訳 46ページ 

 ブライアンは、スティグウッドとショーに対して次のような提案をおこなった。大きな資本利得を維持しなくてすむように、NEMSの株51パーセント――事業を統率していけるだけの株――をふたりに売りわたす。ただし、自分は会長としてのこり、もっぱらシラ・ブラックとビートルズだけの面倒を見る。スティグウッドとショーにはのこりのタレントたちの面倒を見てほしい、と。
 ブライアンは会社を譲渡する金額として、わずか50万ポンドしか要求しなかった。たった2年まえに2千万ドルという大金を提示されたことを思うと、驚くほど安い金額だった。買い取りのための資金調達に与えられる期間は1967年の5月、と取りかわした文書には明記されていたが、その期限がすぎても、ブライアンは9月まで待つとふたりに口頭で伝えていた。彼がなぜそんな契約違反を認めたのか、とくに会社を支配できるだけの株を売ろうとしたときに認めたのかは、謎に包まれたままだ。彼が会社をどうしてもスティグウッドとショーに売るつもりでいたとしか言いようがない。ブライアンは、この計画がNEMSのスタッフや重役たちにばれて突きあげられるのをひどく恐れていたから、このことが既成事実になるまでなにも公表しなかった。

 

ピーター・ブラウン、スティーヴン・ゲインズ著「ビートルズ ラヴ・ユー・メイク 下」 小林宏明訳 61ページ 

 しかし、ブライアンには内心ひそかに恐れていることがあった。まず第一に、彼はNEMSを管理できるだけの株をロバート・スティグウッドに売りわたすという計画をまだビートルズに話していなかったから、それが明らかになったときどうなるか、ということだった。実際ビートルズ は、スティグウッドの存在すら知らなかった。第二に、彼はビートルズがしだいに不満をつのらせていることを見てとって不安になっていた。ビートルズはセルティーブとの契約の大失敗についていろいろと耳にはさむようになっていたし、ブライアンが大量のバルビツールを服用して午後5時までベッドから起きあがれないことも知りはじめていた。しかしブライアンがもっとも恐れていたのは、ほとんど誰ひとり気づいていなかったことなのだが、ビートルズとのマネジメント契約が一九六七年の秋で切れることだった。彼らが山ほどあるほかからの申し出のどれかと契約して、ブライアンを"くび"にする可能性をあなどることはできなかった。夜遅く、酔ったうえにストーンドして、ブライアンは自分がかかえている恐怖をナットと話し合った。
 起こりうる最悪の事態は、ビートルズがブライアンに払っている25パーセントの手数料を20ないし15パーセ ントに減らしてもらいたいという要求が出ることだと、ナットは考えていた。ビートルズが公演旅行に出なくなったあと、ブライアンの責任は非常に軽減されていたから、そ のような要求が出てきてもおかしくなかった。ブライアンは、ビートルズとの契約更新を討議するための会合を何度かもとうと計画し、一度ははっきりとふんぎりをつけてみんなを自分のカントリー・ハウスに集めさえしたのだが、なぜかついにその話題はもち出されなかった。マネジメント契約更新の話はしないまま、ブライアンは EMIとのレコーディング契約を再交渉した。その結果レコードの印税は、1967年の終わりにひきあげられた。 このときブライアンは、ビートルズが受け取るべきおかねをすべてNEMSに振りこませ、そのなかから自分の25パーセントの取り分をさしひくという条項を契約書に書きこんでいた。EMIとのこの契約は、9年間にわたるものだった――つまり、ブライアンのマネジメント契約が切れても丸8年間つづくことになっていた。したがって、たとえビートルズに解雇されても、ブライアンはレコードの印税をひきつづき受け取れることになっていたのだ。彼は、この条項を一度もビートルズに見せなかった。そして、腺熱を治復しているあいだに契約書にビートルズのサインをもらってくるよう、私に頼んだ。それで私は契約書をもって、リンゴとモーリンおよびジョンとシンシアがいたスペインへとんだ。当時ジョンは『私はいかにして戦争に勝ったか』に出演中だった。私はなんの質問も受けないでサインをもらい、ジョージとポールには後日ロンドンで契約書にサインしてもらった。
 ブライアンが悩むのは愚かしいことだ、と私は個人的に信じていた。彼がビートルズに忠実であったように、彼らもブライアンに忠実だったからだ。四人のなかでブライアンが恐れてしかるべきは、あからさまに彼に批判的だったポールだけだった。ジョンはロ先でブライアンの気持ちを傷つけることができたし、ジョージはよそよそしいほどブライアンに距離を置いていたけれども、ほんとうにプライアンを心配させていたのはポールだけだった。ポールはほとんど毎日、なんらかの不調を電話でブライアンに訴えていた。彼はまた、最近になってNEMSの日常業務に興味を持つようになり、オフィスに姿を装わしてはいろいろ詮索することもしばしばだった。そして、ブライアンがセルティーブとの契約でビートルズに大損させたことも、どこからか聞いて知っていた。もっとも、その金額がどのくらいにのぼるか正確にボールが知ったのは、数年後のことだった。

「ポールが知ったセルティーブとの契約」については、要約します。

ブライアンは「The Beatles」と名前がついている商品について、デイヴィット・ジェイコブズと言う弁護士に任せていました。その弁護士がを、商品を扱う別会社を作り委託して、利益の配当だけをもらうようにすればいいとブライアンに提案しました。

ブライアンは弁護士に代行権を与えました。弁護士は、商品を扱う別会社(ニッキー・バーンと5人の若者で共同経営。その1人がセルティーブ)90%、ブライアンの会社「NEMS(ネムズ)エンタープライズ 」が10%の取り分という契約を交わしてしまいました。Tシャツ・かつら・人形などを売っても、想像もつかないほどの莫大な金額を損失していることを、ブライアンはビートルズの4人に秘密にしていました。ブライアンのアシスタントである「ピーター・ブラウン」は、「この一件はブライアンの最初の大きなあやまちだった。」と書いています。その後の再契約で「NEMS」の取り分は46%に上がりましたが、それでも尚ビートルズは、自分のたちのものになりえた財産を失っていました。

一方で、NEMSのオフィスが、アメリカの商品製造会社に直接製造許可を与えて手数料をせしめるということが起こりました。NEMSが権利をだぶって所有していることを知った商品製造会社は、ニッキー・バーンの会社に大量の商品を返品しました。ニッキー・バーンは、NEMSを相手取って、賠償を求める訴えを起こしました。

そして、ニッキー・バーンの横領があり、NEMSとの窓口はセルティーブに代わりました。

ブライアンは新しい弁護士ナイザーを雇いました。(ものすごく省略しました。)

ピーター・ブラウン、スティーヴン・ゲインズ著「ビートルズ ラヴ・ユー・メイク 上」 小林宏明訳 235ページ

 セルティーブのもつれた糸をときほぐし、NEMSに対する判決債務を無効にするのに、ナイザーは2年かかった。 1967年の夏にようやく決着がついたとき、かかった費用はたったの1万ドルだった。その一万ドルは、伝えられるところによれば、ニッキー・バーンに支払われた。ビー トルズは、マキシマス・エンタプライズという商品製造会社を発足させてやりなおすことになり、権利の90パーセントを所有した。しかし、すでにもう遅すぎた――― 1億ドル以上が、彼らの手からすべり落ちてしまっていた。

 

 

ザ・マージーズ」の"Sorrow" の歌詞を訳して、びっくりしました。
ジョンとポールのメッセージが含まれているような…

"Sorrow"

Writers : Bob Feldman, Jerry Goldstein, Richard Gottehrer

Artist :  covered The Merseys

Released : 1966/04

 
www.DeepL.com/Translator(無料版)で訳し少し変えました。

[Verse 1]

With your long blonde hair and your eyes of blue
The only thing I ever get from you
Is sorrow
Sorrow

    長いブロンドの髪と青い瞳
    僕が君から得たものは

    悲しみだけ
    悲しい

 

[Verse 2]

You're actin' funny spendin' all my money
You're out there playin' your high class games
Sorrow
Sorrow

    君は僕の金をすべて使い果たした
    君は外で高級な遊びをしている
    悲しい
    悲しい
 

[Verse 3]

You never do what you know you oughta
Somethin' tells me you're the Devil's daughter
Sorrow
Sorrow

    君はやるべきことを知っているのに何ひとつしない
    たぶん君は悪魔の娘だと思う
    悲しい
    悲しい
 

[Verse 4]

I tried to fight her but I can't resist her
(I tried to find her but I can't resist her)
I never knew just how much I missed her
Sorrow
Sorrow

    僕は彼女と戦おうとしたが、彼女に抵抗できない

    (僕は彼女と戦おうとしたが、彼女に抵抗できない)
    彼女がいくら失敗したか 僕はちっとも知らなかった
    悲しい
    悲しい

 

[Verse 5]

With your long blonde hair and your eyes of blue
(With your long blonde hair and your eyes of blue)
The only thing I ever got from you (Got from you)
Was sorrow
Sorrow

    長いブロンドの髪と青い瞳
    (君の長いブロンドの髪と青い瞳で)

    僕が君から得たものは (君から得たものは)

    悲しみだけ
    悲しい

 

[Outro]

With your long blonde hair
I couldn't sleep last night
With your long blonde hair

    君の長いブロンドの髪
    昨夜は眠れなかった
    君の長いブロンドの髪

 

英辞郎より

something tells me : 何となく~だと思う、たぶん~ではないかと思う、どうやら~のようだ[みたいだ]
   例文 Something tells me that he doesn't like her. 

     彼は、彼女が嫌いな気がする。

resist : (…に) : 抵抗する、反抗する、敵対する、抵抗する、(…を)我慢する、こらえる、我慢する、耐える、影響されない

 

 

ジョージはブライアンに優しい

以下、ブライアンが友人をパティに招待した時のことが書いてあります。

日付は1967年6月とありました。

ピーター・ブラウン、スティーヴン・ゲインズ著「ビートルズ ラヴ・ユー・メイク 下」 小林宏明訳 68ページ

 

 パーティは、おとなしく進行し、さながら夢のようなものになった。予言者たちがいて、勝利者たちがバーティを管理し、おいしい食べ物とお酒と友だちがいた。《青い 影》が《サージェント・ペパー》と交互に、午後から夕方までずっとかけられていた。ただブライアンだけが、楽しみをぶちこわしてしまう問題をかかえていた。ポールがその日早くに電話してきて、どうしてもいけなくなったとパーティへの出席を断わってきたのだ。ブライアンはまえからボールのことをたいへん気に病んでいたから、LSDによって感情が高ぶり、ポールがこないことにひどくうちひしがれていた。彼は夕暮れどきに居間のなかを歩きまわり、芝居がかった恰好でピアノに寄りかかると、「ポールが……こなかった……」とつぶやいた。ブライアンの声はやわらかだった。「よりによってこの日に……絶対にきてほしかったのに……」

 そのときいっしょに部屋にいたジョンとジョージは、ブライアンが立っているところに駆け寄って彼をなぐさめた。 「元気をだせよ、ブライアン」と、ジョージは彼を抱きしめて言った。「俺たちかがいるじゃないか。俺たちだっていい友だちだし、俺たちはあんたが大好きなんだぜ!」

 

以下、ジョージがブライアン・エプスタインについて話しています。

『I・ME・MINE ジョージ・ハリスン自伝』64ページ

 ブライアンはすばらしい人だった。亡くなる少し前には、もう少しで人生の意味をれそうなところまで来ていた。それが実現していれば、またひとつ高いレベルに到達できたはずなのに。プライアンとふたり、仕事を離れて人生について真剣に語り合ったのは、亡くなる直間の一度だけだった。1967年、彼が最後に住んでいたサセックスの家を語ねたときのことだ。ブライアンはあらゆるものごとについて問い、ほくがインドで何をやっていたかを知りたがった。一生懸命話したら、とても興味を持ってくれた。

2024年2月15日追記

1966年9月14日、ジョージはパティ・ボイドと一緒に、シタール奏者「ラヴィ・シャンカール」からシータールのレッスン、ヨガを学ぶため、インドのボンベイに行っています。ロンドンに戻ってきたのは10月22日。5週間も学んでいました。その話をジョージは、ブライアン・エプスタインにしてあげたのですね。

 

 

[Outro] は別として、ジョージが書いた部分の "It's All Too Much"は、

「あまりにも多すぎだよ」と困りながらも、

ブライアンを諭したり、ブライアンに自分の思いを伝えているように聞こえ、

ジョージの愛を感じました。妄想の話ですアセアセ

 

 

"It's All Too Much" をレコーディングした日と

ジョージとブライアン・エプスタインが会った日

バリー・マイルズ著「ビートルズ・ダイアリー」松尾康治訳 より抜粋

 

1967年

5月19日(金) 

ブライアン・エプスタイン 退院。同日、《 サージェント・ペパー》を発売を記念するプレス・パーティがチャペル通りにあるブライアンのタウン・ハウスで開かれる。

 

5月20日(土) 

リンゴが午後のお茶に、ジョンとシンシア、ジョージとパティ、ブライアン・エプスタインを招待する。

 

5月25日(木) 

"It's All Too Much" をレコーディング (ド・レイン・リー・レコディーング・スタジオで)

 

 

5月28日(日) 

ビートルズは4人は、サリーのヒースフィールド近くにあるブライアン・エプスタインの新しいカントリー・ハウスのパーティに出席。

 

5月31日(水) 

"It's All Too Much" をレコーディング (ド・レイン・リー・レコディーング・スタジオで)

(「『The COMPLEATE BEATLES Recoding sessions』では、このセッションの日付に誤りがあり、5月26日となっている」と、著者のMark Lewisohn 氏が別の著書『the compleate BEATLES Chronicle 1965-1970』で言っています)

 

 

5月20日あたりに、ジョージが "It's All Too Much" の歌詞の着想を得ているといいな。

 

 

辞書

情報提供元(著作権者)Weblio英辞郎

 

all too : あまりにも~すぎる◆【用法】望ましくない状態を強調するときに用いられる。

all too : 研究社 新英和中辞典での「all too」の英訳
    残念なほど…すぎる.

float : (水上に)浮く、浮かぶ、(空中に)浮かぶ、(中空に)かかる、(水上・空中を)浮動する、漂う、広がる、流布する、(あてもなく)転々とする、流浪する

stream : 流れ、川、(特に)小川、(液体・気体などの)一定の流れ、流出、奔流、(時・思想などの)流れ、傾向、(能力別による)学級、分級

look into : 研究社 新英和中辞典での「look into」の英訳
     …をのぞき込む.

the more : (それだけ)ますます、なおさら 

go inside : 中へ入る、屋内に行く[とどまる]

more : Weblio実用英語辞典での「more」の意味

   副詞:より多く、さらに、もっと

   形容詞:より多い、より大きい、追加の

   名詞:もっと多くのこと(人、もの)、それ以上のこと(人、もの

would like to : ~したいと思う

I'd like to : ~したい;~できたらと思う

with : [包含を表わして] …をあわせて,…を含んで.

make no difference違いがない
or : または、あるいは、…か…か、…かまたは…か、…か…か…か、…も…も(ない)、…かそこら、…あたり、さもないと、すなわち