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Joon's blog

どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『キー・ラーゴ』を観ました。

 

フロリダ半島沖にある列島の一つ、キー・ラーゴ。

兵役を終えたフランクがキー・ラーゴにやって来たのは戦友ジョージの死を報告するためだった。ジョージの父でありホテルを経営するテンプル、その娘でありジョージの妻だったノーラはジョージの訃報に肩を落とす。

やがてキー・ラーゴに嵐が近付いてきた頃、ホテルの客だったロッコとその一行はフランクたちに銃を突き付ける。ロッコの正体はギャングの大物で、ある取引の場所としてテンプルのホテルを選んでいたのだが、嵐により取引相手が足止めを食っている事に苛立っていた。

足が不自由ながらもロッコの脅しに屈しようとしないテンプルに対し、ロッコに懐柔されるばかりで無気力なフランクの姿にノーラは失望の色を隠せない。しかし、無抵抗な人々が次々とロッコ一味の犠牲になる光景を見るフランクは……といったお話。

要約すれば、嵐のためホテルに閉じ込められた主人公とギャング一味の話です。

 

映画がまだモノクロだった1940年代のクラシック俳優と言えば、個人的にはハンフリー・ボガートさん一択です。好きになったきっかけは何と言っても『カサブランカ』。

ボガートさん、いや、敢えてボギーと愛称で呼ばせてもらいますが、シニカルな口調で他人に執着しないドライな人に見えながら、実はハートは熱い人情家というキャラがよく似合うんですよ。これぞボギイズム!と勝手に命名。

逆を言えばそればっかなんですが(笑)。

ルックスに関しては世間での評価はだいぶ低いようですが、そんな役を演じているボギーを見てると、カッコ良く思えてくるんでしょうね。

ダンディズムを身に着けたいと思う人はボギーを見習えばいいんです(?)。

 

で、本作の話。

以前に観た『三つ数えろ』があまりにも難解な作品だったので(回を重ねて観ると理解が深まってくるけど)、それが頭の片隅に残っているせいでチト身構えてしまいましたが、こちらにそんな懸念は無用、気軽に楽しめる娯楽作です。

 

外は嵐で逃げようにも逃げられず、ホテルに閉じ込められた主人公たちとギャングたちのスリリングな一夜を描いた作品という事で、ちょっとした密室劇の様相。

4人の手下を従えた大物ギャングが相手とは言え、こっちにはボギーがいるんだ、そのうち痛い目に遭わせてやるぜ……と思いながら見るのが普通ですが、なかなか腰を上げてくれません。まさか本当にへぇこらするばかりのダメ男なんじゃ?とじれったくもなってきます。

もちろんそんな事はなく、悪事を見逃せない正義の心から来るものもあるんでしょうが、基本的に戦いたいという欲求がボギー演じるフランクを突き動かす衝動になっているのが新鮮です。まるでベトナム帰りみたいじゃない(笑)?

だからって、いきなりホテルのロビー等でバンバンやり合うのではなく、多勢に無勢である事を念頭に置いた上で、虎視眈々と隙を見計らうあたりに有能な軍人だった事を臭わせます。

 

そんなフランクと敵対するロッコは、金力に物を言わせて有力者を動かせるほどの大物ギャング。

躊躇いもなく人殺しができるなんて当たり前ながら、自分らに歯向かうフランクたちを生かしておくのは余裕の表れにも見えますね。

ほぼほぼ無抵抗なフランクたちをザコ視する反面、ホテルを襲う嵐に恐怖を感じるあたり、真に怖いものを分かっているのが面白いキャラです。

ちなみに、ロッコを演じているのはエドワード・G・ロビンソンさんという方。名前だけは見知りしていたんですがね。

で、このロビンソンさんとボギーはウン十年後に、そしてマイケル・ジャクソンさんを加えて再共演を果たす事に…!って、あんまマジに受け取らないで欲しいんですが。

何を言ってるのかと思う人は『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』を見よう!

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そしてボギーの映画と言えば、女性とのロマンスも欠かせません。

相手役は『三つ数えろ』でも共演したローレン・バコールさん。本作の時点ではどうだったのか知らないけど、プライベートでは夫婦だったという話は割と有名です。

そんな蜜月な関係にあるんだから実生活に倣い、二人が結ばれてハッピーエンド……になるだろうけど、明確に描いていないのがいいですね。イチャつくシーンもほぼ皆無なのって地味に珍しい。

それ故、ムーディーなラブシーン等で水を差す事もなく、キチンとスリル&サスペンスを楽しめる良作でした。

 

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Blu-ray版は映像特典は予告編のみ、珍しく吹き替え版も収録しているのが嬉しいですね。

 

余談ながら……Blu-ray版のジャケット、俺ッチが買ったのと全然違うんですけど!

何だよ、この味気ない図柄はよぅ…!

例えば、既にラッカーで塗ってあるこんなパーツがあったとして、

刃の内側を違う色で塗りたいんですよ。

こんな風にね。

そこから刃全体をマスキングして柄の部分を塗ると。

 

こういう場合、こだわる人は先に内側を塗る→マスキング→刃を塗るんでしょうが、マスキングがメンド臭いから内側をエナメルで塗装して、ハミ出た部分をエナメル溶剤で拭き取ろうと考えています。

 

…が、以前、これに似たような事をした際、

ラッカーで塗った黄色の上にエナメルの黒を塗ったところ、これがペリペリ剥がれる現象が起きたんですね。溶剤はペトロールだったので、これがマズかったのかなとも思ったり。

完全に見えなくなる所だったからセーフだったんだけど、この件がチラつくので、ちょっと実験をしてみました。

塗装については塗料&溶剤は共にタミヤのものを使い、エアブラシで吹いています。

 

まず、既にラッカーで塗ってある物を用意。

境界線の←はツヤ有り、→はツヤ消しで塗ってあります。

この状態からエナメルを塗ります。

こんな感じ。

そこに、

マスキングテープを貼ります。

そして、これを剥がすと……

ツヤ有りの方の塗膜が持ってかれました…。

ツヤ消しの方は、着けて剥がしてを何回か繰り返しても問題ナシでした。

 

塗装前、脱脂の意味も兼ねてエナメル溶剤だけを吹いてみたところ、ツヤ消し部分は吹き付けた溶剤が染みていくような感じでしたが、ツヤ有り部は水玉状になって弾き気味でした。かつての疑問を自己解決っ。

もちろん本塗装時も似たような感じだったので、圧を下げたり距離を離したりして、一見まともに塗れているように見えましたが、やっぱりダメでした。

 

という事で、ラッカー塗装の上にエナメル塗装をする場所は、下地をツヤ消しにしておかねばならん!という結論です。

検索ワードの言葉が足りなかったのか、これについて言及しているページがなかなか見つからなかったんですが、こんな塗装法なんか誰もやってないのかな?

クリムゾンエッジ、どうやって塗ってるんだろう…。

『ダーティハリー3』を観ました。

 

相変わらず過剰なやり方で犯人を追い詰めるハリーは人事課に配置転換させられてしまう。

その頃、兵器工場に賊が侵入。数々の兵器を盗み出そうとする彼らを発見したフランクは、賊のリーダーであるボビーに殺されてしまう。

殺人課に戻ったハリーは、元相棒だったフランクの今わの際の言葉をヒントに捜査を開始するも、新たな相棒をあてがわれる。それはハリーが人事課で面接をした、女性ながらも刑事を志すムーアだった。

ボビーは人民革命軍を名乗り、サンフランシスコ市長に対し大金を要求。ハリーはメンバーの一人であるヘンリーを逮捕するが、ボビーらに捕らわれた市長はアルカトラズ島に連れ去られてしまい……といったお話。

要約すれば、ハリーが女の相棒と共にテロリストを追い詰める話です。

 

文字通りのシリーズ第3弾。

とは言え、前作&前々作の作風に変化が見られ、それまではしっかり“映画”になっていたのに、今作はテレビスペシャルのような雰囲気。

それなりに予算も割いているのは見て取れるし、どうしてだろう?とも思うんですが、これはBGM=劇伴に一因があるんじゃないかと。

ハリーとヘンリーによるビルの屋上の追いかけっこのシーンに顕著なんですが、音楽自体もテレビドラマ風味というかポップで軽い感じなんですよ。そもそも、これまでの作風であれば、ああいう音楽の使い方はしなかったんじゃないかなぁ。

 

さらに言えば、敵側のキャラやドラマが薄いのも原因でしょうかね。

敵の首領であるボビーも、冒頭のガス職員を殺すあたりの描写には光るものがあったんですが、結局は凡庸な“殺人犯”であって“殺人鬼”ではないんですよね。ベトナム帰りなんてワードに期待したんだけど…。

『~(1)』の“さそり”なんて遠く及ばず、ただ世の中の一部を困らせる程度のチープなテロリストで終わってしまったのは残念です。

 

今作の特徴と言えばムーア刑事。

あれほど硬派なシリーズだったのに、ハリーの相棒が女性ってんだから意外や意外。

女性でも男性と同等に云々とか言いたがるババアはこの頃から存在しているようで(面接のシーンに登場するグレイ女史はその象徴)、『ダーティハリー』というシリーズは時事ネタというか、当時の世相を作品に反映させるところがありますから、これを取り入れたんでしょう。

若い頃に本作を観た時には、ハリーの相棒が女なんて!と違和感は払拭できませんでしたが、いい歳になってから観直すと、これはこれで悪くないどころか、むしろ面白い組み合わせじゃないかと感じるのは本作のパロディ作品『俺がハマーだ!』に感化されすぎてるんだろうなぁ(笑)。

ハリーのような腕っぷしはないながらも、ムーアはハリーにできない(というか、やらない)ような側面から捜査をしたり、あくまで自分にできる範囲で協力して、どうにかハリーに食らい付こうとする姿が健気なんですよね。ハリーの物腰が柔らかくなっていくのは、ムーアを認める証でもあるんです。

それ故、今作で退場するのは勿体ない!

 

今作のクライマックスの舞台はアルカトラズ刑務所。

イーストウッドさんからすれば、帰ってきたぜアルカトラズ!と感慨深くなるんでしょうと思いきや、『アルカトラズからの脱出』は本作(=1976年)の後の話(=1979年)でした…。

 

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Blu-ray版の映像特典はドキュメンタリー系の映像集。

余談ながら、吹替版のムーアを演じるのは若かりし頃の戸田恵子さんというのもあって、よりムーアの初々しさを感じ取れるんじゃないかと思います。

 

 

 観た、『ダーティハリー』

 観た、『ダーティハリー2』

 観た、『ダーティハリー3』

 観た、『ダーティハリー4』

 観た、『ダーティハリー5』

ディープな所で話題になっている(チト旬は過ぎてるけど)、山田化学の『連結ディスプレイベース』を買いました。

130mm前後のロボットプラモに向けた、格納庫をイメージした飾り台です。

 

何が話題になってたのかと言えば、いわゆる100均で扱われている商品、つまり110円という値段でここまでのクオリティの物が買えるというのが、ちょっとした驚きだったようです。

そんな話題で盛り上がっているのは、2個3個どころか10個以上買っただの、お店に売ってるのを買い占めてきただのとハシャいでる連中ばかり。

まぁ、自分の他にも欲しい人がいるという想像ができないオモチャバカのモラルなんてそんなもんだよね。これがガンプラにすり替えた話だったら青筋立てて怒り狂うだろうに。

 

で、組み立ててみました。

おお、確かに110円の割には上出来じゃないですか。

背面のパネルやトラス状の支柱、材料節減=ローコストを実現するための肉抜きのデザインも、なかなかセンスがいい。

欲を言えば、もう10mmほど横幅があると、もう少しゆとりをもって置けるんだがなぁ。

 

110円という価格で頑張っているので、

昨今のプラモデルでは見れないような、こういうド派手なヒケは見逃してあげましょう(笑)。

 

個人的にツボだったのが、

床面パーツにある階段。

ロボットが置いてあるだけでなく、人間が作業をする場である事を想起させる小さな演出です。

RGに付属していたフィギュアと対比するに、想定スケールは1/144でしょうかね?

 

どうでもいい情報として、本品の素材はポリスチレンだそうです。

製品の体積もまぁまぁあるし、ちょっと削ってみた感じもABSっぽく思えたんですが…。

クレオスのセメントを使ってプラモのランナーのカスを接着したところ、キチンと固定できたので、一般的なプラモと同等に扱っても問題なさそうです。

 

これでMADE IN JAPANってんだから驚けるというか、安価でもやろうと思えばこの程度のプラモは作れるんだから、色々考えさせられます。

前にも少し綴ったけど、例えばロボダッチのような子供に向けたプラモコンテンツは、こういうメーカーにお願いしたいところです。

※無料画像どころか、中身に関する画像は一つも載っていませんよ~

 

新谷姫加さんの写真集、『ひめかわいい。』を買いました。

どうだい、女っ気なんかまるでない当ブログにこんな華やかな写真が載るなんて、乾ききった砂漠に花が咲いたかのようだろう?

 

不勉強ながら、新谷姫加さんという方を存じ上げていなかったにもかかわらず、ジャケ買いならぬ表紙買いしてしまいました。

こういう写真集を買わなくなって久しいですが、この表紙の画ヂカラにやられちまったものでね。

それほどまでにカワイイじゃないですか!

 

アイドル(系)写真集は多々あれど、表紙に使う写真を選ぶのってスゲー気を遣う作業だと想像します。商品として人目を引かなきゃならない使命(?)もありますしね。

多くは笑顔で、それらももちろん可愛いんですが、チト遠慮気味な笑い方なんですよ。いわゆる決め顔なんだろうけど。

それに対し、こちらの表紙の笑顔力は半端じゃなく、一瞬で可愛いと思えるのがいいんですよ。

写真集が数多く発売されている中、表紙部門なんてのがあれば断トツの1位ではないでしょうか?

個人的に、アンニュイな表情というかすまし顔を表紙に使った写真集って購買意欲が下がるんですよね。

 

中身に関しては、面積の少ない衣装が多めなものの、もちろんそうではない写真もあります。もういい歳なので露出度数に関しては度外視です(笑)。

衣装を問わず、晴天の下での笑顔が可愛くってね。

これを機に知った新谷姫加さん、ひっそりながら推させていただくぜ!

 

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普段、こういう商品の紹介は余興程度の感覚でしか紹介しないんだけど、これに関しては応援の意味を多分に込めて載せておきます。

『HG 1/144 ドートレス』を組み始めてます。

 

まだ途中ながら思うのは、手強いキットというよりヘボいキットだなという感が強すぎてね。

同じく2020年に発売されたキット群と比べると、本っっ当~にヒドすぎる設計に失笑です。

プレミアムバンダイ限定品の割に1320円という破格に釣られて買ったはいいけど、安かろう悪かろうの域を超越しています。当ブログの信条でもある“安いは正義!”は、テメーは適用外だ。

 

1320円という低価格を大優先したのか、

顔の三つ目は1パーツで済まされてるし(ドートレスのデザインで最も秀逸な部分なのに!)、

ガンプラ史においてワースト1を狙えそうな足裏の肉抜きは百歩譲って妥協できるんですよ。

メーカーの都合を押し付けて、こうまでして商品化する意味があるのか?とは思うけど。

 

それ以外のテキトーな設計が素人臭すぎて頭に来るんですよ。

一方しか段違いになっていない肩アーマー、

左右対称パーツなのにゲートの数が違ったり、そして最大級に絶句したのは

スラスター内の細かいスリット部分で割ってるところ。2020年時分に、こりゃねーだろ。

キチンと塗装までして大マジに作っていても、ここをスルーしてる人は多いですよね。確かに、呆れすぎてモチベーションを起こさせる気にもならないよな。

 

スーパーの総菜コーナーで、上手く調理できていないものを何割か安くして売ってる時があるじゃないですか。

あれと同様に、使えねーヘボ設計者が担当したものだから安価に設定したように思えるキットです。

まぁ、ドートレスは数多のバリエーションがあるMSですから、それらを発売する際にはこの辺を修整(というより矯正)するかな? 2500円くらいで。

 

ただ、組み上がった後のスタイルはけっこうイイ感じです。設定画にまぁまぁ準拠した、90年代の野暮ったい感じで(笑)。

それに加え、

無駄にこだわっている銃は好きです。合いもまぁまぁ良いし。

モールドも細かくて、キチンと合わせ目消しをして塗装すれば、だいぶカッコ良くなりそう。

 

パーツも少ないし、足裏の処理さえやっとけばスムーズに完成するかな?と思っていましたが、やっぱり最後まで組んでみないと分からないものですねぇ。

『人造人間キカイダー』のBlu-rayを買いました。

 

謎の秘密結社ダークにより作られたロボット、グレイサイキングの前に現れた一人の男。

彼の名はジロー。ダークに捕らわれた身でありながら、光明寺博士が秘密裏に開発を進めていたロボットだ。

罪もない人々を痛め付けるダークの野望を潰すため、ジローはもう一つの姿であるキカイダーにチェンジし、ダーク破壊部隊のロボットたちと戦う。

比類なき強さを誇るジロー=キカイダーではあるが、組み込まれた良心回路が不完全であるばかりに、ダークの首領プロフェッサー・ギルの笛の音に苦しめられる。

光明寺が消息を絶った今、ジローの良心回路を完全なものにできるのは光明寺の娘であるミツ子ただ一人。しかしジローは良心回路が不完全なままである事を望み……といったお話。

 

石森章太郎さん原作の70年代ヒーローと言えば、勿論のごとく『仮面ライダー』が思い浮かびます。

本作も同じく変身アクションヒーローの活躍を描いた作品で、やってる事も大同小異ではありますが、ドラマ要素に関してはこちらの方が上だと思っています。

何しろ原作(漫画)版はちょっとした哲学書とも呼べる内容ですから…。

 

得てして、この手の作品はヒーローが敵組織の暗躍を追うのが常で、敵が動かない限りドラマが生まれない。つまり、敵がおとなしくしていればヒーローは手持ち無沙汰になってしまうんですよね。

本作もそんなヒーロー作品のワンパターンに倣ってはいるものの、事務的に敵の動向を探るばかりでなく、こちら側に抱えているちょっとした問題をクローズアップする(時もある)ので、まーたいつもの似たり寄ったりの話かと思う事が少なめなのがいいんです。

大筋から逸れる横道が多くて長いほど世界観が広がるものですしね(徹頭徹尾、最後まで一貫していればの話ですが)。

 

とりあえず、3話まで鑑賞。

所詮は70'sヒーロー番組、子供向け番組=ジャリ番と蔑まれていた頃の作品ですから、もちろん至らない点は多々ありながらも、けっこう挑戦的な事をやっているのが見て取れます。

その一つが恋愛事情で、先に述べた横道の代表格です。

この手のヒーロー作品で、ヒーロー側の恋バナを明確に描いたのは『鳥人戦隊ジェットマン』が初とされています。そこから遡り、ヒーローが恋をしているように見える作品は多々ありますが、本作もその中の一つです。

各回に必ずあるものではないものの、随所で見せるジローとミツ子のすれ違う思いは我々視聴者が勝手に思い込んでいるわけではなく、作り手側も少なからず意識はしていたんじゃないかな?

ミツ子は光明寺のキカイダー開発に立ち会っているから、キカイダー=ジローの体内が機械である事も熟知している。ジローもそれを知ってはいるけど、ミツ子には見せたくないし、見られたくない。自分が機械ではなく人間=男として振る舞ってきた証というより、強がりと言った方が正確でしょう。この辺は原作を上手くアレンジしていますね。そんな秀逸な点も、次の回になると忘れちゃうんだけど(笑)。

ダークに対しては超強気だけどミツ子に対してはこんな感じで、時折見せるジローのいじらしさが可愛いんですよ。まるで、主人の言い付けを死守する忠犬のようじゃないですか!

 

この頃の変身ヒーロー作品に登場する女性レギュラーの中でも、本作のミツ子に関しては割と重要な立ち位置にあるキャラで、添え物程度のチープな役ではありません。ジローが戦う理由の、割と大きな割合を占めているとも思うんだよね。

回を重ねてくると、自分が作ったロボットという感覚を忘れて、もはやジローを人間として見るようになってくるのがいいんですよ。それどころか、だんだん重い女になっていく(笑)。

何より、演じている水の江じゅんさんが可愛いくってね。ミニスカ&ナマ足という70'sファッションもオシャレでカワイイ! そんな危なっかしい恰好でありながら、中身は絶対に見せないという70年代モラルの安心感…。

 

ミツ子がジローに向ける感情が、単に自分が作ったロボットに向けるそれではなく、どんどん超越したものになっていくように見えてくるのは不思議な話ではなかったようです。

何しろ、水の江さんはジローを演じていた伴大介さんを……というんだから、感情も乗った上での熱演だったのかもしれません。

これを裏付けるのは、

ジローを演じた伴さん&イチロー=キカイダー01を演じた池田駿介さんの共著、『キカイダー賛歌』。

伴さんと池田さんがそれぞれ作品を振り返り、キカイダーと縁のある人たちの下を訪ねた模様が載ったものです。

対談相手は吉川進さん、うえだ駿さん、飯塚昭三さん、長坂秀佳さん、そして石ノ森章太郎さんという豪華っぷり。本著は1997年に発行されたものですから、まだ存命中だった方々との対談は貴重です。

先の、水の江さんのエピソードはうえださんによるもので、伴さんは番組終了から25年が過ぎたこの対談で初めて知ったそうです(このすれ違いもキカイダー世界っぽい…)。二人の間を取り持ち役を任されたうえださんは、私生活でも三枚目なのかよと落胆したんだとか(笑)。

そして石ノ森さんとの対談は最大の読みどころ。

伴さんは伴大介→伴直弥→伴大介と芸名が変わっていますが、この対談は元の芸名である”伴大介”に戻す報告も兼ねていたそうです。そもそも“伴大介”という芸名は石森さんに付けてもらったものだったそうなので、これは感慨深いですね。大御所は懐が深い!

 

――という事で、観始めた『人造人間キカイダー』。

まぁ、昭和ヒーロー作品の宿命である(笑)ツッコミどころやハンペンのギャグ(これが本当に面白い!)に笑いながらも最後まで見届けます。

最終回までゴゴッゴー!

 

ちなみに、国内版の廉価版も出ていましたが、

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安くはなったけど、合わせて2万超えな上に、こちらには映像特典はない。

ん~む……と悩み躊躇っていたので、さらに安いあっち版が発売されてありがたいよ。映像特典もあるしね(国内版と同じものかどうかは不明)。

あ、劇場版の収録もありません。

ちょっと前にこんな記事を綴りましたが、そんな俺ッチの落胆を気に留めてくれたのか(?)、日本でも『ロミオの青い空』のBlu-rayが発売されるそうです。

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仕様を見る限り、最も気になる画角に関しては4:3との事で大安心。

海外版は半分以下の値段で買えそうですが、あちらの画角は容赦ないトリミングを施した16:9(4:3版も収録しているけどSD画質ってんだからオマケ以下の扱い)。

チト高いけど、画角や画質を優先するなら国内版ですね。

 

世界名作劇場の作品がBlu-ray化されるようですが、ここでチト驚ける事があって。

まずは第1弾、第2弾がリリースされます。

第1弾が世界名作劇場の代表格でもある『フランダースの犬』『赤毛のアン』というのは順当ながら、『母をたずねて三千里』や『あらいぐまラスカル』を押さえて、まさか第2弾として『ロミオ~』が発売されるのって地味に快挙じゃないですか? 別に発売順=人気順というわけではないものの、少数派による根強い支持がそうさせたのかもしれませんね。

『ペリーヌ物語』に関しては分かりかねますが…(笑)。

 

いわゆる“サザエさん症候群”に陥るほどに若かった時分の俺ッチは、明日=月曜日の出勤までの時間が憂欝で仕方なかったものですが、『サザエさん』の後に放送していた本作を観て、ちょっとは前向きな気持ちになれたものです。まぁ今になっても月曜日は敵ですが(笑)。

そんな『ロミオ~』という作品は老若男女を問わず、陰鬱な気分で明日を迎えようとする人ほど見ておいてもいいと思うんですよ。

確かに、世界名作劇場あるあるというか、シリーズ前半には主人公が辛い目に遭うシーンは多々あります。

けど、誠実に生きる者には必ず救いがあり、小さな幸せも待っているものです。現実はそんなにお気楽ではないのは分かっているけど、多少は希望というやつを信じてみる気になれる僅かながらにも元気を分けてくれる作品です。

逆に、頑張れない時は頑張らなくていいという言葉に甘やかされ、逃げ癖が染み付いた人には1ミリもオススメしません。いつまでも逃げ隠れしてろや。

 

ロミオが過酷な生活を送るのはシリーズの前半までで、後半は仲間たちとの友情物語になり、世界名作劇場のイメージとはかけ離れた熱い展開が待っています。

そしてもちろん、涙なしには見れないシーンも少なくありません。こんな歳になっても、最終回は泣きっぱなしで観れる自信がありますよ(笑)。

本作は連ドラとしての面白さを多分に含んでいるので、ここにもハマれる要素があります。

 

登場する少年少女は総じて愛嬌があり、特にヒロインが可愛いのも魅力です(もちろん絵柄だけの話ではなく)。

ただ陰の主役であるアルフレドだけは例外で、可愛さはほぼなく、凛々しいという方が正解です。世界名作劇場に準拠した(?)絵柄ながらも、超カッコ良く見えてくるんですよ。精神年齢は20代後半くらいだし(笑)。

ジョバンニに漂うニヒルさも少年感が希薄ですよね、ヤクザの若頭みたいな貫禄もあって(笑)。

アルフレドを演じている藤田淑子さんが超ハマッていてね。トコさんは数多くの元気な少年役を演じてきましたが、どこか冷めたクールな少年の芝居が新鮮でした。放送当時、これにやられたアニメ女子はかなりいたんじゃないかな?

ちなみに、

アルフレドがこんな風になる未来もあったそうな…!

今はただ、これを没にしてくれた人の英断に感謝するばかりです(笑)。

 

――と、こんな話をしていたら、古い資料を見返したくなってね。

こういう副読本が出るあたり、アニメファンの人気が高かった証なんでしょう。

『~脚本集』は未だ全てを読み切れていませんが、放送されたものと比べるとあったりなかったりするシーンがまぁまぁあります。生粋のクズだったアンゼルモにも、シナリオの段階では最後の最後にちょっとした救いがあったんだな…。

 

アニメ史を振り返ると、それぞれの年代に当時の流行りの絵柄があるものですが、今の目で見るとキッツい絵柄もあるじゃないですか。奇形だらけの90年代とか(笑)。

アニメは絵が命ですから、絵柄の好みで作品を見るかどうかを決めるのは自然な話で、時代を感じさせるようなドギツい絵柄に食指が伸びない人も少なくないと思います。

その点、世界名作劇場の画風はいかにも子供向け~って感じでシンプルすぎる反面、流行り廃りに流されない絵柄とも言えます。スタジオジブリ作品にも同じ事が言えますね。

つまり、世界名作劇場の作品群はいつの時代に見ても鑑賞に堪え得ると思うんですよ。

“見ておくべき作品!”とかお仕着せがましい事は言わないけど、特に社会人になって辛い思いをしている人には刺さるんじゃないかな。

『フルメタル・ジャケット』を観ました。

 

アメリカ海兵隊を志願した若者たちが訓練キャンプにやって来る。

ハートマン軍曹の厳しい訓練や叱咤は脱落者を生みもしたが、今や一人前の兵士に成長した彼らはベトナムに送られる。

従軍記者となり前線の取材を命じられた“ジョーカー”は、訓練所での同僚“カウボーイ”と再会、彼の隊に加わりフエ市を目指す。進軍を続ける中、手強い狙撃手に遭遇した一行は次々と犠牲者を出し……といったお話。

 

ベトナム戦争を題材にした、スタンリー・キューブリックさんの監督作品です。

80年代に氾濫していたベトナム戦争モノに、キューブリックさんほどの巨匠が手を出すのは意外です。流行に乗っかったみたいで俗っぽいところもあるんだなぁと(実際は戦争映画がやりたいだけで、特にベトナム戦争にこだわっていたわけではなかったそうな)。

かつ、ベトナムで起きていた真実を描く!という聞き飽きたような売り文句も掲げていたんでしょうが、ベトナムに向かう前の事から、新兵が訓練を始めて一端の兵士になるところから描いているのが本作の出色たる点であり、他のそれらとは一線を画するところです。

逆に、舞台がベトナムに移ってからの展開は、まぁまぁ上質な戦争映画程度の出来に見えてしまいますが…。

 

そんな前半の新兵の訓練こそ本作の白眉であり、最大の見どころです。

そして、その見どころの全てを持ってっちゃってるのがハートマン軍曹のド強烈なキャラで、青っ白い若造を一人前の兵士に育て上げるためのシゴキが最高です。

慈悲や愛情なんてヌルいものは1ミリもなく、人格否定に加え体罰も上等、この世にある罵り言葉を駆使して訓練生を徹底的に鍛え上げます。あまり表には出さないけど優しい一面も持ち合わせていて~なんて媚びた面なんか絶対に見せない、まさに人間の姿をした鬼と言っても過言ではありません

ちょっと威圧されてシュンとなるような打たれ弱い昨今の小僧どもには、ハートマンのような指導がそろそろ必要ですよ、割とマジで。

ただ、何だかんだでハートマンは過剰に厳しい指導をするものの、訓練生よりも早く起きたりランニングも一緒に走ったりで、口うるさいだけで後ろでふんぞり返ってるようなタイプではないんですよね。

そういうところが尊敬できるとか偉そうな事を言い出しそうな奴もいそうだけど、ウジ虫以下の俺たちにゃ、そんなご立派な感情なんか無用なんだぜ、Sir, yes sir!

 

軍への入隊を希望する若者は数あれど、あれほどの数がいれば個人差は生じます。

その中で、抜きん出た落ちこぼれはゴーマー・パイル=ほほえみデブことレナード(本名が明らかになった訓練生はこの人だけ)。あだ名の通りのデブで、常に口は開きっぱなしでニヤケ顔がデフォルトであるだけでなく、運動能力も鈍い事からハートマンに目を付けられます。

レナードが足を引っ張ったために連帯責任を負う羽目になり、訓練生たちのリンチに遭う事も…。

これを機にレナードは一変、班長の“ジョーカー”の手助けもあり、訓練にも付いて行けるようになっただけでなく、ハートマンに射撃の才能も認められるように……なったものの、その進歩は決して健全ではなく、精神を代償にしたものでした。

“ジョーカー”にはそこそこ心を許しているけど、完全に自分の殻に閉じこもってしまいます。序盤のユルい顔付きなんか微塵とも感じさせない、完全に壊れた人間のような表情が怖いです。“ジョーカー”やハートマン以外の人とはどう接していたのか見てみたかったですね。

ベトナム戦争を経験した兵士は精神を病んで帰還する事が多いようですが、本作を観ると、出兵前からそんな土壌が既にできあがっていたように思えます。

 

そんな訓練を終えてお話は後半に突入し、いざベトナムへ。

ベトナム戦争の戦場と言えばジャングルというのが定番ですが、廃墟と化した市街地を舞台にしているのが新鮮です。

…が、ここからは他のベトナム戦争モノより抜きん出たところが少ないのが惜しく感じます。

クライマックスのオチになる敵の狙撃兵との決着も衝撃的に感じるものの、ちょっとドラマチックすぎてるかな? これも含めてベトナム戦争の真実ではあるんだろうけど…。

 

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Blu-ray版の映像特典は、関係者が当時を振り返るドキュメンタリーを収録。吹替版は収録されていません。

一応、吹替版も作られてはいるようです。

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…が、個人的には本作に吹替版なんてのは無粋に思えてね。

特に前半の、あの鬼気に満ちた空気を吹き替えで再現なんかできんのかいな?と。アニメ畑の声優を(あまり)使っていないのは好印象ですが、まぁ見る気はしないよね。

 

これは日本限定の話として、字幕がいいんですよ。

本作の字幕を担当した原田眞人さんは、わざわざキューブリック監督の監修を受けた上で限りなく原語に近付け、日本国内に向けた忖度などない翻訳をしたという話は割と有名です。本来なら全ての洋画にあって欲しいエピソードですね。

それ故に、出てくる言葉の過激さは唯一無二。

ネット以外の媒体で“マンコ”という文字の並びなんか、なかなか目にできませんからね(笑)。

ただ、卑猥なワードがポンポン出てくるのはいいとして、その使い方はビミョーなものが少なくありません。

「頭がい骨にマンコしてやる!」とか言われても、意味不明すぎてポカーンですし…(笑)。

『プラトーン』を観ました。

 

1967年。ベトナムにやって来たアメリカ軍の新兵たち。

その中の一人であるテイラーが自ら入隊を志願したのは、退屈な大学生活を捨てるためだった。

しかし、最前線の過酷さはテイラーの想像を遥かに超えていた。終わりが見えないベトコンとの戦いだけではなく、指揮系統の乱れや小隊内の派閥争い、次々に倒れて行く同志、無抵抗な原住民への虐待…。

そんな光景を目の当たりにしながらテイラーは兵士として成長すると同時に、戦争の現実を思い知らされる……といったお話。

 

さすがに近年では廃れたようですが、特に80年代のアメリカ映画では、もはや一つのジャンルとして確立できるくらいにベトナム戦争を題材にした作品が多々作られました。その多くがヒットしている事から、国民の関心度が高い表れでもあったんでしょう。

ベトナム戦争自体を描いた作品は多いですが、そこからさらにベトナム帰還兵が登場する作品まで数え出したら、そりゃもうキリがないくらい(笑)。

アメリカにとってベトナム戦争は世界史レベルで失敗だったとされているのに、そんな自国の汚点を映画という形で全世界にさらけ出すのって、ある意味、世間に向けた謝罪に近いものを感じます。

アメリカのみならず、ドイツあたりもそんな潔い真似ができるのに、日本はまだまだだ未熟な国なんだなと思い知らされます。

 

多くの映画の中のベトナム帰還兵キャラは、精神に破綻をきたしているとして描かれる事が多いです。

戦争から帰還した人なんてゴマンといるのに、どうしてベトナム帰りの人に限って異常者みたいになっちゃうの? ベトナムで何があったの?と感じる人は少なくないと思います。

映画で感じた疑問は映画で答えるという意味で、ベトナム戦争における戦闘を描いた作品、個人的には『地獄の黙示録』(の中盤まで)『ハンバーガー・ヒル』『フルメタル・ジャケット』(の後半)をアンサーとして挙げます。

それら3作を観た上で本作を観たんですが、これらの集大成になり得る作品に思えました。ベトナム戦争の異質さが少なからず垣間見れると思います(『ハンバーガー~』は戦闘の過酷さに重きを置いているように思える)。

 

理性の通じない所を地獄と言うなら、ここがそういう所だ

ベトナム帰還兵の精神が病んでしまう理由の一つを表すセリフです。

敵を殺すのが使命ながら、その発想が過剰になってベトナム人なら全て敵とみなしてしまう疑心暗鬼。彼らの生殺を自分の気の向くまま平然と行う同志の姿を見てしまえば、もしや自分の方がおかしいのでは?なんて気分にも陥りそうですしね。

精神の平静を求めてドラッグに走るのも、ある意味では仕方ない事になってしまうんでしょう。

味方も味方で仲間意識も薄いし、同じ隊内で派閥争いがあったり、指揮系統が混乱しているのか味方がいる地点に砲撃されたり、戦闘の恐怖に加え味方に対する不安感の方が遥かに大きくなり、考える力=理性を失ってしまうんじゃないかと。

どうにも解決できない異常な状況、つまり捌け口の探しようがないストレスが溜まりに溜まっておかしくなっちゃうのかもしれませんね。

ラスト、あれだけ憎んでいたバーンズと似たような真似をするあたり、やはりテイラーも正気を失わずにはいられなかったのは、そういう事なのかもしれません。

 

ビリング=キャスト表記の順番としてはトム・ベレンジャーさん、ウィレム・デフォーさんに次いでいますが、本作の主人公は誰が見てもテイラーを演じるチャーリー・シーンさん。お父さんであるマーティン・シーンさんもベトナムで異常な体験をしてたね~って、『地獄の黙示録』の話。

個人的に久々に見るチャーリーさん、やっぱり80'sイケメンなんだよな。ルックス的にトム・クルーズさん系というか。

だらしない私生活のせいで露出が減った事が悔やまれるけど、どうにか復帰して欲しいと思わせる俳優の一人です。ないかな…。

 

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Blu-ray版の映像特典にあるドキュメンタリーは本編と合わせて必見で、特に帰還兵たちによるディスカッションが興味深いです。

約10年で200万人がベトナムに行ったとされていますが、それだけの人数がいれば本作のような出来事は一切なかったという人もいるし、映画で語られる全てが真実ではない事を教えてくれます。
良くも悪くも、所詮は映画はエンターテインメントなんですよ。