こどもの病気・トラブル対処法 -7ページ目

子供・赤ちゃんの嘔吐(1) 受診の目安

赤ちゃんや子供は胃の形や仕組みが大人とは違い、ちょっとしたことで吐きやすいものです。
しかし、嘔吐は重大な病気のサインであることもあり、注意が必要です。


【子供が吐いたら】

子供の状況を振り返る

こどもは激しくせき込んだり、大泣きしたり、食べ過ぎたり、緊張やストレスなど、ちょっとした刺激でもすぐに吐いてしまいます。
けれど、嘔吐は髄膜炎や腸重積、腸閉塞(イレウス)などの重い病気や、頭を強く打った後に起こる脳損傷や、脱水症状の前触れであることもあります。

落ち着いて子供の状況を観察し、頭痛や腹痛がひどい頭を強く打った後に吐いた元気がなくてぐったりしている、などの場合には急いで受診して状況を伝えてください。

また、腹痛などの体調不良が続いた後に嘔吐やイチゴジャムのような血便があったり、10~30分くらいの間隔で激しく泣くことが続いたときは、腸重積かもしれません。
1歳前後に多く見られる病気で、発病後24時間以内であれば手術をしないで治るケースが多いので、夜間でも病院に行きましょう。


嘔吐の内容物、意識状態などをチェック

吐いても数時間で自然に治まり元気ならそのまま様子をみましょう。
吐いた時は脱水症状を起こしやすいので、吐き気が治まってから少しずつ水分を摂ります。

意識状態を確認し、ウトウトしていて呼んでも反応がにぶいおしっこや汗が出てない口の中が乾いているといったときは夜間でも病院へ急いでください。

吐いた物が濃い黄色や緑色(胆汁)だった場合、腸閉塞の疑いがあります。
おなかがパンパンに張っていたり、押さえたら痛がるような場合は緊急事態と考え、すぐに病院に行くきましょう。

吐いた物の中に血が混じっていたりしたときも早急に受診します。


新生児・乳児の場合

赤ちゃんが授乳後におっぱいやミルクを口の端からダラダラと流すことは溢乳といい、嘔吐とは違うものです。
また、授乳後にゲップとともにゲボっと吐くことも、健康な赤ちゃんでもよくあることなので、この場合体重が順調に増えて元気なら心配ありません。

授乳後しばらくしてから噴水のようにピューっと吐くことが続いたり、吐いた物の中にコーヒーカスのようなものを含んでいたら、肥厚性幽門狭窄症のおそれがあります。
至急受診しましょう。


ストックしておくと便利、嘔吐後の水分補給
    


【受診のめやす】

大至急病院に

・意識がもうろうとしている
・おしっこが出ない
・口の中や肌が乾燥する
・頭痛や腹痛が強い
・水分を受け付けず、ぐったりしている
・吐いた物に、血液や緑色の胆汁が混じる
・断続的に激しく泣くことが続き、いちごジャム状の血便がでる
・頭を強く打った後に吐く


診察時間内に受診

・下痢や発熱を伴うが機嫌は良く元気
・1日数回吐いたが機嫌は良く元気
・嘔吐と下痢だけが続く
・授乳後、噴水のように吐くことが1~2週間続く
・おしっこやうんちの回数や量が少なく、体重がなかなか増えない


家で様子を見る

・1回吐いただけで、元気がよく食欲もある


嘔吐があり病院に行く時は、移動中に吐くこともあります。
エチケット袋や着替えを持っていくと良いでしょう。

使いやすい、におわないエチケット袋
 携帯エチケット袋新ハイポット 2個入り


【受診の際の注意点】

医師に伝えるポイント

・吐いた回数
・最後に吐いた時間
・吐いた物の内容
・どんな状態で吐いたか、吐き方
・発熱や頭痛、腹痛など、嘔吐以外の症状の有無
・排便、血便、下痢などの有無


病院に行く時は、風邪や感染症を他の人に移さないためにも、また、違う病気に感染しないためにも、必ず親子ともにマスクをして行きましょう。

子供にぴったりサイズのマスク
 


【子供・赤ちゃんの嘔吐】

1 受診のめやす
2 対処法 ホームケア
3 症状と原因(嘔吐をともなう病気)

子供・赤ちゃんの発熱(3) 症状と原因(発熱を伴う病気)

乳幼児がかかりやすい、発熱を伴う病気です。
素人判断は危険ですので、あくまで参考程度にしてください。


【症状から見る 発熱を伴う病気】

熱が出た
症状疑われる病気
咳や鼻水が出ている
熱、咳、鼻水以外の症状は特にない風邪症候群、インフルエンザ、RSウイルス感染症
耳だれが出る、または耳を気にしている様子がある急性中耳炎
食べたり飲んだりするのが辛そう溶連菌感染症、扁桃炎
声がかすれたり、犬の遠吠えの様な咳が出るクループ症候群
息苦しそうにして、呼吸が辛そうクループ症候群、肺炎
身体に発疹が出ている風邪症候群、はしか(麻疹)
嘔吐がある
下痢を伴っているウイルス性胃腸炎(乳児下痢症)
けいれんを起こした、反応が悪い髄膜炎、脳炎・脳症
咳や鼻水、嘔吐の症状はない
身体に発疹が出ている風邪症候群、風疹、溶連菌感染症、手足口病、川崎病、水ぼうそう(水痘)
食べたり飲んだりするのがつらそうヘルパンギーナ、扁桃炎
おなかを痛がる様子がある細菌性腸炎、ウイルス性胃腸炎(乳児下痢症)
耳の付け根の下が腫れている、痛がるおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
風邪の症状はないのに発熱が数日続いている突発性発疹、尿路感染症
目が赤くなっている咽頭結膜熱(プール熱)、川崎病
関節を痛がる風邪症候群、インフルエンザ



【発熱を伴う病気 主な症状とかかりやすい時期】

風邪症候群

主な症状
発熱、せき、鼻水、くしゃみ、のどの痛み

かかりやすい年齢と時期
3カ月~、通年


インフルエンザ

主な症状
発熱、不機嫌、関節痛、倦怠感

かかりやすい年齢と時期
6カ月~、冬~春


RSウイルス感染症

主な症状
発熱、鼻水、せき

かかりやすい年齢と時期
新生児期~、冬


急性中耳炎

主な症状
発熱、鼻水、耳だれ

かかりやすい年齢と時期
6カ月~、通年


溶連菌感染症

主な症状
発熱、発疹、嘔吐、喉の腫れ

かかりやすい年齢と時期
1~10歳、秋~春


扁桃炎

主な症状
発熱、頭痛、嘔吐

かかりやすい年齢と時期
6カ月~、通年


クループ症候群

主な症状
せき、発熱
「ケーンケーン」という特有の咳が出たら夜間でも受診を

かかりやすい年齢と時期
3カ月~3歳、冬


肺炎

主な症状
発熱、せき

かかりやすい年齢と時期
新生児期~、通年


はしか(麻疹)

主な症状
発熱、発疹、鼻水、せき

かかりやすい年齢と時期
6カ月~、通年


ウイルス性胃腸炎(乳児下痢症)

主な症状
嘔吐、下痢、発熱

かかりやすい年齢と時期
6カ月~、冬~春


髄膜炎

主な症状
発熱、嘔吐、頭痛、機嫌が悪い、けいれん

かかりやすい年齢と時期
新生児期~、通年


風疹

主な症状
発疹、発熱、リンパ節の腫れ

かかりやすい年齢と時期
6カ月~、通年


手足口病

主な症状
発疹

かかりやすい年齢と時期
6カ月~、初夏~初冬


川崎病

主な症状
5日以上続く発熱、不機嫌、発疹

かかりやすい年齢と時期
6カ月~4歳、通年


水ぼうそう(水痘)

主な症状
発疹、発熱、かゆみ

かかりやすい年齢と時期
6カ月~、冬~春


ヘルパンギーナ

主な症状
発熱、のどに水疱

かかりやすい年齢と時期
6カ月~、夏~秋


細菌性腸炎

主な症状
下痢、嘔吐、血便、発熱

かかりやすい年齢と時期
新生児期~、通年


おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

主な症状
発熱、頬の腫れ

かかりやすい年齢と時期
6カ月~、春~夏


突発性発疹

主な症状
発熱、発疹

かかりやすい年齢と時期
6カ月~1歳、通年


尿路感染症

主な症状
においのきついおしっこ、膿尿、血尿、発熱

かかりやすい年齢と時期
1カ月~3歳、通年


咽頭結膜熱(プール熱)

主な症状
発熱、下痢、喉の腫れ、目の充血

かかりやすい年齢と時期
1歳~、夏


※発熱の原因のすべてではありません。
上記の病気は一例です。
自己判断はせずに、症状が続くときや様子のおかしいときはすぐに受診して下さい。



【子供・赤ちゃんの発熱】

1 受診のめやす
2 対処法、ホームケア
3 症状と原因(発熱を伴う病気)


発熱時に役立つアイテム
  
    

子供・赤ちゃんの発熱(2) 対処法・ホームケア

【発熱の一般的な経過と対処法】

熱の出始め

症状
寒がる・ふるえ・熱があるのに手足が冷たい・顔色が悪い

対処法
身体をあたためます。
ただし、温めすぎに気を付けてください。

子供が寒がらない程度に(暑すぎるのもよくない)。
喋れない乳幼児であれば、汗をかかない程度にしてください。


ピーク期

症状
手足まで熱くなる・顔が赤い・汗が出る・よく眠る・高温がしばらく続く

対処法
熱を発散しているので、かけ布団を減らしたり、薄着にします。

高熱で辛そうな時は、本人が嫌がらなければ身体を冷やしてあげましょう。
ただし、頭を冷やしても解熱効果はありません

冷やす場合は、わき、首、脇腹、足の付け根などの太い血管のあるところを冷やします。
赤ちゃんや乳幼児の場合は冷えすぎることもあるので、氷枕は厚手のタオルでくるんだり、濡れタオルを使用しましょう。

本人が嫌がるようであれば無理に冷やす必要はありません
濡れタオルでこまめに汗を拭くなどすると良いでしょう。


解熱期

症状
徐々に熱が下がっていきます。

対処法
熱が下がったと言っても、完全に治ったわけではありません。
特に子供は夕方元気にしていても、夜になるとぶり返すことも多いものです。

熱が下がって元気そうに見えても無理はさせず、様子を見るようにしましょう。


回復期

症状
平熱に戻っていく。

対処法
熱が下がって丸一日様子を見、夕方・夜にも熱が上がらなければほぼ安心と言えるでしょう。

発熱中にあまり食事を取れなかった場合は、急にどかんと食べると胃や腸に負担がかかり、具合が悪くなることもあります。
消化の良いものから徐々に身体をならしていきましょう。

また、このときは部屋でずっと横になっているのは子供にとって難しいでしょう。
窓の外の景色を見せてあげたりして気分転換を図るのもよいでしょう。

起きていてもかまいませんが、室内で静かに過ごせるようにします。


ピンポイントで密着。身体を冷やす時に役立ちます
   


【ホームケアのポイント・注意点】

水分補給はこまめに

発熱により普段よりも早く身体から水分が失われていきます。
脱水症状をふせぐために、こまめに水分補給をしましょう。

食欲があるときは麦茶などでもかまいませんが、食欲がないときや下痢や嘔吐を伴う時はイオン飲料や経口補水液の方がよいでしょう。

また、汗をかいていなくても熱がある間は水分補給を心掛けましょう。


食事は消化の良いものを食べられる範囲で

小さな子供の場合、食事は無理に食べさせなくても良いでしょう。
ただしおっぱいやミルク、水分は欠かさず、欲しがるだけ与えてください。
離乳中であれば、1段階前に戻しましょう。

離乳食を卒業しているこどもであれば、消化に良いものを少量でも良いので食べさせるようにしましょう。

おかゆやうどんなどの消化の良いものが食べやすいでしょう。
また、ヨーグルトやゼリー、プリンなども喉越しがよいのでおすすめです。

発熱の影響で胃腸が弱っているので、脂肪分の高い食事は控えましょう。


お風呂の目安

熱があっても元気なら、さっと湯船に入れたりシャワーを浴びるのは構いません。
軽く汗を流す程度にしましょう。

38度以上の熱があるときや、熱の有無にかかわらず元気のないとき、寒がっている(手足が冷たい)場合は入浴は控えましょう。
また、咳や嘔吐がひどいときもやめておいた方がいいでしょう。
熱すぎない蒸しタオルなどで身体を拭いてあげる程度にしておきましょう。

身体を拭くときは一気に服を脱がせないで上半身、下半身、と分けて手早く拭きます。
汗をかいた衣類は着替えさせましょう。


その他のポイント・注意点

温度・湿度にも気を配る

空気が乾燥すると、鼻やのどの粘膜にくっついたウイルスが身体に入りやすい状態になります。
室温は冬は22度前後、夏は25~28度、湿度は50~60%が目安です。

乾燥の気になる季節には洗濯物を室内に干したり、加湿器などを使いましょう。


汗をかいたらこまめに着替えを

小さな子供であれば眠っていても着替えさせてもよいでしょう。
綿100%などの吸湿性のよい肌着がおすすめです。

敷布団の上にバスタオルなどを敷いて、こちらも湿ったら取り換えるようにします。


小さい子供に冷却シートは要注意

小さな子供の場合、冷却シートを額に貼るとずれて鼻や口をふさいでしまうことがあります。
額に貼るときは必ず大人がそばについているようにしましょう。

また、額に貼っても身体全体の面積から考えれば冷却効果は微々たるものです。
無理に使用する必要はありません。


発熱時の水分補給に
    


【子供・赤ちゃんの発熱】

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2 対処法、ホームケア
3 症状と原因(発熱を伴う病気)