怪しい少年少女博物館2階右手奥の妖怪のコーナーに展示をしている妖怪舎製 水木しげる監修 妖怪フィギュアコレクションの「すねこすり」のフィギュア。高さは約4cmで、正面から見た所
正面向かって右側のやや上方から見た所。足にまとわりついてくる犬のような妖怪と言われる事もあります。水木しげる氏は体色に白と黒のツートンカラーを採っています
顔がやや下向きなので、正面下側から撮った物。金色に光る瞳で魔物を表現しています
正面向かって左側の真横から見た所。黒い柄が背中からお腹の方まで続いているのが分かります。犬や猫で考えると、ちょっと変わった柄です。ピンボケしていてすみません
後ろ側から見た所。尻尾がついています。尻尾は、ちょっと猫っぽいような・・・
「すねこすり」のフィギュアを展示している辺りの様子。「すねこすり」のフィギュアは右手の端の方に展示しています
「わたしの妖怪体験記」 河本真紀著 データハウス刊に載せられている「すねこすり」のイラスト。こちらは、ちょっとモーラーっぽい?
以下の三枚は水木しげる氏が描いた「すねこすり」で、昭和40年代の少年マガジン誌よりお借りした物です。動物のようではなく、人魂のような形で描かれています。「 正体を見せず、わたのようなものを人の足にからませ、通る人を苦しめるおばけ。岡山県によく出る。雨のふるばんなどにとくによく現れ、おそれられている。 」と言う解説が添えられています
「 日本のびっくり妖怪地図 」と言うイラストの中では岡山県の所に描かれており、結構メジャーな扱いとなっています。ここでもやはり人魂っぽい形状で描かれています。先端の突起は口なのでしょうか?
こちらは、「 人間の知らない地下の楽園。妖怪王国 」と言う絵の中に描かれた「すねこすり」。人魂ではなく、何だかモグラっぽく描かれています。「 名音楽家で、いつもギターで不気味な音楽を奏でている 」ですって? いいですね~ 私好みではないですか! 是非演奏を聴いてみたいです!
上下の絵は同じ水木しげる氏が、昭和50年代に描いた「すねこすり」で、弊館に展示しているフィギュアもこのタイプを基に造形化されています
猫のような犬のようなウサギのような外見で、下から窺うような視線をしているのが特徴です
「すねこすり」ってどんな妖怪?
岡山県小田郡等に出るとされる妖怪です。雨がショボショボ降っている夜等に道を急いでいると、子犬のような動物が、足にまとわりついてくるような感触がして、足がもつれて歩きづらくなります。立ち止まって辺りを見回してみても、何も目には見えません。これは、「すねこすり」の仕業とされました。
「すねこすり」は、子犬に似た妖怪で、歩く人の足の間を、身体をこすりつけながら通ると考えられていたようです。すねをこすりながら通るので、歩きにくいと言う訳なのですが、歩きにくくするだけで、その他には特に悪さはしないと言います
「わたしの妖怪体験記 」の著者が遭った「すねこすり」
「わたしの妖怪体験記」の著者の河本真紀さんは、高校時代に「すねこすり」に、いたずらをされたと、その著作で語っています
河本さんが、自転車に乗って、焦りながら帰っていた時の事です。途中で、電灯一つない真っ暗な道を通らなければならず、焦りはつのるばかりだったそうです。変質者が現れる方が怖かったので、なるべく急ごうとするのですが、真っ暗な為、なかなか思うように進めません。その時に足にフワリとした不思議な感触が走ったと言います。それはまるで、真綿で足を撫ぜられるようなものだったそうです
続いて、いきなりガシャーン! と自転車が止まったと言います。びっくりして飛び下りると、チェーンが外れていて、「 やられた! 」と思ったそうです。完全に「すねこすり」で、目には見えませんでしたが、足には、あの柔らかい感触が残っていたと語っています
水木しげる氏による「すねこすり」の話
水木しげる氏は著作で、次のような話を紹介しています
ある男が急な用事が出来たので夜道を急いでいると、あいにく雨が降り出した。雨宿りをしていると約束の時間に遅れるので、やむを得ず雨の中を走り出したのですが、犬のようなものがまとわりつき、足がもつれて転びそうになった
うるさい犬め、と足元を見たが、犬はいない
気のせいかと思って、また走り出した所、やはり何者かが足にからみついて走るのを妨げる。仕方なく立ち止まったが、何もいない。辺りを見回しても、逃げ去った様子もなかった
男は恐ろしさのあまり、今は何の用事で何処へ急いでいるかも忘れ、無我夢中で逃げ出したと言います
水木氏は「すねこすり」は雨の降る夜等、狭い道を慌てて走っている時に感じるもので、昔、岡山県辺りによく現れたと言われると述べています
「すねこすり」と類似の妖怪
香川県高松地方の「あしまがり」や福岡県の「赤足」も、足にまとわりついて歩行の邪魔をする妖怪です。両者共に、道を歩いていると綿のようなものが足にからみついてきて、「すねこすり」と同様に、すんなりと歩く事が出来なくなると言います
「あしまがり」については、正体は誰も見た事がないのですが、狸の仕業とも言われるそうです。ある人が、からみつかれた時に手で握りしめた所、尻尾のようなものだったと言う話が伝わっています。「あしまがり」の「まがる」は邪魔になると言う意味の方言だそうです。「赤足」は山中に出て、やはり姿は見えないそうです
群馬県利根郡柿平には「オボ」と言う妖怪がいて、これに遭うと、足にからまってどうにも歩けなくなるのですが、刀の下げ緒とか着物のこづまをとって与えると消えるそうです。イタチの化けたようなものだそうです。秋の日の五時頃、利根郡利根のある坂道を登りかけたら、まわり中の山の中から赤ん坊の泣き声がした。恐ろしくなって駆け出すと、あとを追ってよけい大声で泣く、これは「オボの泣き声」と言うそうです
島根県益田市には「ころび」と言う妖怪も伝わっており、やはり夜中に出て、通行人の足にまとわりついてくるのだそうです。峠山の峠に今もある「桑の木地蔵」は、その霊を鎮める為に建てられたのだと言います
怪しい少年少女博物館のお化け屋敷「 怪しい夜の学校 」 の入口
内部の通路。中で猫を見かけた事は、ないのですが・・・
怪しい少年少女博物館のお化け屋敷にもいた?
2016年2月22日にアップした「 お化け屋敷にお化けはいますか? 」と言うブログの中でもお話しましたが、以前、お客様から「 お化け屋敷に猫がいますよね? 」と尋ねられた事がありました。猫はいないはずで、私は中で見た事はありません。何度も言われるので、言われてすぐに見に行った事もありましたが、猫は確認出来ませんでした
しばらく続いたので、入口に「 この中に猫はいません! 」と言う立て札を出そうと思った程でした。お化け屋敷はセンサー式で、猫が入っても反応し、色々な仕掛けが動いたり、エアーが吹き出たり、大音響がするので、猫にとって快適な環境とは言えないはずです。お客様に、どんな猫がいたのか? については聞きそびれてしまいましたが・・・
当時、お化け屋敷で他にも妙な事が続いていたので、その対策の為に、スタッフが陰陽師の本を参考にして魔よけの札を作り、ダメもとで貼ってました。すると何故か、猫がいると言う話は一旦収まりました。その後、かなり間を置いて、何度か言われた事はありましたが・・・
以前のブログでも、触れましたが、お化け屋敷の中は結構暗いのです。中でお客様が何かに足にまとわりつかれ、それを「 猫じゃないか? 」と感じた可能性はないでしょうか?
「 猫がいましたよ! 」ではなく、「 猫がいますよね? 」と、いつも疑問形なのは、姿を見た訳ではなく、猫のような物が足に触れたからではなかったでしょうか?
そして、それは、もしかしたら「すねこすり」ではなかったのか・・・? と思うこともあります
「すねこすり」のイメージ写真。「わたしの妖怪体験記」 河本真紀著 データハウス刊より
「すねこすり」の正体は?
わたしは「すねこすり」については、慌てたり、焦っていたりする時に遭うと言うか、感じると言う所に注目しています。パニック状態に陥った事で、身体が思うようにコントロール出来なくなり、足がもつれて歩行や前進を妨げるのが一つの原因ではないのか?と思うのです
自分の意思や力ではいかんともしがたい状態に陥り、それが自分の精神状態に起因するものとは思わず、何か超常的な力が自分に働いている為ではないか・・・ それは妖怪の仕業なのでは? と感じてしまうからではないか・・・ と推測するのですが、皆さんはどう思われますか?
または、もっと単純に、「すねこすり」が出るかも・・・とビクビクしている所に、懐っこい犬や猫に足にまとわりつかれてパニックっただけの場合も考えられますが・・・
次回もお化けや妖怪の話が続く予定です