月末からインドに行く。
昨年に続き、カイヤバリダーマ・ヨガ研究所でのパンチャカルマが目的だ。
パンチャカルマとは、身体の浄化。
慌ただしい日常を離れ、酒とタバコを断ち、ゆったりと過ごす時間は格別だ。
しかし、１０日も滞在すると「インドは、もういいかな」と思うだろう。
そう思うのは、インドだけではない。
バリ島でも、タイやフィリピン、イタリアでも、同じだ。
それは、日本を出ると「日本が恵まれた国」であることを実感し
日常の特別さを教えてくれるからだ。
日本の「過ごしやすさ」や「治安」の良さは、外からみると際立つ。
例えば、タージマハルやローマの街角。
美しいかもしれないが、スリやピックポケットには注意が必要だし、
犯罪率が高く、夜間は安心して歩けない。
しかし、東京の夜道を歩く時、そんな心配はほとんどない。
なにも気にせず、安心して歩ける。
日本ならではの静かな幸せだ。
また、インドの電車に比べれば、日本の電車は別世界のよう。
時間通りに来るのは当たり前、車内は清潔で静か。
公共交通機関が時間通りに運行し、信頼性が高い。
ムンバイやバンコクの喧騒を経験した後、東京の街並みを見ると、
清潔で、何とも言えない安堵感がある。
夜中に歩いていると、時々道路清掃車を目にする。
道路脇に粉埃がないことに、秩序と社会インフラの高さを感じる。
見慣れた風景ではあるが、当たり前ではない。
当たり前ではないのは、海外都市の賃料に表れている。
インドやフィリピンは物価が安い国で、平均的な月収は日本の１/５～１/１０ほど。
日本人が住むには、生活費が安く済むと考えられている。
しかし実際は違う。
日本人にとって普通の安全性と清潔さを求めると、恐ろしく高額なのだ。
ムンバイやマニラ（マカティ市）では、ファミリー向け物件の月額賃料は２５万くらい。
一人暮らし用のスタジオタイプでも、６～８万円くらいする。
物価の安い国なのに、当たり前の安全を求めると住宅だけでも高い。
安全な暮らしと収入のバランスを考えると、日本の家賃はかなり安い。
海外での非日常の時間には、刺激や冒険がある。
しかし、日本に戻ってくると落ち着く。
僕らの日常には、見落としがちな幸せが満ちている。
ＳＮＳやネット記事をみると、不平不満が渦巻いている。
介護保険や健康保険の負担額、長時間労働、非正規雇用、女性の社会進出、
など、それぞれに問題があるのは確かだ。
しかし、それらは簡単に変えられるものではない。
ならば逆に、日常の幸せを見つけ、大切にする。
恵まれていることを自覚した方が楽しいのだから。
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