ログとしてのメール | 悪態のプログラマ

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とある職業プログラマの悪態を綴る。
入門書が書かないプログラミングのための知識、会社の研修が教えないシステム開発業界の裏話は、新人プログラマや、これからプログラマを目指す人たちへのメッセージでもある。

今週の "IT" のトラックバックテーマは「メールと電話、どっちが伝わる? 」である。しかし、メールと電話は本質的に違うものなので、同列に比較することはできない。

メールと電話にはそれぞれ特色がある。メールの利点は、書くとき推敲できること、いつでも何度でも読めること、データが添付できることだろうか。対する電話の利点は、相手の肉声が聞こえること、リアルタイムな情報交換(会話)ができることだろう。

また、人によっては、文章能力や会話能力に差があったり、好き嫌いの問題もある。自分だけでなく、相手がどうなのかも考える必要がある。

メールしたり電話したりする時には、誰でもそういったことを踏まえた上で、その都度、どちらかの方法を選んでいるのではないだろうか? どちらの利点も必要な場合は、メールを送った上で、電話も掛ける、ということもあるだろう。


ところで、メールには単なる伝達手段以外の使い方がある。

例えば、「1年前のトラブル、結局どうやって対応したんだっけ?」といった時、まず調べるのが過去のメールだ。1年前のメールを日付やタイトルで探したり、キーワードを指定して全文検索をかけたりする。頭では忘れてしまっている重要な情報が、メールの中から出てくることも少なくない。

あるいは、発言がころころ変わってしまうような相手とのやり取りも、過去のメールが残っていれば、「以前のメールには、こう書かれています」という反論ができる。口頭でのやり取りにありがちな、いわゆる「言った言わない問題」への対策にもなるわけだ。

このようなメールの使い方は、「ログ」の使い方に似ている。

「ログ」というのは、プログラムが、エラーの発生状況、ユーザーの操作、通信の状態などの情報を、時系列にどんどん記録していったものである。何か問題が発生したら、システム管理者などが、そのログを見て、原因究明の手がかりにする。

日付や時刻と一緒に記録され、後から参照できるような情報は、ログとしての機能を備えているといってよいだろう。例えば、「日記は人生のログだ」ということもできる。「ブログ」の語源とされる「Weblog」の「log」もこの「ログ」である。


ログとメールで大きく違うのは、それが読まれないかもしれない可能性の大きさである。通常、プログラムのログは、何か問題が発生しなければ、誰にも読まれない。しかし、メールは普通は、相手に読んでもらうために書くものだ。

しかし、この違いは、あくまでも程度の違いであって、メールにも「読まれない可能性」はあることには、注意が必要だ。

それはブログでも同じことなのだが。。。




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