読了した『家族と厄災』の感想です。
①女性の献身のうえに成り立つ日本の家族
コロナ禍で女性の自殺や、DVの相談件数が増加した。
家族の世話、食事作り。
特に、負担の大きな介護…。
日本の福祉の不備を支えてきたのが、家族愛。
犠牲になってきたのは女性だった。
家族は強者によって支配されている。
家族愛のようなベールで誤魔化されているが。
世の中をそういう視点で見られたことが
まずは大きな収穫だった。
②毒親と呼べるようになった効果は大きい
筆者は「毒親」という言葉を絶対に使わない。
そんな嫌な言葉では解決にならないという主張には賛同する。
しかし私は、毒親と呼ぶに進化したことには
もっと効果を認めてよいのでは?と思っている。
親を毒親と呼んだところで、
「反省する親もいない」し
「大男に小石を投げつけるに過ぎない」としても。
【被虐待児】だと言えなかった人たちが、
【うちの親は毒親だ】と言いやすくなった。
その心理的効果は大きいと感じる。
筆者は、アダルトチルドレンという
言葉を持ち込んだときに
大バッシングを受けてきた濃厚な経験がある。
戦うべきは「親を憎むなんて」「親を許せ」という社会常識。
確実にそうなのだが
そこと戦うために、毒親という言葉を用いて、
分かりやすい共感を得てしまうことも
卑怯でないと私は考える。
そう思うに至るのも、専門家としての矜持から
毒親への深い考察を持つ筆者と比べて
自分の見ている視界が狭いのだとは思う。
私自身も毒親育ち。
③不確実性に耐えろ
これは本に出てきた好きな言葉。
精神科医;樺沢紫苑の著書や、老子の言葉にもある。
私も毎日、答えを求めたい欲求でいっぱい。
けれど、不確実性の揺らぎのなかで生きていくのが人生であり、人間らしさなのだろう。
盆栽のような小さな世界で、
分かりやすさを求めてスマホばかり見ている
とは痛い指摘。
年末年始はデジタルからもう少し離れて、
本を読みたい
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