暗号通貨は将来どうなるのか。その２「お金の歴史～お金の進化は信用問題の解決」

暗号通貨の将来を考えるにあたり、お金の歴史を振り返る。

１，自給自足
　　お金がなかったころは、自給自足の生活をしていた。
　　
　　問題
　　必要なものが取れなかったり、不足したりする問題があった。

２，物々交換
　　物々交換により、自分では手に入らないものが手に入る。

　　問題
　　お互いに求めるものが合わないために交換できないことがある。

３，市場
　　交換したい人が一カ所に集まって取引をする

　　問題
　　自分の商品を欲しい人がいるとは限らない。欲しいものがあるとは限らない

４，物品貨幣
　　米、小麦、塩、油、牛、豚など誰もが必要とするものに交換する

　　問題
　　時間の経過により品質が悪くなる、供給が不安定、分割しにくい

５，お金の発明
　　石や貝、歯、角、布など劣化しにくく誰もが欲しがる物がお金となる
　　
　　問題
　　同じものがないため、価値が一定でない

６，秤量貨幣の発明
　　金銀銅などの貴金属そのものがお金とされる

　　問題
　　重さを価値としていたため、純度に不安があった

７，鋳造貨幣の発明
　　大きさ、重さ、純度が一定というい品質が同一の貨幣ができた
　　
　　問題
　　発行者が複数いると、重さや純度の信用性が低下する

８，権力者に貨幣発行の権利が生まれる
　　信用のある人が統一したお金を発行するようになる

　　問題
　　硬貨の流通量に対して、金銀の発掘・生産量が追いつかなくなる　　　　
　　純度を下げるようになる　　
　　→金属の量による通貨そのものの価値でなく、発行元の信用（架空の価値）がお金となる
　　→大きな取引となり硬貨の数が多くなると、持ち運びに不便で危険

９，紙幣の発明・銀行の誕生
　　お金持ちに硬貨を預け、預かり証が発行される。その信用が紙幣となる
　　預かり証を発行者に持っていき硬貨に変えていたが、預かり証のまま交換するようになる
　　→銀行の誕生

10，信用創造
　　銀行は信用を背景にお金を貸し出すようになる
　　→市場にお金の量が増える

11，カード・電子マネー・ポイントの誕生
　　大企業が信用を背景にお金を発行するようになる

12，暗号通貨（仮想通貨）の誕生
　　特定の国家、企業ではなく、市場が価値を決める

お金の歴史からわかるのは、お金は「信用」と「便利さ」によって成り立ってきたということだ。

法定通貨では、国家がお金の価値を保証する。

暗号通貨では、利用者がお金の価値を決める。

法定通貨には、為替によって市場が通貨の価値を決めている。

どちらもユーザーが価値を決めていることに変わりはない。

今日から開催された北京冬季オリンピックで、中国はデジタル人民元をアピールしている。

これまでの電子決済は、銀行口座と紐づいていて口座がなければ利用できなかった。

しかしデジタル人民元は、銀行との紐づけは必ずしも必要なく、

カードを買うか、ATMでチャージするかで買うことができる。

こうなると銀行が必要なくなる可能性がある。

これまでの電子決済では、購入者はモノを買うと銀行から引き落とされ、

販売者は銀行に入金される。

銀行が仲介役を果たしていた。

デジタル通貨では、購入者から販売者に直接お金が渡る。

販売者は銀行からの入金を待つ必要なく、お金を使うことができるし、

余計な手数料もかからない。

仲介者としての銀行は必要なくなるのではないか。

デジタル通貨は、法定通貨だから暗号通貨とは違う。

しかし、使い勝手はほとんど同じと言っていい。

暗号通貨は、デジタル通貨と同様になるのか。

今の段階では、ならないだろう。

価格の変動が大きすぎるからだ。

暗号通貨は今のところ投機の対象としての側面が強い。

それ以外の利用が限られているからだ。

しかし、将来は変わってくるのではないか。

つづく。