遅ればせながらという感じでCSで放送したのを録って見ました。なのでいわゆる「国際版」というやつです。それでも十分に長く感じましたけど。

これ以上ないというぐらいベタな貴種流離譚。時間の飛ばし方が豪快なのでテンポよく進みますね。まだ若いはずなのにヒゲ面でおっさんぽく見えるのはお国柄ですか。

個人的には序盤の滝登りの天女の歌が一番面白かったかなと。翻訳の言葉のチョイスもよくできているし、蝶が集まって人になるとか胸熱。あと、いたずらで相手の気を逸らしている間にタトゥーを描くところかな。

後半はそれほど意外性はなくて、アクションとかモブシーンとか、頑張ってる感じだけど、途中で急に先代の話に遡って、それがすごく長く感じました。「300」みたいなバトルシーンが続くのは、やや既視感。戦術や武具の時代考証とか、どのくらいやっているんだろうか、と思ったり。

 

「妖怪大戦争」を見たから「大戦争」こだわったわけではなく、日本映画専門チャンネルで、4Kニューマスターで放送していたのを見ました。

宇宙人と言えばX星人、というほど、子供のころはこのビジュアルを見てましたが、映画本編よりは雑誌など周辺情報から知った部分も多く、映画として見るのはすごく久しぶりかも。さすが「ゴジラ」第1作を撮った本多猪四郎監督、風格のある作品です。

素材の状態にばらつきがあるのか、きれいになった部分と、そうでもない部分が混在していますが、人々が逃げ惑う遠景にゴジラやラドンが映り込むシーンは美しいです。

ゴジラの人間臭いパフォーマンスには好き嫌いがあるかな、と思います。「シェー」をやらせようといったのは円谷特撮監督だったとか。でも科学的な精密さはさておき、人間ドラマは大変興味深いです。

宇宙飛行士グレンを演じるニック・アダムス、ハリウッドでは本人が望んだほど成功できず、早く亡くなっているんですね。ジェームズ・ディーンやエルヴィス・プレスリーとの交友関係もあったそうです。撮影中は本気で波川役の水野久美さんを口説いていたとか。作品中でも二人の関係はドラマの重要な要素で、ちょっと泣けるほどです。

 

キアヌが出てるから、と思って見ましたが、序盤の編集で外光のつながりがおかしかったり、あれ?と思うところがたくさんあり、そのうち主人公ルーカスの行動原理も、周囲のふるまいも不自然だなぁ、と思ったり、そもそもなんでこんな商売してるの、この人?というところまで疑わしく思えてきてしまう、悪循環。

こんな取引、怪しすぎて最初から手をつけなければいいじゃん、と思われてしまったら、それは導入が失敗したからだと思うんですよね。そして、客観的な状況はどんどんまずくなっているのにそれに対して行動を起こさずに状況を悪化させて、さらに他人も巻き込むって、けっこう最悪じゃないでしょうか。

謎が謎らしくなく、結果、どっちでもいいんじゃん、みたいに思えてきてしまって、時々引用されるようなロシアの諺みたいなものだけが味として残った感じです。

せっかく久々にモリー・リングウォルドが見られる、と思ったのに本人かどうかもよくわからないようなカットばっかりなのも残念でした。

 

神木隆之介くんの演技を堪能する映画だなぁと改めて思いましたが、すねこすりへの思い入れの変化は少し唐突で、その気持ちだけでドライブしていく物語だけに、すこし強引な感じはしました。

もう一つは河姫の人間に対する心情の部分と加藤との関係で、これはなかなかいい彩りを与えていたと思います。

アギの騙され方が少し単純で、栗山千明さんのポテンシャルからすると、少し無駄遣いだったかなとか、小豆洗いをオチに持ってこられてもなぁ、とトホホな印象もあります。全般的には、吉本興業頼みなキャスティングが、今となっては時代遅れというか、とりあえず出しとけ、みたいな感じで、近藤正臣さんや清志郎さんのさわやかさが逆に際立つなぁ、と思ったりしました。

 
前回やってきた宇宙人の正体がばれているだけに、どう話を作っていくか、に絞られるわけですが、その点では大きな敵が見えないAIということで、少し盛り上がりに欠ける部分はあったかもしれません。


ネット社会の弱点というか、ディープフェイクのニュースにあおられて世の中全部を敵に回す怖さ、というのはいろんな意味で伝わったかなと思います。

後半の見せ場は、みんなが自分が犠牲になろうとする、少ししつこい展開になりましたが、水の表現は、「シェイプ・オブ・ウォーター」をさらにスケールアップしたような感じで、ほかの特撮SFでは見ない仕上がりになっていたかなと思います。

撃墜された宇宙船が街に墜落、甚大な被害をもたらして、それをめぐる市民や軍の対応から生まれる危機を追っている、という意味では意外なほど丁寧に、リアルな描き方をしているなと思いました。

少し若者たちの愚かさが類型的だな、と感じるところもありましたが、なかなか深いテーマを感じさせるところもあって、すきですよ。

主人公ユリアのキャラクターの魅力があって、父親は「魔界探偵ゴーゴリ」の探偵グロー役だったオレグ・メンシコフ。宇宙人の体の組成がそこまで人間に似るの?というところだけ、設定で引っ掛かりましたが、実は種としてそんなに遠くない?というにおわせもありましたね。

続編もできたのですが、さてこれを上回れるでしょうか。

 

続編といえるのかどうかすら、怪しい感じの第二作。主演のニコラス・ケイジが残ったこと以外は、ほぼ別作品といえるんじゃないでしょうか。ピーター・フォンダの悪魔すらもういなかった、ぐらいのいきおいなので。

でも、エンディングまで、テンポよく見せたと思います。自分でコントロールできなかった魔物との新しい関係を獲得する、というカタルシスがあって、少年とのからみが、「ターミネーター2」的でもありました。

 

痛みを感じない特別な体質の青年が、幼馴染と一緒に、空手の師匠のために騒動を起こす、というのが一番簡単な説明でしょうかね。

幼馴染の少女スプリは魅力があるし、師匠も片足のカンフーとかなかなか見事なんですが、主人公のスーリヤの特殊な体質が、実際のところ話にどう関係してくるのかがよくわからず、父と祖父の関係が物事をややこしくしているだけのようにも見えます。

スプリとその母を通じてうっすら見えるのは男の横暴に耐えて生きることを余儀なくされる、この国の多くの女性の姿ですが、あまり大きなテーマにはつながってないです。

 

大学生たちが救助用のロボットを実験しようと教授に黙って山にはいったら、ちょうど宇宙人襲来中で、いろいろ襲われるという話です。

ロボットが時々活躍したりしなかったり、時系列を意図的にバラシて、尋問シーンで引き延ばしを図ったり、というのが全部うまくいってなくて残念。

最初にロボットを起動したあたりまではわくわくしましたが。

原題はHornetで、これがロボットの名前。設計は女の子二人がして、建造したのは男子だけど、そもそものパーツの由来が…、というところで少し引っ張りたかったんでしょうか。

ラストで少しカタルシスはありますが、謎は解けてないので、知りたければ続編で、というのでしょうか。

演技で特に目立ったところはありません。

 

まだ少しニコラス・ケイジが好青年の面影がある感じの時代の作品ですね。マーベル原作を熱意を持って実現した感じ、好感がもてると思います。

ドクロが笑うと、もう「黄金バット」だ!と感じる世代なので、途中からはそうとしか見えなくなりましたが、若い人にはそれが新鮮に見えるかも。

正体を人に隠して密かに活躍するとか、そういう微妙なあやはなくて、ひたすら悪いやつをぶったたく。細かい作戦とか、相手の裏をかいた痛快さとかはないですが、最後にはカタルシスがありました。

ビジュアルは、完全に変身してしまったあとの燃える骸骨は、時代なりのCGという感じで、ものすごいわけではありません。

キャストでは、ピーター・フォンダの存在感が光ってましたね。