ベーシストとエフェクター -10ページ目

WARWICK Thumb Bass 6st Fretless その2

THUMB_with_GK3B_2


自分がメインとして使っているベースは現在、


・ROSCOE SKB3006
・WARWICK Thumb Bass 6st Fretless
・YAMAHA SLB200


の3本で、本来はフレッテッドエレキがメインなのですが、最近、どうしてもサムフレットレスばかり弾いてしまいます。サムベースのフレットレスというのは、すごい魔力があって、弾いているだけで本当に幸せになれる、そんな音を出してくれます。自分がベースの練習をするのは、だいたい週末の21時から22時半ころまで。昨日はたまたま自分の好きな女優が出てる映画(ミラ・ジョヴォヴィッチが出てた)をTVでやってたのでほんのちょっとしか練習できませんでしたが・・・


いつもの手順はこんな感じです。キャビにかけてある大判のバスタオル2枚(カバーをかけておかないとキャビ本体やスピーカーがホコリだらけになって大変なのでいつもバスタオルをかけてます)を取り、次にWALTER WOODSをハードケースから引っぱり出してキャビの上に設置し、スピーカーケーブルを接続、アンプの電源を入れる。その次は、エフェクトボード(V-BASS)をキャビの裏から引っぱり出して床に置き、フタをあけて電源投入後、ボートのoutをアンプに接続。その後、ROSCOE、サム、SLB200を順番にケースから出して、スタンドに置く。で、以前は大抵ROSCOEに手を伸ばし、場合によってはROSCOEだけで終わって、他のベースはそのまましまう、という場合も多くありました。ただ、最近はこれが、サムに先に手が伸び、そのままサムを弾いただけで終わってしまう、というパタンになってます。


以前にもご紹介しました通り、このサムは2003年製で、ブビンガボディ+オヴァンコールネック+エボニー指板の現行仕様です。フレッテッドであったオリジナル状態は、以前のウェンジネック&指板のそれと比較すると、やはりかなり現代的でソフィスティケイトされた印象でした。もちろんこれが悪い訳ではなく、サムベースの正常進化の賜物なのですが、フレッテッドならもっとしっくり来るベースがある(ROSCOEなど)ということで、フレットレス化+AGUILARプリアンプ搭載となった訳です。返す返すも、このリペアの選択が大当たりだったことをしみじみと感じています。弦はKEN SMITHのフラットワウンド弦。張り立て当初は、強い金属音があり、これが落ち着かない場合はいっそラウンド弦の方が良いかなとも思ってましたが、張ってから3ヶ月ほど過ぎて、とても良い感じに落ち着いてきました。張ってから半年してもなかなか落ち着かないウッドベースの弦と比較すると早く落ち着きました。かといって普通のエレベ弦のように「死んだ」という状態ではなく、自分としては、かなり評価が高い弦です。


極論すると、フレットレスサウンドの要は中域と高域だと思います。そういう意味で、このサムのフレットレスは、自分が望む要素を全て持っています。中域に関しては、サウンドの厚みとキャラクターを構成する最重要な部分だとの認識です。フレットレスの場合は、元来サウンドがやわらかいので、ローで厚みを出そうとすると音像がぼやけてしまいます。だからミッドで厚みがちゃんとでることが重要だと思うのです。また、キャラクターに関しては言わずもがなで、サムベースの珠のようなツブ立ちの良い音が、そのままフレットレスサウンドとして出てきます。これについては、サム6弦の材構成・PU配置・AGUILARプリもさることながら、SMITHの弦も大きく作用している気がします。高域に関しては、やわらかいフレットレスのサウンドキャラクターを持ちながらも、輪郭をはっきりと聴かせないといけないし、だからといってあまりトゲトゲしくなってもいけない、という二律背反を克服する難しさがあります。これについても、このサムはパーフェクトで、オヴァンコールネックとエボニー指板という、ウェンジよりもハイミッド~ハイが出やすいと言われる材の効用が大きいのではないかと考えています。以前、ウェンジネックのサムフレットレスを弾いたことがありますが、フレッテッドだと最高と思えた珠のような音が、フレットレスだとどうしても甘すぎて、前に出てこない音になってしまう印象がありました。その問題を現行仕様のサムは見事にクリアしています。従い、フレットレス仕様であることを前提にすると、オヴァンコールネック+エボニー指板・スルーネックというコンストラクションが大成功していると思う訳です。


ということで、サムフレットレスばかり弾いてますが、自称スラッパーとしては、このままではスラップの腕がなまるのがコワイので、ROSCOEもちゃんと弾かないと・・・

スピーカーキャビネット:AGUILAR GS210

AGUILAR_GS210


アンプの方ばかりに話が行ってしまっていたので、キャビの話もしてみたいと思います。基本的にライブをやる場合は、設備が全くないホールとか、PAを使わないアコースティックスタイルでやるときとか、あまりにしょぼいキャビしかなくて気持ちよく演奏できない、という場合を除いてキャビまで持っていこうとは思いません。なので、PAレスライブ自宅練習用にしか使いません。従って、それほどこだわらなくてもいいかなと思ってたのですが、ライブよりも練習でベースを弾く時間の方が圧倒的に長いので、せっかくだからいつも気持ちよく練習したい、というのと、せっかくWALTER WOODSを使っているので、ということで最近はキャビにももっとこだわろうかな、と思い始めています。いま使っているキャビは AGUILAR GS210 です。specを並べると、ざっとこんな感じです。


定格入力    :350ワット
周波数特性 :42Hz-16KHz
感度 :102dB
ドライバー構成:10"ダイキャストフレーム・ウーファーx2
         フェノリックツイーター×1
         ツイーターレベル付
インピーダンス :8オーム
サイズ     :46.4cm×57.1cm×42.2cm
重量      :28Kgくらい(カタログ値37kgとありますが、明らかに誤植です)


このキャビは本当に良くできています。再生帯域については、上も下も、可聴範囲を考えると無駄のない設定になっていて、本来は AGUILAR DB359 とのマッチングを考えてのチョイスですが、WALTER WOODSを鳴らしても、全く音(ね)を上げることなくバッチリ追随してきます。特に特筆すべきと思うのは、10インチでもボトムの不足を全く感じないことと、ツィーターの出音がナチュラルでわざとらしさがない点でしょうか。2年ほど前にSWRの10インチ2発のキャビをしばらく使っていたことがありますが、ボトムが薄くて不満を覚えた記憶があります(一方、トップエンドは全く不満なし)が、この点でGS210は全く問題ありません。


ロスコーサムベースなどの6弦エレキベースサウンド、SLB200のアコースティックサウンドもこなすし、WALTER WOODSとの相性も抜群、サウンド面での不満は全くありません。ただ、いまのキャビの使途だけを考えるとちょっとオーバースペックなんですね・・・ オーバースペックでも悪いことは何もないのですが、唯一気に食わないのが「重量」です。40kg前後のフルサイズキャビを使っていた時と比べると比較にならないほど楽ではありますが、もうちょっと軽いのがほすぃ。そうは言ってもPAレスの時に、10インチ一発だとちょっと不安なので、ただいま12インチ一発あたりを物色中です。

WALTER WOODS M-300 その後

walter_woods_m300_2


入手してから早3ヶ月が過ぎようとしている WALTER WOODS M-300、まだステージ等で使う機会には恵まれていませんが、練習で3ヶ月使ってきて、徐々にではありますがその素性が見えてまいりました。従来の一般的なアンプと比べると、やはりその「ありのまま」の再生能力の高さを改めて思い知らされます。


サウンド面は、イメージとしては(実態は当然違うと思うのですが)アンプラグドで楽器を弾いているときと同じ音が、そのままアンプで増幅されてスピーカーから出てきている音、と表現するのが一番伝わるような気がします。フレットレスベースの場合、もっともその傾向が顕著に現れると思います。弦を弾いて、弾き始めから減衰に至るまでの弦と指板の物理的な作用による「プワーン」という特徴的なフレットレスサウンド。良く出来ているフレットレスベースであればあるほど、アンプラグド状態で弾いた時になんとも言えない良い音が出てきて、アンプで増幅した際もこの微妙なニュアンスを余すところなく再生したいという思いに駆られます。ところが、その辺にころがっているアンプ(表現が不適切ですが)を使うと、どうもそのニュアンスや雰囲気までは思ったように再生されず、不満が出ることがあります。


一方、極論すると楽器本来のサウンドは最終的に音波になる以上、アンプラグド状態で出ている音がその楽器本来のサウンドであり、いくらピックアップやプリアンプが良くても、本質的には楽器本来のサウンドを越える「良い音」を作ることはできないと思っています。作ったとしても、それは人工的なものであり、意図して人工的な音を求める場合を除き、楽器のファンダメンタルズを越えることはできない。従って、PUも、プリアンプもシールドもアンプもスピーカーも、その本来の音をどれだけ劣化させず音波に置換するかといことを最大のミッションとして課せられた部品であると思う訳です。そういう意味で、本当に良い音を出す楽器である場合、その辺にころがっているアンプやシールドではパートナーとして役不足ということも起き得ると思うのです。


そこでWALTER WOODSを使うと、「楽器本来の音を、素直にありのままに再生する」というその本質を本当に強く感じます。フレットレス特有のサウンドのみならず、フレッテッドベースのスラップサウンドも、弦がフレットに当たって出ている音だということを再認識できるくらいに生々しいし、ポジションチェンジの時の指と弦の摩擦音もサウンドを構成する要素の1つであることを実感します。逆に、良く言われるように、ダメなものはダメなりに、そのまま出音になってしまうという怖さもあります。W/Wのレビューや製品紹介で、この意見は良く耳にしますし、同じことしか言えない自分の不甲斐なさを改めて感じる次第ですが、3ヶ月実際に使ってみると、コワイくらい、これがホントなんだと痛感します。本当に優秀なアンプであると同時に、とても怖いアンプでもあります。

dbx MC6 Mini-Comp

dbx_MC6


dbxが90年代にリリースした小型のコンプレッサーです。もともとdbxコンプの名を世に知らしめたのは、現在でも愛用者の多いdbx160シリーズだと思いますが、その性能をそのままに小型化したものが、この dbx MC6 Mini-Comp です。コントロールは左右共通ですがステレオ仕様になっており、マスターコンプとしても使用可能となっています。電源はACで9.75v、アダプターからその電圧が本当に出ているかは甚だ疑問ですがDCではなくACでもあり、他のエフェクトとの電源統一は難しいです。また、ラック型ではなく小型化したからだと思いますが、なぜかベルトなどに取り付けるためのクリップまで付いています。どこにつけるためのものかは定かではありませんが、持ち歩く人はあまりいないと思うのですが・・・


機能的には、threshold、ratio、attack、release、gainのスライド調整式になっていて、マニュアル等を見ずに感覚的に操作しても、ちゃんとイメージに近付けていくことができます。それ以外には、overeasyモードがあり、thresholdの設定値を越えて圧縮がかかり始める際の効果を直線的にするか、緩やかにかけるかを選択することができます。FMR audioにもLogRelスイッチというのがありますが、効果としてはそれに近いものだと思います。次にautoモードがあり、これを選択すると読んで字のごとくautoでコンプをかけることができます。ただ、このautoモードはどちらかというとマスターコンプ的な味付けが施されており、アタックタイムが短すぎて迫力に欠けるので基本的にはマニュアルモードで使います。あとは、インプットセレクターとしてvocal/instがある程度で、シンプルで必要充分、余分なコントロールはない、という潔い仕様です。


160Xもかなり前に使っていたことがありますが、自分の耳の記憶を辿る限りに於いては160XとMC6はサウンド的にはほぼ同等です。回路等まで比較している訳ではないので正確な比較ではありませんが、160Xの中身が結構スカスカだったことを考えると、部分的な代替部品の使用はあるにせよ、基本的な仕様は本当に変わらないのかも知れません。また、160シリーズでは、米国以外で製造したモデルもありますが、MC6はmade in USA。スライドノブを操作するだけで、本体ごと動いてしまう筐体のショボさは現実主義の産物でご愛嬌として、機能と中身は本格派です。


で、肝心の音ですが、いまだに他の最新コンプと比較しても全く遜色のない王道コンプであると言えます。低音を全くスポイルせず、ダイナミックレンジは管理下に置くけどダイナミック感は逆に増幅させる、そんなコンプです。設定次第でEBS multicompのようなアタックを丸めて立たせる音も出せるし、dynacompのように歪みっぽくすることもできるし、バイパスして初めて使っていたのがわかるようなマスターコンプ的な使い方も可能です。欠点としては、ピーク検出回路のせいか、thresholdを大きく越えた入力があると(特にスラップのプル時に)設定レベルまで圧縮する過程が滑らかに連続しておらず若干の不自然さがある点ですが十分許容範囲だと思います。設定によってはチューブっぽい艶感も演出でるし、ベース用としては最良のコンプの1つだと思います。自分のは99年モデルで現在は既に製造終了していますが、中古市場だと1万円台半ばで入手できると思うので、見つけたら是非トライしてみて下さい。比較的強めの圧縮&長めのアタックタイム、がオススメです。

サッカーはスポーツか、アートか

NIKE_oldball


最近ホントに仕事仕事で、なかなかスタジアムに観戦にいけない状態が続いてますが、TVだけは、ビデオをとってでも極力観るようにしてます。あと、カラダが感覚を忘れないように週末には短時間でもリフティングなどでボールを触るようしてます。やっぱり楽しいし、エキサイトします。(写真は、自分がお世話になったぼろぼろのナイキのボールです。もう穴が空いて使えません。)


で、この前(もう頭のなかがぐちゃぐちゃになってて、チャンピオンズリーグだかリーガESPだか忘れました)TVで観たロナウジーニョのマジックにまたまたエキサイトしました。相手DFが束になってかかって来る中、胸トラップでやわらかくボールを止め、リフティングをしながらDFの間を縫って左サイドを前進、挙句の果てには自分の背後にボールを落として後ろ足でヒールキック、ノールックで中央の味方にパス。相手DFはその間、面白いように翻弄され、完全に粘土細工と化していた。彼らしい、トリッキーでエンターテイメント性に富んだプレイだった。


そこでもう1つ思い出したのは、2つ前のクラシコ(レアルホームだったかな)、バルサvsレアルの、まるでデジャヴのようなロナウジーニョの2ゴール。いずれも、3-4人のDFをあっけなくかわしてゴールを決めたが、観ている限りではDFを「かわした」という印象はなく、むしろロナウジーニョの進路上でDFが「勝手に固まってた」という印象であった。あまりのすごさに、敵側のレアルサポーターが彼に対してスタンディングオベーションで応える場面が何度もTV放映されていたので、ご覧になった方も多いと思う。


もう1つ言えば、昨年のプレーで、相手DFがロナウジーニョの前にスライディングで倒れこんできて、何をするかと思えば、ボールにつま先を触れたと思った瞬間、見た目には足首を動かしたようには全く見えないのに、なぜかボールがふわっと宙に浮いてDFの上を飛び越えてしまった場面。まるで磁石が反発するかのように、ボールに反重力が作用したようにしか見えなかった、マジカルプレイだった。


こうして自分の中で反芻すると、自分がなぜサッカーに魅かれるのか、なぜロナウジーニョのプレイに魅かれるのか、あるいはインザーギ、マラドーナ、エムボマ、レオナルド、小野のプレイに・・・ どうも、自分はサッカーをスポーツというよりは、アートのように思っているフシがあるような気がします。常に、エキサイティングなアートを展開するプレイヤーが現れるのを待ち、ひたすら90分観戦する。


11人+11人、合計22人が、各チームで戦術を共有しつつ、一方では、それぞれの頭脳で別個のことを考えて動き、あるいは脊髄で瞬発的に反応したりする。この複雑系からつむぎ出されるプレイは、正にアートだと思う訳です。でも、因数分解していくと、スポーツとは、最終的には人間の1つ1つの細胞レベルの動きの複雑系なのであり、そういう意味では、サッカーに限らず、スポーツとは元来アートであり、サッカーがスポーツかアートかという議論は意味がないと言うことなのでしょうか。真理は分かりません。でも1つだけ絶対の自信を持って言えることは、自分はサッカーもベースも大好きだ、ということです。

Keeley 4 Knob Compressor

board20060501


久しぶりにエフェクターのreviewです。今回は先日入手したばかりの4ノブバーションの新型キーリーコンプレッサー、Keeley 4 Knob Compressorです。現在、我が家の数多の優秀なコンプを押しのけて、ボードに鎮座しています。(小さいですが、V-BASSとボリュームペダルの間にある、ボード右側上方のシルバーのエフェクターがKeeleyです。)


Keeley Compressorは、すごく評判がよかったこともあり、2年以上前にも一度試したことがあります。試したのはoriginalの2ノブのタイプです。当時の印象は「ベースには向かない」というものでした。サウンド自体はCS系コンプの流れを汲むもので、キレイさとダーティーさを併せ持つ傾向、個人的には好きなサウンド傾向でした。ところが、当時のKeeley Compはsustainと出力levelの調節しかできず、ベースのような出力の高いソースをつなぐと、すぐにオーバーロードしてしまい、しかもその歪みがdynacompのような、これはこれでいいかな、と思える性質のものではありませんでした。また、ギターユースに振った形でセッティングされていたためか、attackが必要以上に抑え込まれてしまっていて、ベースらしさの源泉である明瞭なアタック感が消されてしまう傾向がありました。結果として、残念ながら手放してしまったという経緯があります。


ところが、ここはハンドメイドブランドらしく、おそらくは外部の多くの声を反映させながら、この2-3年で大きく進化しました。現在のものは①sustainと②出力levelに加えて、念願の③入力gain(Trim:Input Sensitivity)と④アタックがコントロールできるようになっています。この4つのコントロールのうち、①②のみを外部コントロールとして③④を内部トリムで調整できるものがノーマル(以前は①②しかコントロールできなかった)、①②③を外だししたのがプラス、そして①②③④全てのコントロールを外部ノブで出来るようにしたものがこの4 Knob Compressorです。


結論から言うと、自分がコンプに求めるものの理想に近い形の1だと言える仕上がりです。まず、入力gainの調整ができるので、不要に歪むことがありません。加えてこの入力gainの特徴は、gainによってサウンド傾向を意図的にコントロールできる点です。低めに設定するとキレイめの印象になり、高めに設定するとダーティーな感じ、通常レベルに設定するとニュートラルな印象になります。次にattackを調整できることにより、スラップやピック弾きの際に、アタックを必要以上に抑え込むことなくパワー感を演出することができます。そして入力gainレベルとsustainレベルのバランスによって、パリパリ→ゴリゴリ→ブリブリという風に、異なったコンプ感を演出することができます。dbxFMR audio等でも同じようなことができますが、これらの場合はどちらかというと高い圧縮感でも「パッツン」という風に破綻させずにキレイに抑え込む印象がありますが、Keeleyの場合はもう少しトンがって暴れた印象になります。


キレイ系コンプの代表Keeleyにしては意外かも知れませんが、これがKeeleyの新型コンプに自分が持った印象であり、同時にとても気に入ったポイントでもあります。

THUMB BASS 6st FL + GK-3B

THUMB_with_GK3B


以前お話した通り、サムベース6弦の場合、ブリッジとリアPUの間隔が狭いところだと4mm程度しかなく、GK-PUの取り付けが物理的にできません。ただ、これはメーカー推奨値である「PU設置はブリッジから最長50mm以内」という制約を前提としたもの。そこで、フロントPUとリアPUの間に設置したらどうなるんだろうと考えていたところ、たまたまGK-PUを安く手に入れる機会があったので、ダメモトと思いトライしてみました。そしたら、ちゃんと鳴りました! めでたいめでたい。


ただ、問題がない訳ではありません。1つめは、レイテンシーの問題。GK-PUは聞くところでは、弦を弾いたときの弦の反復運動を読み取り、その速度と幅、振動数(他にもいろいろな情報を読みとっていると思いますが)の組み合わせで音程や音色、倍音成分を再構築しているようです。で、ブリッジとPUの間隔があけばあくほど、同じ振動数でも弦の振れ幅は大きくなります。発音は音程情報が獲得できない限りはできないはずなので、おそらくはブリッジとPUの距離が遠い分、発音が遅れているのではないかと推察する次第です。このサムベースの場合、ブリッジとPUの距離は6弦(低音側)で6cm、1弦(高音側)で7cmで、振れ幅がより大きい低音弦側がよりブリッジに近いのがせめてもの救いで、推奨値からばだいぶ外れています。それでも、実用上は全く問題のない範囲に収まっていると思います。源音にピアノ系やストリングス系をミックスして使う分には全くと言って良いほど問題はありませんし、源音なしのシンセベース音でも、このレイテンシーがあることを意識していれば、充分に手元でカバーできる範囲だと思います。


2つめは、サムベースフレットレスの個体特有の問題。サムの6弦は、弦とボディのスペースが狭く(その分、スラップはやりやすい)、加えて自分のサムはフレットレスにしてよりスペースが狭くなり、オマケにフレットレス特有のエアー感を出すために弦高をギリギリまで下げています。結果、この状態のままGK-PUを取り付けると、弦がPUと干渉してしまいます。なので、ちょっと乱暴とは思いました、干渉しているPUの2弦~3弦辺りの部分のPUカバー(アルミ合金だと思います)を押しつぶして干渉しないようにしました。(良くみると、その部分がクラッシュしているのが分かると思います)多少見た目は悪いのですが、機能には何ら影響はなく、場合によっては今後見た目対策をするかも知れませんが、今回はこれでよしとします。


一度は諦めたサムベースフレットレスでのV-BASS活用ですが、これでなんとか実現しました。V-BASSを使いたいけれど取り付けに悩んでいらっしゃる方、試してみてください。

<エレクトリックベース: 過去の愛器たち/#8>

FODERA


本当はV-BASSネタをいろいろとご紹介したのですが、仕事に追われていじることもままならず、話題に乏しいので、また過去の愛器紹介です。今回は、泣く子も黙る世界最高峰のハイエンドベース、フォデラ/FODERA ANTHONY JACKSON model 6st です。(たぶん、アンソニーモデル、というレベルです・・・)


80年代後半の初期のアンソニー・モデルだと思います。本機については入手当初から詳細のデータがないのですが、スペック的にはこんな感じだと思います。Bodytop:Wenge、Wing:Flamed Maple、Neck:Flamed Maple+Maple+Mahogany+Maple+Flamed Maple 5p、Fingerboard:Jakaranda といったところだと思います。かなり推測が入っていますが、当たらずとも遠からずです。良く見るとお分かり頂けますが、ヘッドは寄木細工のように縦横方向の木材を組み合わせています。ボディ/ネック構造もスルーネックっぽいですが、セットネックっぽくもあり、KEN SMITHと源流が同じであることを感じさせます。いろんな種類・木目・厚みの材を縦横無尽に組み合わせて1本のベースにしたという感じで、構えるだけで、スゴイ楽器であることを指先が感じます。


PUはEMGギター用ハムバッカーを2個PBのようにレイアウトしており、1・2・3弦、4・5・6弦でスプリットされて、PBよりもかなりブリッジよりにレイアウトされています。実質的にはシングルピックアップと同等と言えると思いますが、1・2・3弦、4・5・6弦で、それぞれFODERA流のスイートスポットということだと思います。サーキットは、ALEMBICのようにQの位置と高さをコントロールするフィルタータイプのパライコになっています。最近のベースは、2-3bandイコライザーが一般化、普及していますが、そんなご時世にこのようなサーキットのベースを使うと、とても新鮮に感じます。シングルPU+パライコで、好みのサウンドを見つけるのにとても時間がかかりますが、いじっていると、ここだ、というポイントが見つかります。


サウンド的には、最近のハイファイ系のFODERAとは全く対極にある、個性のあるローファイ系サウンドです。もともとアンソニーモデルは、シングルPUモデルや、とてもスタンディングでは演奏できなさそうなサイズのモデル、PUとアウトプットジャックが直結されているモデルなど、FODERAのラインナップの中でも個性的なモデルが多く、ハイファイよりはローファイ・アコースティック感を狙ったものが多いように思います。そんな中でも、この初期のモデルは、ロックでガンガン使ってくれと言わんばかりの、ミッドが効いてて芯のあるサウンド傾向です。一般的なFODERAに求めるイメージを持って接すると、そのイメージとの差が大きいのは確かですが、先入観なく、このベースに使われている材や構造、PUやそのレイアウト、サーキットなどを総合してイメージすると、そのイメージをかなり高いレベルで実現している楽器であることがわかります。とても良い楽器でしたが、セッティングの可変範囲に制約があり、自分の好みの状態にすることが物理的に不可能であったこと、また当時メインのサムベースとキャラクター的にかぶる部分があったことから、手放してしまいましたが、とても良い楽器でした。

エレクトリックベース: 過去の愛器たち/#7

benavente


久しぶりに、過去の愛器のご紹介です。米国の新進気鋭のルシアー、Chris Benaventeの手になる完全ハンドメイドの超ウルトラベース、全身オールウェンジ材のBENAVENTE SCD5C-GG 5stです。


まずspecを羅列させていただきます。NECK:11pc. Wenge & Maple (Bolt-on)、FINGERBOARD:Wenge & Wenge Multi Bound、BODY:Wenge Top & Back (Custom Chamber Body Style)、FINISH:Benavente Custom Semi Gloss、Pickups:Benavente Wide / Wide (Wenge Cover)、Preamp:Benavente Original w/ Wenge Knobs。


さすがウェンジ材のカタマリ、ということで大変重かったのですが、目をひくデザインでありながら、とても重量バランスがよく、肩に下げていても疲れるようなことは全くありませんでした。音的にはオードックスでありながら、アバンギャルドな要素も持っている感じのベースです。材やPU構成などは全く異なるのですが、一番似ていると思えるのは、OLDの(3点留め、裏通し) MUSICMAN Stingrayです。自分は79年モデルを弾いたことがありますが、荒々しくて、太くて、存在感があるという既成のイメージはそのままに、一方でハイフレットでソロをとると、実はアコースティック楽器を思わせるような繊細な表現も出来るというのが、自分はOLD Stingrayに持っているイメージです。このオールウェンジのbenaventeはまさにそんな感じでした。また、7つのホールを持つチェンバー構造も特徴的で、これも少なからずサウンドに影響を与えているものと思います。(そのため、アンプにつながなくても、結構大きな音がする。)


ウェンジ、というと、90年代までのサムベースのネック&指板にも使われていました。そのウェンジに対する自分も憧れもあり、そのウェンジの持つサウンド的な嗜好が好きであることもあり、また、加工難易度が高いといわれるウェンジを、部分的にではなく、大胆にも全身に使ってしまったベースであるということもあり、止むに止まれず湧き上がる気持ちの勢いで入手しました。ただ、どうしても6弦を一度弾いてしまうと5弦にはなかなか戻れず・・・ もし、このbenaventeが6弦だったとしたら、おそらく、今、自分の手元にROSCOEはなかっただろう、と思われるほど、サウンドの嗜好的には大のお気に入りだったベースです。次のオーナーさんに大切にしていただいていることと思います。

ジャンル変更のお知らせ

kaz_stage


そういえば、ずっとずっと気になっていたのですが、小生のブログはどっぷり音楽、にもかかわらず、映画のジャンルに設定されています。あろうことか、最近になってそれに気付いてしまいました・・・


近日中に正規のジャンル「音楽」に鞍替えする予定です。みなさま、引き続きよろしくお願いします!