事業に行き詰ったら、まず自宅を逃がそう

ひょんなことから、ある会社の事業再生に関わっている。

借入の返済、クレジット、未払い給与、消費者金融、取引先への支払い、未納家賃、、

それに加えて生活費もあるから、なかなかキツイ状況だ。

この状況は、新規事業に失敗したことが原因だ。

状況が悪いのに手を引くのが遅くなり、傷口を広げた。

しかし、本業は細々とやれている。

家族経営だから規模は大きくないが、上手くやり繰りし、

ここ１年を乗り切れば、復活の可能性はある。

逆に言えば、やり繰りを間違えると終わる。

そういう意味では、シビれる場面だ。

さて、まず何を優先すべきか。

それは、自宅を逃がす、だ。

事業が行き詰まり、様々な支払いができなくなることがわかった場合

何か手を打つなら、いわゆる「事故前」しかない。

住宅ローンを組んでいる場合、滞納すると差し押さえされる。

会社で融資を受けている金融機関が、住宅ローンと同じ場合、

融資返済が滞ると不動産の所有権移転は難しくなる。

差し押さえ、競売、強制執行で、容赦なく、あっという間に家を追い出される。

自分一人ならともかく、、これはキツい。

金融機関は、慣れているからこのあたりの動きは早い。

　

マンション（自宅）を所有している場合、

ケースバイケースではあるが、「住宅価格＞残債」である場合、

事故が起きる前なら、逃がす方がいい。

自宅を誰か(知人）に売却したカタチにして、所有権を移し、家賃を払って住む。

もちろん「知人」というのは、信頼できる人でないといけない。

後々買い戻したいなら、金融機関にバレないように「買い戻しの」覚書を交わす。

家族がいる場合、こうしておくことで生活環境が変わる心配がなくなる。

自宅を逃がしておかないと、仕事が行き詰った上に、家族関係まで崩壊する可能性がある。

そうなると、メンタルがやられ、立ち直るのはキツくなる。

会社の存続率は、設立して3年で65％、10年で6.3％、20年で0.39％、30年経つと0.025％といわれる。

つまり、創業からわずか10年の間に9割近くの会社が廃業するということ。

僕は25歳で起業して31年間、自分と同じような中小企業の経営者とつき合ってきたから

これまで数々の倒産を見てきた。

早く復活できるかは、ここの処理にかかっている。

事業の失敗によって個人の生活が危機にさらされることを防ぐ。

失敗があっても家族の生活が守られれば、落ち込みの度合いが違う。

自宅を守り、精神的なストレスを軽減させることで、事業再建に向けた判断と行動が可能になる。

事業を法人化していれば、個人資産と法人資産を分離させることができる。

しかし実際は、連帯保証しているから、そう簡単ではない。

困難を乗り切るためには、早めの判断と適切な行動が必要だ。

なんとか、乗り切ってほしい。