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ずいぶん久しぶりにDVDで見直したら、いやあ、原作ありとはいえ、これはティム・バートン監督作品の中でも肩の力の抜けたいい作品だな、と改めて思いました。

ジョニー・デップも過剰さを抑えて、ナチュラルなオタクぶりと、幼少時代にトラウマを持つナイーブさを併せ持ち、クリスティーナ・リッチもこの時代らしい恥じらいをもった、初々しいキャラクターを演じています。

謎も最後までどんでん返しがあり、納得のいくトリックや謎解き。たぶんこの前までがスマッシュ・ヒットに恵まれすぎて、公開当時はちょっと地味な評価を受けていたと思いますが、これはいま見ても相当よくできているな、と思いました。

特撮では、動いていた人が首を飛ばされてゴロン、と転がるところまでの一連のカットがつながっているのが出色の出来で、人形っぽい白々しさがないのがいいです。クリストファー・ウォーケンも、序盤と最後しか出番がないですが、ほぼセリフなしなのに存在感抜群。
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世の中のものすべてメタデータで監察できるようになった近未来のお話。

ARテクノロジーの発達で、人間の視覚情報がすぺてデジタルデータ化されてネット上で確認できる、というのは面白い発想です。人間の目線の動きって、ここで映像化されているほど単純なものではないでしょうが、それでも試みとしては十分に成立していたかなと思います。

被害者の視野をハックして、殺害の瞬間はすべて殺人者の目線情報になっている。これがないと、被害者は殺されるときに殺人者を見ていることになってしまうので、確かにサスペンスとして成立しなくなってしまいます。しかも何者かが巧妙に視覚情報を「編集」して過去を改竄してしまう。

こうなると、データ情報に基づいて犯罪捜査を行っている警察はお手上げ。そうなると社会の秩序も保てない、ということで、このハッカー兼殺人者を挙げねば、と躍起になる。ハッカーをおびき出すのにおとり捜査を行う、ということで急にアナログに敏腕トレーダーになりすまして過去改竄の依頼を掲示板に書き込む刑事サル。何人か外れのハッカーを断った末に、アノン(匿名)を名乗るハッカーからコンタクトが。

彼女に依頼を行って記録を改竄してもらったあとで、また別な殺人が。やはり彼女が怪しい?ということで再度依頼をするのですが、そのときに刑事としての過去がバレて、同僚が殺され、アノンからは亡くした息子の思い出を消されたり、いやな記憶を掘り起こされたり、とてもかわいそう。

停職になり、監視下におかれ、でもいろいろとやっているうちに彼女の家を探り当てます。そこで実は自分は嵌められている、という彼女の告白。では犯人は一体誰?という展開。

ここまで見て、ああこれは、アル・パチーノのキャリア中盤の名作「シー・オブ・ラブ」と全く同じではないか、と気づきます。

最後のクライマックスもなかなかいい感じでテンポよく見せたし、少し前半の設定説明が文字情報多くてまだるっこしいことをのぞけば、結構いい感じで見せたんじゃないでしょうか。

アマンダ・サイフリッドがなかなかの脱ぎっぷりで「ここまでやるの?」と思ってしまいました。クライヴ・オーウェンは、見ていてずっと「ガレッジセール」のゴリにそっくりだなぁ、と思っていました。
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世界最大のイスラム国で爆弾テロ事件が起きて、疑われたアメリカ人と彼を捕らえた警察官の不思議なタッグ。犠牲者となった王女も実は生きていて、という謎に次ぐ謎な展開。

本当ならテンポよくいくようなプロットなのですが、ストーリーは迷走した印象。監視とか盗聴とか、当たり前に気づけよ、みたいな罠に簡単にはまってしまう主人公たち。行動にもあまりに警戒心が足りないし、直面している危険にも鈍感すぎる。

スルタンまで殺されてしまい、宰相が敵と内通している、とかどこまで風呂敷ひろげるんだろう、と思っても、結局はミッキー・ローク演じるマリクの単独の巨大な詐欺事件。なんでこんなみみっちいこそ泥にみんな加担して言うことをへいへいと聞いているのかがわかりませんでした。

王女や人質になったハシムの家族も美人だったりかわいかったりはするんですが、魅力を発揮する活躍の場がほとんどなかったですね。

主人公ジェイクの正体で少しひっぱろうとしたんでしょうが、よくよく聞いてもバックグラウンド自体はあまり大したことじゃなくて、期待して損した、みたいな。

アクション、プロット(トリック)、キャスト、のどれを魅力として押し出すか、のチョイスに失敗したんじゃないでしょうかね。インドネシアのロケーションだけが魅力ある感じでした。暑そう!というのが一番の特徴?
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予備知識なしにタイトルとジャケットだけで借りるんで話も銀行強盗の人間ドラマかな、とか始まってもあれ、ちょっと車が古いから、昔の時代の銀行強盗の話なのかな、とか思っていたんですが。

冒頭でジェームズ・フランコが古い髪形して、でもなんか予知能力みたいなものがありそうだとか、変な方向に想像してしまいました。

銀行強盗自体は、それなりに計画性があるようでないようで。しかも序盤から内輪もめ。リーア役の子が、少しクリスティーナ・リッチに似たかわいい子だな、と思っていたら、クリント・イーストウッドの娘(孫じゃなく!)だとか。

途中で人間関係も少し見えてきて、でも犯罪の計画はどんどん狂い始めて、表の様子もちょっと変で。

そもそも、地下の金庫のことが主役なんですが、金庫自体にあんまりみんな興味がわかないというのが不思議。お金ありそうかなさそうか、もう少し見当つけそうなものですが。しかもなんであんなに明かりをつけずに暗くしておくのか。ホラーだから、としか答えようのない話ですが。

途中の犠牲者がショボイのは、メンバーの座組みがショボイからなのですが、オチまでのドライブ感には欠けた印象。

女の子二人だけ逃げおおせたかな、と思わせておいてのお約束エンディングでした。
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一見ベタな銀行強盗の対決、と思わせて最後にひっくり返す作品。

「ザ・アウトロー」という西部劇みたいなタイトルはどうなんでしょう。

主人公の保安官が昔ながらのマッチョなタイプで、でも武器は現代風に洗練されている、というのが違い。主人公役ジェラクド・バトラーの見た感じから「300」をどうしても思い出してしまいます。

銀行強盗なんだけど、洗練された盗みっぷり、さてその背景にいるのは?ということでの推理は早々と有力な候補を見つけてしまって、あとはいつ、どこで決行するのか、を探り出すだけに。

それはちょっと緊張感ないんじゃないの、と思ったりしましたが、銀行潜入の過程がなかなかスリリングで、でもこれだけシステムが不調続きなら背景になにかあって当然、と疑うべきでしょ、とか。

犯人の目星がついてるなら、ずっと尾行を付けときゃいいでしょ、とか思いがちな。

後半、車を捨てて銃撃戦になるのはなぜか、とか思っていたら…。

最後の最後に犯罪は見事達成。そのからくりは最終的に見抜けなかったようです。

主犯格メリーメンのパブロ・シュレイバーは、見たような顔だと思ったんですが、他には「クライシス・オブ・アメリカ」ぐらいしか見た作品がなかったです。
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前作「ニューヨーク1997」から15年、実際には1996年になって作られた近未来SFで、想定しているのは2013年、これを書いている時点では6年前のことになっているわけです。

やることは割に似ている、というか、この時代としての特撮技術としてはどうなんだろう、と思ったりするんですが、合成の背景がいかにもイラスト、という感じのカットが多くて、DVDで見たからなのか、劇場で見てもこんなちゃちさだったのか、ブルーレイで見るチャンスがあったら確認したいなと思います。

厳密なアクションやSF、ミステリーとして考えたらいけなくて、これは一種のおとぎ話、ファンタジーとして受け止めるべき世界なんだろうな、と見ながら思いました。手がかりなしに隔離された監獄のような世界にもぐり込んで、行方不明のブリーフケースを探せ、という無理ゲー。でもそれがいとも簡単に見つかってしまう、とか、つかまってもすぐに逃げ出せてしまう、とか、まじめに考えていたらこんな粗い話、頼まれても無理なんですが、ジョン・カーペンターならできる。

ラストも、わかりやすい裏切り。絶体絶命か、と思われた瞬間に最初にネタ振りしてあった大業でどんでん返し。なかなかのプロレス展開です。

途中で殺されてしまう、タスリマの、「自由がここにある」と言った直後の死に、一種の真理を感じてしまいました。

スティーヴ・ブシェミは相変わらずいい味出してましたね。内科医役でブルース・キャンベルが出ていたのですが、あまりに風貌が違いすぎてよくわかりませんでした。
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主役のシム・ウンギョンさんをはじめ、松坂桃李さん、岡山天音さんなど、フレッシュでありながら個性的な顔ぶれ。そう、こういうときにキャスティングを断るような腰抜けの事務所からは出てこないような、骨太な演技と没入感が得られたのが、この作品の成功したところなんじゃないでしょうか。

表に出るようなファクトだけ並べても十分に恐ろしく、そしてその背景がこのぐらいであっても全然おかしくない、というリアリティー。そして後半に向けて積み上がる真相。ある部分からフィクションとしてのサスペンス要素も加わり、最後まで息が抜けません。

望月記者の実話、とするには飛躍が多く、美化されすぎと感じる向きもあるでしょうが、記者たるもの何を目指すべきか、政治に関わるものが何を目指すべきか、そして現実がなにを見失っているのか、を考えるのにはこれ以上の素材はないのかな、と思いました。

あの自民党の醜悪なパンフレットに対する安倍首相のリアクションを見るにつけ、内調があのくらいネトウヨと同化した組織であってもおかしくない、と思えてしまう現代に生きるわれわれ。果たして求めるべきは「政治の安定」なのでしょうか。安定するのは「権力」だけであって、「政治」ではないことに、われわれは気づくべきなのでしょう。
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ニンゲンの欲望を満たすために被害者としての人造人間を作り出した街がアミューズメントパークとなっている未来。記憶の消去が不十分でそこで目覚めてしまった人造人間ケリーの脱走から起きた物語。

「レプリカント」という言葉は「ブレードランナー」由来なんでしょうが、原語ではずっとArtificials(人工物)と呼んでいて、ネーミング丸ごといただいちゃうのはちょっと安直かな、と思ったりしました。

元々の人造人間たちの創造主“フランケンシュタイン博士”エヴァンは世捨て人のようになっていて、ケリーを助ける鍵になる。なんでエヴァンをこんなふうに放置していたのか、ちょっと謎かも。

虐待される立場の人造人間がほとんど女性なんですが、実際の話、これがこどもだったり、異人種だったり、LGBTだったり、というのも容易に想像できてしまい、女性だけをそういう立場として切り取ったあたり、映画のスタンスにも限界があったな、と思わせる部分でもあります。

組織vs一人造人間なら、たぶんそこで勝負あった、という感じでしょうが、そこに刑事と創造主エヴァンが加わったことで物語の色合いが面白くなった、と思います。後半登場してデータベースにハッキングしたり、会社を崩壊させるプログラムを開発するジェームズに意外に味わい深い性格があって面白かったです。

アクション自体は大雑把で、銃撃戦になっても弾は味方には決して当たらないし、都合よく通りがかりの車が敵をはねてくれたり、山場と言えるようなアクションはなかったですが、まあ、それでも。
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フランス・イギリス・アメリカの共同製作映画のようですね。

ヴィン・ディーゼルのナレーションで始まると「リディック」シリーズと似た印象を受けてしまいますが、世界はもう少し現代に近い未来。傭兵をやっていたトゥーロップの元に、不思議な依頼がやってきて、修道院から少女とそのボディーガードの修道女をアメリカまで運べという依頼が。

道中、明らかに技術力が上の敵に追跡されているのに、案外ゆるく突破できてしまったりして、前半はなんだか変なの、と思いつつ、後半怪しい教団の正体がわかってきて、別な戦いになっていきますが。

オーロラ役のメラニー・ティエリーが、若いころのユマ・サーマンによく似ていて、彼女のミステリアスさだけがストーリーの魅力。なんとなく予知能力はありそうで、その他、他人との共感能力も高いみたいで、でもウィルスを持っている?とかいう疑惑もあって、さて真相は?と引っ張りたいのでしょうが、あんまり説得力なかったかも。

教団のトップがキャシー・ベイツだとずっと思って見ていたのですが、シャーロット・ランプリングでしたか。

マーク・ストロングも出てきたので重要な役どころかな、と思ったら案外簡単なチンピラ役でもったいないと思ってしまいました。

ちょっと前半のロケーションに魅力がないのと、ゴミゴミしたところでのアクションで爽快感がないのはマイナスですね。
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朝目覚めると記憶を失っている女性の物語、というとそのままですが、見る側も彼女のおかれた立場を認識しながら、現実世界を把握していく、という構造なのでストレスは少ないですね。

「メメント」だと、それを逆回転に世界を認識していくプロセスがあるので、ちょっと複雑になりすぎたきらいがあったのが、こちらでは素直に全体像が見えてきます。

彼女が記憶を失った経緯や、いたはずの息子の消息など、少し「フォーガットン」を思わせるところもありますが、そこまであり得ない話ではなく、精神科医の勧めによって行った、ビデオカメラに毎日の記憶を記録することで、だんだん記憶をたどる旅が短くなっていく、という仕掛けになっています。

途中から、あれあれ?と思う部分もあって、カメラのことを告白されてもベンはクリスティーンを殴るだけで、それ以外に隠蔽工作を行おうとしないこと。ラストに彼女をホテルに連れて行って何がしたかったのか、よくわからない。

一番大きな仕掛けとしては、ベンがすり変わっていたことと、息子アダムが死んではいなかったこと。この辺がわかってくるとちょっとおお、と思ったりします。

まあ、犯人側からすると、こんな大がかりなことをして得られる報酬はなんなんだろう、という気もしますけどね。犯行を隠し通すこと、は彼女を放置しても可能だったろうし、彼女を騙し続けるための家や証拠写真など、捏造しなきゃならない小道具多すぎませんかね。

あと、彼女の振る舞いが日々変わっていくのが、ベンの方からは丸わかりだったんじゃないか、と思ったりします。

ニコール・キッドマンが、すっぴんに近い年齢相応の表情をさらして、気迫の演技。コリン・ファースはある時まで穏やかで急に暴力的になるベン(マイク)を巧妙に演じて、ギリギリまで善悪ばれない好演。マーク・ストロングは、「記憶探偵と鍵のかかった少女」の時の役柄そのままな感じで、理性的だけれども、ちょっと情に流されかかる精神科医。まあ、彼がもっと鋭ければ、ベンの正体にもっと早く気づくはずだったんじゃないか、と思ったりしますが。

「リピーテッド」というタイトルからは、少し「恋はデジャ・ブ」のような展開を思わせるのですが、原題はちゃんと意味が通ってますね。