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主役のシム・ウンギョンさんをはじめ、松坂桃李さん、岡山天音さんなど、フレッシュでありながら個性的な顔ぶれ。そう、こういうときにキャスティングを断るような腰抜けの事務所からは出てこないような、骨太な演技と没入感が得られたのが、この作品の成功したところなんじゃないでしょうか。

表に出るようなファクトだけ並べても十分に恐ろしく、そしてその背景がこのぐらいであっても全然おかしくない、というリアリティー。そして後半に向けて積み上がる真相。ある部分からフィクションとしてのサスペンス要素も加わり、最後まで息が抜けません。

望月記者の実話、とするには飛躍が多く、美化されすぎと感じる向きもあるでしょうが、記者たるもの何を目指すべきか、政治に関わるものが何を目指すべきか、そして現実がなにを見失っているのか、を考えるのにはこれ以上の素材はないのかな、と思いました。

あの自民党の醜悪なパンフレットに対する安倍首相のリアクションを見るにつけ、内調があのくらいネトウヨと同化した組織であってもおかしくない、と思えてしまう現代に生きるわれわれ。果たして求めるべきは「政治の安定」なのでしょうか。安定するのは「権力」だけであって、「政治」ではないことに、われわれは気づくべきなのでしょう。