帰宅すると、マンション入口に植木鉢が置かれていた🪴
「ご自由にお持ちください」
その光景に大変驚いた
理由は、電車の中でこの本を読んだばかりだったからだ。
岸政彦『断片的なものの社会学』
『断片的なものの社会学』には
もっと皆 植木鉢を交換すればいいのにというくだりがあるのだ
大阪のおばちゃんは、植木鉢をキッカケにして
人との交流を生み出している。
うちのマンションに植木鉢が置いてあるなんて
かつてあっただろうか?
私が気にかけてこなかっただけなのか?
本の内容が現実に表れて、興奮した。
私たちは断片的にしか人と繋がっていない。
しかし人生は、誰の目にも留まらないような物語で溢れている。
風俗嬢として働く彼女が、自分もそちら側の世界に行こうと、勉強して起業する話。
彼女にとっては「夜の社会」が自分が変わる「窓」となった。
この本の存在も、私にとっての「窓」なのだ。
言葉は生きている。切れば血が出る。
そんな言葉も突きささる。
傷つけて傷ついてしまうけど、人っていいなと見直す。
岸政彦先生は社会学者として、人の語りを大切に汲み取る。
沖縄の戦争体験者、部落差別を受けた人、虐待や暴力を受けた人、LGBTQ…。
そのときの視点は
私が勉強している「ナラティヴ・セラピー」
という心理療法にも通じる。
本の中に没入すると心地よい時間が流れた。
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