こどもの病気・トラブル対処法 -6ページ目

デング熱・デング出血熱 国内で感染者が急増

海外からの帰国者にデング熱の発症者が増えています

10年ほど前までは年間10人程度だった感染者が、近年では年間100人にまで増加しています。
今年もすでに60人を超える感染者が出ており、例年にない早いペースであるといえます。

アジアや中南米、アフリカなどの熱帯・亜熱帯地域での感染が多く、今年は特にバリ島などのインドネシアからの帰国者に感染が多いようです。
死亡するケースもある病気なので、子供の夏休みにあわせて海外旅行に行く計画をしている方などは、特に注意してください。


【デング熱】

デング熱とは

デングウイルスを保有したヤブ蚊によって感染するウイルス性の疾患です。
東南アジア、南アジア、中南米諸国で多く、感染地域は中国南部、南太平洋諸島、アフリカにも拡大しています。


症状

感染(蚊に刺されて)から発症までの潜伏期間は4~7日です。

急に38~40度の高い熱が出て、頭痛や全身がだるくなったり、筋肉痛のような症状が見られます。
発熱は4~8日間継続し、熱の下がる頃に痒みのあるハシカのような発疹が胸や手足に広がります。

食欲不振や全身の倦怠感は1~2週間続き、鼻出血、歯肉からの出血、生理出血の過多などの症状があらわれることもあります。

また、感染しても症状が出ないで自然治癒する例もあります。

麻疹、風疹、腸チフス、マラリア、インフルエンザ、髄膜炎、A型肝炎などの症状と似ているため、デング熱と診断されるには血液検査が必要です。
血中のデングウイルスIgM抗体は、発症してから4~5日で陽性になります。


治療

現在、デング熱に対する特効薬はありません。
治療は症状に応じた対症療法が基本で、脱水症状の予防に水分補給や点滴などを行うこともあります。

解熱剤には、パラセタモール(アセトアミノフェン)を用いるのが一般的で、アスピリンは出血傾向を増強する恐れがあるので絶対に使ってはいけません。
また、抗生剤は効果ないので使用しません。


【デング出血熱】

デング出血熱とは

デング熱と同じデングウイルスに感染しながら、デング熱とは違った重い症状が現れ、死亡するケースもあります
成人より小児(3~7歳)に多く発症する傾向があるので、子供を連れての海外旅行は特に注意が必要です。

2度目以降のデングウイルス感染時に発症しやすいと言われていますが、どのようなメカニズムでデング出血熱が発症するかはまだ分かっていません。


症状

発熱の2~7日後(熱の下がりかけ)に不安・興奮状態となり、発汗し、手足が冷たくなります。
高い頻度で胸水や腹水が見られ、肝臓の腫大などが伴います。

血小板数の著しい減少と血液凝固時間の延長により、皮下出血、鼻血、吐血、下血、血尿など、全身から出血します。
重症例では血圧が低下しショック症状に陥ることもあり(デングショック症候群)、通常のデング熱とは全く異なった経過をたどります。


治療

脱水状態にならないように点滴をします。
血小板の減少度合いによっては血小板を輸血することもあります。

適切な処置がなければ死亡率は15%にも上りますが、集中治療により、死亡率は1%以下に押さえることができます。


【デング熱・デング出血熱の予防】

現在、デングウイルスの予防ワクチンは実用化されていません。
また、予防薬もないため、危険地域に渡航するからと言って予防接種をうけることもできません。

渡航の際は蚊に刺されないように注意することが一番の予防法です。
外出時には虫よけスプレーなどを用いたり、ホテルの部屋では蚊取り線香などを使用するとよいでしょう。


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【日本国内での感染】

デングウイルスはヒトからヒトへ直接感染することはありませんが、蚊を媒体にして国内でも広がる恐れがあります。
過去にも長崎や神戸などで大流行した例もあり、感染者が多い地域では注意が必要です。

デング熱を媒介するネッタイシマカは熱帯の都市環境に良く適応していて、国内でも人間の生活圏で繁殖しています。
普段から蚊に刺されないように気を付けておきましょう。


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子供・赤ちゃんの嘔吐(3) 症状と原因(嘔吐を伴う病気)

【症状から見る 嘔吐を伴う病気】

乳幼児に多い嘔吐を伴う病気

吐いた
症状疑われる病気
熱がある
不機嫌、意識がおかしい、ぐったりしている髄膜炎
せき・鼻水・下痢などを伴っている風邪症候群
下痢や血便が出るウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)、細菌性腸炎(食中毒)
熱はない
授乳後、おっぱいやミルクを噴水状に激しく吐く肥厚性幽門狭窄症
白っぽい水の様な下痢便が頻繁に出るウイルス性胃腸炎(乳児下痢症)
特定の食品を食べると下痢をする食物アレルギー
断続的に激しく泣き、おなかが痛そう。イチゴジャム状の血便が出る腸重積症
突然元気がなくなり、顔色が悪くなって激しく吐く自家中毒(アセトン血性嘔吐症)



【嘔吐を伴う病気 主な症状とかかりやすい時期】

髄膜炎

<主な症状>
発熱、嘔吐、頭痛、機嫌が悪い、けいれん

<かかりやすい時期>
新生児期~、通年


風邪症候群

<主な症状>
発熱、せき、鼻水、くしゃみ、のどの痛み

<かかりやすい時期>
3カ月~、通年


ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)

<主な症状>
嘔吐、下痢、発熱

<かかりやすい時期>
6カ月~、冬~春


細菌性腸炎(食中毒)

<主な症状>
下痢、嘔吐、血便、発熱

<かかりやすい時期>
新生児期~、通年


肥厚性幽門狭窄症

<主な症状>
嘔吐

<かかりやすい時期>
新生児期~、通年


食物アレルギー

<主な症状>
じんましん、嘔吐、下痢、血便、湿疹の悪化

<かかりやすい時期>
3カ月~、通年


腸重積症

<主な症状>
嘔吐、腹痛、顔色が悪い、血便

<かかりやすい時期>
6カ月~、通年


自家中毒(アセトン血性嘔吐症)

<主な症状>
突然元気がなくなる、嘔吐、顔面蒼白、倦怠感
吐いた物からリンゴがすえたようなにおいがする(アセトン体)

<かかりやすい時期>
2~10歳、通年


※嘔吐を伴う病気のすべてではありません。
上記の病気は一例です。
自己判断はせずに、症状が続くときや様子のおかしいときはすぐに受診して下さい。



【子供・赤ちゃんの嘔吐】

1 受診のめやす
2 対処法 ホームケア
3 症状と原因(嘔吐をともなう病気)


嘔吐があるときに役にたつアイテム
    
  


 

子供・赤ちゃんの嘔吐(2) 対処法とホームケア

嘔吐時の対処法

汚れた衣服・寝具は手早く取り換える

吐いた物のにおいは吐き気をうながします。

吐き気が治まったら、まず着替えさせ、うがいをさせたり、顔や口の周りなどの汚れたところを拭いて清潔にしましょう。
汚れた寝具は手早く取り換えます。
汚れそうなところにあらかじめバスタオルや新聞紙などをひいておくと良いでしょう。

ただし、吐いた直後に動かすと再び吐きやすいので、着替えは吐き気が治まるまで待ちましょう。


楽な姿勢で、寝ているときは横向きに

衣服をゆるめ、本人が楽な姿勢を取れるようにしてあげます。

寝ているときは、吐いた物が気管に詰まらないように顔を横向きにしてあげましょう。
小さな子供や、寝ている間に吐いた場合、口の中に吐いた物が残っていることもあります。
誤嚥の危険があるので指でそっと取り除いてください。

いつ吐いても良いように新聞紙や洗面器を枕元に用意しておき、いつ吐いてもいいようにできるだけそばに付き添ってあげましょう。
起き上がるのがつらいときは、ほおの横に洗面器を差し込んで吐かせるようにします。


ホームケアのポイント・注意点

水分補給はこまめに

嘔吐が続くと脱水症状が心配されます。
吐き気が治まってから、常温か人肌に温めた経口補水液やイオン飲料を与えましょう。

最初は一口から、飲んでも吐かないことを確認してから、ゆっくり少しずつ飲ませます。
十分な水分が摂れていない時は、脱水症状をふせぐために、眠っていても時々起こして水分補給をしましょう。

また、吐き気止めの座薬を使ったあとは、1~2時間ほど間隔をあけてから水分を補給します。

ストックしておくと便利、嘔吐後の水分補給
    


二次感染を防ぐ

嘔吐物にはウイルスや細菌が含まれていて、二次感染の危険もあります。
処理する際には窓を開けて換気しましょう。

汚れた床などはできれば薄めた塩素系消毒液(家庭用漂白剤)で拭き、処理後は石鹸で十分に手洗いをしてください。
子どもが消毒液に触れないように気を付けましょう。

汚れた洗濯物は、塩素系漂白剤につけてから洗濯機へ入れます。

食事や調理の前もせっけんでしっかり手洗いをして、タオルなどの共用は避けましょう。


床や寝具に 口に入っても安全な消毒・消臭剤
 


嘔吐時の食事

水分がとれ、脱水症状が改善したら、できるだけ早くから消化のよいものを選んで食事を開始しましょう。

胃の中がからっぽのまま吐くと、胃が荒れてしまうのであまりよくありません。
栄養補給の面からも、無理のない範囲で食事をとるようにしましょう。


吐き気があるときに食べやすいもの

おかゆやにゅうめん、野菜スープやみそ汁などは食べやすいでしょう。
うどんは固くて太いため、そのまま吐いてしまうこともあります。

リンゴをすりおろしたものや柔らかくつぶしたバナナもおすすめです。

ニンジンや大根も回復期に適しています。
よく火を通してから与えましょう。

離乳食の場合は1段階前に戻します。


避けた方がよい食べ物

柑橘類や糖分の多いジュース、レモンなど酸味の強いものは避けましょう。

揚げ物や脂肪の多いもの、海藻やきのこなども消化によくありません。
牛乳や乳製品も避けた方がいいでしょう。


【子供・赤ちゃんの嘔吐】

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2 対処法 ホームケア
3 症状と原因(嘔吐をともなう病気)