"Misery" | タコさんの庭

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ビートルズの歌詞和訳に挑戦

"Misery"

Writers :credited Lennon-McCartney  ( by John Lennon and Paul McCartney) 

Artist : The Beatles

Recorded : Monday,1963/02/11, EMI Studios

Released : Friday,1963/03/22(UK)「Please Please Me」A面 2曲目

      Monday,1963/07/22(US)「Introducing... The Beatles」A面 2曲目

2009/09/09   「 Please Please Me」 [Remastered]

2013/11/11 「The Beatles on Air Live at BBC Volume2」Disc1

                       1963年3月6日録音 1963年3月12日放送『Here We Go』

 

   <歌詞和訳>"Misery"  邦題 "ミズリー"

         不幸だ

[Intro]

The world is treating me bad, misery

            世の中は 僕にひどい仕打ちをし続ける 不幸だ

 

[Verse 1]

I'm the kind of guy who never used to cry

The world is treating me bad, misery

    僕は 前は絶対に泣かないタイプの男だった

    世の中は 僕にひどい仕打ちをし続ける 不幸だ

 

[Verse 2]

I've lost her now for sure

I won't see her no more

It's gonna be a drag, misery

    僕が彼女を失ってしまったのは 今は確かなこと

    僕は死んでいる彼女には会えない

    これからは 退屈になるだろう 不幸だ

 

[Bridge 1]

I'll remember all the little things we've done

Can't she see

She'll always be the only one, only one

    僕らがやった その子供じみた出来事すべてを 僕は忘れはしないだろう

    彼女は 確かめる事ができない

    彼女は いつまでも たった一人の最適な人になっただろうに  

 

[Verse 3]

Send her back to me

'cos everyone can see

Without her I will be in misery 

    彼女を僕のもとへ届けて

    なぜって みんなわかるだろ 

    彼女がいなければ 僕は悲しくなる 

 

[Bridge 2]

I'll remember all the little things we've done

She'll remember

And she'll miss her only one, lonely one

    僕らがやった その子供じみた出来事すべてを 僕は忘れない

    彼女も思い出しているだろう

    そして彼女のたった一人の 淋しがり屋の僕がいないのを惜しんでいるだろう

 

[Verse 4]

Send her back to me 

'cos everyone can see

Without her I will be in misery

Oh in misery

Ooh my misery

    彼女を僕のもとへ届けて

    なぜって みんなわかるだろ  

    彼女がいなければ 僕は悲しくなる

    Oh 悲しくて 

    Ooh 僕の不幸

 

 

情報提供元(著作権者)Weblio、英辞郎

world : 可算名詞 (個人の見たり活動したりする場としての)世界,世間

world : 世界、地球、(地球上にある)地域、天地、宇宙、万物、世界の人、全人類、(渡る)世間、世の中

treat : (…に)待遇する、取り扱う、(…を)(…と)みなす、(考えのうえで)扱う、(…に)論じる、扱う、述べる、(…で)治療する、手当てする、治療する

bad : 名詞 悪い[正しくない]行為[行動]

       不快な[不十分な]もの[こと]

       《the ~》〔集合的〕悪人

    副詞 〈話〉とても、ひどく

        例文 I want to know so bad. : 知りたくて仕方ない。

           I want this and I want it bad. 

                                これが欲しくて欲しくてたまらない。

           これ、喉から手が出るくらい欲しい。

           欲しいったら欲しいんだってば。

        〈話〉まずく、悪く◆【同】badly

    名詞不可算名詞 [the bad] 悪いこと,悪; 悪い状態,悪運treat someone bad : (人)にひどい仕打ちをする
   【表現パターン】treat someone bad [badly]

misery :  みじめさ、悲惨、(精神的・肉体的な)苦痛、苦しみ、苦悩、(数々の)苦難、不幸、不平家、ぐちを言う人

kind of : ほとんど、大体、やや、どちらかと言えば 

     《a ~》~のような類いの人[もの]

guy : 〈話〉やつ、

    〈米〉人々、あなたたち◆通例複数形guysで用いられる。話し相手の集団が男女混合であっても、女性だけであっても使われる。

    〈米〉何とかいうもの、こいつ◆

never used to :  昔[以前]は決して~しないのが常だった、昔[以前]は絶対に~しなかった

lost : (うっかりして一時的に)失う、なくす、置き忘れる、遺失する、(…を)(事故などで永久に)失う、(…を)(維持できず)失う、見失う、迷う、道に迷う、途方に暮れる

for sure : 確かに、確かなこととして、きっと、確かで、そのとおりで

no more : それ以上…しない、死んで、…もまた…でない
gonna : [going to のなまった形]going to...するつもりだ;これから...する

a drag : (a ~))((俗))退屈なもの[人],うんざりさせるもの[人];((英口))退屈な長旅, 

will : [主語の意志を表わして]
[願望・主張; 固執・拒絶などを示して] (…しようと)欲する,(あくまでも)…しようとする.

例文

 Let him do what he wíll. 彼のしたいということをさせなさい 《★will do の略》
 Come whenever you wíll. 来たい時はいつでも来なさい 《★will come の略》
 You wíll have your own way. 君は我を張ってきかない.
 He wòn't consent. 彼はどうしてもうんと言わない.
 This door wòn't open. このドアはなかなか[どうしても]あかない.

little : (形状・規模の)小さい、(小さくて)かわいらしい、若い、年少の、つまらない、子供じみた、けちな、卑劣な、重要でない人々、短い

thing : [複数形で]物事,事物.

remember :  思い出す、(…を)思い出す、思い起こす、(…を)覚えている、記憶している、(…を)覚えておく、心に留めておく、覚えている、忘れずにする、(…に)よろしくと言う
see : 確かめる,調べる

always : 常に、いつでも、しょっちゅう、いつまでも、永久に 

only :  唯一の、ただ…だけの、無比の、最適の、たった一人の, 

only one : たった一つの;たった一人の、ただ一つの
send :  送る、届ける、発信する、打つ、(…に)送る、発送する、出す、(命令・依頼などによって)行かせる、行かせる、派遣する

back : もとへ,もとの場所[状態]へ; 戻って,逆戻りして,戻して.

'cos : 《口語》 =because.

because : なぜならば、~だから、~なので、~という理由で、なぜなら、なぜかと言うと、(~した)ばかりに

everyone : だれもみな 

see : 〈人に〉会う,面会する.

see : わかる,理解する.
without : …がなく、…なしに、…がなければ、…せずに、…することなく、…の外(そと)に

remember : 思い出す、(…を)思い出す、思い起こす、(…を)覚えている、記憶している、(…を)覚えておく、心に留めておく、覚えている、忘れずにする、(…に)よろしくと言う

miss :〈…が〉ない[いない]のを惜しむ,ない[いない]ので寂しく思う[困る].

lonely :  孤独な、ひとりぼっちの、(孤独のために)寂しい、心細い、

one :  [わざと気取った言い方で] 自分,

in misery : 悲しくて、悲惨で、惨めで

Oh : 間投詞 おお,おや,ああ,まあ,ねえ(驚き・喜び・悲しみ・苦痛・非難・呼びかけなどを表す)

Ooh : おおっ,うわあ(驚き・喜び・不快などを表す)

 

 

????

 

 

上のサイトの歌詞には、[Verse 4]の最後のラインは、「Oh in misery. Oh in misery」とあるのですが、明らかに「Oh in misery. Ooh my misery」と聴こえるので、それで訳しました。

 

「I」はジョンで、「She」は亡くなったジョンの母ジュリアだと思いました。

ジョンの母ジュリアは、1958年7月15日、非番の警察官が運転する車にはねられて亡くなりました。(ジョン17才の時)

 

[Intro]

The world is treating me bad, misery

            世の中は 僕にひどい仕打ちをし続ける 不幸だ

 

misery」の訳ですが、最初は「みじめだよ」と訳していました。でも、以下のジョンのメッセージをみつけ、「不幸だ」に変更しました。

ジュリアがジョンに「happiness was the key to life」と話していました。

When I was 5 years old, my mother always told me that happiness was the key to life. When I went to school, they asked me what I wanted to be when I grew up. I wrote down ‘happy’. They told me I didn’t understand the assignment, and I told them they didn’t understand life.”

僕が五歳の時、僕の母は 幸せが人生の鍵だと いつも教えてくれた。学校に通うと、彼らは大きくなったら何になりたいかと聞いた。私は「幸せ」と書いた。彼らは私がその課題を理解して

いないと言い、私は彼らにあなた達は人生を理解していないと言った。

– ジョン・レノン

happiness」(幸せ)と反対の意味の「不幸」が、「misery」にあったので「不幸だ」に変更しました。母ジュリアに教わった言葉「Happiness was the key to life」と正反対の状態にいる自分の状態を "Misery" で歌ったのではないかと思いました。

 

そして、"Misery"で「misery」(不幸)だったジョンが、"Ask Me Why" の歌で不幸でなくなり幸せになるのだと思いました。

"Ask Me Why" の [Bridge]

I can't believe it's happened to me

I can't conceive of anymore misery

    こんな事が僕に起こったなんて信じられない

    今は 不幸でないなんて考えられない

 

 

[Bridge 1]

I'll remember all the little things we've done

Can't she see

She'll always be the only one, only one

    僕らがやった その子供じみた出来事すべてを 僕は忘れない

    彼女は 確かめる事ができない

    彼女は いつまでも たった一人の最適な人になっただろうに  

 

I'll remember all the little things we've done

(僕らがやった その子供じみた出来事すべてを 僕は忘れはしないだろう)

の「all the little things」(その子供じみた出来事すべてを)は、

 

ジョンは、母ジュリアの姉ミミのもとで育ちました。

ミミ叔母さんはジョンを愛していましたが、甘やかすのはためにならないと、ジョンを厳しく育てました。でも、ミミ叔母さんの夫ジョージ伯父さんは優しくて、ねだるジョンにお小遣いをあげたり、映画館に行くのを許してあげました。1953年6月(ジョン12才)の時、ジョージ伯父さんは亡くなりましたが、悲しみをどう表現すればよいか、わらなかったジョンは自分の部屋に隠れました。ジョージ伯父さんが亡くなって数か月後に、母ジュリアが突然、ジョンの目の前に現れました。ミミ叔母さんが厳格であったのに対し、ジュリアはジョンとよく似たユーモアセンスがあり、魅力的な女性でした。ジョンは、ジュリアの事を知れば知るほど好きになり、母と言うより親友で、ジョンは友達に得意になって話しました。そして、ふたりはお互いに新しいいたずらを思いつき合った。ジュリアは、ジョンや友達を笑わすために、ある時は自分の下着をスカーフのように頭に巻き付けて通りを歩いたり、ある時はレンズの入っていないメガネをかけて、通りすがりの人に時間を尋ねながら、フレームの中に手をつっこんで眉毛をかいたりしました。ジョンや友人のピート・ショットンは身もだえして笑いころげました。

ジョンとジュリアは、そんないたずらを考え合っていたのです。

ジョンは、その事を「all the little things we've done」(その子供じみた出来事すべてを)と、歌ったのだと思いました??

 

Can't she see. She'll always be the only one, only one

(彼女は 確かめる事ができない、彼女は いつまでも たった一人の最適な人になっただろうに )

は、

「ジュリアは死んでしまったから、僕にとって、たった一人の最も理解ある人になったはずなのに、それをジュリアは確かめることができない」と歌っていると思いました??

胸が苦しくなりますね。

 

 

[Verse 4]

Send her back to me 

'cos everyone can see

Without her I will be in misery

Oh in misery. Ooh my misery

    彼女を僕のもとへ届けて

    なぜって みんなわかるだろ  

    彼女がいなければ 僕は悲しくなる

    あぁ 悲しくて  あぁ 僕の不幸

 

 

[Bridge 2]

I'll remember all the little things we've done

She'll remember

And she'll miss her only one, lonely one

    僕らがやった その子供じみた出来事すべてを 僕は忘れない

    彼女も思い出しているだろう

    そして彼女のたった一人の 淋しがり屋の僕がいないのを惜しんでいるだろう

 

She'll remember. And she'll miss her only one, lonely one

(彼女も思い出しているだろう、そして彼女のたった一人の 淋しがり屋の僕がいないのを惜しんでいるだろう) は、

亡くなったジュリアが生きているように表現して、たった一人の息子、ひとりぼっちで淋しい僕がいないのを悔やみながら、思い出しているだろうと歌っていると思いましたタラー

[Bridge 1]では、ジョンがジュリアを思い出し、

[Bridge 2]では、亡くなったジュリアがジョンを思い出している。

ジョンとポールで、素敵な詩を書きましたね。

 

 

母への想い ジョンとポール

ポールは、"Love me do"で母を想い、ジョンは、"Misery"で母を想っています。

ジョンとポールが、母を亡くした悲しみを埋めるように色々な曲を作り合い、二人の絆が深まっていった事が想像できます。

 

アルバム「Please Please Me」のA面曲順

"Misery"(2曲目)で失意のどん底にいたジョンが、"Ask Me Why"(6曲目)でシンシアと付き合い??悲しみを乗り越え、"Please Please Me"(7曲目)で、シンシアの愛を求める??

ストーリーがありますね。

すべて妄想ですが…。

 

[Outro] "Little Darlin"

ライム・ライリー著 岡山徹訳の「ビートルズ全曲解説」、72ページに

ジョンのばからしいうめき声が、だんだん人を食った例の「ラ、ラ、ラ」に変わっていき、最後で「ミズリー(みじめ)」を繰り返すところにいたってはウィンクしているようなおかしさを誘う。クリストゴウとピッカレッラは「かわいい、あの子(リトルダーリン)の部分を指摘しているが…(略)

とありました。どういう意味だと思い,、spotifyで検索すると、[Verse 4]のあとの「ララララララ」が、"Little Darlin"という曲のワンフレーズだった事がわかりました。

 

It was written by Maurice Williams with both melody and doo-wop accompaniment strongly emphasizing the clave rhythm. It was first recorded by Excello Records in January 1957 and quickly released as a rhythm-and-blues song by Williams' R&B group, the Gladiolas.

翻訳機能を使っての和訳です。

「それはモーリス・ウィリアムズによって書かれ、メロディーとドゥーワップの伴奏の両方がクラーベのリズムを強く強調しています。 1957 年 1 月に Excello Records によって最初に録音され、すぐにウィリアムズの R&B グループである Gladiolas によってリズム アンド ブルースの曲としてリリースされました。」

 

そして、「The Diamonds」にカバーされリリースされたは、1957年8月です。

"Little Darlin'"

Single by The Diamonds

from the album America's Favorite Song Stylists

B-side "Faithful and True"

Released February 8, 1957

ジョンの母ジュリアが亡くなったのは1958年7月15日なので、ジョンはジュリアと一緒に

"Little Darlin"を歌ったのかしらと妄想しました??キラキラ

 

「ザ・ダイヤモンズ」歌詞と和訳が付いている You Tube のリンク張っておきます。

ビートルズが、聴いていたかもと思うとワクワクしましたハート

歌詞は「愛しいあなた、ああ今どこにいるの?」と歌っているので、

亡くなった母を思う"Misery"(妄想です)の最後で、歌うのもおかしくはないと思いましたが、"Little Darlin'"は「二つの愛を試していた僕が悪かった」とも歌っている気もしますアセアセ

 

 

 

「A quarrymen original」

"Misery"の [Outro]の「ララララララ」も、

「A quarrymen original」なのかもしれませんね。

 

"Two of Us"の投稿で、映画「ザ・ビートルズGet Back」に映る "Two of Us" の手書きの歌詞の最後に書いてあった「A quarrymen original」。

私は、『歌詞が一度終わり、間をおいてからの即興的なアドリブの事を、ビートルズは「A quarry men original」と呼んでいたのではないか』と書きましたが、それはブレイクのあとだけに限らない事かもしれません。

 

"Misery" の和訳に迷い、「ビートルズ全曲解説」テイム・ライリー著 岡山徹訳を読んでいました。

60ページ

……ということはつまり、アドリブの一部はどうしても犠牲にせざるをえなかったということだ。

エプスタインがキャヴァーンのステージにてこいれした瞬間から、よくも、(ジョンもほのめかしている通り)悪くも、彼らは事実上レコーディング向けのバンドだった。普通、観客の前に立ったら、あの部分に色を添え、この部分に色をつけて、というのが普通だが、そうするかわりに、たとえばジョージはギター・ソロをとるたびごとに、まえの晩やったのとまったくおなじ音をつかって弾きはじめた。ハーモニーもソロもドラムのおかずもイントロもブレークも、あらかじめ決められた動きに沿って行なわれるようになり、ついにはそれが癖になった。

とありました。

 

 

「ビートルズ ラヴ・ユー・メイク」

2月初めに、ピーター・ブラウン、スティーヴン・ゲインズ著 小林宏明訳 の

「ビートルズ ラヴ・ユー・メイク」を購入し、本は嫌いなのですがあっという間に読んでしまいました。「ビートルズ ラヴ・ユー・メイク」の本も歌詞和訳に、とても参考になっていると思います。

[Bridge 1]のジョンとジュリアのいたずらの話は、「ビートルズ ラヴ・ユー・メイク」から、まとめさせていただきました。

 

 

ジョージ・マーチン

ピアノは、プロデューサーのジョージ・マーチンが弾いているそうです。力強い音ですね音符キラキラ

 

 

2023年3月6日再投稿。