デング熱・デング出血熱 国内で感染者が急増 | こどもの病気・トラブル対処法

デング熱・デング出血熱 国内で感染者が急増

海外からの帰国者にデング熱の発症者が増えています

10年ほど前までは年間10人程度だった感染者が、近年では年間100人にまで増加しています。
今年もすでに60人を超える感染者が出ており、例年にない早いペースであるといえます。

アジアや中南米、アフリカなどの熱帯・亜熱帯地域での感染が多く、今年は特にバリ島などのインドネシアからの帰国者に感染が多いようです。
死亡するケースもある病気なので、子供の夏休みにあわせて海外旅行に行く計画をしている方などは、特に注意してください。


【デング熱】

デング熱とは

デングウイルスを保有したヤブ蚊によって感染するウイルス性の疾患です。
東南アジア、南アジア、中南米諸国で多く、感染地域は中国南部、南太平洋諸島、アフリカにも拡大しています。


症状

感染(蚊に刺されて)から発症までの潜伏期間は4~7日です。

急に38~40度の高い熱が出て、頭痛や全身がだるくなったり、筋肉痛のような症状が見られます。
発熱は4~8日間継続し、熱の下がる頃に痒みのあるハシカのような発疹が胸や手足に広がります。

食欲不振や全身の倦怠感は1~2週間続き、鼻出血、歯肉からの出血、生理出血の過多などの症状があらわれることもあります。

また、感染しても症状が出ないで自然治癒する例もあります。

麻疹、風疹、腸チフス、マラリア、インフルエンザ、髄膜炎、A型肝炎などの症状と似ているため、デング熱と診断されるには血液検査が必要です。
血中のデングウイルスIgM抗体は、発症してから4~5日で陽性になります。


治療

現在、デング熱に対する特効薬はありません。
治療は症状に応じた対症療法が基本で、脱水症状の予防に水分補給や点滴などを行うこともあります。

解熱剤には、パラセタモール(アセトアミノフェン)を用いるのが一般的で、アスピリンは出血傾向を増強する恐れがあるので絶対に使ってはいけません。
また、抗生剤は効果ないので使用しません。


【デング出血熱】

デング出血熱とは

デング熱と同じデングウイルスに感染しながら、デング熱とは違った重い症状が現れ、死亡するケースもあります
成人より小児(3~7歳)に多く発症する傾向があるので、子供を連れての海外旅行は特に注意が必要です。

2度目以降のデングウイルス感染時に発症しやすいと言われていますが、どのようなメカニズムでデング出血熱が発症するかはまだ分かっていません。


症状

発熱の2~7日後(熱の下がりかけ)に不安・興奮状態となり、発汗し、手足が冷たくなります。
高い頻度で胸水や腹水が見られ、肝臓の腫大などが伴います。

血小板数の著しい減少と血液凝固時間の延長により、皮下出血、鼻血、吐血、下血、血尿など、全身から出血します。
重症例では血圧が低下しショック症状に陥ることもあり(デングショック症候群)、通常のデング熱とは全く異なった経過をたどります。


治療

脱水状態にならないように点滴をします。
血小板の減少度合いによっては血小板を輸血することもあります。

適切な処置がなければ死亡率は15%にも上りますが、集中治療により、死亡率は1%以下に押さえることができます。


【デング熱・デング出血熱の予防】

現在、デングウイルスの予防ワクチンは実用化されていません。
また、予防薬もないため、危険地域に渡航するからと言って予防接種をうけることもできません。

渡航の際は蚊に刺されないように注意することが一番の予防法です。
外出時には虫よけスプレーなどを用いたり、ホテルの部屋では蚊取り線香などを使用するとよいでしょう。


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【日本国内での感染】

デングウイルスはヒトからヒトへ直接感染することはありませんが、蚊を媒体にして国内でも広がる恐れがあります。
過去にも長崎や神戸などで大流行した例もあり、感染者が多い地域では注意が必要です。

デング熱を媒介するネッタイシマカは熱帯の都市環境に良く適応していて、国内でも人間の生活圏で繁殖しています。
普段から蚊に刺されないように気を付けておきましょう。


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