床に落とした食べ物、どこまで拾って食べていいか?の考察(パソコン読者用)
※2008年・12月8日の記事を再編集
先日、学生時代の友人と食事をしました。近々結婚するらしく、奥さん同伴で、食事に誘ってくれたのです。
3人で、しゃぶしゃぶを食べました。
店を出たあとは近くの喫茶店に入り、他愛のない話で盛り上がります。小腹の空いた僕はアメリカンドックを注文したのですが、手にしたアメリカンドックを、床に落としてしまったのです。
そこで、拾って手で軽く払い、「まあ、汚くないか」と言って食べ始めたのですが、僕の前に座っていたその友人が、僕を怒鳴りつけたのです。
「お前、汚いから食うなよ!」
そりゃね、たしかに汚いですよ。僕も食べるのに躊躇しましたよ。
ですが、そんなに汚れたわけではありません。少なくとも、人に怒鳴られる筋合いはないんですね。
なのに僕をニラみつけて、こう続けました。
「お前、どういう教育を受けてんの?」
これはカチンときましたよ。しかも、「さっきも言わなかったけど、お前はしゃぶしゃぶでも、畳に落とした肉を鍋に入れてたやろ。あれ、ほんまはイヤやってんで」と、本気の説教を始めたのです。
嫁も嫁で、「世の中にはこういう人もいるから!」とばかりに、哀れんだ表情を浮かべてきます。「下民のすることだから!」と言うかのごとく、貴族気取りで、僕を下に見てきやがったのです。
こんなもん、逆に訊きたいですよ。嫁がいる手前言葉を飲み込んだものの、「お前のほうこそどういう教育を受けてんの?」と、僕は言いたいのです。
この2人は、「落とした食べ物は汚いので食べてはいけない=卑しい」という理屈なのでしょう。
ですが、僕としても単なる卑しさからではなく、「床に落としたぐらいで捨てるなんて、食べ物を粗末にしている」という、ちゃんとした意見があるのです。
だいたい、しゃぶしゃぶなんて、火を通したら一緒ですよ。仮に生で食べる肉だったとしても、1人前1200円もする肉など、落としたぐらいで捨てるわけにはいかないのです。
もちろん、どちらが正しいかは、意見が別れるところでしょう。
僕としても、この場は拾い食いしたものの、その場の状況や食べ物の種類によっては、態度を変えてしまいます。諸所の条件によって対応が変わってくるので、この問題は非常に奥が深いのです。
そこで今回は、「床に落とした食べ物、どこまで拾って食べていいか?」の考察です。
床に食べ物を落とした場合、食べるかどうかを、1つの判断基準だけで決めることはありません。たくさんの判断基準が複合的に絡み合い、脳内の会議を経て、総合的に判断するのです。
そして、その「判断基準=脳内会議の論点」は、以下の10個に大別されるでしょう。
まずは、この10個の論点について、簡単にご説明します。
論点①「自分の家の中なのか、外なのか」
落とした場所によって、判断は変わってきます。自分の部屋、家の台所、ファミレス、屋台……。
これは、「自分の家の中なら食べるが、それ以外では食べない」という意見が多いはずです。自分の家なら汚くないので食べる、ファミレスなら床が汚いので食べない、という人が大半でしょう。
ですが、ファミレスの床は無理でも、居酒屋の座敷に落としたのであれば、食べる人が多いのです。
ファミレスのように靴で踏んではいないものの、誰もが足でうろついているので、汚いという意味では同じなのに食べるのです。ほかにも、花見のゴザの上に落としても食べる人は多いので、「外だから絶対に食べない」と言い切ることはできません。
論点②「落とした床はどのような状態(形状)か」
床の状態や形状で、判断は変わってきます。汚れているかどうかを確認し、フローリングやコンクリートの上なら食べる、カーペットや畳の上なら食べない、と決めるのです。
ですが、汚れているかどうかを、目視で判断することはできません。フローリングのほうが清潔なイメージがあるのでしょうが、表面のツヤにだまされているだけで、カーペットと大差はありません。落ちるものは落ちているので、目立つか目立たないかだけの話なのです。
もっと言えば、ピカピカの床でも、オッサンが歩き回っていれば、汚く感じられます。一方、ボロボロの床でも、歩行者の多くがハイヒールを履いた女性だった場合、どこか清潔に思えてしまいます。
清潔さの正確な判断は難しく、突き詰めれば、この議論もナンセンスでしょう。
論点③「落とした食べ物の表面はどうなっているか」
これは、「湿っているなら食べない、乾いているなら食べる」という人が多いはずです。
表面が濡れていると、いろいろなものが付着していそうで、食べる気がしません。一方、乾いている場合は、口でフーをしたり、手で払えば、なんとか食べられるのです。
ですが、たとえば、お菓子。
ポッキーだと、チョコの部分は湿っているのに、クッキーの部分は乾いています。かといって、チョコのほうを捨てれば意味がないので、対応に困るのです。
おかき1つとっても、海苔のついたおかきは海苔が湿っているので無理だが、海苔を取れば乾いているので食べられる、濡れおかきは微妙に濡れているので無理、などと多種多様。なにより、乾いているものでもホコリがつく場合があるので、この論点もあまり意味がないでしょう。
論点④「床についたのは、どの部分か」
床についた部分の違いで、判断は変わってきます。
それが顕著なのが、トーストです。
焼いただけの状態だと食べるのでしょうが、バターを塗って、塗った側が下に行った場合は、躊躇してしまいます。
ですが、バターナイフでバターを削除し、新しく塗って食べるという方法もあります。ばい菌が気になるのであれば、殺菌する意味で、もう1度軽く焼いてやればいいのです。
ほかにも、お寿司。
床についたのがシャリであれば、ネタのほうは食べられます。シャリだけ捨てれば、それは刺身なのです。
プリンも、床についた1番下が汚いだけで、そこから上は汚くありません。ソフトクリームのクリームを全部落としても、上の部分にコーンをあてがって載せれば食べられるので、とにかく、いくらでもやり方があるのです。
論点⑤「値段はいくらか」
落としたものが高級品だと、キレイごとは言ってられません。お寿司でも、1貫1000円ともなると、簡単にあきらめるわけにはいかないのです。
「床についたシャリ数十粒を削除して、そこから上を食べる」
こんなことも、まんざらではありません。ネタのほうが床についても、「大将すいません、このトロ、表面を削ってもらえません?」とお願いして、ネタの薄くなったお寿司を食べることもできるのです。
ほかにも、アイスクリーム。
スプーンに力を入れすぎて、削った部分を床に落としてしまうことがあります。このとき、100円のスーパーカップなら捨てるものの、250円のハーゲンダッツなら話が違ってきます。それこそ、「このひと口だけで30円はするな……」と考えながら食べるので、簡単には捨てられないのです。
論点⑥「自分の好物か」
好きなものなのか、嫌いなものなのかによっても、判断は違ってきます。大好物であれば拾ってでも食べるでしょうし、嫌いなものであれば、むしろ助かった、てなものなのです。
とはいえ、たいして好きではないものでも、お腹が空いていると、話が違ってきます。空腹だと何でもおいしく感じられるので、場合によっては、拾ってしまうのです。
ホットドックの外側のパンを落としたとします。
残ったソーセージを食べることはできるものの、それだけだと味気ないです。たいしておいしくないパンの部分でさえ、お腹が空いていれば思わず、拾ってしまうのです。
論点⑦「自分は金持ちか」
お金のあるなしが、少なからず影響を与えます。
お金のある人は、新しいものをもう1つ買う、という選択肢が出てきます。一方、貧しい人は、その発想があるにはあるものの、実行に移すことができません。「これ、どうやったら食べられるかな……」との考えに集中してしまうのです。
ですが貧乏でも、その日にパチンコで勝っていたら、「今日だけは卑しいことはやめておこう!」と、妙に背中を押されます。テンションが上がっているので、変に品を出そうとするのです。
貯金、給料、その日に所持しているお金の量……。お金の質や量がその日のテンションと絡み合い、これまた簡単には答えを出せません。
論点⑧「その食べ物は、誰が作ったのか」
落としたのが彼女の初めての手料理だと、簡単には捨てられません。本意ではなくても、「俺、汚れとか気にならないから!」と言って、普通に食べるでしょう。
もちろん、彼女が「汚いから、やめとき!」と言ってくれるのでしょうが、「食べるのが紳士なのかな、食べないのが紳士なのかな=どっちが嫌われないか」と悩んで、答えが出ないのです。
父親が魚を釣ってきて、裁いてくれたとします。
「すごいタイを釣ってきたぞ!」と自慢されたのに、「親父ごめん、落ちたから捨てるわ!」とは言えません。「お前のために釣ってきたから!」と煽られて全部落としてしまったら、拾って普通に食べるでしょう。
同じ理由で、お世話になっている上司にごちそうしてもらったとき。
このときもめちゃくちゃ悪い気がして、拾って食べずにはいられないでしょう。
論点⑨「プライドはあるか」
対人、対食べ物だけではなく、この問題は、自分との戦いもしいられます。
「落ちたものを、果たして食べていいものか……」
哲学的な悩みに直面し、人としての本質的な矜持が問われるのです。
誰もが拾い食いに対して、少なからずの卑しさを感じています。「人間としてありなのか?なしなのか?」と、自問自答せずにはいられないのです。
ですが、捨てないというプライドも、またあります。
冒頭でご紹介した僕のように、食べ物を粗末にしないというのも、ある種のプライドでしょう。「プライドとしてどちらが正しいのか?」と悩んで、答えが出ないのです。
論点⑩「誰と一緒にいるか」
一緒にいる人の種類によって、判断は如実に違ってきます。
気心の知れた友人の前だと、躊躇なく拾い食いできるものの、初対面の人の前であれば、「変な奴と思われるかもしれない……」と考えてできません。とりわけ、初デートともなると、変に自分を着飾って、拾いたくても拾えないでしょう。
ですが、一緒にいる恋人が苦労人だと、話は違ってきます。
捨てると、「この人、落としたぐらいで捨てるんだ……」と、逆に引かれる可能性があるからです。「食べ物を粗末にしたらあかんで!これぐらい食べないと!」と言って食べたほうがプラスに働く可能性もあるので、どうしたらいいかわからないのです。
このように、どの論点も一長一短です。
「床に落としたものは一切捨てる!」と豪語する人でも、「薬やったら飲むけどな!」と、筋の通らないことを言う人も多く、何が答えかわからないんですね。
そこで次に、「どう優先順位をつけるべきか」を問題とします。
上記の論点に優先順位をつけて脳内会議をし、決定を下すのです。
ちなみに僕の優先順位は、以下のとおりです。
「誰と一緒にいるか>その食べ物は、誰が作ったのか>値段はいくらか>自分の好物か≧自分は金持ちか>床についたのは、どの部分か≧落とした食べ物の表面はどうなっているか≧落とした床はどのような状態(形状)か>自分の家の中なのか、外なのか>プライドはあるか」
誰と一緒にいるかが1番重要で、「親しい人の前だと食べる。親しくない人の前だと食べない」と決めておけば、ほかの論点は、すべて劣るのです。
これは、鼻クソをほじる心理に似ています。
周囲に人がいなければ平気でほじるくせに、人がいるとほじらないのと同じで、人の目を気にしているだけでしょう。
「拾って食べたら、変な奴だと思われないだろうか……」と思うにすぎず、よっぽど汚れた床でもないかぎり、本音では、誰もが食べたいと思っています。少なくとも、好物や高価なものはそうで、人の目を気にするかしないかだけの話でしょう。
翻って、1番優先順位の低いプライドの問題は、自分の問題にすぎません。卑しいとか、食べ物を粗末にしないなどは「外向けの上品な感想」にすぎず、「もったいない!」「食べたい!」という自我には勝てないので、優先順位はどうしても低くなるのです。
ですが、「親しくない人の前だと食べない」と決めたところで、それが1貫5000円のお寿司ともなると、判断が鈍ります。矛盾するようですが、本当にすべてが複合的に絡んでくるので、突き詰めると、優先順位をつけることもナンセンスになるのです。
こう考えると、もう答えが出ません。正解を出すことなど不可能で、この問題は、完全にカオスなのです。
そこで熟慮に熟慮を重ねた結果、僕はこう結論付けました。
「深く考えるな!瞬間的に出た本能に従え!」
もう、これしかないです。
上記の論点を反面教師に、あえて深く考えないのです。意識的に何も考えないように努め、脳に最初に出た、本能そのものに従うのです。
もちろん、状況に応じて、判断するやり方もあります。
ですが、正解がない以上、「絶対にこうするべきだ!」と決めてかかるのはリスキーで、どの道、100%納得の得られる選択肢にはなりません。考えるだけムダで、自分の本能に従って行動することこそが、「ベターベスト」なのです。
今回の考察は、「子供にどう教えるべきか」という問題も含んでいます。
大人は笑い話で済むものの、突き詰めれば、子供の教育問題にかかってくるのです。
今年の5月、とある小学校の給食時間に、教師が、生徒が床に落としたパンの表面を手で払って、生徒に渡しました。
すると生徒の親が、「家では畳に落としたものも食べさせないのに!お腹を壊したらどうするんですか!」と抗議し、教師がうつ病にかかってしまったのです。
この問題に際して、捨てる派は「お腹を壊してはいけない」という理屈で、食べる派は「食べ物を粗末にしてはいけない」という理屈で、議論を戦わします。ですが、くり返し申し上げるとおり、これは神学論争と同じです。答えなどなく、自分の意見こそあるものの、断は下せないのです。
そこで、答えのないこの問題に答えを出すために、子供に対してこう教えるべきだと、僕は考えます。
「お前、自分で考えろ!」
床に落ちたパンをどうするか、子供自身に考えさせるのです。
「汚いから、お腹を壊すかもしれないな……。でも、食べ物を粗末にするわけにはいかないしな……」
こんな感じで、本人に考えさせるのです。
どの道、拾い食いでお腹を壊すことなどありません。「はしたない!」「親の顔が見てみたい!」と人に思われたとしても、確固たる考え方に基づいた教育なので、それは恥ずかしいことではないでしょう。
もちろん、小学生の子供に、判断能力などありません。暴論は承知の上です。
ただ、答えがないのであれば、年齢や立場を問わず、自分で考えさせるべきだと思うのです。なによりそれは、「何かをしたとき、責任を取るのは自分だから!」と、教えることにもなります。子供が成熟するにあたり、1番教えなければならない優先順位はこれで、大人と子供の違いは、「責任を取るか、取らないか」ということなのです。
僕はこれから、瞬間的に出た本能に従って、拾い食いの有無を決めます。同時に、自分の子供には、露骨な行為を除いては、「自分で考えろ!」と教えることにします。
ちなみに、この記事を書いている最中に、手にしたチョコレートケーキの一部分を、床に落としてしまいました。生クリームが大量にある部分で、僕の本能が「食べろ!」と伝えてきました。
ですが、失敗でしたよ。
なにしろ、おもいっきり陰毛が付いてましたから……。
床に落とした食べ物、どこまで拾って食べていいか?の考察(携帯読者用)
※2008年・12月8日の記事を再編集
先日、学生時代の友人と食事をしました。近々結婚するらしく、奥さん同伴で、食事に誘ってくれたのです。
3人で、しゃぶしゃぶを食べました。
店を出たあとは近くの喫茶店に入り、他愛のない話で盛り上がります。小腹の空いた僕はアメリカンドックを注文したのですが、手にしたアメリカンドックを、床に落としてしまったのです。
そこで、拾って手で軽く払い、「まあ、汚くないか」と言って食べ始めたのですが、僕の前に座っていたその友人が、僕を怒鳴りつけたのです。
「お前、汚いから食うなよ!」
そりゃね、たしかに汚いですよ。僕も食べるのに躊躇しましたよ。
ですが、そんなに汚れたわけではありません。少なくとも、人に怒鳴られる筋合いはないんですね。
なのに僕をニラみつけて、こう続けました。
「お前、どういう教育を受けてんの?」
これはカチンときましたよ。しかも、「さっきも言わなかったけど、お前はしゃぶしゃぶでも、畳に落とした肉を鍋に入れてたやろ。あれ、ほんまはイヤやってんで」と、本気の説教を始めたのです。
嫁も嫁で、「世の中にはこういう人もいるから!」とばかりに、哀れんだ表情を浮かべてきます。「下民のすることだから!」と言うかのごとく、貴族気取りで、僕を下に見てきやがったのです。
こんなもん、逆に訊きたいですよ。嫁がいる手前言葉を飲み込んだものの、「お前のほうこそどういう教育を受けてんの?」と、僕は言いたいのです。
この2人は、「落とした食べ物は汚いので食べてはいけない=卑しい」という理屈なのでしょう。
ですが、僕としても単なる卑しさからではなく、「床に落としたぐらいで捨てるなんて、食べ物を粗末にしている」という、ちゃんとした意見があるのです。
だいたい、しゃぶしゃぶなんて、火を通したら一緒ですよ。仮に生で食べる肉だったとしても、1人前1200円もする肉など、落としたぐらいで捨てるわけにはいかないのです。
もちろん、どちらが正しいかは、意見が別れるところでしょう。
僕としても、この場は拾い食いしたものの、その場の状況や食べ物の種類によっては、態度を変えてしまいます。諸所の条件によって対応が変わってくるので、この問題は非常に奥が深いのです。
そこで今回は、「床に落とした食べ物、どこまで拾って食べていいか?」の考察です。
床に食べ物を落とした場合、食べるかどうかを、1つの判断基準だけで決めることはありません。たくさんの判断基準が複合的に絡み合い、脳内の会議を経て、総合的に判断するのです。
そして、その「判断基準=脳内会議の論点」は、以下の10個に大別されるでしょう。
まずは、この10個の論点について、簡単にご説明します。
論点①「自分の家の中なのか、外なのか」
落とした場所によって、判断は変わってきます。自分の部屋、家の台所、ファミレス、屋台……。
これは、「自分の家の中なら食べるが、それ以外では食べない」という意見が多いはずです。自分の家なら汚くないので食べる、ファミレスなら床が汚いので食べない、という人が大半でしょう。
ですが、ファミレスの床は無理でも、居酒屋の座敷に落としたのであれば、食べる人が多いのです。
ファミレスのように靴で踏んではいないものの、誰もが足でうろついているので、汚いという意味では同じなのに食べるのです。ほかにも、花見のゴザの上に落としても食べる人は多いので、「外だから絶対に食べない」と言い切ることはできません。
論点②「落とした床はどのような状態(形状)か」
床の状態や形状で、判断は変わってきます。汚れているかどうかを確認し、フローリングやコンクリートの上なら食べる、カーペットや畳の上なら食べない、と決めるのです。
ですが、汚れているかどうかを、目視で判断することはできません。フローリングのほうが清潔なイメージがあるのでしょうが、表面のツヤにだまされているだけで、カーペットと大差はありません。落ちるものは落ちているので、目立つか目立たないかだけの話なのです。
もっと言えば、ピカピカの床でも、オッサンが歩き回っていれば、汚く感じられます。一方、ボロボロの床でも、歩行者の多くがハイヒールを履いた女性だった場合、どこか清潔に思えてしまいます。
清潔さの正確な判断は難しく、突き詰めれば、この議論もナンセンスでしょう。
論点③「落とした食べ物の表面はどうなっているか」
これは、「湿っているなら食べない、乾いているなら食べる」という人が多いはずです。
表面が濡れていると、いろいろなものが付着していそうで、食べる気がしません。一方、乾いている場合は、口でフーをしたり、手で払えば、なんとか食べられるのです。
ですが、たとえば、お菓子。
ポッキーだと、チョコの部分は湿っているのに、クッキーの部分は乾いています。かといって、チョコのほうを捨てれば意味がないので、対応に困るのです。
おかき1つとっても、海苔のついたおかきは海苔が湿っているので無理だが、海苔を取れば乾いているので食べられる、濡れおかきは微妙に濡れているので無理、などと多種多様。なにより、乾いているものでもホコリがつく場合があるので、この論点もあまり意味がないでしょう。
論点④「床についたのは、どの部分か」
床についた部分の違いで、判断は変わってきます。
それが顕著なのが、トーストです。
焼いただけの状態だと食べるのでしょうが、バターを塗って、塗った側が下に行った場合は、躊躇してしまいます。
ですが、バターナイフでバターを削除し、新しく塗って食べるという方法もあります。ばい菌が気になるのであれば、殺菌する意味で、もう1度軽く焼いてやればいいのです。
ほかにも、お寿司。
床についたのがシャリであれば、ネタのほうは食べられます。シャリだけ捨てれば、それは刺身なのです。
プリンも、床についた1番下が汚いだけで、そこから上は汚くありません。ソフトクリームのクリームを全部落としても、上の部分にコーンをあてがって載せれば食べられるので、とにかく、いくらでもやり方があるのです。
論点⑤「値段はいくらか」
落としたものが高級品だと、キレイごとは言ってられません。お寿司でも、1貫1000円ともなると、簡単にあきらめるわけにはいかないのです。
「床についたシャリ数十粒を削除して、そこから上を食べる」
こんなことも、まんざらではありません。ネタのほうが床についても、「大将すいません、このトロ、表面を削ってもらえません?」とお願いして、ネタの薄くなったお寿司を食べることもできるのです。
ほかにも、アイスクリーム。
スプーンに力を入れすぎて、削った部分を床に落としてしまうことがあります。このとき、100円のスーパーカップなら捨てるものの、250円のハーゲンダッツなら話が違ってきます。それこそ、「このひと口だけで30円はするな……」と考えながら食べるので、簡単には捨てられないのです。
論点⑥「自分の好物か」
好きなものなのか、嫌いなものなのかによっても、判断は違ってきます。大好物であれば拾ってでも食べるでしょうし、嫌いなものであれば、むしろ助かった、てなものなのです。
とはいえ、たいして好きではないものでも、お腹が空いていると、話が違ってきます。空腹だと何でもおいしく感じられるので、場合によっては、拾ってしまうのです。
ホットドックの外側のパンを落としたとします。
残ったソーセージを食べることはできるものの、それだけだと味気ないです。たいしておいしくないパンの部分でさえ、お腹が空いていれば思わず、拾ってしまうのです。
論点⑦「自分は金持ちか」
お金のあるなしが、少なからず影響を与えます。
お金のある人は、新しいものをもう1つ買う、という選択肢が出てきます。一方、貧しい人は、その発想があるにはあるものの、実行に移すことができません。「これ、どうやったら食べられるかな……」との考えに集中してしまうのです。
ですが貧乏でも、その日にパチンコで勝っていたら、「今日だけは卑しいことはやめておこう!」と、妙に背中を押されます。テンションが上がっているので、変に品を出そうとするのです。
貯金、給料、その日に所持しているお金の量……。お金の質や量がその日のテンションと絡み合い、これまた簡単には答えを出せません。
論点⑧「その食べ物は、誰が作ったのか」
落としたのが彼女の初めての手料理だと、簡単には捨てられません。本意ではなくても、「俺、汚れとか気にならないから!」と言って、普通に食べるでしょう。
もちろん、彼女が「汚いから、やめとき!」と言ってくれるのでしょうが、「食べるのが紳士なのかな、食べないのが紳士なのかな=どっちが嫌われないか」と悩んで、答えが出ないのです。
父親が魚を釣ってきて、裁いてくれたとします。
「すごいタイを釣ってきたぞ!」と自慢されたのに、「親父ごめん、落ちたから捨てるわ!」とは言えません。「お前のために釣ってきたから!」と煽られて全部落としてしまったら、拾って普通に食べるでしょう。
同じ理由で、お世話になっている上司にごちそうしてもらったとき。
このときもめちゃくちゃ悪い気がして、拾って食べずにはいられないでしょう。
論点⑨「プライドはあるか」
対人、対食べ物だけではなく、この問題は、自分との戦いもしいられます。
「落ちたものを、果たして食べていいものか……」
哲学的な悩みに直面し、人としての本質的な矜持が問われるのです。
誰もが拾い食いに対して、少なからずの卑しさを感じています。「人間としてありなのか?なしなのか?」と、自問自答せずにはいられないのです。
ですが、捨てないというプライドも、またあります。
冒頭でご紹介した僕のように、食べ物を粗末にしないというのも、ある種のプライドでしょう。「プライドとしてどちらが正しいのか?」と悩んで、答えが出ないのです。
論点⑩「誰と一緒にいるか」
一緒にいる人の種類によって、判断は如実に違ってきます。
気心の知れた友人の前だと、躊躇なく拾い食いできるものの、初対面の人の前であれば、「変な奴と思われるかもしれない……」と考えてできません。とりわけ、初デートともなると、変に自分を着飾って、拾いたくても拾えないでしょう。
ですが、一緒にいる恋人が苦労人だと、話は違ってきます。
捨てると、「この人、落としたぐらいで捨てるんだ……」と、逆に引かれる可能性があるからです。「食べ物を粗末にしたらあかんで!これぐらい食べないと!」と言って食べたほうがプラスに働く可能性もあるので、どうしたらいいかわからないのです。
このように、どの論点も一長一短です。
「床に落としたものは一切捨てる!」と豪語する人でも、「薬やったら飲むけどな!」と、筋の通らないことを言う人も多く、何が答えかわからないんですね。
そこで次に、「どう優先順位をつけるべきか」を問題とします。
上記の論点に優先順位をつけて脳内会議をし、決定を下すのです。
ちなみに僕の優先順位は、以下のとおりです。
「誰と一緒にいるか>その食べ物は、誰が作ったのか>値段はいくらか>自分の好物か≧自分は金持ちか>床についたのは、どの部分か≧落とした食べ物の表面はどうなっているか≧落とした床はどのような状態(形状)か>自分の家の中なのか、外なのか>プライドはあるか」
誰と一緒にいるかが1番重要で、「親しい人の前だと食べる。親しくない人の前だと食べない」と決めておけば、ほかの論点は、すべて劣るのです。
これは、鼻クソをほじる心理に似ています。
周囲に人がいなければ平気でほじるくせに、人がいるとほじらないのと同じで、人の目を気にしているだけでしょう。
「拾って食べたら、変な奴だと思われないだろうか……」と思うにすぎず、よっぽど汚れた床でもないかぎり、本音では、誰もが食べたいと思っています。少なくとも、好物や高価なものはそうで、人の目を気にするかしないかだけの話でしょう。
翻って、1番優先順位の低いプライドの問題は、自分の問題にすぎません。卑しいとか、食べ物を粗末にしないなどは「外向けの上品な感想」にすぎず、「もったいない!」「食べたい!」という自我には勝てないので、優先順位はどうしても低くなるのです。
ですが、「親しくない人の前だと食べない」と決めたところで、それが1貫5000円のお寿司ともなると、判断が鈍ります。矛盾するようですが、本当にすべてが複合的に絡んでくるので、突き詰めると、優先順位をつけることもナンセンスになるのです。
こう考えると、もう答えが出ません。正解を出すことなど不可能で、この問題は、完全にカオスなのです。
そこで熟慮に熟慮を重ねた結果、僕はこう結論付けました。
「深く考えるな!瞬間的に出た本能に従え!」
もう、これしかないです。
上記の論点を反面教師に、あえて深く考えないのです。意識的に何も考えないように努め、脳に最初に出た、本能そのものに従うのです。
もちろん、状況に応じて、判断するやり方もあります。
ですが、正解がない以上、「絶対にこうするべきだ!」と決めてかかるのはリスキーで、どの道、100%納得の得られる選択肢にはなりません。考えるだけムダで、自分の本能に従って行動することこそが、「ベターベスト」なのです。
今回の考察は、「子供にどう教えるべきか」という問題も含んでいます。
大人は笑い話で済むものの、突き詰めれば、子供の教育問題にかかってくるのです。
今年の5月、とある小学校の給食時間に、教師が、生徒が床に落としたパンの表面を手で払って、生徒に渡しました。
すると生徒の親が、「家では畳に落としたものも食べさせないのに!お腹を壊したらどうするんですか!」と抗議し、教師がうつ病にかかってしまったのです。
この問題に際して、捨てる派は「お腹を壊してはいけない」という理屈で、食べる派は「食べ物を粗末にしてはいけない」という理屈で、議論を戦わします。ですが、くり返し申し上げるとおり、これは神学論争と同じです。答えなどなく、自分の意見こそあるものの、断は下せないのです。
そこで、答えのないこの問題に答えを出すために、子供に対してこう教えるべきだと、僕は考えます。
「お前、自分で考えろ!」
床に落ちたパンをどうするか、子供自身に考えさせるのです。
「汚いから、お腹を壊すかもしれないな……。でも、食べ物を粗末にするわけにはいかないしな……」
こんな感じで、本人に考えさせるのです。
どの道、拾い食いでお腹を壊すことなどありません。「はしたない!」「親の顔が見てみたい!」と人に思われたとしても、確固たる考え方に基づいた教育なので、それは恥ずかしいことではないでしょう。
もちろん、小学生の子供に、判断能力などありません。暴論は承知の上です。
ただ、答えがないのであれば、年齢や立場を問わず、自分で考えさせるべきだと思うのです。なによりそれは、「何かをしたとき、責任を取るのは自分だから!」と、教えることにもなります。子供が成熟するにあたり、1番教えなければならない優先順位はこれで、大人と子供の違いは、「責任を取るか、取らないか」ということなのです。
僕はこれから、瞬間的に出た本能に従って、拾い食いの有無を決めます。同時に、自分の子供には、露骨な行為を除いては、「自分で考えろ!」と教えることにします。
ちなみに、この記事を書いている最中に、手にしたチョコレートケーキの一部分を、床に落としてしまいました。生クリームが大量にある部分で、僕の本能が「食べろ!」と伝えてきました。
ですが、失敗でしたよ。
なにしろ、おもいっきり陰毛が付いてましたから……。
流すのがもったいないほど芸術性の高いウンコが出た場合はどうするべきか?の考察(パソコン読者用)
※2007年・5月6日の記事を再々編集
先日、仕事を終えた僕は、大阪の街をぶらぶらしていました。
急に便意を催したので、近くの本屋さんのトイレに入りました。
このトイレは、僕の行きつけです。すばらしいトイレで、清潔なのはもちろんのこと、室内には、いい感じのBGMが流れています。ここで用を足す場合は、毎回、快便なのです。
あまりに居心地がいいので、知り合いに教えてあげました。過去、同じ時間にその知り合いに会ったことがあるほどで、文字通り、「穴場」なのです。
僕はこのトイレを、「神の部屋」と名づけました。わざわざ遠回りしてまで、利用しているほどなのです。
神が宿る場所だけあって、時として、奇跡が起きます。
その日、僕は人生で経験したことがないほどの、とんでもないウンコが出たのです。
途中で切れることなく、1本で出し切りました。長さは30センチを優に越えており、色艶も半端ではありません。「どこの化粧品をお使いですか?」と訊きたくなるほどで、なんだったら、ちょっと色っぽいのです。
とぐろの巻きっぷりが、ソファーに寝そべるレースクイーンに見えなくもないです。これを見た酔っ払いが、「わしと今晩どない?」と口にしても驚けません。とにかくすばらしいウンコで、放たれるオーラに、目がやられそうなほどなのです。
みなさまも、このような「作品」に出会ったことがあるはずです。
そしてその時、こう思わずにはいられなかったでしょう。
「このウンコ、流すには惜しい……」
今回の僕も、流すのに躊躇しました。
もったいない気がしてならず、そのまま流したら、神に罰を与えられそうな気がしたのです。
神がかり的なウンコが出たら、何らかの対処をしなければなりません。変な別れ方をしてしまうと、その別れを引きずります。イヤな後味が残り、その後の仕事に支障をきたす可能性も0ではないのです。
そこで今回は、「流すのがもったいないほど芸術性の高いウンコが出た場合はどうするべきか?」の考察です。
当たり前ですが、最終的に、そのウンコは流します。芸術性の高い作品とはいえ、そのままにしておくわけにはいきません。
「どうお別れするべきか」
この考え方のもと、別れ方を工夫します。そうすることで、自分の心に、よい後味が残るのです。
以下、芸術性の高いウンコとお別れをする方法をご紹介します。
①写メールで撮る
みなさまも1度は、考えたことがあるはずです。「写真を撮りたいな……」と。
迷う必要はありません。ここはおもいきって、携帯で写真に収めましょう。
これはある種の「旅行写真」です。「腸を駆け抜けた=旅行」で、このウンコは旅先で出会った「日焼けした旅人」なのです。
「旅行先で知り合った人と写真を撮って何が悪いの?」
こう考えて、開き直りましょう。
それでも、やってることは普通ではありません。携帯に保存しておいて誰かに見られたら、めちゃくちゃ恥ずかしいです。「これはうちの犬です。かわいいでしょ?」と見せた写真が誤ってウンコの写真だったら、確実に引かれます。「う、うちは、トグロ犬なんです!」と訳のわからないことを口にするしかないでしょう。
ですが、このようなリスクを背負っても、写真に残しておきたいものです。いつか自分が重い病に倒れた時に見て、「俺は昔、こんなすばらしいものを出せたのか!」と、自分を奮起させることもできるのですから。
今回の僕も、何回、携帯電話を握りしめたことか。
これほどの完成度だともう、理屈ではありません。手元に残しておきたくて仕方がないんですね。
写メールに撮って保存しておくことを、僕は否定しません。オススメはしませんが、撮った人間だとて、卑下されるものではないでしょう。
②添い寝をして2人だけの時間を過ごし、思い出にする
これは和式限定ですが、オススメです。
便器の横に寝転び、ヒジをついてウンコに添い寝をすることで、2人だけの思い出を作るのです。
便器の周囲を、ベッドだと、考えます。ベッドの中で2人だけの時間を過ごせば、短時間だとて、交際したことになります。心のアルバムに思い出を残すことができ、恋愛と一緒で、思い出があるほうが別れは辛くないのです。
ウンコに対し、「ウン美」「ウン男」と名前をつけます。
「ウン美、照れてないで、何か言えよ?」
「ウン男さん、やけに日焼けしてるけど、海にでも行ったの?」
このように会話をすれば、素敵な思い出になるでしょう。
万が一、不審に思った警備員にドアをノックされても、「2人の時間を邪魔するな!」「ドアを叩くな!警察を呼ぶぞ!」などと、言い返してください。本当に神がかったウンコなら、警備員は、以下のように納得するはずです。
「(ドアを開けて)申し訳ないですけど、2人っきりの時間を邪魔しないでもらえますかね?」
「いや、1人でしょ?」
「2人や!よく見ろ、このウンコを?」
「なんであなたのウンコを見ないといけないんですか!」
「(警備員の首をつかんで)いいから、黙って見ろ!?」
「……」
「これでも1人やと言うんですか?」
「……」
「これでも1人やと言うんですか!?」
「2人です……」
このようにちゃんと説明すれば、警備員もわかってくれるはずです。
やがて、別れの時間がやってきます。
最後は、「ありがとう!俺、お前と出会えてよかったよ!」「違うんだよ!俺にお前はもったいなすぎるんだよ!」などと言ってお別れをしてください。
一時とはいえ、恋人との思い出ができました。何もしないでお別れするよりも、はるかに気持ちはスッキリするでしょう。
③ウンコを見ながら、素敵な恋愛の妄想にふける
これは、②を発展させた方法です。
添い寝に至るまでに、時間をかけて、ウンコと「脳内デート」をします。自分が理想とする恋愛を頭の中で繰り広げ、デートの総仕上げとして、「肉体関係=添い寝」をします。添い寝だけではなく、紆余曲折を経ての別れなので、心に残る思い出は②以上のものとなるのです。
脳内デートの様子は、各人の理想でOK。ですが僕としては、東京ラブストーリーならぬ、「東京マキグソーリー」がオススメです。
あなたが女性なら、相手の男性を永尾完治ならぬ「長いウンチ」と見立てます。「♪何から流せばいいのか わからないまま時は流れて 浮かんでは消えていく……」と、『マキグソーリーは突然に』を脳内に流しながら妄想してください。
デートをし、時には「お前の愛は重いんだよ!」「よそに行っちゃうよ!」などとケンカをしながらも、最終的に2人は結ばれます。この時、赤名リカに粉するあなたは、東京ラブストーリーと同様、長いウンチにこう告げてください。
「ウーンチ、S○Xしよう!」
②同様、あなたはウンチに添い寝をします。この脳内デートがあるだけで、交際に深みが出るのです。
やがて、別れの時がきます。
この時もドラマさながらに、「笑ってさよならしよう!」と口にします。ドアを開けて出ても再び振り返り、「ウーンチ!」と叫んで、もう1度ウンチに会いに行ってください。
ここまでやれば、あなたの心に、いい思い出として残ります。隣に誰かがいれば、「隣の便器の奴、何をぶつぶつ言ってんの……」と不審がられるものの、何もしなかった時のようなイヤな後味はないでしょう。
④卒業式のように、格式ばった「儀式」をする
②や③ができないというシャイな方に、これはオススメです。
まず、最低10分はウンコを見つめて、彼・彼女を脳裏に焼きつけます。
「お前に出会えてよかった!」
「お前がいたから、健康である今の俺がいるんだ!」
心でこのようにつぶやきながら、相手をリスペクトしてください。
そして便器のレバーを押す瞬間、こうつぶやくのです。
「ありがとう……」
謝意というのは、必ずしも、多くの言葉を必要としません。たったひと言のほうが時として、相手に伝わることがあります。葬式においても、冗長なあいさつをするより黙想で見送るほうが、相手や自分の心に残るのです。
その後、ウンコに向かって、敬礼をしましょう。
そして敬礼終わりに、レクイエムの歌を口にします。
「見事なウンコを流すのは惜しい!」という気持ちを表現した曲。
これは、中島みゆきの『時代』しかありません。
♪そんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ だから今日はくよくよしないで 今日の風に吹かれましょう まわるまわるよ時代はまわる 別れと出会いをくり返し 今日は倒れた旅人たちも 生まれかわってめぐりあうよ
これらのように、別れを「儀式化」するのです。
この儀式は卒業式と同じで、別れではなく、「旅立ち」です。ちゃんと儀式を行ったことが、スッキリした気分で、お互いを未来へと旅立たせるのです。
なにより、家族の最後を看取るときにも似て、「最後まで尽くした=やれることはやった」という満足感からも、後悔することはないでしょう。
そして、最後。
僕は先日、これを実践しました。最終的に流してお別れをしたものの、現在の僕の心はスッキリとしています。
⑤人に見せる
トイレにこもって考えまくった結果、僕は人を呼んで、見せることにしました。
僕には、相手を納得させるだけの「作品」を出したという、自負があります。作品のレベルの高さに、「見せて魅せる勝算」があったのです。
僕は、本屋さんの近くに住んでいる後輩に、トイレの中から、携帯で電話をしました。ですが、「俺のウンコを見に来てくれ?」と言っても来てくれないでしょうから、そのことを伏せておいたのです。
「もしもし?ごめん、寝てた?」
「久し振りの休みやったんで寝てました……」
「忙しいの、最近?」
「はい。帯(月~金曜のテレビ番組)のADに入ったんで、3週間ぶりの休みです」
「そうか。ただな、すごいもんがあるぞ」
「えっ?」
「いいから来てみ。来たらわかるから」
「……何なんですか?」
「ごちゃごちゃ言うな!来たらわかるから!」
「ちょっと教えてくださいよ!」
「言う必要がないねん、これは!とにかく見てくれ!それしか言いようがない!これを見たら人生観が変わるから!」
「……わかりました。今、どこですか?」
「○○○書店や」
「本屋ですか?」
「そうや。そこに着いたら電話をくれ!じゃあな!」
40分後。彼が本屋にやって来ました。
「着きました」
「そうか。2階のトイレに来てくれ」
「神の部屋ですか?」
「そうや。神の部屋の1番奥のトイレにいるから」
「……わかりました」
やがて眠そうにした彼が、僕のところに来ました。
「おはようございます!」
「おはよう」
「何なんですか?」
「いいから、これを見てみ?」
「えっ?」
「いいから中に入って、便器を見てみろ!」
小便をしている人が、「何なん、こいつら……」みたいな顔で僕らを見ています。ですが、この作品の前には、迷いなど一瞬にして消え去ります。
「いいから見ろ!見たらわかるから!」
「……わかりました。見たらいいんでしょ」
こう言って中に入り、僕の作品を見て、彼は言いましたよ。2階のこの場所から1階に響き渡るような大声で、こう叫んだのです。
「アホやろ、あんた!!!」
僕は、「すごいですね、このウンコ!」と返ってくるのを期待していました。8歳も年下の後輩に、ため口でキレられたのです。
「歳いくつやねん、あんた!」とボロクソだったのですが、さすがに神の部屋で出た神のウンコですから、話せばわかります。僕の作戦は間違っておらず、神の力は、人の言論を封殺してしまうほどの力を持ち合わせていたのです。
「あのねバスコさん、僕、今日しか休みがないんですよ!ほんまに、ゆっくり寝られるのは今日だけなんですよ!」
「いいから、よく見てみ?」
「はっ?」
「よく見てみろ、このウンコを!作品と思って観賞してみろ!」
「見たくないですよ!」
「いいから見ろ!(小便をしている人に)すいません、怪しいもんじゃないんで!ごちゃごちゃ言わずに、じっくりと見てみろ!」
「(まじまじと見る)」
「どうや?」
「……」
「どうやねん?」
「……たしかに、すごいですね」
「すごいやろ?」
「よく見たらすごいですね、このウンコ!これ、バスコさんがしたんですか?」
「当たり前や!俺しかできひんわ、こんなもん!」
「このウンコ、めちゃくちゃでかいですね!」
「でかいやろ。艶はどうや?」
「テカテカです」
「色は?」
「黄金です」
「形は?」
「完璧です」
「そうやろ!来てよかったやろ?」
「いや、来てよかったとは思わないですけど、たしかにすごいですね!」
「俺の気持ちがわかるか?」
「はっ?」
「人に見せたくなる、俺の気持ちがわかるやろ!?」
「……正直、わかりますね」
このように、「ゲスの極みを作品の完成度が凌駕した」のです。
それを証拠に、このウンコを見たあとに僕が「せっかく来てくれたから、飯をおごったるわ!そこのカレー屋に行かへん?」と訊いたところ、彼は「ありがとうございます!」と答えたのです。
そう、これは彼が、「僕のウンコをウンコとして見ていない」ということを表しているのです。
ウンコを見たあとにカレーを食べるのですから、普通は、「ほかのもんを食べましょうよ!」と言うはずです。僕の作品のアート感に魅せられたため、彼にはウンコを見たという実感がないんですね。
神レベルのウンコが出た時、人は、誰かに見せたくなる衝動に駆られます。惜しいハズレ馬券を人に見せたくなるのも同じ。人は、「すごいことを人に知らせたくなる症候群」という病気なのです。
したがって、人を呼んで見せるしかありません。
なにより、「俺、こないだ、30センチのウンコが出てんやんか」「ウソつけよ!」「ほんまや!だって俺、人に見せたから!なんだったら、そいつを呼ぼうか?」と「証拠ができる」ので、あなたの発言は信憑性を帯びることになるのです。
「人を呼んで見せる。そして、魅せる」
これが、今回の考察の結論です。
もちろん、人に見せるには、勇気がいります。見せられたほうも、今回のような反応を示してくれるとはかぎりません。
ですが、量・形・色・艶の4拍子がそろった作品なら、勇気を出して、人に見せてください。「魅せる」ことができれば、あなたはその後、別れを引きずることはないのです。
呼ぶだけ呼んで拒否されたら、その時はその時です。少なくとも、そうするために努力したという事実が、口惜しい気持ちを緩和してくれます。
みなさま、これで心配いりません。今後、芸術性の高いウンコが出ても、笑って楽しく、お別れができます。今回の記事を頭の片隅にでも置いていただき、実行に移しましょう。
ちなみにですが、僕は、健常者です。
流すのがもったいないほど芸術性の高いウンコが出た場合はどうするべきか?の考察(携帯読者用)
※2007年・5月6日の記事を再々編集
先日、仕事を終えた僕は、大阪の街をぶらぶらしていました。
急に便意を催したので、近くの本屋さんのトイレに入りました。
このトイレは、僕の行きつけです。すばらしいトイレで、清潔なのはもちろんのこと、室内には、いい感じのBGMが流れています。ここで用を足す場合は、毎回、快便なのです。
あまりに居心地がいいので、知り合いに教えてあげました。過去、同じ時間にその知り合いに会ったことがあるほどで、文字通り、「穴場」なのです。
僕はこのトイレを、「神の部屋」と名づけました。わざわざ遠回りしてまで、利用しているほどなのです。
神が宿る場所だけあって、時として、奇跡が起きます。
その日、僕は人生で経験したことがないほどの、とんでもないウンコが出たのです。
途中で切れることなく、1本で出し切りました。長さは30センチを優に越えており、色艶も半端ではありません。「どこの化粧品をお使いですか?」と訊きたくなるほどで、なんだったら、ちょっと色っぽいのです。
とぐろの巻きっぷりが、ソファーに寝そべるレースクイーンに見えなくもないです。これを見た酔っ払いが、「わしと今晩どない?」と口にしても驚けません。とにかくすばらしいウンコで、放たれるオーラに、目がやられそうなほどなのです。
みなさまも、このような「作品」に出会ったことがあるはずです。
そしてその時、こう思わずにはいられなかったでしょう。
「このウンコ、流すには惜しい……」
今回の僕も、流すのに躊躇しました。
もったいない気がしてならず、そのまま流したら、神に罰を与えられそうな気がしたのです。
神がかり的なウンコが出たら、何らかの対処をしなければなりません。変な別れ方をしてしまうと、その別れを引きずります。イヤな後味が残り、その後の仕事に支障をきたす可能性も0ではないのです。
そこで今回は、「流すのがもったいないほど芸術性の高いウンコが出た場合はどうするべきか?」の考察です。
当たり前ですが、最終的に、そのウンコは流します。芸術性の高い作品とはいえ、そのままにしておくわけにはいきません。
「どうお別れするべきか」
この考え方のもと、別れ方を工夫します。そうすることで、自分の心に、よい後味が残るのです。
以下、芸術性の高いウンコとお別れをする方法をご紹介します。
①写メールで撮る
みなさまも1度は、考えたことがあるはずです。「写真を撮りたいな……」と。
迷う必要はありません。ここはおもいきって、携帯で写真に収めましょう。
これはある種の「旅行写真」です。「腸を駆け抜けた=旅行」で、このウンコは旅先で出会った「日焼けした旅人」なのです。
「旅行先で知り合った人と写真を撮って何が悪いの?」
こう考えて、開き直りましょう。
それでも、やってることは普通ではありません。携帯に保存しておいて誰かに見られたら、めちゃくちゃ恥ずかしいです。「これはうちの犬です。かわいいでしょ?」と見せた写真が誤ってウンコの写真だったら、確実に引かれます。「う、うちは、トグロ犬なんです!」と訳のわからないことを口にするしかないでしょう。
ですが、このようなリスクを背負っても、写真に残しておきたいものです。いつか自分が重い病に倒れた時に見て、「俺は昔、こんなすばらしいものを出せたのか!」と、自分を奮起させることもできるのですから。
今回の僕も、何回、携帯電話を握りしめたことか。
これほどの完成度だともう、理屈ではありません。手元に残しておきたくて仕方がないんですね。
写メールに撮って保存しておくことを、僕は否定しません。オススメはしませんが、撮った人間だとて、卑下されるものではないでしょう。
②添い寝をして2人だけの時間を過ごし、思い出にする
これは和式限定ですが、オススメです。
便器の横に寝転び、ヒジをついてウンコに添い寝をすることで、2人だけの思い出を作るのです。
便器の周囲を、ベッドだと、考えます。ベッドの中で2人だけの時間を過ごせば、短時間だとて、交際したことになります。心のアルバムに思い出を残すことができ、恋愛と一緒で、思い出があるほうが別れは辛くないのです。
ウンコに対し、「ウン美」「ウン男」と名前をつけます。
「ウン美、照れてないで、何か言えよ?」
「ウン男さん、やけに日焼けしてるけど、海にでも行ったの?」
このように会話をすれば、素敵な思い出になるでしょう。
万が一、不審に思った警備員にドアをノックされても、「2人の時間を邪魔するな!」「ドアを叩くな!警察を呼ぶぞ!」などと、言い返してください。本当に神がかったウンコなら、警備員は、以下のように納得するはずです。
「(ドアを開けて)申し訳ないですけど、2人っきりの時間を邪魔しないでもらえますかね?」
「いや、1人でしょ?」
「2人や!よく見ろ、このウンコを?」
「なんであなたのウンコを見ないといけないんですか!」
「(警備員の首をつかんで)いいから、黙って見ろ!?」
「……」
「これでも1人やと言うんですか?」
「……」
「これでも1人やと言うんですか!?」
「2人です……」
このようにちゃんと説明すれば、警備員もわかってくれるはずです。
やがて、別れの時間がやってきます。
最後は、「ありがとう!俺、お前と出会えてよかったよ!」「違うんだよ!俺にお前はもったいなすぎるんだよ!」などと言ってお別れをしてください。
一時とはいえ、恋人との思い出ができました。何もしないでお別れするよりも、はるかに気持ちはスッキリするでしょう。
③ウンコを見ながら、素敵な恋愛の妄想にふける
これは、②を発展させた方法です。
添い寝に至るまでに、時間をかけて、ウンコと「脳内デート」をします。自分が理想とする恋愛を頭の中で繰り広げ、デートの総仕上げとして、「肉体関係=添い寝」をします。添い寝だけではなく、紆余曲折を経ての別れなので、心に残る思い出は②以上のものとなるのです。
脳内デートの様子は、各人の理想でOK。ですが僕としては、東京ラブストーリーならぬ、「東京マキグソーリー」がオススメです。
あなたが女性なら、相手の男性を永尾完治ならぬ「長いウンチ」と見立てます。「♪何から流せばいいのか わからないまま時は流れて 浮かんでは消えていく……」と、『マキグソーリーは突然に』を脳内に流しながら妄想してください。
デートをし、時には「お前の愛は重いんだよ!」「よそに行っちゃうよ!」などとケンカをしながらも、最終的に2人は結ばれます。この時、赤名リカに粉するあなたは、東京ラブストーリーと同様、長いウンチにこう告げてください。
「ウーンチ、S○Xしよう!」
②同様、あなたはウンチに添い寝をします。この脳内デートがあるだけで、交際に深みが出るのです。
やがて、別れの時がきます。
この時もドラマさながらに、「笑ってさよならしよう!」と口にします。ドアを開けて出ても再び振り返り、「ウーンチ!」と叫んで、もう1度ウンチに会いに行ってください。
ここまでやれば、あなたの心に、いい思い出として残ります。隣に誰かがいれば、「隣の便器の奴、何をぶつぶつ言ってんの……」と不審がられるものの、何もしなかった時のようなイヤな後味はないでしょう。
④卒業式のように、格式ばった「儀式」をする
②や③ができないというシャイな方に、これはオススメです。
まず、最低10分はウンコを見つめて、彼・彼女を脳裏に焼きつけます。
「お前に出会えてよかった!」
「お前がいたから、健康である今の俺がいるんだ!」
心でこのようにつぶやきながら、相手をリスペクトしてください。
そして便器のレバーを押す瞬間、こうつぶやくのです。
「ありがとう……」
謝意というのは、必ずしも、多くの言葉を必要としません。たったひと言のほうが時として、相手に伝わることがあります。葬式においても、冗長なあいさつをするより黙想で見送るほうが、相手や自分の心に残るのです。
その後、ウンコに向かって、敬礼をしましょう。
そして敬礼終わりに、レクイエムの歌を口にします。
「見事なウンコを流すのは惜しい!」という気持ちを表現した曲。
これは、中島みゆきの『時代』しかありません。
♪そんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ だから今日はくよくよしないで 今日の風に吹かれましょう まわるまわるよ時代はまわる 別れと出会いをくり返し 今日は倒れた旅人たちも 生まれかわってめぐりあうよ
これらのように、別れを「儀式化」するのです。
この儀式は卒業式と同じで、別れではなく、「旅立ち」です。ちゃんと儀式を行ったことが、スッキリした気分で、お互いを未来へと旅立たせるのです。
なにより、家族の最後を看取るときにも似て、「最後まで尽くした=やれることはやった」という満足感からも、後悔することはないでしょう。
そして、最後。
僕は先日、これを実践しました。最終的に流してお別れをしたものの、現在の僕の心はスッキリとしています。
⑤人に見せる
トイレにこもって考えまくった結果、僕は人を呼んで、見せることにしました。
僕には、相手を納得させるだけの「作品」を出したという、自負があります。作品のレベルの高さに、「見せて魅せる勝算」があったのです。
僕は、本屋さんの近くに住んでいる後輩に、トイレの中から、携帯で電話をしました。ですが、「俺のウンコを見に来てくれ?」と言っても来てくれないでしょうから、そのことを伏せておいたのです。
「もしもし?ごめん、寝てた?」
「久し振りの休みやったんで寝てました……」
「忙しいの、最近?」
「はい。帯(月~金曜のテレビ番組)のADに入ったんで、3週間ぶりの休みです」
「そうか。ただな、すごいもんがあるぞ」
「えっ?」
「いいから来てみ。来たらわかるから」
「……何なんですか?」
「ごちゃごちゃ言うな!来たらわかるから!」
「ちょっと教えてくださいよ!」
「言う必要がないねん、これは!とにかく見てくれ!それしか言いようがない!これを見たら人生観が変わるから!」
「……わかりました。今、どこですか?」
「○○○書店や」
「本屋ですか?」
「そうや。そこに着いたら電話をくれ!じゃあな!」
40分後。彼が本屋にやって来ました。
「着きました」
「そうか。2階のトイレに来てくれ」
「神の部屋ですか?」
「そうや。神の部屋の1番奥のトイレにいるから」
「……わかりました」
やがて眠そうにした彼が、僕のところに来ました。
「おはようございます!」
「おはよう」
「何なんですか?」
「いいから、これを見てみ?」
「えっ?」
「いいから中に入って、便器を見てみろ!」
小便をしている人が、「何なん、こいつら……」みたいな顔で僕らを見ています。ですが、この作品の前には、迷いなど一瞬にして消え去ります。
「いいから見ろ!見たらわかるから!」
「……わかりました。見たらいいんでしょ」
こう言って中に入り、僕の作品を見て、彼は言いましたよ。2階のこの場所から1階に響き渡るような大声で、こう叫んだのです。
「アホやろ、あんた!!!」
僕は、「すごいですね、このウンコ!」と返ってくるのを期待していました。8歳も年下の後輩に、ため口でキレられたのです。
「歳いくつやねん、あんた!」とボロクソだったのですが、さすがに神の部屋で出た神のウンコですから、話せばわかります。僕の作戦は間違っておらず、神の力は、人の言論を封殺してしまうほどの力を持ち合わせていたのです。
「あのねバスコさん、僕、今日しか休みがないんですよ!ほんまに、ゆっくり寝られるのは今日だけなんですよ!」
「いいから、よく見てみ?」
「はっ?」
「よく見てみろ、このウンコを!作品と思って観賞してみろ!」
「見たくないですよ!」
「いいから見ろ!(小便をしている人に)すいません、怪しいもんじゃないんで!ごちゃごちゃ言わずに、じっくりと見てみろ!」
「(まじまじと見る)」
「どうや?」
「……」
「どうやねん?」
「……たしかに、すごいですね」
「すごいやろ?」
「よく見たらすごいですね、このウンコ!これ、バスコさんがしたんですか?」
「当たり前や!俺しかできひんわ、こんなもん!」
「このウンコ、めちゃくちゃでかいですね!」
「でかいやろ。艶はどうや?」
「テカテカです」
「色は?」
「黄金です」
「形は?」
「完璧です」
「そうやろ!来てよかったやろ?」
「いや、来てよかったとは思わないですけど、たしかにすごいですね!」
「俺の気持ちがわかるか?」
「はっ?」
「人に見せたくなる、俺の気持ちがわかるやろ!?」
「……正直、わかりますね」
このように、「ゲスの極みを作品の完成度が凌駕した」のです。
それを証拠に、このウンコを見たあとに僕が「せっかく来てくれたから、飯をおごったるわ!そこのカレー屋に行かへん?」と訊いたところ、彼は「ありがとうございます!」と答えたのです。
そう、これは彼が、「僕のウンコをウンコとして見ていない」ということを表しているのです。
ウンコを見たあとにカレーを食べるのですから、普通は、「ほかのもんを食べましょうよ!」と言うはずです。僕の作品のアート感に魅せられたため、彼にはウンコを見たという実感がないんですね。
神レベルのウンコが出た時、人は、誰かに見せたくなる衝動に駆られます。惜しいハズレ馬券を人に見せたくなるのも同じ。人は、「すごいことを人に知らせたくなる症候群」という病気なのです。
したがって、人を呼んで見せるしかありません。
なにより、「俺、こないだ、30センチのウンコが出てんやんか」「ウソつけよ!」「ほんまや!だって俺、人に見せたから!なんだったら、そいつを呼ぼうか?」と「証拠ができる」ので、あなたの発言は信憑性を帯びることになるのです。
「人を呼んで見せる。そして、魅せる」
これが、今回の考察の結論です。
もちろん、人に見せるには、勇気がいります。見せられたほうも、今回のような反応を示してくれるとはかぎりません。
ですが、量・形・色・艶の4拍子がそろった作品なら、勇気を出して、人に見せてください。「魅せる」ことができれば、あなたはその後、別れを引きずることはないのです。
呼ぶだけ呼んで拒否されたら、その時はその時です。少なくとも、そうするために努力したという事実が、口惜しい気持ちを緩和してくれます。
みなさま、これで心配いりません。今後、芸術性の高いウンコが出ても、笑って楽しく、お別れができます。今回の記事を頭の片隅にでも置いていただき、実行に移しましょう。
ちなみにですが、僕は、健常者です。
グイグイはやめにするべきではないか?の考察~ベスト版~(パソコン読者用)
※過去の「グイグイ」の記事をごちゃ混ぜにして再編集
先日、仕事場近くの家電量販店に立ち寄りました。
といっても、暇つぶしに入っただけです。買うものはなく、フロアをぶらぶらしていました。
しばらくして、従業員の1人が、僕に張り付いてきました。
「何をお探しで?」
こう言ってまとわりつき、「いや、特に買いたいものはないんで」と返しても、「お客様、この電気シェーバーはすごいですよ!」と、セールスを展開し始めたのです。
これ、うざいでしょ?客の空気を読んで、すぐに立ち去るべきでしょ!?
僕は無視して、近くのパソコン売り場に移動しました。
5分後。なんとなしに寄ったヒゲ剃りのコーナーに、先ほどの従業員が再び、やって来ました。
どうしても電気シェーバーを売りたいのか、セールスを展開してきます。口からツバをとばし、僕に「お客様、もしよかったら1度、お試しになってもらって?」とお願いしてきたのです。
僕は現在、ヒゲが生えていません。そのことを説明したところ、「では、私のヒゲを剃ってみますね!」と言って、自分のあごヒゲを剃り始めたのです。
意味わからん!お前が剃っても使い勝手のよさは俺にはわからんやろ!
「全然、痛くないですよ!」
伝わらんねん!使ってない俺にはわからんねん!
「ほら?ほら?」
病院行け、お前!脳の画像を撮ってもらったら、おそらく黒いのが見つかるわ!
僕は、人の無神経さ、強引さ、常識のなさ、謙虚のなさなどを、「グイグイくるな!」という意味で、グイグイと単位化しています。この従業員の行為は、典型的なグイグイです。無視してもまとわりついてくる奴など、迷惑以外の何物でもないのです。
そこで今回は、「グイグイはやめにするべきではないか?」の考察~ベスト版~です。
以下、僕が過去に遭遇したグイグイをご紹介します。
被害者だけではなく、僕を含めた誰もが加害者になりかねないので、身に覚えのある方はご注意ください。
①電車の座席の隙間に、強引に体をねじ込んでくる 1グイグイ
電車の座席に座っていると、10センチあるかないかの隙間に、体をねじ込んでくる人がいます。どう考えても座れないのにねじ込み、ほかの誰かが立つことになるのです。
こんなもん、席の泥棒でしょ?捕まらないとはいえ、やってることは泥棒と同じでしょ!?
このグイグイは、オバハンに多いです。
なかでも、大阪のオバハン。大阪のオバハンに至っては、5センチの隙間
でさえ突入してくるのです。
一反もめんか、お前!そんな隙間、一反もめんかディオに吸われすぎたゾンビしか入らんぞ!
とはいえ、このタイプは、まだましです。遠目からニラんできたり、目の前でため息をついたりと、露骨なオバハンがいるのです。
なにしろ僕は1度、傘の先をずっと、足に当てられたことがあります。「どけよ!」とばかりに、前にきたオバハンがずっと、持っている傘を僕のつま先に当ててきたのです。
ロシアンマフィアか、お前!仕込み傘か、それ!
気になった僕は、傘から足を離しました。すると足を動かすやいなや、このオバハンが僕に言ったのです。
「兄ちゃん、うちに座らしてや?」
言うてまうな!言うてまうなよ、お前!
「頼むわ!うち、足悪いねん!」
ウソつけ!ていうか、俺の足が悪くなるわ!お前に傘の先を当てられて、俺の足がいかれてまうわ!
ほかにも、僕が大学生のときのことです。
僕の隣に座っていた大柄の男性が、オバハンが立っているのを見て、席を立ちました。気をきかしてくれたのですが、それを見たオバハンが、こう口にしたのです。
「鈴木さん、あそこに座ろ!デブの兄ちゃんがどいてくれたわ!」
失礼やろ、お前!デブの兄ちゃんは、まだおんねん!丸聞こえやねん!ていうか、お前もデブやろ!単一電池みたいやろ!
大阪のオバハンの図々しさだけは、尋常じゃないです。近くに発見したら、くれぐれもご注意ください。
②スポーツジムで、客のくせにインストラクターぶってくる 2グイグイ
何かを習う場において、やたらと上からしゃべってくる人がいます。自分もただの客なのに、「私のほうが先輩だから!」とばかりに得意気で、なかには、頼んでもいないのに教えてくる人までいます。
僕が通うスポーツジムに、このタイプのマッチョジジイがいます。インストラクターがいるにもかかわらず、新入りを見つけては、隣に張り付いて無理矢理教えてくるのです。
このジジイは、まず、上腕二頭筋を鍛えさせます。客をマシーンに座らせて、「君だったら、まずは60キロだな」「君は女の子だから、30キロから始めてみようか」とか言いながら、10回、重りを上げさせるのですが、1回ごとの合間に、妙なかけ声を挟んできます。
「はい、1、大きく息を吸って!」
「はい、2、使ってる筋肉を意識して!」
このように声をかけ、1度、「はい、8、明日を夢見て!」って言ったんですよ。
スラム街か、ここ!そんな大志抱いてる奴なんておらんわ!
このジジイは、6で必ず、「自分の体がハガネになったところを想像して!」と叫びます。ですが、これはセリフが長いです。あるとき、ジジイのセリフよりも上げるスピードが速くて7回目に突入してしまい、それに気づいたジジイが「はい、6、自分の体がハガネになったところをって、速い速い!」と客にキレたんですよ!
なんでお前のしゃべるスピードに合わせないとあかんねん!なんでお前のセリフありきやねん!
「はい、9、もうすぐ夏だ!」
どういうことやねん!どういうことやねん、それ!
このジジイには、弟子がいます。ジジイの教えを受ける「弟子ジジイ」が5人以上おり、ジジイの遺伝子を受け継いで、客にガンガンにおせっかいを焼いてくるのです。
ある日、1人の女性が倒れました。
そのときなんて、その女性がバタンと倒れるやいなや、一瞬で全員が現場に集まりました。全員が「大丈夫か!?」と叫び、フロアの方々からドラクエのマドハンドなみにジジイが増えてきたんですよ!
なんやねん、その結束の固さ!お前らはもう、『チームジジイ』とプリントされたTシャツを着ろ!そのTシャツを着て明日を夢見ろ!
ちなみに余談ですが、チームジジイのメンバーの1人は、シャンプーに『ヴィダルサスーン』を使っています。
③自分の結婚式のビデオを見せてくる 3グイグイ
結婚式のビデオを渡してくる人がいます。
式の模様を撮影して、後日、参列者に渡してくるのですが、こんなものを渡されても、「知らんがな!」としか言いようがありません。幸せか何か知りませんけど、見たくも何ともないのです。
先日、僕宛てに郵便物が届きました。
送り主は東京に住む、古い友人です。中に入っていたのは、自分の披露宴の模様を撮影したDVD。参列できなかった僕へのプレゼントらしく、息抜きがてら見てみることにしたのですが、自分で映像を編集したのか、はっきり言って、気持ち悪いのです。
まず、ことあるごとに、妙なナレーションが入ります。本人の声で、「お父さんが泣いています。お母さんも号泣しています。こいつは食べてばっかりです……」「彼は小学生のときに大便を漏らしましたって、しまった!これは
言ってはいけないことだった!」などと、ちょいちょい小ボケが入ってくるのです。
なんやねん、これ!何なん、この気持ち悪い感じ!?で、食べてばっかりですって、お前はすべってばっかりやぞ!
しかも、途中で「ちょっと一息」と題して、ミニコントが入ります。
こいつは、スポーツメーカーに勤めています。自社の製品を宣伝するために、会社の上司と一緒に、「課長、このスポーツドリンクはおいしいですね?」「そうだな。飲むと体がみなぎるみなぎる!」「課長、そんなこと言って、またゴルフに行くつもりでしょ?」「バレたか!?」と、妙なコントをインサートしているのです。
なんやねん、この茶番!何なん、この「スベリミナル効果」は!?
またこの課長が、筋金入りのハゲなんですよ。「ハゲで飯食ってます!」と言わんばかりの大ハゲで、その更地っぷりにドン引きなのです。途中で、「課長、残念ながら、このドリンクで髪の毛は増えませんよ?」「チキショ
ー!」という自虐コントが入るものの、ハゲっぷりが獰猛すぎて笑えないのです。
頭頂部にモザイク入れろ、お前!映像の編集はいいから、頭を編集しろ!
なのにこのハゲがまた、オチで毎回、舌を出してきやがるのです。「バレたか?」「チキショー!」と叫んで舌を出し、その静止画で♪チャンチャンと効果音が流れるのです。
きつすぎるわ、この映像!深夜でも流せんわ、これ!砂嵐見るほうがまだ体に害はないわ!
結婚式のビデオを渡すなど、迷惑なだけでしょう。変に編集したDVDに至っては、うざくて仕方がないのです。
④絵馬を使って、神様に無理なお願いをする 4グイグイ
木に願いごとを書いて吊るす、絵馬。なかには言うにことかいて、べらぼうなお願いをしている奴がいるのです。
先日、散歩のついでに、地元の神社に入りました。吊るされた絵馬をなんとなしに見たところ、そのうちの1つに『ヒザの痛みがとれて、お金持ちになれますように!』と書かれてあったのです。
ぜいたく言うなよ、お前!お前かて、クララがキャビア食いたがったらイヤやろ!
とはいえ、こんな絵馬は序の口です。なかには、目を疑うような願いごとをしている奴がいるのです。
『商売繁盛!夫婦円満!交通安全!』
1個にせいや!500円ごときで3個も頼むなよ!
『由美へ。一生一緒にいてくれや!みてくれや才能も全部含めて!」
由美に言えよ!お前それ、由美に直接言えよ!ていうか、「由美へ」って言うてもうてるやんけ!
『俺の人生、オール一本!』
知らんがな、そんなもん!神様はどうしたらいいねん、こんなこと言われて!ていうか、なんで金払ってこんなこと書くの!?
『한글쌍!기역한글한글쌍!!!』
ハングル!?ちょっと待って、ハングルなん!?
お前、神様がバイリンガルと思うな!天界が全員、外大出身やと思うな!
とりわけ、以下の願いごとだけは、本気でむかつきました。あまりに腹が立ったので、もう名前をさらしますわ。こいつは伊丹市の「黒田義孝」です。
『第52回群像新人賞、第16回三田文学新人賞をダブル受賞できますように。それが無理なら、関西電力か村田製作所のどちらかにSEとして再就職できますように』
何様やねん、お前!この不景気に、何を言うとんねん!隣の『ボケ風じじ!』と書いたババアを見習え!謙虚やろ!ボケないようにボケ風じと書いたって、漢字間違っとるやんけ!すでにボケとるやんけ、このババア!黒田さんごめん言いすぎた、隣にもっとひどい奴おったわ!
はっきり言ってね、こいつら罰当たりますよ。願いが叶うどころか、あまりの不敬に、神様が罰を与えてきますから。
⑤人から借りたバスタオルなのに拭きすぎる 5グイグイ
銭湯でバスタオルを忘れ、誰かに借りる人がいます。
ですが、人様のものだということを忘れて、ガンガンに拭く人がいます。股間や耳の中はもちろん、ひどい場合、肛門まで拭くのです。
これ、少しは遠慮がいるでしょ?デリカシーがなさすぎるでしょ!?
友達なら、まだわかります。ですが、見知らぬ人にお願いされることがあるのです。こちらとしても、イヤだとは言いにくいので貸してあげるのですが、そんな奴にかぎって、ガンガンに拭くのです。
僕は過去、通っているスポーツジムの風呂場で、5、6回、貸してあげたことがあります。
ただ、昨夏に貸してあげた人は、まあグイグイでしたよ。オグリキャップみたいな顔をしたジジイで、僕のバスタオルを手にするやいなや、股間から拭き始めたのです。
お前、いきなり股間拭くか、普通!?お前それは、USJでいきなりジョーズ行くようなもんやぞ!
イラっとしながらも、僕は横目でチェックしていました。するとこいつが、股間を念入りに拭いているのです。「テレクラの女に会う前か!」というぐらい、チンチンを拭きたおすのはおろか、金玉を引っ張って裏筋を拭いているのです。
ターちゃんか、お前!そんなに金玉引っ張る奴、ジャングルの王者ターちゃんしかおらんぞ!
またこのオグリキャップが、陰毛が白髪だらけなのです。「それ、ピアノか?」というぐらい白の比率が高いのです。
チン毛どうなってんねん、お前!もしかして、オグリキャップやから「芦毛の怪物」とかそういうこと!?
返す刀で、ジジイは上半身を拭きました。脚も拭き終えたので、やっと返してもらえると安心していたのですが、総仕上げとばかりに、股にタオルを挟んで両手でこすり上げはじめたんですよ!
勘弁してくれよ、おい!もうゴミ箱行きやんけ、そのタオル!
「ありがとう!」
すいませんって言え!で、できれば買い取ってくれ、そのタオル!
このケースでは、拭いたらダメな場所があります。少なくとも、借りた人に見られてはダメで、貸したほうからすれば、「丁寧に拭かずに、少しは濡れたまま帰れ!」と思うのが正直なところなのです。
⑥喫茶店で、隣のテーブルからガンガンに話しかけてくる 6グイグイ
新幹線やバス、喫茶店など、隣にいるというだけで、話しかけてくる人がいます。眠たかったり、仕事の打ち合わせをしたりしているのに、空気を読まずに、ガンガンに話しかけてくるのです。
僕はちょっとした打ち合わせのとき、いつも同じ喫茶店を使います。常連のオッサンがおり、3回に1回は、僕の隣の席に座って話しかけてくるのです。
先日も仕事の打ち合わせをしていると、隣にこのオッサンが来ました。
そして席に座るいなや、僕にこう訊いてきたのです。
「なあ兄ちゃん、豚インフルエンザってどう思う?」
訊き方が広すぎるわ!答えようないわ、そんなもん!
「わしはあれ、ほんまは水道水が原因やと思う」
意味わからん!で、お前は今、水道水飲んでるやろ!原因を補給しとるやろ、今まさに!
あまりにしつこいので、僕は無視しました。すると今度は、右隣の若者に話しかけ始めたのです。
「なあ兄ちゃん、豚インフルエンザってどう思う?」
聞こえてたわ、そいつも!お前の真横やから全部聞こえてんねん!
「わしあれほんまは……」
だから水道水やろ!?お前がおかわりを求めた、その水道水が原因なんやろ!?
10分後。
このオッサンが「こっちや!」と言って、手を挙げました。友達が来たらしく、僕は何気に視線を投げたのですが、線路みたいなものすごいバーコードのハゲがやって来たんですよ!
すごいの来たぞ、おい!ちょっと待って、何、このハゲ!?
えげつないバーコードなんですよ!残った髪が平行に5ブロックあるだ
けなのです!「鶴が捕まるわ!」というぐらい「ワナ」みたいな毛の残り方で、ていうかもう完全に線路なんですよ!
何線やねん、それ!気になるから、何線か教えろ!なんや、御堂筋線か!?
「何で来たん?」
「御堂筋」
当たってた!当たってたぞ、おい!御堂筋が御堂筋線に乗ってきたぞ!お前はもう、ヅラかぶって新御堂筋にしろ!
久々に、我が目を疑いました。オッサンの話しかけ、及び、バーコードが気になって仕事にならず、一緒にいた後輩に頼まれて、急遽、場所を変えましたから。
そして、最後。
これは、グイグイどころの話ではありません。本気で頭にきているので、「ブチギレルワ」に認定したいと思います。
⑦朝っぱらから選挙カーに乗って、大声で叫ぶ 1ブチギレルワ
これはみなさまも、1度はむかついたことがあるはずです。
選挙の際、朝っぱらから応援を始める奴がいるのです。選挙カーに乗り、「~でございます!がんばりますのでよろしくお願いします!」と、ガンガンにしゃべってくるのです。
静かにせいや、お前!だいたいがんばりますって、当たり前じゃそんなもん!がんばるんは当たり前、その先に何をするのか具体的に話せよ!
それでも、ちゃんとした政治家であれば、まだ許せます。
ですが、そんな奴にかぎって、ろくでもない奴です。過去、僕の地元の市議会議員選挙の際、立候補者のオバハンが、朝の9時から「ホタルを守ります!」と連呼したのです。
どうでもいいわ、ホタルとか!悪いけど、この不景気にホタルなんてどうでもいいわ!
しかもこのオバハンが、北半球で1番のブサイクなのです。下駄箱みたいな顔をしたオバハンなので、受かるわけがないのです。
お前、出んなよ、そんな顔で!お前は市民の審判を浴びる前に、まずリサイクルショップの審判を浴びろ!
「この街を必ず変えます!」
顔を変えろ!お前はまず、顔の「CHANGE」を市民に約束しろ!話を聞くんはそれからや!
「この街を美しい街にします!」
お前がおったら無理やわ!ていうかお前、引っ越せ!ほかの市に引っ越すだけでお前の公約は果たされるわ!
僕の家は、小さな駐車場を経営しています。後援会の人とうちの母親が知り合いのため、このオバハンがうちにやって来たのですが、駐車場に「ポスターを貼らしてくれ!」とお願いしてきたのです。
いやいや、無理無理!で、うちにはもう下駄箱あるから!お前よりもいい下駄箱があるから!
「マニフェストを見てもらえませんかね?」
ごめん、マニフェストどころかお前すら見たくないから!で、できればマニフェストに「整形します」と書いてくれ!当選確実じゃなく、まずは整形確実にしてくれ!
はっきり言いますけど、ブサイクでうるさい奴なんて、誰も票入れないですよ。政策うんぬんは関係なく、副次的な迷惑が致命傷になるのです。
とりわけ、朝からうるさい政治家。これ、絶対損してますよ。
国民は、誰がなっても同じ、と思っている節があります。若者に至っては、政治にまったく関心がありません。休日に起こされたら、誰もそいつには入れないのです。
以上が、今回の考察です。
ちなみに先ほどのオバハンは、ありえない得票数で選挙に落ちました。
選挙後、地元でそのことが話題になり、現場にいた後援会の人が、こう言っていたそうなのです。
「やっぱり落ちたのは、見た目ですかね?」
うん、絶対そう!それだけは当選確実!
グイグイはやめにするべきではないか?の考察~ベスト版~(携帯読者用)
※過去の「グイグイ」の記事をごちゃ混ぜにして再編集
先日、仕事場近くの家電量販店に立ち寄りました。
といっても、暇つぶしに入っただけです。買うものはなく、フロアをぶらぶらしていました。
しばらくして、従業員の1人が、僕に張り付いてきました。
「何をお探しで?」
こう言ってまとわりつき、「いや、特に買いたいものはないんで」と返しても、「お客様、この電気シェーバーはすごいですよ!」と、セールスを展開し始めたのです。
これ、うざいでしょ?客の空気を読んで、すぐに立ち去るべきでしょ!?
僕は無視して、近くのパソコン売り場に移動しました。
5分後。なんとなしに寄ったヒゲ剃りのコーナーに、先ほどの従業員が再び、やって来ました。
どうしても電気シェーバーを売りたいのか、セールスを展開してきます。口からツバをとばし、僕に「お客様、もしよかったら1度、お試しになってもらって?」とお願いしてきたのです。
僕は現在、ヒゲが生えていません。そのことを説明したところ、「では、私のヒゲを剃ってみますね!」と言って、自分のあごヒゲを剃り始めたのです。
意味わからん!お前が剃っても使い勝手のよさは俺にはわからんやろ!
「全然、痛くないですよ!」
伝わらんねん!使ってない俺にはわからんねん!
「ほら?ほら?」
病院行け、お前!脳の画像を撮ってもらったら、おそらく黒いのが見つかるわ!
僕は、人の無神経さ、強引さ、常識のなさ、謙虚のなさなどを、「グイグイくるな!」という意味で、グイグイと単位化しています。この従業員の行為は、典型的なグイグイです。無視してもまとわりついてくる奴など、迷惑以外の何物でもないのです。
そこで今回は、「グイグイはやめにするべきではないか?」の考察~ベスト版~です。
以下、僕が過去に遭遇したグイグイをご紹介します。
被害者だけではなく、僕を含めた誰もが加害者になりかねないので、身に覚えのある方はご注意ください。
①電車の座席の隙間に、強引に体をねじ込んでくる 1グイグイ
電車の座席に座っていると、10センチあるかないかの隙間に、体をねじ込んでくる人がいます。どう考えても座れないのにねじ込み、ほかの誰かが立つことになるのです。
こんなもん、席の泥棒でしょ?捕まらないとはいえ、やってることは泥棒と同じでしょ!?
このグイグイは、オバハンに多いです。
なかでも、大阪のオバハン。大阪のオバハンに至っては、5センチの隙間でさえ突入してくるのです。
一反もめんか、お前!そんな隙間、一反もめんかディオに吸われすぎたゾンビしか入らんぞ!
とはいえ、このタイプは、まだましです。遠目からニラんできたり、目の前でため息をついたりと、露骨なオバハンがいるのです。
なにしろ僕は1度、傘の先をずっと、足に当てられたことがあります。「どけよ!」とばかりに、前にきたオバハンがずっと、持っている傘を僕のつま先に当ててきたのです。
ロシアンマフィアか、お前!仕込み傘か、それ!
気になった僕は、傘から足を離しました。すると足を動かすやいなや、このオバハンが僕に言ったのです。
「兄ちゃん、うちに座らしてや?」
言うてまうな!言うてまうなよ、お前!
「頼むわ!うち、足悪いねん!」
ウソつけ!ていうか、俺の足が悪くなるわ!お前に傘の先を当てられて、俺の足がいかれてまうわ!
ほかにも、僕が大学生のときのことです。
僕の隣に座っていた大柄の男性が、オバハンが立っているのを見て、席を立ちました。気をきかしてくれたのですが、それを見たオバハンが、こう口にしたのです。
「鈴木さん、あそこに座ろ!デブの兄ちゃんがどいてくれたわ!」
失礼やろ、お前!デブの兄ちゃんは、まだおんねん!丸聞こえやねん!ていうか、お前もデブやろ!単一電池みたいやろ!
大阪のオバハンの図々しさだけは、尋常じゃないです。近くに発見したら、くれぐれもご注意ください。
②スポーツジムで、客のくせにインストラクターぶってくる 2グイグイ
何かを習う場において、やたらと上からしゃべってくる人がいます。自分もただの客なのに、「私のほうが先輩だから!」とばかりに得意気で、なかには、頼んでもいないのに教えてくる人までいます。
僕が通うスポーツジムに、このタイプのマッチョジジイがいます。インストラクターがいるにもかかわらず、新入りを見つけては、隣に張り付いて無理矢理教えてくるのです。
このジジイは、まず、上腕二頭筋を鍛えさせます。客をマシーンに座らせて、「君だったら、まずは60キロだな」「君は女の子だから、30キロから始めてみようか」とか言いながら、10回、重りを上げさせるのですが、1回ごとの合間に、妙なかけ声を挟んできます。
「はい、1、大きく息を吸って!」
「はい、2、使ってる筋肉を意識して!」
このように声をかけ、1度、「はい、8、明日を夢見て!」って言ったんですよ。
スラム街か、ここ!そんな大志抱いてる奴なんておらんわ!
このジジイは、6で必ず、「自分の体がハガネになったところを想像して!」と叫びます。ですが、これはセリフが長いです。あるとき、ジジイのセリフよりも上げるスピードが速くて7回目に突入してしまい、それに気づいたジジイが「はい、6、自分の体がハガネになったところをって、速い速い!」と客にキレたんですよ!
なんでお前のしゃべるスピードに合わせないとあかんねん!なんでお前のセリフありきやねん!
「はい、9、もうすぐ夏だ!」
どういうことやねん!どういうことやねん、それ!
このジジイには、弟子がいます。ジジイの教えを受ける「弟子ジジイ」が5人以上おり、ジジイの遺伝子を受け継いで、客にガンガンにおせっかいを焼いてくるのです。
ある日、1人の女性が倒れました。
そのときなんて、その女性がバタンと倒れるやいなや、一瞬で全員が現場に集まりました。全員が「大丈夫か!?」と叫び、フロアの方々からドラクエのマドハンドなみにジジイが増えてきたんですよ!
なんやねん、その結束の固さ!お前らはもう、『チームジジイ』とプリントされたTシャツを着ろ!そのTシャツを着て明日を夢見ろ!
ちなみに余談ですが、チームジジイのメンバーの1人は、シャンプーに『ヴィダルサスーン』を使っています。
③自分の結婚式のビデオを見せてくる 3グイグイ
結婚式のビデオを渡してくる人がいます。
式の模様を撮影して、後日、参列者に渡してくるのですが、こんなものを渡されても、「知らんがな!」としか言いようがありません。幸せか何か知りませんけど、見たくも何ともないのです。
先日、僕宛てに郵便物が届きました。
送り主は東京に住む、古い友人です。中に入っていたのは、自分の披露宴の模様を撮影したDVD。参列できなかった僕へのプレゼントらしく、息抜きがてら見てみることにしたのですが、自分で映像を編集したのか、はっきり言って、気持ち悪いのです。
まず、ことあるごとに、妙なナレーションが入ります。本人の声で、「お父さんが泣いています。お母さんも号泣しています。こいつは食べてばっかりです……」「彼は小学生のときに大便を漏らしましたって、しまった!これは言ってはいけないことだった!」などと、ちょいちょい小ボケが入ってくるのです。
なんやねん、これ!何なん、この気持ち悪い感じ!?で、食べてばっかりですって、お前はすべってばっかりやぞ!
しかも、途中で「ちょっと一息」と題して、ミニコントが入ります。
こいつは、スポーツメーカーに勤めています。自社の製品を宣伝するために、会社の上司と一緒に、「課長、このスポーツドリンクはおいしいですね?」「そうだな。飲むと体がみなぎるみなぎる!」「課長、そんなこと言って、またゴルフに行くつもりでしょ?」「バレたか!?」と、妙なコントをインサートしているのです。
なんやねん、この茶番!何なん、この「スベリミナル効果」は!?
またこの課長が、筋金入りのハゲなんですよ。「ハゲで飯食ってます!」と言わんばかりの大ハゲで、その更地っぷりにドン引きなのです。途中で、「課長、残念ながら、このドリンクで髪の毛は増えませんよ?」「チキショー!」という自虐コントが入るものの、ハゲっぷりが獰猛すぎて笑えないのです。
頭頂部にモザイク入れろ、お前!映像の編集はいいから、頭を編集しろ!
なのにこのハゲがまた、オチで毎回、舌を出してきやがるのです。「バレたか?」「チキショー!」と叫んで舌を出し、その静止画で♪チャンチャンと効果音が流れるのです。
きつすぎるわ、この映像!深夜でも流せんわ、これ!砂嵐見るほうがまだ体に害はないわ!
結婚式のビデオを渡すなど、迷惑なだけでしょう。変に編集したDVDに至っては、うざくて仕方がないのです。
④絵馬を使って、神様に無理なお願いをする 4グイグイ
木に願いごとを書いて吊るす、絵馬。なかには言うにことかいて、べらぼうなお願いをしている奴がいるのです。
先日、散歩のついでに、地元の神社に入りました。吊るされた絵馬をなんとなしに見たところ、そのうちの1つに『ヒザの痛みがとれて、お金持ちになれますように!』と書かれてあったのです。
ぜいたく言うなよ、お前!お前かて、クララがキャビア食いたがったらイヤやろ!
とはいえ、こんな絵馬は序の口です。なかには、目を疑うような願いごとをしている奴がいるのです。
『商売繁盛!夫婦円満!交通安全!』
1個にせいや!500円ごときで3個も頼むなよ!
『由美へ。一生一緒にいてくれや!みてくれや才能も全部含めて!」
由美に言えよ!お前それ、由美に直接言えよ!ていうか、「由美へ」って言うてもうてるやんけ!
『俺の人生、オール一本!』
知らんがな、そんなもん!神様はどうしたらいいねん、こんなこと言われて!ていうか、なんで金払ってこんなこと書くの!?
とりわけ、以下の願いごとだけは、本気でむかつきました。あまりに腹が立ったので、もう名前をさらしますわ。こいつは伊丹市の「黒田義孝」です。
『第52回群像新人賞、第16回三田文学新人賞をダブル受賞できますように。それが無理なら、関西電力か村田製作所のどちらかにSEとして再就職できますように』
何様やねん、お前!この不景気に、何を言うとんねん!隣の『ボケ風じじ!』と書いたババアを見習え!謙虚やろ!ボケないようにボケ風じと書いたって、漢字間違っとるやんけ!すでにボケとるやんけ、このババア!黒田さんごめん言いすぎた、隣にもっとひどい奴おったわ!
はっきり言ってね、こいつら罰当たりますよ。願いが叶うどころか、あまりの不敬に、神様が罰を与えてきますから。
⑤人から借りたバスタオルなのに拭きすぎる 5グイグイ
銭湯でバスタオルを忘れ、誰かに借りる人がいます。
ですが、人様のものだということを忘れて、ガンガンに拭く人がいます。股間や耳の中はもちろん、ひどい場合、肛門まで拭くのです。
これ、少しは遠慮がいるでしょ?デリカシーがなさすぎるでしょ!?
友達なら、まだわかります。ですが、見知らぬ人にお願いされることがあるのです。こちらとしても、イヤだとは言いにくいので貸してあげるのですが、そんな奴にかぎって、ガンガンに拭くのです。
僕は過去、通っているスポーツジムの風呂場で、5、6回、貸してあげたことがあります。
ただ、昨夏に貸してあげた人は、まあグイグイでしたよ。オグリキャップみたいな顔をしたジジイで、僕のバスタオルを手にするやいなや、股間から拭き始めたのです。
お前、いきなり股間拭くか、普通!?お前それは、USJでいきなりジョーズ行くようなもんやぞ!
イラっとしながらも、僕は横目でチェックしていました。するとこいつが、股間を念入りに拭いているのです。「テレクラの女に会う前か!」というぐらい、チンチンを拭きたおすのはおろか、金玉を引っ張って裏筋を拭いているのです。
ターちゃんか、お前!そんなに金玉引っ張る奴、ジャングルの王者ターちゃんしかおらんぞ!
またこのオグリキャップが、陰毛が白髪だらけなのです。「それ、ピアノか?」というぐらい白の比率が高いのです。
チン毛どうなってんねん、お前!もしかして、オグリキャップやから「芦毛の怪物」とかそういうこと!?
返す刀で、ジジイは上半身を拭きました。脚も拭き終えたので、やっと返してもらえると安心していたのですが、総仕上げとばかりに、股にタオルを挟んで両手でこすり上げはじめたんですよ!
勘弁してくれよ、おい!もうゴミ箱行きやんけ、そのタオル!
「ありがとう!」
すいませんって言え!で、できれば買い取ってくれ、そのタオル!
このケースでは、拭いたらダメな場所があります。少なくとも、借りた人に見られてはダメで、貸したほうからすれば、「丁寧に拭かずに、少しは濡れたまま帰れ!」と思うのが正直なところなのです。
⑥喫茶店で、隣のテーブルからガンガンに話しかけてくる 6グイグイ
新幹線やバス、喫茶店など、隣にいるというだけで、話しかけてくる人がいます。眠たかったり、仕事の打ち合わせをしたりしているのに、空気を読まずに、ガンガンに話しかけてくるのです。
僕はちょっとした打ち合わせのとき、いつも同じ喫茶店を使います。常連のオッサンがおり、3回に1回は、僕の隣の席に座って話しかけてくるのです。
先日も仕事の打ち合わせをしていると、隣にこのオッサンが来ました。
そして席に座るいなや、僕にこう訊いてきたのです。
「なあ兄ちゃん、豚インフルエンザってどう思う?」
訊き方が広すぎるわ!答えようないわ、そんなもん!
「わしはあれ、ほんまは水道水が原因やと思う」
意味わからん!で、お前は今、水道水飲んでるやろ!原因を補給しとるやろ、今まさに!
あまりにしつこいので、僕は無視しました。すると今度は、右隣の若者に話しかけ始めたのです。
「なあ兄ちゃん、豚インフルエンザってどう思う?」
聞こえてたわ、そいつも!お前の真横やから全部聞こえてんねん!
「わしあれほんまは……」
だから水道水やろ!?お前がおかわりを求めた、その水道水が原因なんやろ!?
10分後。
このオッサンが「こっちや!」と言って、手を挙げました。友達が来たらしく、僕は何気に視線を投げたのですが、線路みたいなものすごいバーコードのハゲがやって来たんですよ!
すごいの来たぞ、おい!ちょっと待って、何、このハゲ!?
えげつないバーコードなんですよ!残った髪が平行に5ブロックあるだけなのです!「鶴が捕まるわ!」というぐらい「ワナ」みたいな毛の残り方で、ていうかもう完全に線路なんですよ!
何線やねん、それ!気になるから、何線か教えろ!なんや、御堂筋線か!?
「何で来たん?」
「御堂筋」
当たってた!当たってたぞ、おい!御堂筋が御堂筋線に乗ってきたぞ!お前はもう、ヅラかぶって新御堂筋にしろ!
久々に、我が目を疑いました。オッサンの話しかけ、及び、バーコードが気になって仕事にならず、一緒にいた後輩に頼まれて、急遽、場所を変えましたから。
そして、最後。
これは、グイグイどころの話ではありません。本気で頭にきているので、「ブチギレルワ」に認定したいと思います。
⑦朝っぱらから選挙カーに乗って、大声で叫ぶ 1ブチギレルワ
これはみなさまも、1度はむかついたことがあるはずです。
選挙の際、朝っぱらから応援を始める奴がいるのです。選挙カーに乗り、「~でございます!がんばりますのでよろしくお願いします!」と、ガンガンにしゃべってくるのです。
静かにせいや、お前!だいたいがんばりますって、当たり前じゃそんなもん!がんばるんは当たり前、その先に何をするのか具体的に話せよ!
それでも、ちゃんとした政治家であれば、まだ許せます。
ですが、そんな奴にかぎって、ろくでもない奴です。過去、僕の地元の市議会議員選挙の際、立候補者のオバハンが、朝の9時から「ホタルを守ります!」と連呼したのです。
どうでもいいわ、ホタルとか!悪いけど、この不景気にホタルなんてどうでもいいわ!
しかもこのオバハンが、北半球で1番のブサイクなのです。下駄箱みたいな顔をしたオバハンなので、受かるわけがないのです。
お前、出んなよ、そんな顔で!お前は市民の審判を浴びる前に、まずリサイクルショップの審判を浴びろ!
「この街を必ず変えます!」
顔を変えろ!お前はまず、顔の「CHANGE」を市民に約束しろ!話を聞くんはそれからや!
「この街を美しい街にします!」
お前がおったら無理やわ!ていうかお前、引っ越せ!ほかの市に引っ越すだけでお前の公約は果たされるわ!
僕の家は、小さな駐車場を経営しています。後援会の人とうちの母親が知り合いのため、このオバハンがうちにやって来たのですが、駐車場に「ポスターを貼らしてくれ!」とお願いしてきたのです。
いやいや、無理無理!で、うちにはもう下駄箱あるから!お前よりもいい下駄箱があるから!
「マニフェストを見てもらえませんかね?」
ごめん、マニフェストどころかお前すら見たくないから!で、できればマニフェストに「整形します」と書いてくれ!当選確実じゃなく、まずは整形確実にしてくれ!
はっきり言いますけど、ブサイクでうるさい奴なんて、誰も票入れないですよ。政策うんぬんは関係なく、副次的な迷惑が致命傷になるのです。
とりわけ、朝からうるさい政治家。これ、絶対損してますよ。
国民は、誰がなっても同じ、と思っている節があります。若者に至っては、政治にまったく関心がありません。休日に起こされたら、誰もそいつには入れないのです。
以上が、今回の考察です。
ちなみに先ほどのオバハンは、ありえない得票数で選挙に落ちました。
選挙後、地元でそのことが話題になり、現場にいた後援会の人が、こう言っていたそうなのです。
「やっぱり落ちたのは、見た目ですかね?」
うん、絶対そう!それだけは当選確実!
木下さんは何者か?の考察~ベスト版①~(パソコン読者用)
※過去の木下さんの記事をごちゃ混ぜにして、再編集
先日のことです。
家の自転車置き場に原付きを停めていると、近所のおじさんがやってきました。
「はい、これ!」
知り合いがスイカをくれたらしく、おすそ分けしてくれたのです。
僕はお礼を言って受け取り、家に入りました。ですが、そのスイカを見た僕の母親が、「これ、うちのスイカやないの!」と言うのです。
僕の父親は、趣味で畑をやっています。このスイカは僕の父親が作ったもので、このおじさんの奥さんに昨日、あげました。このおじさんは、奥さんが僕の父親からもらったことに気づかず、僕の家に持ってきてしまったのです。
このおじさんの名前は、木下さん。
僕の近所に住む、「天然の天才」なのです。
おかしなエピソードを挙げればキリがなく、その昔、「これ、運動会のときの写真!」と言って、僕が映っていない写真を渡してきました。
ほかにも僕が高校生のとき、銭湯に汗だくでやってきたので、「どないしたん、そんなに汗かいて?」と訊いたら、「風呂入ってきてん!」と答えたのです。
風呂でかいた汗を、風呂で流すんですよ?こんなもん、キリないでしょ!?
お前、いつ終わんねん、それ!どこで線引くねん!
僕の家は、兵庫県の尼崎市というところにあります。ダウンタウンを輩出した、関西ではおなじみの通称「アマ」で、変わった人がたくさん存在する街なのです。
なかでも、僕の近所の商店街は、超個性派の集まり。そこで自転車屋を営むこの木下さんは、日本一頭がおかしいといっても過言ではない、奇人中の奇人なのです。
そこで今回は、「木下さんは何者か?」の考察~ベスト版①~です。
木下さんは、うちの母親の同級生で64歳。ボロボロの自転車屋を経営し、奥さんとの共働きで、僕の小学校の同級生の息子(サラリーマン・既婚)と娘(フリーター)がいます。
このプロフィールを踏まえていただき、以下、木下さんにまつわるエピソードをご紹介します。
信じがたいお話ばかりなのですが、すべて実話です。
検証エピソード①『お化け屋敷』
これは、僕が小学校低学年のときのお話です。
近所のデパートにお化け屋敷ができたというのを聞いて、僕は、誰かを誘って行くことにしました。
ですが、父親は仕事でダメ。母親にも怖いものが苦手だと断られ、たまたま新聞屋さんにチケットをもらった木下さんが、僕を連れて行ってくれることになったのです。
迎えた、当日。
僕らは自転車に乗って、デパートに行きました。
このお化け屋敷は、全国的に有名なものです。道すがら、「怖かった」「逃げ出したくなった」と、誰もが口々に言っています。顔も引きつっていたので、せっかく連れてきてもらったのに、僕は帰りたくなったのです。
ですが、不安を口にする僕を、木下さんが励ましてくれます。
「大丈夫や!単なる子供だましや!」
「アホなことを言うな!何が怖いねん、あんなもん!心配ない!俺がいる!」
このように、これ以上ない言葉で僕を勇気づけてくれたのです。
「やっぱり大人は違うな!」
僕は羨望の眼差しで木下さんを見ながら、お化け屋敷に入りました。
お化け屋敷の中は、生ぬるい空気が充満しています。木下さんを壁にして進むものの、しょっぱなから、めちゃくちゃ怖いのです。
血まみれの老婆やドラキュラが展示されており、遠くから、「ギャーー!」という客の叫び声が聞こえてきます。子供の僕は見てられないのです。
「でも僕には木下のおっちゃんがおるんや!この人がいるかぎり安全なんや!」
僕は自分にこう言い聞かして進んでいったのですが、3つ目の暖簾をくぐって切腹する武士が現れた瞬間、木下さんがぶわーって走り去ったんですよ!
「人はここまで逃げられるか!」というぐらい、見事な置き去りの仕方なのです!見捨てるとはまさにこのこと、ジョイナーばりのスピードで走り去ったのです!
しかも、テンぱりすぎて方向感覚がおかしくなり、僕のところに戻ってきたんですよ!「おっちゃん、こっち入口や!」と僕のほうが冷静なぐらいで、同じところを行ったりきたりしているのです!
勘弁してくれよ、おい!子供心にトラウマなるやんけ!
「ウギャーーー!ウギャーーー!!!」
ウギャーやあるか、お前!さっきの勇ましい言葉どこに行ってん!
進んだ地点にも怖いお化けがいるため、木下さんは、どこに行けばいいのかわからなくなっています。遠くで「ギャー!」というオッサンの叫び声が聞こえたかと思えば、戻ってきてギャーギャー叫ばれるので、お化けよりもこのオッサンのほうが怖いのです。
その結果、恐怖を煽るためのアトラクションと勘違いして、子供が泣きだしました。木下さんが客の体にガンガンにぶつかってくるので、「妖怪当たり屋」みたいになっているのです。
結局、木下さんは入口から出ました。
僕もどうすればいいかわからず、係の人に連れられて入口から出たのですが、僕を見て言った木下さんの言葉に、僕は殺意を覚えました。
「ここ、シャレならんわ……」
お前がシャレならんねん!お前が1番シャレならんねん!
僕は、このことがトラウマになっています。今でもお化け屋敷を見るとこのことを思い出すため、怖くて入れないのです。
検証エピソード②『訃報』
これは、僕が中学校3年生のときの秋口のお話です。
僕は当時、陸上部に在籍していました。
暮れに行われる駅伝の大会に向けて、休日返上で走り込みをしていました。近所の川沿いを走り、仕事が休みの僕の父親は、ストップウォッチ片手にタイムを計測してくれていたのです。
ですが、僕の父親が、心臓の病気を患いました。近所の病院で手術を受けることになったのです。
幸いにも、症状は軽いです。手術といっても、失敗することがまずない、簡単なもの。父親は僕に、手術に立ち会わずに練習を続けろ、と言います。
結局、僕は走ることを選択しました。
そして、タイムを計測してくれていた僕の父親の代打で、木下さんが手伝ってくれることになったのです。
僕は父親に、「しっかりな!」と告げて、いつもの河川敷に向かいました。
僕の練習は、3キロを10分の休憩を挟んで5回走ります。木下さんにストップウォッチを渡し、「父さん、俺、がんばるからな!」とばかりに、猛スピードで走り始めました。
ところが、その4本目に、事件は起こったのです。
「たけちゃーん!たけちゃーん!」
100メートルほど走った時点で、木下さんが叫びながら僕を追いかけてきました。必死の形相で、「たけちゃん、止まって!」と声を張り上げながら走ってきたのです。
「父さんに何かあったな……」
僕としては、こう思わずにはいられません。
おそらく手術が失敗し、河川敷の入口で待機していた木下さんに、連絡が入ったのでしょう。
気がつくと、僕は目に涙を溜めていました。優しかった父親を思い出して、「父さん、休みを返上してまで練習に付き合ってくれたな……」と、たまらなくなったのです。
悲しみが疲労を凌駕して、頬に伝うレベルで、涙が止まらなくなりました。
父親の訃報を聞きたくないとの思いから、追いかけてくる木下さんを無視して、走り続ける自分がいます。木下さんに聞かされるのが怖くて怖くて、足を止められないのです。
ですが、いつまでも無視するわけにはいきません。僕は緊張で心臓をバクバクさせながらも立ち止まり、追いついた木下さんに「どないした?どないしたんや!?」と大声で訊いたところ、「たけちゃんごめん、ストップウォッチ押せてなかったわ!」って言いやがったんですよ!
それだけかい!ちょっと待って、それだけなん!?
「ごめん、押せてなかった!」
だいたいで押せよ、だいたいで!100メートルぐらいやったら20秒足したらしまいやろ!
「別に泣かんでもええやろ!」
ストップウォッチ押せてなかったから泣いたんと違うわ!そんなんで泣くか、お前!そもそもお前が来る前から俺もう泣いてたやろ!
「ええ加減にせいよ、お前!」
僕は怒鳴りつけました。
ただ、呼吸が荒れた状態で大声を出したため、嘔吐を催してその場にうずくまったのです。すると木下さん、吐き始めた僕に寄り添って、「大丈夫か?お父さんが心臓悪いからうつったんと違うか?」と、僕を病気と勘違いして慌て始めたんですよ!
うつるか、ボケ!せめて遺伝とか言えよ!
「救急車呼ぼか?」
お前が運ばれろ!お前のほうこそ緊急で頭をオペってもらえ!「今の医学ではこの人の脳ミソは無理です!」とか言われるやろうけどな!
あまりのバカっぷりに、父親だけではなく、僕の体もおかしくなりそうでしたよ。
検証エピソード③『撃ち合い』
これは、僕が小学校高学年のときのお話です。
当時、「BB弾」と呼ばれる、オモチャの銃が大流行しました。僕は友達を誘って撃ち合いをし、路上や公園、はたまた近所のマンションを使うなど、夢中になって遊んだのです。
撃ち合いをするのは、友達同士とはかぎりません。撃ち合いをしているところに見知らぬ子供が乱入し、そこから戦いが始まることもありました。
僕らはそのことを、「バトル」と命名しました。「今日はあいつらとバトルをしようや!」と言って、見知らぬ奴にもバトルをけしかけていました。
ある日のことです。
友達と2人で銃を持って歩いていると、2人組がバトルをしかけてきました。僕らは2対2に分かれて撃ち合いを始め、気がつくと、新幹線の高架下に移動していたのです。
僕らは柱を壁にして、銃を撃ち合っています。すると、僕らのバトルを自転車屋の前で見ていた木下さんが、バトルに乱入してきたのです。
「待ってろよ、お前ら!」
こう言いながら高架下に現れ、僕らチームに加勢してきたのです。
ですが、木下さんの銃は、銀玉鉄砲なのです。
家の引き出しから急遽取り出してきたであろう子供だましの銃なので、まったく戦力になりません。弾が当たったところで痛くもかゆくもなく、しかもその玉は、5、6発しか入りません。持ち合わせの玉も入ってる分だけなので、その都度玉を拾いに行きます。撃っては拾いに行き、敵陣に乗り込んで、「ちょっと、足どけて!」と言って拾うので、せっかくの緊張感が台無しなのです。
関わると、ややこしいです。僕らは相手にしなかったのですが、途中から、妙な芝居をけしかけてきました。『太陽にほえろ』に影響されたのか、「俺が後ろで援護するから奴らをしとめろ!」と叫び、「おい、ジーパン!」と、僕をあだ名で呼び始めたのです。
何者やねん、お前!いい歳して何考えとんねん!
「ジーパン!おい、聞いてるのか、ジーパン!?」
短パンやねん、俺!ド短パンや、俺!
僕らは、まったく相手にしません。木下さんをいないものと考えてバトルを続けたのですが、弾詰まりを起こした木下さんが銃を捨て、指で銃の形を作って口でパンパン言い始めたんですよ!
もう何なんですか、このオッサン!子供の遊びにこんなテンションの奴、頭おかしいでしょ!?
「パンパン!パンパン!」
パンパンやあるか、お前!ていうか、40やんな?自分、40すぎの大人やんな!?
そして両手で2丁の銃を作り、柱の陰を移動し始めたんですよ!頭から飛び込んでかっこをつけたり、自分の指を叩いて、「やべえ、弾詰まりを起こした!ジーパン、俺を援護してくれ!」と妙なリアリティーを出したかと思えば、持ってたちくわを銃代わりにして、かじりながらパンパン言い始めたんですよ!
もう帰れ、お前!それも家ではなく、土に帰れ!
「おい、ジーパン!俺の銃がおかしくなった!援護してくれ!」
お前が食うからや!お前が食うから壊れてん、それ!ていうか、壊れたかどうかはお前のサジ加減ひとつやろ!
「ジーパン、聞いてるのか!?」
効いてるわ!聞いてるんじゃなくて効いてるわ!お前みたいな奴が味方におったら体壊すわ!
結局、相手の2人組は逃げて行きましたからね。「このオッサンにこれ以上関わるとやばい……」とばかりに、僕らの銃にではなく、このオッサンの存在に恐れをなして逃げて行きましたから。
検証エピソード④『市民病院』
これは、2ヵ月ほど前のお話です。
僕の父親は、趣味で野菜を作っています。農作業用の道具がボロボロになっていたので、次週に迫った父親の誕生日に、買い替えてあげることにしました。
僕の近所には、その手のお店がありません。鋤(すき)や鍬(くわ)は専門店にしかなく、大阪にある専門店に、仕事の帰りに寄ることにしました。
ですが、そのことを自転車屋にいる木下さんに伝えたところ、「そんな店やったら地元にもあるよ!」と言います。鋤や鍬も置いてあるらしく、すぐにその店に向かうことにしたのですが、店の場所を教えてくれる木下さんの説明が、めちゃくちゃなのです。ヘタすぎて、まったく頭に入ってこないのです。
まず、「この道をまっすぐ行くやんか。ずーっとずーっとまっすぐに行くねん。そしたらそこに信号があるから……」と言われたものの、どこの信号かわかりません。「そこに信号があるから!」と言われても、そこがどこかわからないので、動きようがないのです。
「そこに、何か有名な建物はある?」
僕がこう訊いたところ、「赤いパン屋がある」と答えました。ですがこれ、ampmのことなんですよ。
ampmを赤いパン屋ですよ?たしかにパンも売ってはいますけど、パンの専門店ではないでしょ!?
それでも、僕にはampmだということがわかりました。
「もしかして、市民病院の近く?」
僕が訊いたところ、「そうそうそうそう!」と、市民病院の近くであることが判明しました。ただ、「そこに市民病院があるやろ。市民病院の右の道をまっすぐ行って左に曲がったら市民病院があるから、そこをまたまっすぐ行って左に曲がったところにある市民病院を……」と、また訳のわからないことを言い始めたのです。
お前、何回、市民病院って言うねん!市民病院を曲がったら市民病院があるって、そりゃそうやろ!そこは市民病院やねんから!
しかも、散々、市民病院と言っておきながら、そこから離れた場所を言われました。よく考えたら、市民病院は関係ありません。意味なく回らされただけで、新しいタイプのウソつきなのです、この人。
僕は、木下さんから正確な場所を聞きだすのは無理だ、と判断しました。市民病院の近くにあることだけはわかったので、すぐに原付きで向かいました。
しかし、いくら探しても見つかりません。結局、木下さんには見つからなかったと報告し、誕生日前日に大阪の専門店で買って、父親に渡しました。
苦労しただけあって、父親は喜んでくれました。
そこで、木下さんとの一件を父親に説明したところ、「その店、10年以上前に潰れたで」と言います。そう木下さん、とっくの昔に潰れたことに気づかないで、僕に説明していたのです。
それでも、木下さんのことです。僕も潰れているとは薄々感づいていたので、あまり気にならなかったのですが、このあと父親が口にした言葉に、僕は耳を疑いましたよ。
「その店、10年以上前に潰れたで。今は市民病院になってるわ」
そこやんけ!曲がらして難しくしてたけど、そこやろ!今はないかもしらんけど、まさに市民病院やんけ!なんで曲がらして違う道に行かしてん!
もうね、開いた口がふさがらなかったですよ。
検証エピソード⑤『木下イモ』
木下さんは、3年に1回のペースで、近所に自作の料理を配る癖があります。
ですが、この料理が、めちゃくちゃまずいのです。犬ですら見向きもせず、カワハギの煮付けを持ってきたときなんて、「いいから黙って食ってみ!食ったらわかる!」と、海原雄山なみの強い口調で言ってきたものの、味以前に、火が通っていなかったのです。
6年前のことです。
木下さんが「おいしいおイモさんができたよ!」と言って、めちゃくちゃまずい大学イモを配り歩いているという情報が飛び込んできました。
まずすぎて、「あんたのところは来た?」「来た、来た!めちゃくちゃまずかったわ!」と、近所でウワサをされています。「木下イモ」と命名されるほど、煙たがられていたのです。
この木下イモに使用したイモは、亡くなった僕のおじいちゃんの畑で栽培されたものです。相続税を支払うためにいずれ売却するのですが、「おじいちゃんの意志を継ぎたい」と言いだした木下さんが、期間限定で引き継ぎました。
したがって、木下さんの野菜に対する思い入れは強く、まずくても文句は言えません。僕ら家族としても、おじいちゃんの畑で獲れたものを、まずいとはいえ捨てるわけにはいかないんですね。
そしてあるとき、ついに木下さんが僕の家にやってきたのです。
僕は家にいなかったのですが、試食した、いやさせられた家族いわく、「人はここまでまずいものが作れるか」と思えるほどの代物だったそうなのです。
台所のテーブルには、その木下イモが置いてあります。僕は、興味本位でひと口かじってみたところ、これが信じがたいまずさだったのです。
僕の母親が、僕にお願いしてきました。
「木下君、ジャガイモがいっぱいあるから、また持ってくるわ。だから、あんたがまずいって言ってくれへん?」
ですが、料理をけなされたときの木下さんの怒りっぷりは、僕も知っています。注意するのはイヤなので断ったのですが、母親が僕に、お金を渡してきたのです。「これでお願いします!」と、用心棒を雇うような必死さでお願いされたため、僕は引き受けざるをえなくなりました。
迎えた、翌日。
2階の部屋でくつろぐ僕に、自転車の音で察知した僕の母親が、「たけし!木下君が来たで!」と叫んできました。僕はタバコを1本吸って気持ちを落ち着かせ、階段を下りました。
そして、台所にやってきた木下さんが「お待ちどう!」と言って渡してきた瞬間、言ってやったのです。
「おっちゃん、悪いけど、はっきり言うわ!これ、めちゃくちゃまずいわ!」
言われた木下さんは、僕に言い返します。
「アホな!たけちゃん、味覚音痴やからな!」
世界一の味覚音痴に言われたことで、僕はむかっときました。
「ほんまにまずいねん、これ!近所の人も迷惑してんねん!だからもう配り歩かんといてくれ!」
こう怒鳴ってやったのです。
すると怒るかと思いきや、僕の血相に恐れをなしたのか、そのまま何も言わずに帰って行ったのです。
僕の母親は大喜びです。「近所の人に連絡する!」と大はしゃぎなのですが、僕は木下さんの悲しそうな背中を見て、何とも言えない寂しさに襲われました。「ちょっと言いすぎたかな……」と、お金をもらってやった罪悪感も相まって、その日は眠れなかったのです。
翌日のことです。
部屋で寝ていると、「ピンポーン!ピンポーン!」と、誰かが何度もインターホンを鳴らしています。
布団を出て玄関に行くと、木下さんがいました。いつもは勝手口から黙って入ってくるくせに、この日にかぎって、なぜだか玄関にやってきたのです。
木下さんは言います。
「昨日は悪かった。たしかに、人によっては、あれはまずいかもしらん。だから今日は、必死で味を変えてきた」
このように真摯な態度を見せ、「おじいちゃんの畑で作った野菜やから、俺も粗末にはできん!だから、これよかったら、食べてくれへん?」と、低姿勢でお願いしてきたのです。
僕は、言いすぎた自分を反省しました。木下イモは、木下さんと亡くなったおじいちゃんの思いの詰まった、愛情料理なのです。
僕は、「おじいちゃんのことを悪く言ってはいけない!どんなことがあっても、まずいとは言わない!」と誓いました。それこそ、「仮にウンコを出されても全部食べておいしいと言おう!」と決意したのですが、いざ口にしたニュー木下イモが、昨日の木下イモの1000倍まずかったんですよ!
口に入れた瞬間、ドゥーーーンと吐き出していたのです!僕のノドが「これ、飲み込んだらあかん!絶対に飲み込んだらあかん!」と命令してきたために吐き出し、「ウンコでも全部食べる!」と誓ったのにウンコよりもまずかったんですよ!
お前、何入れてん、これ!何を入れたらこんなにもまずくなんねん!お前これ、ゴミでもまずいほうの部類に入るぞ!
本当に、シャレにならないレベルでまずいのです!油でギトギトなのはおろか匂いも臭く、しかも砂糖が多すぎてって、もう砂糖ですわ!もうこれ、砂糖です!「この世のあらゆるまずいもので味付けした砂糖」です!
なにより真っ黒なので、もう食い物と違うんですよ、これ!ヒューマニズムなどあっというまに吹き飛ばす、人知を超えた究極のまずさなのです!
こんなもん、戦時中にジャングルにこもる兵士ですら、いらんって言いますよ!いやむしろ、自決の意味で口にしますよ!
僕は、「ごめん、ほんまに許してな、おっちゃん。これ無理やわ」と、何度も頭を下げました。
ですが、悲しそうに帰った木下さんの背中を見ても、前日に感じたような寂しさは、微塵も感じられませんでした。あまりにもまずくて、「まずさが優しさを凌駕した」のです……。
以上が、木下さんにまつわるエピソードです。
ちなみに今年は、3年周期で訪れる、木下料理の襲来年です。
カワハギの煮付け、木下イモ、そして3年前には再び魚(ベラ)の煮付けと、ここ9年間で、「魚、野菜、魚」ときています。今年は野菜の可能性が高く、まさか最近、頻繁に僕の父親の畑に出入りしているのはそのためでは!?
眠れなくなりそうなので、考えるのはやめにしておきます……。
木下さんは何者か?の考察~ベスト版①~(携帯読者用)
※過去の木下さんの記事をごちゃ混ぜにして、再編集
先日のことです。
家の自転車置き場に原付きを停めていると、近所のおじさんがやってきました。
「はい、これ!」
知り合いがスイカをくれたらしく、おすそ分けしてくれたのです。
僕はお礼を言って受け取り、家に入りました。ですが、そのスイカを見た僕の母親が、「これ、うちのスイカやないの!」と言うのです。
僕の父親は、趣味で畑をやっています。このスイカは僕の父親が作ったもので、このおじさんの奥さんに昨日、あげました。このおじさんは、奥さんが僕の父親からもらったことに気づかず、僕の家に持ってきてしまったのです。
このおじさんの名前は、木下さん。
僕の近所に住む、「天然の天才」なのです。
おかしなエピソードを挙げればキリがなく、その昔、「これ、運動会のときの写真!」と言って、僕が映っていない写真を渡してきました。
ほかにも僕が高校生のとき、銭湯に汗だくでやってきたので、「どないしたん、そんなに汗かいて?」と訊いたら、「風呂入ってきてん!」と答えたのです。
風呂でかいた汗を、風呂で流すんですよ?こんなもん、キリないでしょ!?
お前、いつ終わんねん、それ!どこで線引くねん!
僕の家は、兵庫県の尼崎市というところにあります。ダウンタウンを輩出した、関西ではおなじみの通称「アマ」で、変わった人がたくさん存在する街なのです。
なかでも、僕の近所の商店街は、超個性派の集まり。そこで自転車屋を営むこの木下さんは、日本一頭がおかしいといっても過言ではない、奇人中の奇人なのです。
そこで今回は、「木下さんは何者か?」の考察~ベスト版①~です。
木下さんは、うちの母親の同級生で64歳。ボロボロの自転車屋を経営し、奥さんとの共働きで、僕の小学校の同級生の息子(サラリーマン・既婚)と娘(フリーター)がいます。
このプロフィールを踏まえていただき、以下、木下さんにまつわるエピソードをご紹介します。
信じがたいお話ばかりなのですが、すべて実話です。
検証エピソード①『お化け屋敷』
これは、僕が小学校低学年のときのお話です。
近所のデパートにお化け屋敷ができたというのを聞いて、僕は、誰かを誘って行くことにしました。
ですが、父親は仕事でダメ。母親にも怖いものが苦手だと断られ、たまたま新聞屋さんにチケットをもらった木下さんが、僕を連れて行ってくれることになったのです。
迎えた、当日。
僕らは自転車に乗って、デパートに行きました。
このお化け屋敷は、全国的に有名なものです。道すがら、「怖かった」「逃げ出したくなった」と、誰もが口々に言っています。顔も引きつっていたので、せっかく連れてきてもらったのに、僕は帰りたくなったのです。
ですが、不安を口にする僕を、木下さんが励ましてくれます。
「大丈夫や!単なる子供だましや!」
「アホなことを言うな!何が怖いねん、あんなもん!心配ない!俺がいる!」
このように、これ以上ない言葉で僕を勇気づけてくれたのです。
「やっぱり大人は違うな!」
僕は羨望の眼差しで木下さんを見ながら、お化け屋敷に入りました。
お化け屋敷の中は、生ぬるい空気が充満しています。木下さんを壁にして進むものの、しょっぱなから、めちゃくちゃ怖いのです。
血まみれの老婆やドラキュラが展示されており、遠くから、「ギャーー!」という客の叫び声が聞こえてきます。子供の僕は見てられないのです。
「でも僕には木下のおっちゃんがおるんや!この人がいるかぎり安全なんや!」
僕は自分にこう言い聞かして進んでいったのですが、3つ目の暖簾をくぐって切腹する武士が現れた瞬間、木下さんがぶわーって走り去ったんですよ!
「人はここまで逃げられるか!」というぐらい、見事な置き去りの仕方なのです!見捨てるとはまさにこのこと、ジョイナーばりのスピードで走り去ったのです!
しかも、テンぱりすぎて方向感覚がおかしくなり、僕のところに戻ってきたんですよ!「おっちゃん、こっち入口や!」と僕のほうが冷静なぐらいで、同じところを行ったりきたりしているのです!
勘弁してくれよ、おい!子供心にトラウマなるやんけ!
「ウギャーーー!ウギャーーー!!!」
ウギャーやあるか、お前!さっきの勇ましい言葉どこに行ってん!
進んだ地点にも怖いお化けがいるため、木下さんは、どこに行けばいいのかわからなくなっています。遠くで「ギャー!」というオッサンの叫び声が聞こえたかと思えば、戻ってきてギャーギャー叫ばれるので、お化けよりもこのオッサンのほうが怖いのです。
その結果、恐怖を煽るためのアトラクションと勘違いして、子供が泣きだしました。木下さんが客の体にガンガンにぶつかってくるので、「妖怪当たり屋」みたいになっているのです。
結局、木下さんは入口から出ました。
僕もどうすればいいかわからず、係の人に連れられて入口から出たのですが、僕を見て言った木下さんの言葉に、僕は殺意を覚えました。
「ここ、シャレならんわ……」
お前がシャレならんねん!お前が1番シャレならんねん!
僕は、このことがトラウマになっています。今でもお化け屋敷を見るとこのことを思い出すため、怖くて入れないのです。
検証エピソード②『訃報』
これは、僕が中学校3年生のときの秋口のお話です。
僕は当時、陸上部に在籍していました。
暮れに行われる駅伝の大会に向けて、休日返上で走り込みをしていました。近所の川沿いを走り、仕事が休みの僕の父親は、ストップウォッチ片手にタイムを計測してくれていたのです。
ですが、僕の父親が、心臓の病気を患いました。近所の病院で手術を受けることになったのです。
幸いにも、症状は軽いです。手術といっても、失敗することがまずない、簡単なもの。父親は僕に、手術に立ち会わずに練習を続けろ、と言います。
結局、僕は走ることを選択しました。
そして、タイムを計測してくれていた僕の父親の代打で、木下さんが手伝ってくれることになったのです。
僕は父親に、「しっかりな!」と告げて、いつもの河川敷に向かいました。
僕の練習は、3キロを10分の休憩を挟んで5回走ります。木下さんにストップウォッチを渡し、「父さん、俺、がんばるからな!」とばかりに、猛スピードで走り始めました。
ところが、その4本目に、事件は起こったのです。
「たけちゃーん!たけちゃーん!」
100メートルほど走った時点で、木下さんが叫びながら僕を追いかけてきました。必死の形相で、「たけちゃん、止まって!」と声を張り上げながら走ってきたのです。
「父さんに何かあったな……」
僕としては、こう思わずにはいられません。
おそらく手術が失敗し、河川敷の入口で待機していた木下さんに、連絡が入ったのでしょう。
気がつくと、僕は目に涙を溜めていました。優しかった父親を思い出して、「父さん、休みを返上してまで練習に付き合ってくれたな……」と、たまらなくなったのです。
悲しみが疲労を凌駕して、頬に伝うレベルで、涙が止まらなくなりました。
父親の訃報を聞きたくないとの思いから、追いかけてくる木下さんを無視して、走り続ける自分がいます。木下さんに聞かされるのが怖くて怖くて、足を止められないのです。
ですが、いつまでも無視するわけにはいきません。僕は緊張で心臓をバクバクさせながらも立ち止まり、追いついた木下さんに「どないした?どないしたんや!?」と大声で訊いたところ、「たけちゃんごめん、ストップウォッチ押せてなかったわ!」って言いやがったんですよ!
それだけかい!ちょっと待って、それだけなん!?
「ごめん、押せてなかった!」
だいたいで押せよ、だいたいで!100メートルぐらいやったら20秒足したらしまいやろ!
「別に泣かんでもええやろ!」
ストップウォッチ押せてなかったから泣いたんと違うわ!そんなんで泣くか、お前!そもそもお前が来る前から俺もう泣いてたやろ!
「ええ加減にせいよ、お前!」
僕は怒鳴りつけました。
ただ、呼吸が荒れた状態で大声を出したため、嘔吐を催してその場にうずくまったのです。すると木下さん、吐き始めた僕に寄り添って、「大丈夫か?お父さんが心臓悪いからうつったんと違うか?」と、僕を病気と勘違いして慌て始めたんですよ!
うつるか、ボケ!せめて遺伝とか言えよ!
「救急車呼ぼか?」
お前が運ばれろ!お前のほうこそ緊急で頭をオペってもらえ!「今の医学ではこの人の脳ミソは無理です!」とか言われるやろうけどな!
あまりのバカっぷりに、父親だけではなく、僕の体もおかしくなりそうでしたよ。
検証エピソード③『撃ち合い』
これは、僕が小学校高学年のときのお話です。
当時、「BB弾」と呼ばれる、オモチャの銃が大流行しました。僕は友達を誘って撃ち合いをし、路上や公園、はたまた近所のマンションを使うなど、夢中になって遊んだのです。
撃ち合いをするのは、友達同士とはかぎりません。撃ち合いをしているところに見知らぬ子供が乱入し、そこから戦いが始まることもありました。
僕らはそのことを、「バトル」と命名しました。「今日はあいつらとバトルをしようや!」と言って、見知らぬ奴にもバトルをけしかけていました。
ある日のことです。
友達と2人で銃を持って歩いていると、2人組がバトルをしかけてきました。僕らは2対2に分かれて撃ち合いを始め、気がつくと、新幹線の高架下に移動していたのです。
僕らは柱を壁にして、銃を撃ち合っています。すると、僕らのバトルを自転車屋の前で見ていた木下さんが、バトルに乱入してきたのです。
「待ってろよ、お前ら!」
こう言いながら高架下に現れ、僕らチームに加勢してきたのです。
ですが、木下さんの銃は、銀玉鉄砲なのです。
家の引き出しから急遽取り出してきたであろう子供だましの銃なので、まったく戦力になりません。弾が当たったところで痛くもかゆくもなく、しかもその玉は、5、6発しか入りません。持ち合わせの玉も入ってる分だけなので、その都度玉を拾いに行きます。撃っては拾いに行き、敵陣に乗り込んで、「ちょっと、足どけて!」と言って拾うので、せっかくの緊張感が台無しなのです。
関わると、ややこしいです。僕らは相手にしなかったのですが、途中から、妙な芝居をけしかけてきました。『太陽にほえろ』に影響されたのか、「俺が後ろで援護するから奴らをしとめろ!」と叫び、「おい、ジーパン!」と、僕をあだ名で呼び始めたのです。
何者やねん、お前!いい歳して何考えとんねん!
「ジーパン!おい、聞いてるのか、ジーパン!?」
短パンやねん、俺!ド短パンや、俺!
僕らは、まったく相手にしません。木下さんをいないものと考えてバトルを続けたのですが、弾詰まりを起こした木下さんが銃を捨て、指で銃の形を作って口でパンパン言い始めたんですよ!
もう何なんですか、このオッサン!子供の遊びにこんなテンションの奴、頭おかしいでしょ!?
「パンパン!パンパン!」
パンパンやあるか、お前!ていうか、40やんな?自分、40すぎの大人やんな!?
そして両手で2丁の銃を作り、柱の陰を移動し始めたんですよ!頭から飛び込んでかっこをつけたり、自分の指を叩いて、「やべえ、弾詰まりを起こした!ジーパン、俺を援護してくれ!」と妙なリアリティーを出したかと思えば、持ってたちくわを銃代わりにして、かじりながらパンパン言い始めたんですよ!
もう帰れ、お前!それも家ではなく、土に帰れ!
「おい、ジーパン!俺の銃がおかしくなった!援護してくれ!」
お前が食うからや!お前が食うから壊れてん、それ!ていうか、壊れたかどうかはお前のサジ加減ひとつやろ!
「ジーパン、聞いてるのか!?」
効いてるわ!聞いてるんじゃなくて効いてるわ!お前みたいな奴が味方におったら体壊すわ!
結局、相手の2人組は逃げて行きましたからね。「このオッサンにこれ以上関わるとやばい……」とばかりに、僕らの銃にではなく、このオッサンの存在に恐れをなして逃げて行きましたから。
検証エピソード④『市民病院』
これは、2ヵ月ほど前のお話です。
僕の父親は、趣味で野菜を作っています。農作業用の道具がボロボロになっていたので、次週に迫った父親の誕生日に、買い替えてあげることにしました。
僕の近所には、その手のお店がありません。鋤(すき)や鍬(くわ)は専門店にしかなく、大阪にある専門店に、仕事の帰りに寄ることにしました。
ですが、そのことを自転車屋にいる木下さんに伝えたところ、「そんな店やったら地元にもあるよ!」と言います。鋤や鍬も置いてあるらしく、すぐにその店に向かうことにしたのですが、店の場所を教えてくれる木下さんの説明が、めちゃくちゃなのです。ヘタすぎて、まったく頭に入ってこないのです。
まず、「この道をまっすぐ行くやんか。ずーっとずーっとまっすぐに行くねん。そしたらそこに信号があるから……」と言われたものの、どこの信号かわかりません。「そこに信号があるから!」と言われても、そこがどこかわからないので、動きようがないのです。
「そこに、何か有名な建物はある?」
僕がこう訊いたところ、「赤いパン屋がある」と答えました。ですがこれ、ampmのことなんですよ。
ampmを赤いパン屋ですよ?たしかにパンも売ってはいますけど、パンの専門店ではないでしょ!?
それでも、僕にはampmだということがわかりました。
「もしかして、市民病院の近く?」
僕が訊いたところ、「そうそうそうそう!」と、市民病院の近くであることが判明しました。ただ、「そこに市民病院があるやろ。市民病院の右の道をまっすぐ行って左に曲がったら市民病院があるから、そこをまたまっすぐ行って左に曲がったところにある市民病院を……」と、また訳のわからないことを言い始めたのです。
お前、何回、市民病院って言うねん!市民病院を曲がったら市民病院があるって、そりゃそうやろ!そこは市民病院やねんから!
しかも、散々、市民病院と言っておきながら、そこから離れた場所を言われました。よく考えたら、市民病院は関係ありません。意味なく回らされただけで、新しいタイプのウソつきなのです、この人。
僕は、木下さんから正確な場所を聞きだすのは無理だ、と判断しました。市民病院の近くにあることだけはわかったので、すぐに原付きで向かいました。
しかし、いくら探しても見つかりません。結局、木下さんには見つからなかったと報告し、誕生日前日に大阪の専門店で買って、父親に渡しました。
苦労しただけあって、父親は喜んでくれました。
そこで、木下さんとの一件を父親に説明したところ、「その店、10年以上前に潰れたで」と言います。そう木下さん、とっくの昔に潰れたことに気づかないで、僕に説明していたのです。
それでも、木下さんのことです。僕も潰れているとは薄々感づいていたので、あまり気にならなかったのですが、このあと父親が口にした言葉に、僕は耳を疑いましたよ。
「その店、10年以上前に潰れたで。今は市民病院になってるわ」
そこやんけ!曲がらして難しくしてたけど、そこやろ!今はないかもしらんけど、まさに市民病院やんけ!なんで曲がらして違う道に行かしてん!
もうね、開いた口がふさがらなかったですよ。
検証エピソード⑤『木下イモ』
木下さんは、3年に1回のペースで、近所に自作の料理を配る癖があります。
ですが、この料理が、めちゃくちゃまずいのです。犬ですら見向きもせず、カワハギの煮付けを持ってきたときなんて、「いいから黙って食ってみ!食ったらわかる!」と、海原雄山なみの強い口調で言ってきたものの、味以前に、火が通っていなかったのです。
6年前のことです。
木下さんが「おいしいおイモさんができたよ!」と言って、めちゃくちゃまずい大学イモを配り歩いているという情報が飛び込んできました。
まずすぎて、「あんたのところは来た?」「来た、来た!めちゃくちゃまずかったわ!」と、近所でウワサをされています。「木下イモ」と命名されるほど、煙たがられていたのです。
この木下イモに使用したイモは、亡くなった僕のおじいちゃんの畑で栽培されたものです。相続税を支払うためにいずれ売却するのですが、「おじいちゃんの意志を継ぎたい」と言いだした木下さんが、期間限定で引き継ぎました。
したがって、木下さんの野菜に対する思い入れは強く、まずくても文句は言えません。僕ら家族としても、おじいちゃんの畑で獲れたものを、まずいとはいえ捨てるわけにはいかないんですね。
そしてあるとき、ついに木下さんが僕の家にやってきたのです。
僕は家にいなかったのですが、試食した、いやさせられた家族いわく、「人はここまでまずいものが作れるか」と思えるほどの代物だったそうなのです。
台所のテーブルには、その木下イモが置いてあります。僕は、興味本位でひと口かじってみたところ、これが信じがたいまずさだったのです。
僕の母親が、僕にお願いしてきました。
「木下君、ジャガイモがいっぱいあるから、また持ってくるわ。だから、あんたがまずいって言ってくれへん?」
ですが、料理をけなされたときの木下さんの怒りっぷりは、僕も知っています。注意するのはイヤなので断ったのですが、母親が僕に、お金を渡してきたのです。「これでお願いします!」と、用心棒を雇うような必死さでお願いされたため、僕は引き受けざるをえなくなりました。
迎えた、翌日。
2階の部屋でくつろぐ僕に、自転車の音で察知した僕の母親が、「たけし!木下君が来たで!」と叫んできました。僕はタバコを1本吸って気持ちを落ち着かせ、階段を下りました。
そして、台所にやってきた木下さんが「お待ちどう!」と言って渡してきた瞬間、言ってやったのです。
「おっちゃん、悪いけど、はっきり言うわ!これ、めちゃくちゃまずいわ!」
言われた木下さんは、僕に言い返します。
「アホな!たけちゃん、味覚音痴やからな!」
世界一の味覚音痴に言われたことで、僕はむかっときました。
「ほんまにまずいねん、これ!近所の人も迷惑してんねん!だからもう配り歩かんといてくれ!」
こう怒鳴ってやったのです。
すると怒るかと思いきや、僕の血相に恐れをなしたのか、そのまま何も言わずに帰って行ったのです。
僕の母親は大喜びです。「近所の人に連絡する!」と大はしゃぎなのですが、僕は木下さんの悲しそうな背中を見て、何とも言えない寂しさに襲われました。「ちょっと言いすぎたかな……」と、お金をもらってやった罪悪感も相まって、その日は眠れなかったのです。
翌日のことです。
部屋で寝ていると、「ピンポーン!ピンポーン!」と、誰かが何度もインターホンを鳴らしています。
布団を出て玄関に行くと、木下さんがいました。いつもは勝手口から黙って入ってくるくせに、この日にかぎって、なぜだか玄関にやってきたのです。
木下さんは言います。
「昨日は悪かった。たしかに、人によっては、あれはまずいかもしらん。だから今日は、必死で味を変えてきた」
このように真摯な態度を見せ、「おじいちゃんの畑で作った野菜やから、俺も粗末にはできん!だから、これよかったら、食べてくれへん?」と、低姿勢でお願いしてきたのです。
僕は、言いすぎた自分を反省しました。木下イモは、木下さんと亡くなったおじいちゃんの思いの詰まった、愛情料理なのです。
僕は、「おじいちゃんのことを悪く言ってはいけない!どんなことがあっても、まずいとは言わない!」と誓いました。それこそ、「仮にウンコを出されても全部食べておいしいと言おう!」と決意したのですが、いざ口にしたニュー木下イモが、昨日の木下イモの1000倍まずかったんですよ!
口に入れた瞬間、ドゥーーーンと吐き出していたのです!僕のノドが「これ、飲み込んだらあかん!絶対に飲み込んだらあかん!」と命令してきたために吐き出し、「ウンコでも全部食べる!」と誓ったのにウンコよりもまずかったんですよ!
お前、何入れてん、これ!何を入れたらこんなにもまずくなんねん!お前これ、ゴミでもまずいほうの部類に入るぞ!
本当に、シャレにならないレベルでまずいのです!油でギトギトなのはおろか匂いも臭く、しかも砂糖が多すぎてって、もう砂糖ですわ!もうこれ、砂糖です!「この世のあらゆるまずいもので味付けした砂糖」です!
なにより真っ黒なので、もう食い物と違うんですよ、これ!ヒューマニズムなどあっというまに吹き飛ばす、人知を超えた究極のまずさなのです!
こんなもん、戦時中にジャングルにこもる兵士ですら、いらんって言いますよ!いやむしろ、自決の意味で口にしますよ!
僕は、「ごめん、ほんまに許してな、おっちゃん。これ無理やわ」と、何度も頭を下げました。
ですが、悲しそうに帰った木下さんの背中を見ても、前日に感じたような寂しさは、微塵も感じられませんでした。あまりにもまずくて、「まずさが優しさを凌駕した」のです……。
以上が、木下さんにまつわるエピソードです。
ちなみに今年は、3年周期で訪れる、木下料理の襲来年です。
カワハギの煮付け、木下イモ、そして3年前には再び魚(ベラ)の煮付けと、ここ9年間で、「魚、野菜、魚」ときています。今年は野菜の可能性が高く、まさか最近、頻繁に僕の父親の畑に出入りしているのはそのためでは!?
眠れなくなりそうなので、考えるのはやめにしておきます……。
餃子の王将はどれだけ濃いか?の考察(パソコン読者用)
※2009年・12月22日の記事を再編集
先日、「餃子の王将」に行きました。
僕は王将が大好きです。週に何回も通うほどのフリークで、この日は夕方だったために、店内はガラガラ。僕はカウンター席に座り、タバコを吸いながら料理の到着を待っていたのですが、1人の客が厨房に歩み寄り、なにやら願い出ています。
「店内の自販機でタバコを買いたいんですけど、タスポを持ってないんですよ。誰か貸してもらえませんかね?」
声をかけられた従業員は、タスポを持っていません。ほかの従業員に訊いても持っておらず、その従業員が僕のところに来て言ったのです。
「お客さん、タスポ持ってません?」
なんでやねん、お前!お前、なんで客の俺が貸さないとあかんねん!
「ないっすか?」
ないっすかやあるか!お前がないっすわ!
「持ってないです!」
頭に来た僕は、持っているにもかかわらず、ウソをつきました。すると、そいつがカウンターのほかの客に、「タスポ持ってません?」と順番に訊き始めたのです。
こいつ、おかしいでしょ?食事中のお客さんにこんな失礼はないでしょ!?
それでも見つからず、そのタイミングで新規の1人客がカウンター席に座ったのですが、「いらっしゃいませ」も言わず、いきなり「タスポ持ってません?」と声をかけたのです。
何考えとんねん、お前!どこのどいつが2つ返事で「はいどうぞ」とか言うねん!
「ないっすか?」
ないっすかやないねん、だから!ていうか、そいつババアやろ!ババアがタスポ持ってるわけないやろ!
「あるよ」
持ってた!ババアがタスポ持ってた!
「それより生ちょうだい」
ババアが生て!ババアが生に手出すなよ!
「それと餃子1、野菜炒め1……」
ババアやんな?すごいもん頼んでるけど、自分、ババアやんな!?
「ライスが1」
だからババアやんな?まあまあボリュームのある飯になってるけど自分、ババアやんな!?
「野菜炒めの味つけは薄味にしといて」
そこはババアやんけ!どこババアにすんねん、お前!お前はまず、ババアとしてのキャラを定めろ!
このように従業員だけではなく、客まで濃いのです。
なかでも関西の王将は、異常に濃いです。関西人特有の気質も相まって、外界とは一線を画しています。
「王将のドアを開けた瞬間に空気が変わる」
こう言っても過言ではなく、人、物、事のすべてが濃いのです。
そこで今回は、「餃子の王将はどれだけ濃いか?」の考察です。
以下、僕が過去に目撃した、関西の王将の「濃さ」をご紹介します。
①営業中に、従業員同士でえげつない会話を始める
王将は厨房が丸見えです。カウンター席に座ると目の前で調理姿が見られるのですが、少し暇ができると、従業員が私語を始めるのです。
声も大きく、客に聞かれているのもおかまいなしです。つい先日も僕の目の前で餃子の皮を包みながら、普通に「近所の犬が3Pしていた話」を始めたのです。
ふざけんなよ、お前!何が悲しくて飯食いながら「3D」の話を聞かないとあかんねん!
「基本、バックやったわ」
知らんがな、そんなもん!ていうか、3匹目の役割が気になるわ!3匹目がどう関わってるかを教えろ!
しかもこの話がまた、長いんですよ。1分以上も引っ張り、1人が麺をゆで機に入れるために場所を離れたものの、戻るやいなや「どこまで話したっけ?」と言って3D話を続行したのです。
どこまでやあるか、お前!引っ張るような話題と違うやろ、どう考えても!
「で、その犬がすごい包茎で……」
どの犬も包茎やろ!剥けてる犬とかおるか、お前!逆に保健所連れて行け、そんなイカツイ犬!
ほかにも今年の春先に、近所の王将に行ったときのことです。カウンター席に座る僕の目の前で、フライパンを振る2人が、以下の会話を展開していました。
「橋本も、来週で最後か……」
「しかしあいつ、5年もよく働いたな。がんばり屋やな」
「そうやな。橋本の送別会、行く?」
「行かへん」
「なんで?」
「だるい」
それだけかい!ちょっと待って、だるいだけなん!?5年も働いた奴の送別会をだるさを理由に欠席すんの!?
「だるいからやめとくわ」
冷たっ!相当冷たい奴やな、お前!『蛍の墓』に出てくる西宮のおばちゃんか!
王将には、おかしな従業員が多いです。客の前で私語を連発し、その多くが「濃いバナ」なのです。
②元ヤン従業員のガラが悪すぎる
王将の厨房の従業員は、半分以上が元ヤンキー、と考えて間違いありません。
茶髪の奴が大半で、言葉も汚ないです。つい先日も、「このヤキソバ定食どこですか?」と訊かれた茶髪の奴が、カウンター席のすぐ近くで「カウンターのオッサンや!」と叫んだのです。
丸聞こえやねん、お前!お前の3メートル先にそのオッサンおんねん!
「どっちのオッサンですか?」
「ヒゲのほうや」
ええ加減にせいよ!口悪すぎるやろ、いくらなんでも!戸愚呂兄か!
一方、なかには気の弱そうな、普通の従業員もいます。その結果、必然的に、いじめの構図が生まれるのです。
なかでも、僕がよく行く地元の王将はすごいですよ。
この店は、元ヤンの従業員が厨房をしきっています。先日、フライヤーに水を入れてしまった新人に、「このキチ○イ生ゴミ野郎が!」って言ったんですよ。
キチ○イ生ゴミ野郎ですよ、キチ○イ生ゴミ野郎!?こんな暴言、カタギの奴では出ないでしょ!?
「お前は史上稀に見るキチ○イ生ゴミ野郎やな!」
お前も史上稀に見る奴やぞ!こんな暴言、有史以来5本の指に入るぞ!
「お前みたいな奴、やめるか死ぬかどっちかしろ!」
やめるわ!そんな2択にしてくれんでもやめるほうを選ぶわ!
いじめられたほうは、恐怖で顔を紅潮させています。「すいません!」と謝罪したものの、そいつの背中を助走をつけておもいっきり蹴ったんですよ!
戸塚ヨットスクールか、ここ!戸塚のマニュアルにありそうやぞ、その体罰!
こいつは「いじめのプロ」みたいな奴で、忙しくなると厨房内を見まわります。順番に「お前、いけてんのか?」と訊いてまわり、その際に必ず、お尻にキックを入れます。キックと同時に「いけてんのか?」と訊き、従業員に1人、「ブタ」と呼ばれている奴がいるのですが、そいつには「ブタ、大丈夫か?」と言いながら首の裏にハイキックを入れるのです。
どんな確認やねん、これ!そもそもお前に蹴られたから大丈夫じゃないわ!
「大丈夫です」
大丈夫と違うやろ!怒れよ、お前も!ていうか訴えろ、こんな奴!
ブタはそれでも、ブタと呼ばれることには怒ります。
「ブタって呼ばんといてくださいよ!」
こう言い返すものの、それでも必ず、ブタと呼ばれます。あるとき、ブタと呼ばれないようにするためか猛烈に痩せているときがあったのですが、「元ブタ」って呼ばれたんですよ。
元ブタて、おい!どうしたらいいねん、こいつはもう!
「元ブタ、ブタ肉買ってこい!」
「ブタって呼ぶな!自分で行け!」
ブタがキレた!ブタ肉が切れてブタもキレた!
ガラの悪い奴が現場を仕切ると、このような空間になります。事実、この店はこいつのやりたい放題で、座敷席をシャットアウトして、こいつが昼寝をしていることもあるのです。
③ヤ○ザのようなエリアマネージャーがいる
ガラが悪いのは、バイトの従業員だけではありません。「エリアマネージャー」と呼ばれる、それなりの地位に就く者までもが恐ろしく、ヤ○ザみたいな奴がいるのです。
「週5で誰かの指を詰めてます」と言わんばかりの殺気を放ち、日々、各店舗を視察しています。おかしなことがあれば、その都度指示を出して改善させるのですが、如何せん、ヤ○ザです。「スカウター壊れるわ!」というぐらいのガラの悪さで、1度、汗かきの従業員に真顔で「汗かきすぎやねん、コラ!」とブチギレたのです。
むちゃ言うなよ、お前!汗ぐらいかくやろ!
「汗をかかんような奴になれ!」
おるか、そんな奴!大卒の海賊よりもおらんわ!
とはいえ、これはまだ、ましです。先日、とあるエリアマネージャーが、サングラスをしながら現場にやってきたのです。
取れよ、サングラス!どこの世界にグラサンはめて職場に来る奴がおんねん!
「おはよう!」
おはようやあるか!ていうかお前、ヅラやろ!お前はヅラもサングラスも取れ!
「ここの従業員、髪の毛乱れてんな」
お前もや!お前の頭も一皮むけば乱れまくりやねん!
「おはようございます!」
「おい、店長!あいさつするときは帽子取れ!」
お前も帽子取れ!お前も「K」の帽子を取れって、店長もよく見たら一部分ヅラやんけ!違う意味の「KKコンビ」やんけ、こいつら!
このヅラは厨房に入り、各従業員に指示を出し始めました。ですが、途中で思い出したかのように、厨房の帽子をかぶり始めたのです。
何個かぶんねん、お前!2個も帽子かぶんなよ!KKコンビで2発ずついくなよ!
僕はカウンターに座っています。ピークがすぎたことから客も少なく、エリアマネージャーの罵声がガンガンに聞こえてきたのですが、ふと見たそいつのカツラが軽くずれてるんですよ!途中で帽子を取った結果、頭皮の一部分が完全に露出しているのです!
勘弁してくれよ、おい!ヒヤヒヤして飯食ってられへんやんけ、こっちは!
「口答えすんな!ごちゃごちゃ言わずにエリマネの言うこと聞いとけ!」
やかましいわ!お前のほうこそ、自分の頭頂部エリアのマネージングをきちんとしろ!
「ほんまにこいつ、頭に来るわ!」
もう来てんねんけど!?お前の頭、もうかなり来てんねんけど!?
王将のエリマネは、その多くがヤ○ザ風の男です。ランチのピークを過ぎたあとに頻繁に現れるので、1度確認してみてください。
④食べまくる客がいる
王将で濃いのは、従業員だけではありません。冒頭でご紹介したババアしかり、客にも濃い奴が多く、その最たる例が、よく食う奴でしょう。
信じがたいレベルで大食いの奴がいるのです。来ていきなり、「とりあえず餃子3つ!」と言う奴などザラ。過去に1度、餃子が3人前ある餃子定食に、餃子を追加している奴がいたのです。
病気やわ、もう!「チャオズ症候群」という名の病気やわ!
「それとお持ち帰り用の餃子を5人前!」
住め、もう!何かわからんけどもう王将に住め、お前みたいな奴!
ほかにも、「天津飯と天津麺」といったありえない食べ方をする奴までおり、つい先日も、「ニラレバ定食のニラレバって大盛りにできます?」と訊いて断られた奴が、ニラレバを単品でもう1個注文しやがったのです。
ゾンビか、お前!そんなシャバい肉いっぱい食いたがる奴なんてゾンビしかおらんぞ!
「それとジンギスカン!」
ややこしい肉多いねん、お前!なんでそんな癖ある肉ばっかり食いたがんねん!
王将には頻繁に、太った家族がやってきます。家族全員が王将フリークで、注文の仕方がすさまじいのです。
先日、僕が友達とテーブル席に座っていると、隣のテーブルに4人組がやってきました。父親、母親、息子、娘の全員が100キロ近くある太っちょで、席に座るやいなや、べらぼうな注文を始めたのです。
「えーと、酢豚定食と王将スペシャルとサービスランチが3つ!」
4人やんな?定食の数が合わへんねんけど、自分ら4人やんな!?
「それと餃子9!」
9て、おい!9!?それぞれの定食に餃子がついてんのにさらに9!?もう1回言わせろ、9!?
「それと皿うどん1、ヤキソバ1……」
多い多い!ネロが見たら泣き出すぞ、この量!
「春巻き2、エビの天ぷらが1……」
解放明けの奴隷か、お前ら!こんなに食う奴、解放されたての奴隷しかおらんぞ!
「とりあえずそれで!」
とりあえずやあるか、お前!アリが運ぶのに2年はかかるぞ、この量!
注文が多すぎるため、4人掛けのテーブルを2つ引っ付けて、四隅にそれぞれが座りました。目の前に自分の定食を置き、単品のオーダーを真ん中に並べ始めたのです。
どんな食い方やねん、これ!王様のテーブルみたいになってるやんけ!「王様食い」と名づけるぞ、この食い方!
全員、黙々と食べています。誰ひとりとして言葉を発する者はおらず、5分後、ようやく父親が言葉を発したのですが、口から出た言葉が「ラー油取って?」やったんですよ。
食うことしか頭にないんか、お前ら!家族で飯食いに来てるんやから少しは会話せいや!
「餃子、もうちょっと頼まへん?」
なんで足らんねん、9で!定食の分も含めたら14人前あるんやぞ!末期のチャオズ症候群か、お前ら!
店内には、宇多田ヒカルの『ファーストラブ』が流れています。メロディーの美しさとデブ一家とのアンバランスさが、おかしくて仕方がありません。僕らは食事を終えたのに、デブ一家が帰るまで店にいたほどでしたから。
そして、最後。これこそが、餃子の王将の真骨頂です。
⑤ピーク時のすべてが雑すぎる
王将の料理は雑です。なかでもランチピーク時の雑さは尋常ではなく、過去に1度、僕が注文した定食のトレーにマスクが載っていたのです。
ごめん、俺、マスク定食なんて頼んでないねんけど!?「ウイルスをおかずにチャーハンを食べたい」とか思ってないねんけど!?
「店員さん、この定食、マスクが載ってるんですけど?」
「すいません!ゴホンゴホン!」
お前のやろ!お前のマスクやろこれ、どう考えても!
忙しくなるにつれて、ますます雑になります。その雑さは餃子に顕著に表れ、焦がすのはもちろんのこと、皮が破けて中身が出ている奴を平気で出してくるのです。
ふざけんなよ、お前!ケンシロウが秘孔突いたみたいになってるやんけ、これ!
「春巻き、お待たせしました!」
これも秘孔突かれてるやんけ!厨房にケンシロウなんて入れんなよ!「破くのは服だけにしとけ!」って注意しとけよ!
「エビの天ぷら、お待たせしました!」
衣多すぎんねん、これ!小2のチンチンぐらい衣あるやんけ、これ!
「皿うどん、お待たせしました!」
うずら入ってへんやんけ!お前、なんぼ忙しいか知らんけど皿うどんにうずら入れ忘れんなよ!うずらのない皿うどんなんて、寅さんのいない柴又やぞ!もしくは目当ての子に帰られた結婚式の2次会や!
「カニ玉、お待たせしました!」
ごめん、これのどこにカニが入ってんのって、短っ、このカニ!めっちゃ短いのが入ってた!お前これ、病人ジジイの歩幅より短いやんけ!
「ラーメン、お待たせしました!」
麺引っ付きすぎやねん!麺が松葉くずししてるやんけ、これ!
「たまごスープ、お待たせしました!」
薄っ、これ!もっと塩使えよ、このスープ!加藤鷹の指舐めてるほうがまだ味あるぞ!
雑なのは、料理だけではありません。接客も雑で、オーダーを頻繁に間違えるのです。
ランチピーク時のホールをしきっているのは、オバハンが多いです。接客だけではなく、顔がすでに雑な奴が多く、こないだ入った王将なんて、デンゼル・ワシントンそっくりのオバハンがいたんですよ。
いつ来日してん、お前!聞いてないぞ俺、デンゼルが来日してるなんて!
「いらっしゃいませ!」
俺のほうが言わないとあかんわ!「この国にいらっしゃいませ!」って俺のほうが言わないとあかんわ!
ランチピーク時のため、店内は混雑しています。あまりにも注文が遅いのでデンゼルにクレームをつけたところ、「あと5分だけ待って!」と、舌を出しながらかわいく言いやがったんですよ!
デンゼルが舌出すなよ、気持ち悪い!お前もう、この行為1つで地獄行きやぞ!
「(ウインクしながら)もうちょっとだけ待って!」
オスカー像返せ、お前!もう返還や、お前みたいな気持ち悪い奴!
夜のピーク時に至っては、口紅が付いたジョッキを渡されることもあります。入れ歯が挟まったままのジョッキを出されそうな勢いで、とにかくすべてが雑なのです。
以上が、今回の考察です。
今回、こんな記事を書きましたが、僕はそれでも、王将が大好きです。
その濃さを差し引いても、値段と味は文句のつけようがありません。僕は本当に、世界ナンバーワンの中華料理屋だと思っていますから。
ちなみに②でご紹介した、元ブタ。
しばらくして元の体重に戻り、再び、「ブタ」と呼ばれていました……。
餃子の王将はどれだけ濃いか?の考察(携帯読者用)
※2009年・12月22日の記事を再編集
先日、「餃子の王将」に行きました。
僕は王将が大好きです。週に何回も通うほどのフリークで、この日は夕方だったために、店内はガラガラ。僕はカウンター席に座り、タバコを吸いながら料理の到着を待っていたのですが、1人の客が厨房に歩み寄り、なにやら願い出ています。
「店内の自販機でタバコを買いたいんですけど、タスポを持ってないんですよ。誰か貸してもらえませんかね?」
声をかけられた従業員は、タスポを持っていません。ほかの従業員に訊いても持っておらず、その従業員が僕のところに来て言ったのです。
「お客さん、タスポ持ってません?」
なんでやねん、お前!お前、なんで客の俺が貸さないとあかんねん!
「ないっすか?」
ないっすかやあるか!お前がないっすわ!
「持ってないです!」
頭に来た僕は、持っているにもかかわらず、ウソをつきました。すると、そいつがカウンターのほかの客に、「タスポ持ってません?」と順番に訊き始めたのです。
こいつ、おかしいでしょ?食事中のお客さんにこんな失礼はないでしょ!?
それでも見つからず、そのタイミングで新規の1人客がカウンター席に座ったのですが、「いらっしゃいませ」も言わず、いきなり「タスポ持ってません?」と声をかけたのです。
何考えとんねん、お前!どこのどいつが2つ返事で「はいどうぞ」とか言うねん!
「ないっすか?」
ないっすかやないねん、だから!ていうか、そいつババアやろ!ババアがタスポ持ってるわけないやろ!
「あるよ」
持ってた!ババアがタスポ持ってた!
「それより生ちょうだい」
ババアが生て!ババアが生に手出すなよ!
「それと餃子1、野菜炒め1……」
ババアやんな?すごいもん頼んでるけど、自分、ババアやんな!?
「ライスが1」
だからババアやんな?まあまあボリュームのある飯になってるけど自分、ババアやんな!?
「野菜炒めの味つけは薄味にしといて」
そこはババアやんけ!どこババアにすんねん、お前!お前はまず、ババアとしてのキャラを定めろ!
このように従業員だけではなく、客まで濃いのです。
なかでも関西の王将は、異常に濃いです。関西人特有の気質も相まって、外界とは一線を画しています。
「王将のドアを開けた瞬間に空気が変わる」
こう言っても過言ではなく、人、物、事のすべてが濃いのです。
そこで今回は、「餃子の王将はどれだけ濃いか?」の考察です。
以下、僕が過去に目撃した、関西の王将の「濃さ」をご紹介します。
①営業中に、従業員同士でえげつない会話を始める
王将は厨房が丸見えです。カウンター席に座ると目の前で調理姿が見られるのですが、少し暇ができると、従業員が私語を始めるのです。
声も大きく、客に聞かれているのもおかまいなしです。つい先日も僕の目の前で餃子の皮を包みながら、普通に「近所の犬が3Pしていた話」を始めたのです。
ふざけんなよ、お前!何が悲しくて飯食いながら「3D」の話を聞かないとあかんねん!
「基本、バックやったわ」
知らんがな、そんなもん!ていうか、3匹目の役割が気になるわ!3匹目がどう関わってるかを教えろ!
しかもこの話がまた、長いんですよ。1分以上も引っ張り、1人が麺をゆで機に入れるために場所を離れたものの、戻るやいなや「どこまで話したっけ?」と言って3D話を続行したのです。
どこまでやあるか、お前!引っ張るような話題と違うやろ、どう考えても!
「で、その犬がすごい包茎で……」
どの犬も包茎やろ!剥けてる犬とかおるか、お前!逆に保健所連れて行け、そんなイカツイ犬!
ほかにも今年の春先に、近所の王将に行ったときのことです。カウンター席に座る僕の目の前で、フライパンを振る2人が、以下の会話を展開していました。
「橋本も、来週で最後か……」
「しかしあいつ、5年もよく働いたな。がんばり屋やな」
「そうやな。橋本の送別会、行く?」
「行かへん」
「なんで?」
「だるい」
それだけかい!ちょっと待って、だるいだけなん!?5年も働いた奴の送別会をだるさを理由に欠席すんの!?
「だるいからやめとくわ」
冷たっ!相当冷たい奴やな、お前!『蛍の墓』に出てくる西宮のおばちゃんか!
王将には、おかしな従業員が多いです。客の前で私語を連発し、その多くが「濃いバナ」なのです。
②元ヤン従業員のガラが悪すぎる
王将の厨房の従業員は、半分以上が元ヤンキー、と考えて間違いありません。
茶髪の奴が大半で、言葉も汚ないです。つい先日も、「このヤキソバ定食どこですか?」と訊かれた茶髪の奴が、カウンター席のすぐ近くで「カウンターのオッサンや!」と叫んだのです。
丸聞こえやねん、お前!お前の3メートル先にそのオッサンおんねん!
「どっちのオッサンですか?」
「ヒゲのほうや」
ええ加減にせいよ!口悪すぎるやろ、いくらなんでも!戸愚呂兄か!
一方、なかには気の弱そうな、普通の従業員もいます。その結果、必然的に、いじめの構図が生まれるのです。
なかでも、僕がよく行く地元の王将はすごいですよ。
この店は、元ヤンの従業員が厨房をしきっています。先日、フライヤーに水を入れてしまった新人に、「このキチ○イ生ゴミ野郎が!」って言ったんですよ。
キチ○イ生ゴミ野郎ですよ、キチ○イ生ゴミ野郎!?こんな暴言、カタギの奴では出ないでしょ!?
「お前は史上稀に見るキチ○イ生ゴミ野郎やな!」
お前も史上稀に見る奴やぞ!こんな暴言、有史以来5本の指に入るぞ!
「お前みたいな奴、やめるか死ぬかどっちかしろ!」
やめるわ!そんな2択にしてくれんでもやめるほうを選ぶわ!
いじめられたほうは、恐怖で顔を紅潮させています。「すいません!」と謝罪したものの、そいつの背中を助走をつけておもいっきり蹴ったんですよ!
戸塚ヨットスクールか、ここ!戸塚のマニュアルにありそうやぞ、その体罰!
こいつは「いじめのプロ」みたいな奴で、忙しくなると厨房内を見まわります。順番に「お前、いけてんのか?」と訊いてまわり、その際に必ず、お尻にキックを入れます。キックと同時に「いけてんのか?」と訊き、従業員に1人、「ブタ」と呼ばれている奴がいるのですが、そいつには「ブタ、大丈夫か?」と言いながら首の裏にハイキックを入れるのです。
どんな確認やねん、これ!そもそもお前に蹴られたから大丈夫じゃないわ!
「大丈夫です」
大丈夫と違うやろ!怒れよ、お前も!ていうか訴えろ、こんな奴!
ブタはそれでも、ブタと呼ばれることには怒ります。
「ブタって呼ばんといてくださいよ!」
こう言い返すものの、それでも必ず、ブタと呼ばれます。あるとき、ブタと呼ばれないようにするためか猛烈に痩せているときがあったのですが、「元ブタ」って呼ばれたんですよ。
元ブタて、おい!どうしたらいいねん、こいつはもう!
「元ブタ、ブタ肉買ってこい!」
「ブタって呼ぶな!自分で行け!」
ブタがキレた!ブタ肉が切れてブタもキレた!
ガラの悪い奴が現場を仕切ると、このような空間になります。事実、この店はこいつのやりたい放題で、座敷席をシャットアウトして、こいつが昼寝をしていることもあるのです。
③ヤ○ザのようなエリアマネージャーがいる
ガラが悪いのは、バイトの従業員だけではありません。「エリアマネージャー」と呼ばれる、それなりの地位に就く者までもが恐ろしく、ヤ○ザみたいな奴がいるのです。
「週5で誰かの指を詰めてます」と言わんばかりの殺気を放ち、日々、各店舗を視察しています。おかしなことがあれば、その都度指示を出して改善させるのですが、如何せん、ヤ○ザです。「スカウター壊れるわ!」というぐらいのガラの悪さで、1度、汗かきの従業員に真顔で「汗かきすぎやねん、コラ!」とブチギレたのです。
むちゃ言うなよ、お前!汗ぐらいかくやろ!
「汗をかかんような奴になれ!」
おるか、そんな奴!大卒の海賊よりもおらんわ!
とはいえ、これはまだ、ましです。先日、とあるエリアマネージャーが、サングラスをしながら現場にやってきたのです。
取れよ、サングラス!どこの世界にグラサンはめて職場に来る奴がおんねん!
「おはよう!」
おはようやあるか!ていうかお前、ヅラやろ!お前はヅラもサングラスも取れ!
「ここの従業員、髪の毛乱れてんな」
お前もや!お前の頭も一皮むけば乱れまくりやねん!
「おはようございます!」
「おい、店長!あいさつするときは帽子取れ!」
お前も帽子取れ!お前も「K」の帽子を取れって、店長もよく見たら一部分ヅラやんけ!違う意味の「KKコンビ」やんけ、こいつら!
このヅラは厨房に入り、各従業員に指示を出し始めました。ですが、途中で思い出したかのように、厨房の帽子をかぶり始めたのです。
何個かぶんねん、お前!2個も帽子かぶんなよ!KKコンビで2発ずついくなよ!
僕はカウンターに座っています。ピークがすぎたことから客も少なく、エリアマネージャーの罵声がガンガンに聞こえてきたのですが、ふと見たそいつのカツラが軽くずれてるんですよ!途中で帽子を取った結果、頭皮の一部分が完全に露出しているのです!
勘弁してくれよ、おい!ヒヤヒヤして飯食ってられへんやんけ、こっちは!
「口答えすんな!ごちゃごちゃ言わずにエリマネの言うこと聞いとけ!」
やかましいわ!お前のほうこそ、自分の頭頂部エリアのマネージングをきちんとしろ!
「ほんまにこいつ、頭に来るわ!」
もう来てんねんけど!?お前の頭、もうかなり来てんねんけど!?
王将のエリマネは、その多くがヤ○ザ風の男です。ランチのピークを過ぎたあとに頻繁に現れるので、1度確認してみてください。
④食べまくる客がいる
王将で濃いのは、従業員だけではありません。冒頭でご紹介したババアしかり、客にも濃い奴が多く、その最たる例が、よく食う奴でしょう。
信じがたいレベルで大食いの奴がいるのです。来ていきなり、「とりあえず餃子3つ!」と言う奴などザラ。過去に1度、餃子が3人前ある餃子定食に、餃子を追加している奴がいたのです。
病気やわ、もう!「チャオズ症候群」という名の病気やわ!
「それとお持ち帰り用の餃子を5人前!」
住め、もう!何かわからんけどもう王将に住め、お前みたいな奴!
ほかにも、「天津飯と天津麺」といったありえない食べ方をする奴までおり、つい先日も、「ニラレバ定食のニラレバって大盛りにできます?」と訊いて断られた奴が、ニラレバを単品でもう1個注文しやがったのです。
ゾンビか、お前!そんなシャバい肉いっぱい食いたがる奴なんてゾンビしかおらんぞ!
「それとジンギスカン!」
ややこしい肉多いねん、お前!なんでそんな癖ある肉ばっかり食いたがんねん!
王将には頻繁に、太った家族がやってきます。家族全員が王将フリークで、注文の仕方がすさまじいのです。
先日、僕が友達とテーブル席に座っていると、隣のテーブルに4人組がやってきました。父親、母親、息子、娘の全員が100キロ近くある太っちょで、席に座るやいなや、べらぼうな注文を始めたのです。
「えーと、酢豚定食と王将スペシャルとサービスランチが3つ!」
4人やんな?定食の数が合わへんねんけど、自分ら4人やんな!?
「それと餃子9!」
9て、おい!9!?それぞれの定食に餃子がついてんのにさらに9!?もう1回言わせろ、9!?
「それと皿うどん1、ヤキソバ1……」
多い多い!ネロが見たら泣き出すぞ、この量!
「春巻き2、エビの天ぷらが1……」
解放明けの奴隷か、お前ら!こんなに食う奴、解放されたての奴隷しかおらんぞ!
「とりあえずそれで!」
とりあえずやあるか、お前!アリが運ぶのに2年はかかるぞ、この量!
注文が多すぎるため、4人掛けのテーブルを2つ引っ付けて、四隅にそれぞれが座りました。目の前に自分の定食を置き、単品のオーダーを真ん中に並べ始めたのです。
どんな食い方やねん、これ!王様のテーブルみたいになってるやんけ!「王様食い」と名づけるぞ、この食い方!
全員、黙々と食べています。誰ひとりとして言葉を発する者はおらず、5分後、ようやく父親が言葉を発したのですが、口から出た言葉が「ラー油取って?」やったんですよ。
食うことしか頭にないんか、お前ら!家族で飯食いに来てるんやから少しは会話せいや!
「餃子、もうちょっと頼まへん?」
なんで足らんねん、9で!定食の分も含めたら14人前あるんやぞ!末期のチャオズ症候群か、お前ら!
店内には、宇多田ヒカルの『ファーストラブ』が流れています。メロディーの美しさとデブ一家とのアンバランスさが、おかしくて仕方がありません。僕らは食事を終えたのに、デブ一家が帰るまで店にいたほどでしたから。
そして、最後。これこそが、餃子の王将の真骨頂です。
⑤ピーク時のすべてが雑すぎる
王将の料理は雑です。なかでもランチピーク時の雑さは尋常ではなく、過去に1度、僕が注文した定食のトレーにマスクが載っていたのです。
ごめん、俺、マスク定食なんて頼んでないねんけど!?「ウイルスをおかずにチャーハンを食べたい」とか思ってないねんけど!?
「店員さん、この定食、マスクが載ってるんですけど?」
「すいません!ゴホンゴホン!」
お前のやろ!お前のマスクやろこれ、どう考えても!
忙しくなるにつれて、ますます雑になります。その雑さは餃子に顕著に表れ、焦がすのはもちろんのこと、皮が破けて中身が出ている奴を平気で出してくるのです。
ふざけんなよ、お前!ケンシロウが秘孔突いたみたいになってるやんけ、これ!
「春巻き、お待たせしました!」
これも秘孔突かれてるやんけ!厨房にケンシロウなんて入れんなよ!「破くのは服だけにしとけ!」って注意しとけよ!
「エビの天ぷら、お待たせしました!」
衣多すぎんねん、これ!小2のチンチンぐらい衣あるやんけ、これ!
「皿うどん、お待たせしました!」
うずら入ってへんやんけ!お前、なんぼ忙しいか知らんけど皿うどんにうずら入れ忘れんなよ!うずらのない皿うどんなんて、寅さんのいない柴又やぞ!もしくは目当ての子に帰られた結婚式の2次会や!
「カニ玉、お待たせしました!」
ごめん、これのどこにカニが入ってんのって、短っ、このカニ!めっちゃ短いのが入ってた!お前これ、病人ジジイの歩幅より短いやんけ!
「ラーメン、お待たせしました!」
麺引っ付きすぎやねん!麺が松葉くずししてるやんけ、これ!
「たまごスープ、お待たせしました!」
薄っ、これ!もっと塩使えよ、このスープ!加藤鷹の指舐めてるほうがまだ味あるぞ!
雑なのは、料理だけではありません。接客も雑で、オーダーを頻繁に間違えるのです。
ランチピーク時のホールをしきっているのは、オバハンが多いです。接客だけではなく、顔がすでに雑な奴が多く、こないだ入った王将なんて、デンゼル・ワシントンそっくりのオバハンがいたんですよ。
いつ来日してん、お前!聞いてないぞ俺、デンゼルが来日してるなんて!
「いらっしゃいませ!」
俺のほうが言わないとあかんわ!「この国にいらっしゃいませ!」って俺のほうが言わないとあかんわ!
ランチピーク時のため、店内は混雑しています。あまりにも注文が遅いのでデンゼルにクレームをつけたところ、「あと5分だけ待って!」と、舌を出しながらかわいく言いやがったんですよ!
デンゼルが舌出すなよ、気持ち悪い!お前もう、この行為1つで地獄行きやぞ!
「(ウインクしながら)もうちょっとだけ待って!」
オスカー像返せ、お前!もう返還や、お前みたいな気持ち悪い奴!
夜のピーク時に至っては、口紅が付いたジョッキを渡されることもあります。入れ歯が挟まったままのジョッキを出されそうな勢いで、とにかくすべてが雑なのです。
以上が、今回の考察です。
今回、こんな記事を書きましたが、僕はそれでも、王将が大好きです。
その濃さを差し引いても、値段と味は文句のつけようがありません。僕は本当に、世界ナンバーワンの中華料理屋だと思っていますから。
ちなみに②でご紹介した、元ブタ。
しばらくして元の体重に戻り、再び、「ブタ」と呼ばれていました……。