夜ちょっとやって、泊まるとこや なんだか世話してくれるくらいでいいんだよ。 | “Mind Resolve” ~ この国の人間の心が どこまでも晴れわたる空のように澄みきる日は もう訪れないのだろうか‥
 シリーズ『白状します』 2007  みなみ まさあき 40歳。 告白します! (VOL.1)?
   
    
こんばんわ。ドラマLIP STICK 第5話 で三上さんの座る席にケーキを運んだ みなみです。
平井さん、お元気ですか? その節はお世話になりました。 
   
いや、ちょっと想い出しただけ。
なぜかっちゅうと、さっき、夜8時前に
黄昏の芸能ブローカー から電話があった。
俺のケータイ…へ。
   
   minamikeitai005
   
この何週間か壊れてたんだけど
バッテリー・パックの裏側にホコリが溜まってたので
仕事の休憩の合間にティッシュ ティシューでそれを拭うと
この10年目にして使えるようになった。
それにしても驚いたよ。
今頃になって仕事の依頼 ではないだろうけど
芸能ブローカーから直接に電話をもらったのは久々だよな。
まだ生きてたよ。
今は自分でプロダクションを起こして
相かわらず都内近郊のロケ先を駈けずりまわってるらしい。
   
「南ぃ、おまえ今どこにいるんだぁ?」 あのガラガラ声
「佐渡です。」
「ああ、やっぱりまだ佐渡にいたのかぁ」
「はい。酒づくりやってます!」
「そうかぁ、相かわらず酒つくってんのかぁ。
ところでオレも一度、そっちへ行ってみようと思ってるんだけど
今は寒いだろ。もう少しあったかくなって春先にでも
そっち行ってみてぇんだけど、南の携帯番号が
どこ検索しても出てこなくってよぉ。
今やっと見つけて こうしてかけてんだ…」
「元気なんですか?」
「ああ、なんとかやって…最近なぁ、
ノロウィルスに とっつかれちまってよぉ、やっと調子よくなってきたとこだよ」
「そういえば何ヶ月か前にイナジ君
と電話で話しましたよ」
「いなじぃ? ああ、この二日くらい前にアイツんとこへ仕事まわしてやったなぁ。
そうか、イナジの奴も おまえんとこへかけてたのかぁ…。
まぁ、そのうちそっちへ行くから、そん時はヨロシクな」
「俺、休み取れる日が合わせられないかも知れないですよ!」
「いいんだよ、観光案内なんてしてくれなくたって。
夜ちょっとやって、泊まるとこや なんだか世話してくれるくらいでいいんだよ。
あとはどうってこたぁねぇから心配すんな。
ま、そっちへ行って、佐渡へ着いた日に また電話すっから、頼むな。」
   
ということで、あの芸能ブローカー は佐渡まで来るつもりらしい。
読者のみなさん、実在の姿を画像で紹介できる日も近い…かも知れない。
おたの隅に。
   
して、俺の日記ブログ、
『噂のヘヴィ・ウェブログ“Mind Resolve”』 2007年1月号では
かねてより、「ストーンズのファンク特集 」をやる とか、
哲也さんの楽曲紹介 も途中までになってしまい、
ここんとこ、どうしたものか? 
世間様の常識に敵対モードでどうにもならんかったよな。
こんな調子だと、俺はますます、シャバから取り外されたまんま
せっかく読んでくれてる人にも失礼きわまりねぇよな。
なんだかねぇ、正直いって、カラダがダメみたい。俺が。
そんなに疲れてるわけじゃないんだけど
精神と肉体のバランスがあまり かんばしくなかった。
朝おきてもヒゲ剃るのも面倒だったりな。
筋肉と肝臓の関係
仕事はヤル気あるんだけど、この家へ帰ると
どうにも落ち着かなくなってくる。
煙草に火を灯してみても、穏やかな気持ちでいられるのは わずかなもんだ。
宇崎さんも歌ってたように『住めば都』なんだから…といっても 
ダウンタウンにFightingを付けるほど俺の人生は立派なもんじゃねぇし 
気の持ちようも都内を廻り巡る電車に乗ってるときよりはマシかも知れんけど…
んまぁ、そんなこたぁ、どこへ住んでても、どこへ行ってみても 
俺みてぇな野郎は何かに対しての苛立ちや反発心が
マトモに治まった試しが、ここ5~6年…正確には
1998年の3月17日以来、 ほとんどない。
2000年の夏に子供が誕生して以降の俺のオマケ人生
グリコやカバヤ のようにはいかない。厄介なもんだ。
どこへ行こうと不条理や理不尽がつきまとう。
カネの問題にしても家族の問題にしてもな。
それが誰の所為とか世の中の何かが気に入らなくって、どーのこーのの以前に
ぜんぶ自分でやってることなので 
とにかく不安のよぎりや嘆き・苛みの無駄な時間を
なにか自分の好きなことやる時間に置き換えないとなんだよな。
けどなぁ、ああだのこうだのブログ以外にも書くことも
いっぱいあってな。Rudolfモヤシ君とかデカパン君のようにはいかない。???
そんなふうに気分転換てやつを日常のどっかで取り計らうにも
寝る時間より書くことの方が優先しちまう。
んで、なにか書いてるつづき
直しては 読み返し、直しては読み返し
いつの日にか、ちゃんとした海外出版へ漕ぎつけるためにも
いったんぜんぶを捨てないことには
アタマん中によぶんなモノ (?)が邪魔しすぎて
眠ってるはずの豊かな発想が芽生えてこないわけ。
でもってまた苛々する。
どっかでまた、この命をこの世とつなぎとめておかなきゃなんない想いもチラついて
アホなこと 考えるよりも、ネット先のダレ逸れの言葉に
生きる勇気とか、死に損ないが這いあがろうとする気配…等に
今日の励ましを見出すしかない。
大したことはない。
他人の愛情を見て訊いて知って、なんとか持ち堪えてる。
パチンコやって呑んだくれてるよりはマシだろ。
そんなとき、芸能ブローカー から電話があった。
生きているうちに、もう一度だけ逢っておきたい一人だったので
嬉しかったよ。
こんな俺でも覚えていてくれたんだ。
   
んで、ご本人は、インターネット上に自分のことが書かれてるなんて知らない。
知らないけど、俺は世間の映像芸術の裏側の影で
常に何かを支え、日々を自分なりに生き凌いでいる姿を
俺の知る限りの範囲で書き残す。
なにをやったわけでもない。デカイことなんて、ひとつもやっちゃいない。
役者の育成に力を注ぐような立派なタマでもない。
単に現場から現場、ロケ先からロケ先へ 
他人の夢や希望を利用して“動く小道具 ”を回してるだけだ。
映像の背景が、そのシーンの雰囲気を最大限に活かすための“仕出し”。
役者こそ、戦後の日本の世の中では川原コ●キと呼ばれ、
エキストラなんてのはもう、それ以下の扱いでしかない。
基本的に台詞はなく、喋らないし、特定の演技は要求されない。
アクション・ノイズも必要に応じて使われることもあるけど終始無言。
人権尊重、人権保護の社会常識の中では
「パントマイムでお願いします!」
というように御丁寧な助監督もいるけど
パントマイムなんて素晴らしいもんじゃない。
音を立てずに台本と監督のイメージ通りに動く、お人形さんだ。
それが警官であろうと刑事であろうと単なる通行人であろうと
数によってはカネの動き方がちがってくる。
どんな映画もドラマもハリウッドの池田…じゃなくって、タイサクも 
どっかの宗教団体のPVであろうとVPであろうと
泣いた顔が、どうしても笑ってる顔に見えてしまう女優も 
カネ貰ってる限りは素人じゃない。
明日のギャラが美術費と共に削られようと
そういう仕事をちゃんと理解して、
来る日も来る日も徹底してる人も仲にはいる。
芸能ブローカーは今も、そういう人たちを即戦力として
日本の映像芸術界を片隅で支えてるわけだ。
この世に産まれて、ものごごろついた時から な。
捨てるモノは もう何もない。
必要なのは明日の天気の行方とカネの計算だけだ。
傍からは893な商売に思われても
世間様の大事な大事なテレビ局の瞬間視聴率がどうあろうと知ったこっちゃない。
台本の内容にもよるけど
どっかのスポンサー企業や製作会社が一発アテタイ時は
ドラマでも映画でも冒頭シーンに大勢の人影が必要になる。
その情報を巷の知らない衣装合わせの前の段階から訊きつけて
他に横取りされないうちにツバをつけとく。
ただね、日活全盛期の昭和の美を飾る数々の名作の裏で
あの芸能ブローカーが「おはようございます」の業界挨拶で築きあげてきた信頼は
どこぞの宗教団体の広告塔にされてる女優さんが、どんなに毛嫌いしようとも
おそらく、今の日本の映像業界よりハリウッドなら理解される…と思うよ。
ご本人は英語もロクに話せない与太者だけどね。
   
てなわけで、魂に『日活』の二文字を刺青してるような男、
黄昏の芸能ブローカー ”は、
俺のペン…俺の右手で片手撃ちされるキーボードによって蘇る。
   
優作さん、あなたがいなくなった今も
あなたの芝居を影で支えつづけた一人。あの男は
今まだ、あなたと仕事ができた楽しさを胸に
光化学スモッグも下で面白おかしく生きてますよ。

   
   
   
   
      action 016 
   
   
世の中には色々な職業があって、
日本の映像業界のスタッフ側(?)の一人、
自分の好きなことを堂々とやって
とても楽しく仕事をしている人もいた! 
・・・・ということを発見した瞬間がある。
俺も初めて逢った時は ちょっとビックリした。
「世の中には こんな人もいるんだ」
視野が拡がった。
ここではその人のことを仮に
“芸能ブローカー”
と呼ぶことにしよう。
本人も、
「オレは芸能ブローカーだ」
と云っている。
云っているだけでなく、
やっていることも芸能ブローカーそのものだ。

   
「南ぃ、さっきロケバスからスタッフがひっぱり出してた黄色いカゴに
使い捨てカイロがあったんだけど、次のシーンの衣装替えんときに
オレに一個もってきてくれねぇか」

   
とある時代モノ・ドラマのロケ先。
季節、春先。早朝。集合は新宿スバルビル前
都内より遥か離れた山々に囲まれた山村の神社前にて。
辺りは雪が残っている場所と
朝陽で溶けた雪が泥濘を作ってる場所と…足元は悪かった。
衣装はすべて和服に素足。まだ靴下のない時代。
設定:チョンマゲが消えた大正時代。
タイトル:『
(全3話)。監督:大山さん (映画 ではない。)
製作チーム:カズモ。チーフ助監督:芹沢さん 

現場には医者役で、映画『野獣死すべし 』の、あの、
名演の刑事だった、亡き 室田日出雄さんもいたよ!
 
   
「こう寒くちゃ、オレみてぇなご老体には堪えるぜ」
「ああ、そういえばさっき、ガンガン運んでましたよ。
寒いなら、あっちへ行ったほうがいいでしょ」

「本体のとこだろ。他にもあんのかよ?」
「たしかケータリングの人が丸いオイルのガンガン3つ4つ持ってたから
たぶん今頃は木炭入れてると思うけど…」

「そうか! んじゃ、そっち行ってみるか。
よ~し! 着替えが終った人から順々に現場の方へ向かってなぁ! 
足元きをつけろよ、滑りやすくなってるからなぁ。
あれぇっ! 南ぃ、おまえだけなんで足袋はいてんだよ!」

「ああ、コレ。自分で持ってきた。でも足袋じゃないッスよ。
足袋に似せた靴下。那須の温泉旅館へ行ったときに貰ってきたヤツ。
どっちみち本番前には脱ぐんだけど。」
「それにしたって、この寒い中、素足よりはマシだろ。おまえ、用意がいいなぁ! 
どうなってんだよ? スグ脱げるのか?」

「ホラ、こうやって丸めて握っても目立たない」
「へぇーっ、便利だなぁ! こんど行ったときオレにも貰って来てくれよ」
「…ああ、はい」
   
撮影は、祭りの風景シーンや、相撲大会とか、
その昔、神社で行われた祝言のシーンなど、まる二日かかって収録された。
この日は、物語の冒頭で、ヒロインの“出逢いのシーン”がメイン。
   
「南ぃ、おまえ渋谷のスタジオで録ったとき、どこまで面がワレてた?」
「…いや、バッチリ煙草ふかしてる顔で出てましたけど」
「どこで?」
「花魁のショウの時」
「ちょっと待ってろ、いま助監督に確認してくるから、
もしかすると芝居ができるヤツでカメラ前に一人よこせって言ってたから、
そんときはおまえな」

「あ、はい」
数分後。
「ったく、イキナリ言いやがって…ブツブツ。
やっぱ必要になるって言うから、わりぃけど今の衣装またチェンジしてくれ。
紐屋だとよ。だけど、あんまり目立たないようにな。
おまえ、何役やってんだ?」
「えっ? 郵便配達と、病院前の警官と、木刀を持って乗り込むヤクザと…」
「木刀? ヤクザぁ? そんなシーンあったかよ?」
「ありましたよ、栃木へ行ったときの、あの昔の蔵づくりばっかりの街中で。」
「ああ、あそこなぁ! 目だってたのか?」
「いや、うしろ姿だけで、シーン変わりのセットの撮りでは衣装だけで別の役者さんだった」
「郵便配達ってのはなによ? いつあった? そんなの。」
「戦死した電報を持ってくるヤツ。渋谷で。台詞があるからって…」
「ああ、トオルちゃんと絡むヤツなぁ。
そうか。助監督も知ってんだろ? あと、なにやった?」

「ゲートル巻いた兵隊が人力車と擦れ違うシーンと、見世物小屋と花魁ショウとぉ、
あと今日の相撲の観戦者? 予定では。」

「そっか、わぁった。んまぁ、これで打ち止めだな。あんまり目立たねぇようにしとけよ。」
「はい」
   
てなわけで、仕出しの使い回しも一人7役ってのは、ちょっと多すぎる。
普通はありえないけど、その時期は人手不足で撮影も急ピッチで進められてたため、仕方ない。
芸能ブローカーとしては、俺が便利だったのかも知れないけど
今になって想うと自分のツラが画面のあっちこっち出てきてバレバレなんだけど
よくもまぁ視聴者からのクレームもなく、再放送も数回あってアーカイヴされてる。衛星放送でも
時代モノのドラマであっても、それだけ内容が充実してたってことだな。
そういう…女性が世の中の片隅で強く生きた時代が見事に描かれたストーリーだった。
して、現場では…
   
「おい、南ぃ。ちょっと来い。おまえ、腹へってねぇか?」
「ええ?」
「いや、祭りのセットの中で鴨●田の野郎が今川焼き屋やってんだけど
スタッフが用意したキエモノが幾つか余ってんだ。
よかったら行って喰って来い!」

「まだ使うんじゃねぇの?」
「いや、もうこのあとは芝居のヨリばっかりで、あとは声とるだけだろ。
かまうこたねぇ、どうせ捨てちまうんだから、先着順だ」

「…。」
「大丈夫だから。なんかあったらオレの名前だせ」
   
ということで、行ってみると既に大判焼きは他の者に食い尽くされていた。
ただ、そこに二つだけ、例の“出逢いのシーン”の中で
ヒロインの唇で齧ったとされる物と、
地面に落とす用のスタッフが齧った物の二つが
店先の鉄板の隅へ、まだ大切に並べられていた。
   
「…あのね、どちらか一方はマニアには たまらないヤツ。
右・左、どぉーっちだ?」 鴨●田さん大判焼き屋
「こっちぃっ!」 市川さん祭り客 
ブー。残念! はい、次の方!」 鴨●田さん 
しかしすかさず、市川さんは当り!の方に喰らいついた! 
「おあっ!」 出遅れた俺 
「なに? 南くんも食べる?」 市川さん 
「…」 当時、都内三田3丁目在住、南 大空。33歳。 
「じゃぁ半分だけ。」 千葉の市川さん
 
   
てなわけで、俺が喰ったのは残飯じゃない! 
正真正銘、ちゃんと歯型もついてたぞ! 
ちっちゃく、カワイク齧った形跡の…。 (だからどうしたっ!
   
この佐渡という地では、
九代目、幸四郎さんの娘関節キッスを交わしたのは俺だけだ。
  
お父さん、ゴメンナサイ。
   
うちの奥さん、内緒です。今もって。
ゴメンナサイ! 
血液型はA型の双子座だぞ! 
特技はピアノだぞ! 
あの、奥沢涼子だぞ! 
雨宮舞子だぞ! 
   
一龍!  おまえがまだ産まれる前のことだ。
お父さんは馬鹿です。
…いや、いちばん好きなのは忍ちゃん なんだけどね。実は。
   
   
ああ、スッキリした。 (その一) 
   
   
   
   
   
   
   
ちゅうことで、前回のページで予告 した矢先に偶然、
芸能ブローカーから電話があったので
俺の記憶の一部をプレイバックしてみた。
んで、このつづきは、まだいろいろとあるんだけど
あまりネタをばらすとヤバイ…かも知れないので、 一応、国営局だし。)
読者のみなさん、いつか、どこかで… 
お逢いした際に…。
おたの隅に。
   
   
   
    
    2006sep2nd_fin
   
    そっちへ行って、佐渡へ着いた日に また電話すっから、頼むな。