見たかな、と思っていたけど、実は見ていなかったようです。

犯罪を企む側からのサイコスリラー、という意味では刑事コロンボをはるかに先取りした、出来のいい話です。

交換殺人だと動機がばれない、ということで提案してくるブルーノ。大金持ちの御曹司だけど、父親を憎んでいる。ガイはテニスの選手だけど離婚されそうで、継ぎにつきあっているのは政治家の令嬢、なのに妻が手のひらを返したように離婚しないと言ってきた。

交換殺人の話など忘れたころに、ブルーノはガイの妻を遊園地で殺す。おれは自分の持ち分を果たしたからお前もおれの父親を殺せ、と迫ってくるわけです。

今日の常識なら最初から通報する、というアタマになるかもしれないのですが、司法も捜査を信用できない、としたらどうでしょうね。あれ、現代も意外にあてにならないかも?と大人になってからは思ったりするわけです。一度目をつけられたら警察は犯人に仕立てるための証拠集めにやっきになるわけで。後ろめたいところがガイの側にもあるから、おおっぴらにしたくない、というわけですね。

このへんの心理描写がうまくて、そしてブルーノの育ちのいいサイコパスぶりがうまく表現されているからスリラーとして見事なのだと思います。

つきあっている相手の父親役が「ナポレオン・ソロ」でウェイバリー局長を演じたレオ・G・キャロルなのもなにげにうれしいですね。