たまふの書物語まりふ -14ページ目

699 魔法使いルーフィ

サンライズエクスプレスと、並んでゆくのは
新幹線、スーパーエクスプレス。
滑らかな流線型の先端で、地平を舐めるように。


スパークノイズも少なく、ひゅう、と加速していく。


品川の電車車庫、さっきまでこの編成が居たはずの
線路が幾重にも連なる、夜見ると
工業的な美術モニュメントのような、その
光るレールは、幾何学的な美しさを以て
旅情を誘う。




走る、サンライズエクスプレスの車内では
等速運動のモデルのように、心地好い移動感が続く。




それは、ニュートン力学の示すF=maの通りである。


新幹線程度の速度でも、時計が遅れるのは
よく知られた現象で


例えば、GPS衛星航法でも
時計を較正するのは、技術者には常識であったりもする。




ロビーコーナーで、神様たちは
楽しく旅を満喫している。



ノンアルコールビールでも、なぜか酔えるのだろうか(笑)



となりのシャワーコーナーから出てくる
若い女の子の
愛らしい姿に、アメリカの神様は、口笛、
にこにこ(笑)。



フランスの女神は、まあ、はしたない、とは
言いながら(笑)


「男ってそんなものね。でも、そういう楽しみがあると
侵略したりしないからいいけど」と、真理。



ドイツの神様も、うんうん、と頷き

「まあ、行動力のはけ口はなんでもいいのさ。ヒトラーが、もしモテ男だったら
あんな事しなかっただろうしね」
と、笑う。



確かに、そういえば
侵略をしたり、君臨したがる人達は
あまりモテそうな人達はいない(笑)。


ムソリーニもそうだったし。


日本の軍部もそうだった。




言ってみれば、愛のない連中である。

698 魔法使いルーフィ

「車掌さんは、これから寝るのかしら」と、フランスの女神。



「ずっと起きてるさ」と、アメリカの神様。


「大変ね。」と、女神。




「名誉な事じゃろ。最後の寝台列車に乗務できるのは」と、めぐの国の神様。



「疲れるわね」と、フランスの神様は、思考を理解できない。



「ま、男ってのはいつだって守るもんさ。鉄道職員は、安全の為に働くのが好きなのさ」と、ドイツの神様。




生き物だから、当然動く。
エネルギーを得る為に、自分の領域を確保する。


転じ、安全を守るし、職業として列車安全を保つのも男らしい仕事である。


使命感のある人々が、おそらく鉄道で働く。



「ま、そういう心で戦争なんかに行くんだろうけど、国を守るため、とか言って。今は戦争が無いから内乱が多いし、侵略とかも」と、言ってアメリカの神様は、日本の現状を思う。




経済で侵略したり、領土、島国だから周辺の国境で争ったり。


日本も、尖閣などでも争いがあった。


「醜いことさ。真の日本人は見向きもせず
黙々と生きていた。その証拠に、国政選挙の投票率が3割くらいだった。7割の日本人は、争いに興味がなかった、ってことさ。エスカレーターで道を空けるようにね。スマートに逃げてしまう。」


the fugitive。

697 魔法使いルーフィ

ロビーコーナーで、夜を楽しむ神様たちに
車掌が検札に掛かる。


無粋な事は言わず、スマートに
切符を見て回る、ベージュの制服は
昔ながらの鉄道職員と同じ、心を持った
男たちのひとりだ。


そう、徹夜勤務に耐える事もまた

魂を磨く行為のひとつである。


仮眠時間があるとは言え、僅かに数時間に過ぎず
乗客の安全と乗降を守る、夜行列車の車掌は
国鉄の頃と、変わりない誇り高い仕事である。



運営が国から、民間に変わったとしても
仕事に架ける誇りに変わりない。

男の仕事とは、そういうものだし
そこに、日本人らしい魂がある。



仮に、健康を損なうような仕事であった
としても、男として生き甲斐を感じる仕事なら
それで、喜んで仕事に就けるものである。



量子物理学で言うなら、自由に飛び回る
光のような人生より、敢えて

使命、と言うヒッグス環境のため
エネルギーを使う事を選ぶ、そんな生き方こそ
日本人らしい生き様と言える。



つまり、そんな魂のある生き方の前に

損得など、微塵の意味もない。



些細な日常に拘泥せず、孤高に生きる。
それが、侍である。




「なるほど、それで試練か」と
めぐの国の神様は、車掌の後ろ姿に

日本の神様の、意図を思った。

696 魔法使いルーフィ

ただ、真の日本人は道を求めるし
魂を磨く。


苦難を超えてこそ、男だと言う
侍の心がある。



そうして生きてきた男にこそ、弱きを衛る
愛を語る資格がある。


修行僧のような、そうした姿勢があってこそ

これまでの日本があったから


悪を憎み、戦うと言うよりは
克己し、堪える事を会得とする。

艱難辛苦、汝を玉とす、などと言うくらいで



実は、目先の贅沢に目を奪われて
堕落し、狡猾に腐心するものは

そこに気づいていない。


満足は、そこには得られず
むしろ、耐え忍んだ魂にこそ
会心の笑みは得られるのである。



それが、日本人。



腐った根性の者が、政治を我が物とし

労働者派遣、持株会社、などと言う

働かずして食う者どもに都合の良い
仕組みを作って、勝ったつもりでいた
としても



卑劣な手段を使った時点で、既に相手に
負けている。


その事に気づきもしないのだろうし



真の日本人には、最初から相手にされていない
事にも気づきもしない。



気づいた頃には、既に遅く


死に至っても、永遠に心満たされる事なく
悪心のまま世を去るのだろう。



魂を磨いた、侍たちは
その頃、高みに至り得心しているのだが。

695 魔法使いルーフィ

ただ、愛などと言うものは
超紐理論で言うところの、ホログラムで
3次元の幻影を、1次元の実体に見ている
と言う概念と同じで

信じるものには、それが実態に見えると
言うだけのものであったりもする。



家族もそうで、生物社会学で言うところの
家族とは、人間の必要条件であると
されているが


相互に愛を感じ、分かち合うと言う
日本的な情緒がないと、それを家族とは言わないのは

その生物社会学が、日本の京都大学で興ったので

当然のように、記されていない。

食物の分配があって、雌雄一対で
子供がいたとしても、それは
人間の家族とは言えない。



相互に愛しあい、慈しみあう事がないと

単純に、鬱陶しい呪縛だけになってしまう。



例えば日本の社会に愛がなければ、面倒な
呪縛だけになってしまって



それで、日本の経済や政治が破綻状態になってしまって

終末として、管理不足だった原発が地震を
受けて爆発したりした。


それは、国民への愛がない行政が
形骸的に原発を運営していたからである。





そういう時、量子物理学的に言う
原子核の周囲にある電子は


始祖宇宙で、ヒッグス環境に捕捉されて
光子の自由を失った事を後悔するだろう。

自由を求めて、再びさすらいを求めるように。

勿論、原子核を構成する素粒子も同様で



原発が爆発したのも、言ってみれば
愛のない家庭から逃亡する心のようなもので
原子核と言う呪縛から自由を求めたのである。

つまり、日本的社会には愛と言うホログラムが必要なのだ。





もちろん、めぐの国は日本ではないので(笑)

まだまだ、愛も希望もある世界である。
ホログラムでない、実態としての愛がある。

694 魔法使いルーフィ

地上の魔法少女めぐは、もともと
人間だったから
その愛は、もちろん
人間的な愛である。

家庭を持って、愛を営むと言う
人間の長い歴史の中で受け継がれた
生命体のもつ行動様式である。


恋は、もともと
自由に、パートナーを得て楽しむと言う
沢山遺伝子を遺していくような、生物の性質。



比喩的に言えば、宇宙空間を永遠に飛び回る
光子のような存在である。

恋心に質量はない。




それが、ヒッグス粒子に囚われた途端
宇宙空間に質量が発生し

元素になって。その途端
光子は、電子となって自由を失う。


愛を得た恋心が、自由の代わり安定を得て

家族を持つような。



神様や、魔法使いルーフィのような
非生命体は、もともと光のように
自由な存在であるから


めぐのような、人間的な愛とは
そもそも、次元が違う。


その断裂が、めぐの心を悩ませたのも
つい先日のこと。



遠い遠い宇宙の起こりから、似たような
悩みを人間は持っていたのだろう。



ひょっとして、ルーフィのご主人も?


それで眠ったのかもしれない。




そのせいで、ルーフィがめぐに出逢ったとしたら
ちょっと、悲しい偶然である。

693 魔法使いルーフィ

サンライズエクスプレスの車輪のそばでは
モーターが、くるくると回っている。
回転するカゴに巻かれた電線の中で
電子が動いている訳である。



それが、電流としてモーターを動かす訳で


元々は、宇宙空間の中で光子であった
ものが
ヒッグス空間に囚われ、質量になった存在。



それが、空間の密度の違いで
物質となり、星になった。



幾度となく生命となったりする事もあっただろう。




再び、自由を得
光となって空間に飛び出す事もあるのかもしれないが。




人々の愛は、つまり生命を営むためのものだから



電子を持つ、元素の意思であるとも言える。





つまり、宇宙の営みの中に
人々の愛も多重に存在しているのであると考えると

それも多重次元である。




ふつう、3次元空間に私たちは生きている。

時間が1次元、重力、電磁気力で6次元である。



そのうちのひとつ、電磁気力で

いま、サンライズエクスプレスは動いていて

もちろん重力も加わってはいる。








車上、アメリカの神様は
ノンアルコールビールで
なぜか酔ったような気持ちになって(笑)陽気である。





「フランスじゃあビール飲まないの?どうぞ、ま、一杯」と
女神に、coorsを薦めたりする。


女神は、まあ神様なので

微笑みながら頂くけれど
陽気になる訳でもなかったり。


「のんきなものね」と、笑顔。




「やっぱり、ソーセージが違うな」と、ドイツの神様は
本場だけあって(笑)黒ビールを所望。

692 魔法使いルーフィ

週末ならば、サンライズエクスプレスも
旅する若者で賑わうのだけれども
平日のいまは、静かだ。


ロビーコーナーは、かつての[ロビーカー]を
縮小したもので

国鉄時代は、同じ東海道をゆく夜行列車[はやぶさ][富士]などに食堂車と共に1両連結されていたものだっだ。



もっとも、航空機のない時代に
政治家や、財界人が
よく利用していたので


そうした配慮もあったりしたのだけれども。



いまは、政治家や、財界人は
飛行機で行ってしまうし
それでなくても新幹線で行くので



サンライズエクスプレスは、あくまで
庶民の乗り物になっている。


なので、ロビーも縮小、と言う
民営らしい効率的なスペースになって



昔の、ゆったりソファーとテーブルから
窓際のカフェ、ハンバーガーショップみたいな
軽い印象のものに変わっていたりする。


そこで、話あう神様と言うのもまた、軽い印象であるが(笑)
まあ、神様だと言わなければ

誰もわからない。



そういうものだ。



いま、皆が生きている3次元空間が

実は、超紐状の1次元空間である、などと言われてみても理解出来ないのと同じ、である。


地球があり、太陽系があり銀河がある。
その果てが、観測できないけれど実は、膨張しながらある空間だ、と言う事は
既に解っているが

それが1次元のトポロジックな存在で
ある、と言う
そういう構成で考える、そんな理論である。

691 魔法使いルーフィ

その、PWMインバータが
周波数を変えながら、つまり
乗客にとっては、僅かな動作音が
変化しながらと言う事だが

列車は、速度を増して行く。


尤も、7両編成のうち
モーターは2両なので、それを聞ける乗客の数は少ない。


指定席料金で乗れる車両だけだ。




神様たちは、楽しい夜を名残惜しむように
ロビーコーナーのある車両に集まる。


神様同士だけれども、人間の真似をしていると
人間みたいな行動を愉しんだり(笑)



大きな窓越しに、流れてゆく夜景を見ながら
ノンアルコールビールを飲んだり(笑)。


それは、アメリカの神様である。




「ビールなら、ドイツだが」と、いいながら
ドイツの神様は、その、ノンアルコールと言う奇妙な飲み物を楽しそうに飲んでいる。



その、ロビーコーナーには
シャワー室がついていて

清潔好きな日本人らしく、
シャボン玉の香りが、漂いはじめていて


それも、夜行列車の雰囲気を醸す。

690 魔法使いルーフィ

モーターと言うのも、不思議な構造で
機械的に、回転する力がどこから発生するのか?と

分解してみても、さっぱり解らないものである。

とてつもなく大きな電車を、電線を巻いたカゴが動かしているのだけれど


そのカゴは、どこにもつながっていない。


電線を通る電気が、力を出して
車輪を回すと言う理屈は知っていても

実際に電気を通しても、光る訳でも
燃える訳でもない。


これがエンジンなら、音を出して
燃料が燃えて、煙を出すので


なんとなく、仕組みは見えるけれど



モーターは、ただ回るだけである。



見えない電子の流れが、電磁気学的に


磁界を作って、大きな力を作るのだが


見えない世界からの力と言う、それが
とても不思議なものに思えたりする。



超紐理論による時空間の存在などもそうで

紐状、つまり1次元の世界が
膜状2次元の上に成立していると言っても


俄かには想像できないのは、3次元の空間を
認識してここに存在していると
思っているから、で


その3次元は、光を持って見渡しているからで
光さえも歪む空間の限界があると言う想定を
イメージできる人々は少ない。でも
そうならば、1次元の紐状宇宙の中に
限られた3次元空間に自分たちがいると言う
想定も成立するし

その紐が、トポロジィによって
複雑な形状をしていれば、紐という認識を
持つ事すら難しくなる。



そういう、超紐理論の下に
並立宇宙があると考えると

重力の存在が、理論的に適当であったりもして。