
世の中のものすべてメタデータで監察できるようになった近未来のお話。
ARテクノロジーの発達で、人間の視覚情報がすぺてデジタルデータ化されてネット上で確認できる、というのは面白い発想です。人間の目線の動きって、ここで映像化されているほど単純なものではないでしょうが、それでも試みとしては十分に成立していたかなと思います。
被害者の視野をハックして、殺害の瞬間はすべて殺人者の目線情報になっている。これがないと、被害者は殺されるときに殺人者を見ていることになってしまうので、確かにサスペンスとして成立しなくなってしまいます。しかも何者かが巧妙に視覚情報を「編集」して過去を改竄してしまう。
こうなると、データ情報に基づいて犯罪捜査を行っている警察はお手上げ。そうなると社会の秩序も保てない、ということで、このハッカー兼殺人者を挙げねば、と躍起になる。ハッカーをおびき出すのにおとり捜査を行う、ということで急にアナログに敏腕トレーダーになりすまして過去改竄の依頼を掲示板に書き込む刑事サル。何人か外れのハッカーを断った末に、アノン(匿名)を名乗るハッカーからコンタクトが。
彼女に依頼を行って記録を改竄してもらったあとで、また別な殺人が。やはり彼女が怪しい?ということで再度依頼をするのですが、そのときに刑事としての過去がバレて、同僚が殺され、アノンからは亡くした息子の思い出を消されたり、いやな記憶を掘り起こされたり、とてもかわいそう。
停職になり、監視下におかれ、でもいろいろとやっているうちに彼女の家を探り当てます。そこで実は自分は嵌められている、という彼女の告白。では犯人は一体誰?という展開。
ここまで見て、ああこれは、アル・パチーノのキャリア中盤の名作「シー・オブ・ラブ」と全く同じではないか、と気づきます。
最後のクライマックスもなかなかいい感じでテンポよく見せたし、少し前半の設定説明が文字情報多くてまだるっこしいことをのぞけば、結構いい感じで見せたんじゃないでしょうか。
アマンダ・サイフリッドがなかなかの脱ぎっぷりで「ここまでやるの?」と思ってしまいました。クライヴ・オーウェンは、見ていてずっと「ガレッジセール」のゴリにそっくりだなぁ、と思っていました。