ってことで、今日は、LOUD PARK10に出演も決まった日本の誇るカオティックバンド、DIR EN GREYについて書きます

言わずもがな、元々は、X JAPAN、LUNA SEA、黒夢あたりの影響がゴリゴリに感じられる音楽性で、ルックスもコッテコテのヴィジュアル系バンドだった彼ら

現在はその面影が1mmも感じられない、カオティック和風デスコアとでも言うべき恐るべき音像に深化しました
初期の印象が強く、メタル界隈に於いては、どうにも過小評価されている気がしてならないですが、出自はどうあれ、現在は唯一無二の音楽性を持った激音集団として、過酷な海外ツアーを最高に狂った音で蹂躙しながら、妥協無く更なる深みを目指してます
もっとメタル界で認められるべき存在であると強く思います
ちなみにメタル界隈とV系界隈の不仲は今に始まった事ではありません
象徴的な事件としては、1998年、富士急ハイランドで行われた、Marilyn Manson「ビューティフル・モンスターズ・ツアー」に於ける「PIERROT暴動」事件が挙げられます
コレは、Marilyn Manson側の依頼で同ツアーに参加した当時のヴィジュアル系バンドの代表格、PIERROTが登場するや否や、出演者のMarilyn MansonやMegadethのファンから凄まじいブーイングを浴びせられ、それに対してPIERROT voのキリトが「洋楽ファンの皆さん、初めまして。僕らがあなたたちの大嫌いな、日本のV系バンドです。今日はそれを承知でやってきました。」とかまし、「洋楽ファンの方たちにとってはこの時間がトイレタイムということで ・・・皆さん、相変わらず外人相手にヘラヘラやってますか? 日本人が憎くてしょうがないですか? あなた達の国籍はどこなんでしょう?」 と更にぶちかまし、緊張感と険悪極まる空気の中でライブを行った事件です
コレは、キリトとしては、事前にV系バンドの自分達のファンに対して、fxxkアティテュードな洋楽ファンが明らかにいた事から、その敵意を自分に向けさせる為にやった事という事もあり、どちらが悪いと明確に言うのは難しい事件ですが、両者の関係を端的に語る事件として、有名です
両者の不仲理由は色々有りますが、どちらかというとメタラーの方がヴィジュアル系を毛嫌いしている傾向が強いです
メタラーが彼らを嫌う主な理由は、①見た目重視でテクニックが無い ②曲調がナヨい上に、画一的で気に入らない(V系曲調については、また書きます) この2つが大きいと思います
逆のパターンはあまりありませんが、(というか、ヴィジュアル系の特性上、熱狂的ファンが多い故に、あまり相手にしない場合が多いという感じですが)①見た目がダサい。マッチョは嫌い。②曲が複雑な上に好みでない。(特にUS出自でMAJOR KEYを駆使するバンドは全然無理!
。。。マトリックスで言うと真逆に位置する位相です。絶対に交わらない、コレは
前述の事件は極端な例ですが、基本的にはこういった理由から国交は限りなく断絶しています
個人的には、少なくともメタラーがヴィジュアル系を毛嫌いするロジックは矛盾を孕んでるように思います
見た目重視でテクニックが無いってそれ、まんまLA METALですし、曲調が画一的ってメタル界で様式美は共通言語ですし、化粧が気に入らないってKISSや初期モトリーは一体って話だし、SLIPKNOTだってある意味V系だし、COLORのTOSHIはどうなんだ的突っ込みが入れられます
とは言え、このままではメタル界/V系界がそう簡単に交わるとは思えません
両者が交わるには、V系界に、メタル界の頑固者達も認めざるを得ない、誰もがひれ伏す激音集団が現れることが不可欠なのです
そして、このDIR EN GREYこそが、今、そのポジションに最も近い位置にいるバンドです。(現在は全く化粧をしていませんが、メタラーのイメージは間違いなくV系)
彼らが大きく変わり始めたのは、2003年の4th「VULGER」以降、これ以降から別バンドになったといってもいい位です
一言で言うと、音楽性がグッとへヴィになったのですが、そこからシングル、アルバムを重ねるごとに、更にへヴィに、カオティックに深化を遂げ、遂に最新AL「UROBOROS」で孤高の音楽に到達しました
この「UROBOROS」、本当に凄いアルバムです
冒頭SEの「SA,BIR」から、一切緩みの無いカオティック&プログレッシブな展開で9分の長さを全く感じさせない「VINUSHKA」への流れからして、一介のヴィジュアル系バンドの100万光年彼方へ彼らが到達した事を力強く語ります
その後も、カオティックな音像を基調としながらも、様々な色を見せながら、終曲「INCONVENIENT IDEAL」で静かに終幕を降ろすこのアルバムは、ヴィジュアル系の枠を越え、日本のロック史に深く刻まれる作品と言えるでしょう
音楽面で鍵を握るのはリーダーでもあるgtの薫です。彼の嗜好の変化が、このバンドの音楽性に大きな影響をもたらしたのは間違いないでしょう
演奏面ではプレイもステージングも決して派手ではありませんが、リーダーとして、全体像を見ながらバンドをコントロールしているような印象です
また、voの京のキャラクターも強烈です。唸るようなガテラル、グロウルヴォイスから、クリーンヴォイス、果ては悲鳴のようなホイッスルヴォイスまで、変幻自在なヴォーカルスタイルで非常に難解で独特な歌詞(DIR EN GREYは例外なく京の作詞)を吐き出す姿は、DIR EN GREYのパブリックイメージとして、強い印象を残します
感情を最も大事にするヴォーカリストなので、LIVEではピッチは狂いまくり、ペース配分を考えない為、何度も歌えなくなり、すぐに客席にマイクを向けるなど、そのスタンスには賛否両論ありますが、自分は爆裂にカッコいいと思います。以前は、LIVEの途中に吐血したり、身体を切り刻み出血させたりといった自傷パフォーマンスを行う等、過激なステージアクションでも知られる人です。※2009年以降は行っていない模様
drのShinyaは、XのYOSHIKIからの影響を公言してするだけあって、しっかりとリズムを支えるというタイプではなく、派手なセットとアクションで、「魅せる」ドラミングを身上としています。以前は非常に軽いドラミングで、正直メンバーの足を引っ張っていた印象もありましたが、猛練習により、ドラマーとしての資質が一気に開花。近年は変則的で複雑なリズムも力強く叩き倒し、立派にバンドの屋台骨としての役割を果たしています
近年は海外ツアーに行くV系系バンドも多いですが、そのほとんどは、小さなライブハウスで、日本の「アニメ」や「漫画」カルチャーへ憧れる海外の腐女子がメインの客層です
それが決して悪いわけではありませんが、DIR EN GREYはKORNやDEFTONES等、USの名立たるへヴィロックバンドと共にツアーを回るなど、海外でも「へヴィロックバンド」として、確固たる地位を築いています
前述の最新アルバム『UROBOROS』は世界17ヵ国で同時発売、米ビルボード誌のチャートで114位を記録する等、今まで誰もなし得なかった「日本のロックバンドの海外での大成功」に最も近いバンドです
次のアルバムで、V系出自なんて吹っ飛ばす更に深化した姿を見せ、頑固者メタラーを納得させた上で、世界制覇を成し遂げて欲しい!そう強く思っています
オススメ曲は、グロテスクなPVが強烈過ぎる印象を残す「OBSCURE」、軍隊の行進を思わせる、手数の多いドラミングが特徴的な必殺アジテートソング「THE IIID EMPIRE」、ラストのスパートが強烈!攻撃的な爆走曲「朔-saku-」、京の激唱が胸を打つ「CONCEIVED SORROW」、前述の「VINUSHKA」、初期の2ビート爆走曲を更にヘヴィにリアレンジした「残」あたりでしょうか
興味のある方は是非
そんなこんなで
tak