1作目を見た流れで改めて見直してみました。ジェフ・ゴールドブラムが前作に引き続きマルコム役で主演。彼女役のジュリアン・ムーアが、あまり古生物学者っぽくなくて、考えなしにその場の感情だけで行動するので、今回の事件は相当程度彼女が引き起こしたと言ってもいいのでは。もちろんハモンドジュニアの責任は大きいですが。

前作で登場した子役たちは相当大きくなってしまったので冒頭に登場しただけで、今回はマルコムの娘が密航してくる流れ。ただ、マルコムと娘の間の感情的な化学変化というのはあまり明確でなく、ドラマとしての流れにはあまり貢献していません。

ピーター・ストーメアがなかなか情けない死に方をしたり、住宅街でのT-Rexのふるまいとかがちゃんと演技しているとか、楽しみ方はいくつかあるのですが、ちょっと大雑把になった感は否めないですね。

スコットランドのフラナン諸島で起きた灯台守失踪事件の真相?に迫るサイコスリラー。もちろん仮説に基づいた大胆な脚色なので実際に起きたことは違うんでしょう。

いってみれば、実話の設定を借りた「シンプル・プラン」ということでしょうかね。閉鎖的な空間での男たちの心理的な追い込まれ方とか、さもありなんと思わせるところがあって、人物の背景のディテールとかもどれぐらい史実に基づいているかは知りませんが、そこそこ説得力がありました。

しかしながら、個々の人物の振る舞いについてのリアリティーはもう一つ。完全に説得された、というところまではいきませんでした、個人的には。

 

原題は、最初Keepersというタイトルで、これには灯台守、という意味の他に、「見つけたものをせしめるやつ」、という意味も持たせたんだろうと思います。

 

キャストも人間関係も魅力的なのだけど、ストーリーの進行とミュージカル仕立ての筋とのマッチングはあんまりよくないというか、ストーリーの説得力がないというか。「ゾーイの超イケてるプレイリスト」みたいな成功例を一度見てしまうと、物足りない感じです。ミュージカルであることと、ゾンビ映画としての属性があることは全く別で、組み合わさったから新たな魅力になったかというと、そうでもないと思います。

ゾンビの中にも人間性の残滓があるのだ、というのが一つのメッセージなら、ためらいなく殴り殺すのはなんなのだろう、とか。

 

特撮映画として見ると、技術的にはあんまり感心しない出来なのですが、ポン・ジュノ監督作品としての意味としては、やはり社会の底辺の方に暮らす人々への共感の視線が感じられるなと思いました。

ラストが悲しい終わり方なのだけど、そこにもある種の逞しさを感じるというか、再生への願いのようなものがあって、救いになっています。

 

謎解き要素はそんなにないですが、心理描写や伏線は細やかで、最後もちゃんとオチのついた、立派なホラーだと思いました。

屋敷が主人公という意味では「シャイニング」、死者の思いや残ったものの心理という意味では「アウェイクニング」を連想させますかね。

屋敷の奇天烈さ、というのは序盤でだいたいネタが尽きるので、あとは登場人物を巡るドラマで見せてゆきます。

見たことある!と思った顔があると思ったら「ツイン・ピークス」で無軌道な反社会ぶりのリチャード・ホーンを演じたイーモン・ファレンでした。他に執事役でウィリアム・B・デイヴィスかな?と思った人がいたんだけど、違ったみたいです。主役のジェイソン・クラーク、時々若いころのビル・マーレイを思い出してました。

 

ブルース・ウィリスが出てきてもいわゆるアクションではないので、その意味では看板に偽りありの部類ですね。

物語の構造自体がかなり偶然に頼ってできているので、どこに進むべきか、という求心力がなく、犯人側の兄弟の物語と、医師一家の物語の二つに分かれてどっちつかずになった、という印象もあります。ブルース・ウィリスは元保安官、という設定で、昔風のヒロイズムを体現しようとして失敗した、みたいな位置づけでしょうか。

同じところを行ったり来たりしているようなところがあったり、意味なく油断していたり、行動原理がバラバラすぎて、その気になれば30分くらいで済んでしまう話だったかもしれません。

 

ザ・シネマで放送したので。見たと思っていたけど、実は見ていなかった疑惑の第二作。

前作にあまり感心しないと思ったのですが、こっちは油断っぷりは相変わらずなのですが、人物関係が少し進展したかなと思います。ティル・シュヴァイガー、ジェラルド・バトラーの使い方がうまいなと思って、脇役にすぎない彼らだけど、印象に残るなと。

謎解きや悪巧みの質、かけひきについては前作並みで、雑だなぁという印象は相変わらず。でもアクションのテンポははるかに改善されていて、やはり監督の腕次第の部分はあるんだなぁと思いました。

 

なんとなく、アンジェリーナ・ジョリーの出世作、として誉められている感じがあるけど、実際に見直してみてみると「ボーン・コレクター」であんなに輝いていた彼女が、この作品では胸を強調する演出ばかりで、本人が乗り気でないように見えて仕方がないと感じました。もっと演技できるのに、使ってよ!という感じがしないでもないです。アクションとかでそこそこ記憶に残っているシーンはあったのですが、感情的には、ダニレル・クレイグに対しても、父親のジョン・ヴォイトに対してもとても浅いレベルの物語で終わっていて、達成感は少ないですね。

プロットにしても、本人がこんなに油断しまくって、トラブルを呼び込んでいるんじゃ仕方ないか、という感じで、後片付けに追われるだらしない人にも見えてしまいます。屋敷のサブキャラたちも、もう一つ活躍ぶりが見えてこないもったいない話だったなと。

 

歴史もののファンタジーって、韓国では結構作られてるみたいですね。「王宮の夜鬼」を見たぐらいですが、これはもう少しストレートな怪物もの。政争の具として流されたただの噂なのか、それとも…。というのが前半の引っ張り。後半は怪物との闘い。

ちょっと長いんですが、前半に出揃ったキャラクターたちの関係性が強いのでだれずに楽しめます。途中で死んでしまうじいさんがちょっと気の毒。

 

ずっと前から見る機会はあったけど避けてきた一本。ジーン・ハックマンとデンゼル・ワシントンの二人だと、役柄がミエミエというか、結論含めて善悪がはっきり分かれてるのが明らかで、それをわざわざなぞって見ていくのはしんどいかも、と思ったりしていたのでした。「レッド・オクトーバー」があるのにいまさら、という思い込みもあったりして。

でも、まあ見始めたら、一気に見てしまいました。前提となるロシアの状況とかちょっと非現実的だったり、これだけの騒動を起こして軍法会議にかけられないのは不思議とか、喧嘩両成敗で済む次元の話じゃないだろう、とか。まあ、二人が役柄を味わいながら演技合戦を楽しんでると思えばいいんでしょうが。