強盗の中では無駄に殺しをしないとか、約束は守る、という美学を大事にするパーカーが、仕事の途中で殺されそうになって、後日復讐する、というお話。

ジェニファー・ロペスの絡み方が、冴えない不動産営業が途中から鼻を突っ込んでややこしくなる、というもので、もともとのパーカーの彼女クレアがいるので、三角関係にもなりもしない、というのが微妙なプロットですかね。

ジェイソン・ステイサムはいつものあれです、という感じで、極めてプロフェッショナルに仕事をこなしていくだけですが、殺し屋にホテルの部屋に忍び込まれるのはちょっと不用意な感じもします。

これを非現実的なスケールに拡大したのがジョン・ウィックのシリーズなのかな、と感じました。

 

 

デ・ニーロとアン・ハサウェイという、世代の差がある二人のスターの共演に、レネ・ルッソという魅力的な配役。

定年後の時間を妻をなくして一人になった男がどう過ごすのか、という視点と若くして急成長を遂げたベンチャー企業の女性社長が迎える転機をうまくミックスした話しに仕上げました。

正直にいってしまうと、デ・ニーロ演じるベンのキャラクターが出来すぎていてリアリティーはないのですが、反面、社長ジュールスの仕事と家庭で起きるひずみについてはなかなかの切実さがあって、アン・ハサウェイの演技としては非常に魅力的に撮れていると思いました。

脇役の若手社員たちもそれぞれ活躍の場があり、あきさせないコメディーだと思いましたが、反面、ジュールスの両親や、ベンの子どもたちとの関係を一切描かない、という割り切った決断があって成立した、少しキャラクターが単純化された話とも言えるかなと思いました。

 

前作がまあまあ楽しめた、というところで、それを上回ることができるかどうか、が鍵なのですが、ある程度平和な日々が続いて、コロンブスがウィチタにプロポーズしたところからヒビが入って…、というのが始まり。もう一つは妹のリトル・ロックが、思春期に入って一人立ちしたがるところ。

基本モチーフは人間関係や「家族」であって、そこは変わっていないのですが、新キャストのマディスンがそこそこかわいくて、そしてオバカなキャラを好演。ウィチタのジェラシーを誘い、この三角関係でなかなか楽しめます。

もう一つはエルヴィス・プレスリーモチーフのグレースランドをめぐる物語で、ここにコロンブスとタラハシーにそっくりのコンビを登場させてルール合戦をさせたり、という面白さも。

最終的には新種のゾンビT-800をどうやって撃退するか、みたいな話で、いよいよこれで終わりか、と思わせる描写もいくつかあって、どうせ、と思いながらもちょっとハラハラしながら見守ります。

そして前作で悲惨な最期をとげたビル・マーレイの新撮シーンもあったりして、全体としての大きなモチーフはありませんが、十分楽しめたかなと。

 

時間をおいて見てからやっと少し全体像が見えたというか、初回に見たときには、自分の期待していたことと一致していない部分の方が気になって内容が入ってなかったんだなぁと思いました。

一番の違和感はモーフィアスの反乱軍におけるステータスがずいぶん低かったり、元カノを巡るジェラシーがみんなの足並みを乱している、という点ですかね。

あとは、エージェント・スミスの位置づけがシステム全体の統制を外れたところにあるのなら、どうしてもっと暴れまわらずに時々ネオにちょっかいを出すだけなのか、とかはいまだにわからないのですが。

それでも、ネオの冒険を巡るプロットはやっと理解した、かな?

 

キャストのパワーが落ちた分、評価も落ちました。舞台が変わったとはいえ、物語の構造が全く変わらず、ドジな主人公がドツボにはまる話で、人を見る目もない、ピンチに落ちたときにとる行動が間違っている、人命を軽視して無駄に人を死なせた、など、疑問符がつく展開が多かったです。

アズラというクールで謎なキャラクターだけが存在感を発揮しました。

 

亡きポール・ウォーカーとジェシカ・アルバ主演の海洋アドベンチャー。確かに海中シーンはふんだんにあって、ダイビングが好きな人とかは楽しいかもしれません。

冒険・ミステリー部分については平凡な印象で、麻薬を見つけたあとのいざこざとか、ちょっとまだるっこしいです。ラストの解決にいたるアクションもそれほどトリックとしては冴えないので、その意味でも少し物足りないでしょうか。

一番疑問なのが親友のブライスの立ち位置で、なんでこんなクズ野郎が親友なんだ、というところで主人公のジャレッドの性格にも疑問符がつくところ。ジェシカ・アルバ演じるサムのキャラクターもちょっと平板で正義感が強いのはわかりましたが、それ以外は露出要員のように扱われていてちょっとかわいそうです。

 

タイトルの共通する「ロード・オブ・モンスターズ」とは、全く違う話で、共通なのはエリック・ロバーツが出演していることだけです(しかも違う役で)。

全体としては、宇宙で巨大化したチンパンジーと、宇宙物質を取り込んだトカゲが巨大化して、アメリカで暴れ回る。その原因は?ということで、少しはお話にひねりもあります。

アメリカとロシアの科学者同士の友情と対立などの関係性も魅力があったのですが、脚本的にはややざっくりとしていて、感情に流される女性主人公、という類型的な話になってしまったきらいはあります。

あとは、肝心のビジュアルが、本来なら面白くなるはずだったレベルに到達していないというか、編集で無理やりに作っている感じがちょっとつらかったです。

 

フィリップ・シーモア・ホフマンの魅力がすべてここにある、と言いたくなる傑作です。エンドクレジットには彼への追悼の言葉が。

端的に言ってしまうと、HOMELANDが8シーズンかけてやったことを、きゅっと1本の映画に圧縮した、という感じでしょうか。魅力的なキャストの魅力的な演技で、最後まで何か間違った歯車が回りはしないかとハラハラしながら見てしまいます。

 

見たかな、と思っていたけど、実は見ていなかったようです。

犯罪を企む側からのサイコスリラー、という意味では刑事コロンボをはるかに先取りした、出来のいい話です。

交換殺人だと動機がばれない、ということで提案してくるブルーノ。大金持ちの御曹司だけど、父親を憎んでいる。ガイはテニスの選手だけど離婚されそうで、継ぎにつきあっているのは政治家の令嬢、なのに妻が手のひらを返したように離婚しないと言ってきた。

交換殺人の話など忘れたころに、ブルーノはガイの妻を遊園地で殺す。おれは自分の持ち分を果たしたからお前もおれの父親を殺せ、と迫ってくるわけです。

今日の常識なら最初から通報する、というアタマになるかもしれないのですが、司法も捜査を信用できない、としたらどうでしょうね。あれ、現代も意外にあてにならないかも?と大人になってからは思ったりするわけです。一度目をつけられたら警察は犯人に仕立てるための証拠集めにやっきになるわけで。後ろめたいところがガイの側にもあるから、おおっぴらにしたくない、というわけですね。

このへんの心理描写がうまくて、そしてブルーノの育ちのいいサイコパスぶりがうまく表現されているからスリラーとして見事なのだと思います。

つきあっている相手の父親役が「ナポレオン・ソロ」でウェイバリー局長を演じたレオ・G・キャロルなのもなにげにうれしいですね。

 

はぐれもの同士の奇妙な道中、という意味では面白いなと思いました。
ゾンビが思いの外走るのが速くて、すぐに追いつかれそうな感じがあって、これでは逃げきるのは難しいなと思っていたり。

ゾンビそのものはあんまり好きではないのですが、まあ楽しめたと思います。

ウッディ・ハレルソンとビル・マーレイの存在感が群を抜いてましたね。どっちも普通の映画の中ではあくの強さが邪魔になるので、このくらいの異常なシチュエーションで生きる人たちなんだなと改めて思いました。