●食事制限は、血液検査の結果のみで判断してはいけない。
こんにちは。橋本です。
子供は、年齢が低いほど、食物アレルギーが、アトピーの症状として、皮膚に出ることが多い。といわれています。
で、食物アレルギーかどうかを判断するのに、病院では、よく血液検査をします。
どんな食べ物に対してアレルギーをおこしているか、血液を使って調べるんですね。
検査結果をデータを紙でもらって、「この食べ物にアレルギーがあります」と数値で説明してもらえると、確かにとてもわかりやすいですよね。
でも、食物アレルギーの血液検査って、じつは、食べ物によっては的中率が70%ぐらいだといわれています。注)
約30%は、アレルギーでない食べ物に「アレルギーがある」と判定してしまったり、アレルギーのある食べ物に「アレルギーがない」と判定してしまうんですね。
これって、よく考えると怖くありませんか?
血液検査の結果、そのままにしたがえば、約70%の人は、うまくいくかもしれません。
しかし。
血液検査で出た結果にしたがって食事を作ってしまうと、約30%の確率で
・ アレルギーが出ない食べ物を、わざわざ取り除いてしまう。
・ アレルギーが出る食べ物を、食べ続けてしまう。
ということに、なりかねないのです。
本来、なる必要のない栄養不足の危険にさらしてしまったり、本来、苦労しなくても済むはずだったメニュー作りのストレスを背負うことになったり。
つまり、血液検査にまどわされると、せっかく食事を工夫しても、苦労が無意味になってしまうんですね。
食物アレルギーの判定で、スタートになるのは、日頃の食事の記録です。
子供に何を食べさせたときに、症状が悪くなっているかをしばらく記録、観察するのです。
病院で診察を受けるときに、その記録を、まずは丁寧に先生に伝えます。
で、先生は、皮膚の症状をみて、それが食物アレルギーと関係があるか判断する。
もし食物アレルギーが関係ありそうなら、問診により、お母さんの観察記録から、アレルギーの疑いがある食べ物を絞ります。
それで実際に、アレルギーの疑いがある食べ物をメニューから取り除くことで、症状がなくなるか。
それから、アレルギーの疑いがある食べ物を食べさせて、症状が出るか。
この2つをみます。
アレルギーの疑いがある食べ物をメニューから取り除いてみることを、専門用語で“食物除去試験”といいます。
アレルギーの疑いがある食べ物を食べさせててみることを、専門用語で“食物負荷試験”といいます。
この“食物除去試験”と“食物負荷試験”。
食事制限をするかどうかは、必ずこの2つの試験をおこなってから、判断しなければいけません。
“食物除去試験”と“食物負荷試験”をおこなわずに、食事制限してしまう。これは、危険です。
本来あるはずのなかった、成長障害、それにストレスを生んでしまう。そういったリスクがあります。
「血液検査の結果のみで、食事制限するかどうか判断する」
もしそんなことがあれば、それは明らかに手を抜いた治療なんですね。
あくまでも、アレルギーの血液検査は、判断するときの参考データにしかすぎません。
注) 参考文献:
Sampson HA, et al: J Allergy Clin Immunol 100: 444-451, 1997