『プロメテウス』を観ました。
ウェイランド社より選ばれた宇宙船プロメテウス号の乗組員、かつ考古学者であるショウとホロウェイは調査団のリーダーとして、古代遺跡にあった人類創生の鍵となる惑星LV223を目指す。
プロメテウス号はLV223に着陸、乗組員たちは人為的に作られたであろう岩山の調査を始める。
その内部では遺跡や遺体が散見され、そこで映し出されるホログラフから、人間のような生物が存在していた事が判明する。
一方、ショウやホロウェイと別行動を取っていたミルバーンとファイフィールドは謎の生物と遭遇、見た目とは裏腹の凄まじい力で彼らを惨殺する。
その頃、ショウが遺跡内にあった遺体のDNAを調べた結果、地球に住んでいる人間のものと一致した。
音信が途絶えたミルバーンとファイフィールドを捜索する中、何かに寄生されたホロウェイ。そしてショウの身体にも異変が起きて……といったお話。
とりあえず『~4』を以て、一旦のシリーズ終了したはずのエイリアンシリーズですが、近年流行りの前日譚=エピソードゼロ商法により復活を果たしました。
…と、こんな触れ込み自体がネタバレなんですがね(笑)。
一切の先行情報もなく、単作として本作を観た上で、「どことなく『エイリアン』のようなテイストが漂っているな~……んっ、これは?」と思えるのが一番の楽しみ方かもしれません。
前日譚という事で、第1作目の『エイリアン』で謎だった部分に触れています。
要は、こういう後付け設定による補完がやりたくて仕方ないんだよね。謎は謎のままにしといて、見る人の想像に任せとけばいいのに。
前4作に登場したエイリアンは徐々に形態を変えて進化していきましたが、その起源となるのがシンプルな姿というのはまぁ良かったですね。
ところどころで、第1作を思わせるようなシチュエーションがあるのは、第1作&今作の監督でもあるリドリー・スコットさんのセルフオマージュでしょうか?
感染した乗組員の収容を拒否するシーンや、壊れたロボットの表現方法とか(レトロで微笑ましい!)、何より非力だった女性=ショウが強くなっていく姿がリプリーの成長と重なります。
なので、序盤でのショウはあまり前に出ない方が良かったかな。
そんなショウさん、体力勝負ならリプリーさんには負けてません。ヘタすりゃ、クローンのリプリーよりも強靭な肉体をお持ちですよ。
何しろ、除去手術としてあれだけ長く&深くお腹を切った後(このシーンが痛々しい…!)、ホチキス止め程度にしか傷口を塞いでいないのに、あれだけ動かざるを得ないんだからウルトラハードな展開です。
ヘソの緒を切った直後に全力疾走とか、男の我々にゃ想像できない地獄ですよ(笑)。
ただ、それをあり得ないと揶揄するのではなく、あんな状況であれば痛くて動けないなんて言ってらんないし、もはや精神力で動いていると解釈するのが正解でしょう。
世界各国の古代人が描いた、人々が星を指している壁画を見て、地球人のルーツがあるであろう星を目指して旅立つという、実にロマンティックなシチュエーションから物語は始まります。
健全な映画であれば、地球人の起源となる生物と仲良しになってめでたしめでたしとなるんでしょうが、周知の通り、エイリアンシリーズとは暗く&救いのない不健全な作風です(『~3』を愛する俺ッチの戯言なので聞き流して下さい…)。
確かに、地球人の起源らしき生物はいたけど、だからって決して友好的な関係であるとは限らないんですよね。
古代の壁画も、“別の星からロクでもねぇ連中がやって来た”という不吉を表すメッセージを含んでいたかもしれないし、地球をあの生物の実験場にしようとしていた可能性すらあったかもしれません。
時間と金を掛けて遠路はるばるやって来たのはいいけど、その判断や選択が正しくなかったという、やっぱり救いのないお話でした。
エイリアンシリーズはこうでなきゃな!
冒頭の、地球上にもまだこんな所があったんだと思わせるような、上空から見た大自然の風景は壮観ですね。ハイビジョンで撮った環境ビデオみたいで。
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Blu-ray版はメイキング等の映像特典はなく、物語を補完するようなプロモーション映像や未公開シーンが収録されています。
この未公開シーンの多さは、後年にディレクターズカット版でも出しそうな予感。そういえば、“ディレクターズカット版”なんて言葉が世に広まったのもリドリー・スコットさんの作品だったしなぁ…。
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