●6つのトレーニング構成要素とは
①ゴールの設定(目標を掲げる)
あなたが出場を予定している種目の実際のタイムや順位を目標として記載する。
これらのゴールはあくまで達成可能なものにすべきです。
OWSは開催場所や当日の状況次第で常に一定したタイムがでるとは限らないことも理解しておくこと。経験の浅い方はタイムにこだわるよりも完泳を目指すべし。
ある一定の距離を決めて;
○ストローク数が一定しているか・
○ピッチが同一になっているかなど個々の能力にあわせて設定をしてください。
②身体の準備(基礎体力・基礎泳力)
現状での体力・筋力そして強化したい箇所・身体の発達への正しい知識など、例えば長距離スイマーなら安全でかつ効果的な無酸素運動能力養成の基礎を身につけるより先にまず有酸素運動能力を高める必要がある。(具体的には5回に一回呼吸などハイパー能力よりも毎回しっかりと安定した呼吸<できれば相互(両側)呼吸>をこころがける。
③気持ちの準備(心理面)
オープンウオータースイミングは70~80%がメンタル部分なのですから、不安や恐怖心を取り除いたり、レース前に過度なストレスや寝不足などは絶対に避けること。
レース経験の浅い方は不安感や恐怖感を取り除くことをこころかげるだけで気持ちに余裕ができるので逆に安心感が生まれる。
○あくまで無理をせず、自分のペースを守ること。
④スイムテクニック向上(OWS独特の技術を学ぼう)
●泳力向上のための身体の姿勢つくり
●ストロークの改善(フォームの矯正など)
●OWS独特のヘッドアップスイミングやドラフテイング・波の掴み方・チェンジオブペースなどをレースに即して練習する。
これらのテクニックはプールで十分トレーニングができるものです。
⑤レース戦略
これは当然レース全体戦略を含むものでどの位置からスタートして、第一ブイまでどのようなペースを保ち、中間地点で相手選手との間合いを計りながら抜き去るチャンスをうかがうなどの具体的なレースを想定した全体プランをイメージしてみること。
(Visualisation Training)
当然予測し得ない状況が発生することもあるが柔軟的な考えを持っていればそれに即した対応が可能になる。
⑥基準の設定
それぞれの段階で進行度を測り、その都度検討を加え、最善の基準を設定する。あらかじめ1時間泳などで自分のペース配分や距離に応じたスピードなどを確認しておくことも重要です。
これらの6つの構成要素をひとつづつクリアしてゆけばもうアナタはりっぱなオープンウオータースイマーです。
参考資料:Serious
Training for Serious Athletes by Rob Sleammaker
オープンウオーターのフリースタイル
オープンウオーターでのフリースタイルは以下の3つの目的を持つ。
(1)スピード
Speed
(2)効率性
Efficiency
(3)耐久性(持続性)Endurance
(1)スピードについて
まず自分のストローク数を知ることが重要です。1分間でどれくらいストロークをするのかを確認してみて。プール競技などでのスイムと違い、オープンウオーターでは距離を長く泳がなくてはならないので200mや400mのピッチで泳ぐことは無理です。理想は1500mをプールで泳ぐときのストローク数で継続できることがいいと思いますが、各スイマーによってストローク数が異なるので自分のプールでの泳ぎにおいて自分のストロー数をカウントし、そのペースがどれくらいなのかを確認することから始めてください。平均では1分間で40~70ストロークが妥当です。(海などでは波などの条件によって異なるし、泳力や男女差などによって異なります)
(2)効率性では
いかにエネルギーの消費を抑えて泳げるかが勝負。そのためには
※5つの要素があるのでそれらを考慮すること。
■効率的なストロークをおこなうための5つの要素
(1)ボデイポジション Body Position
(2)ボデイロール Body Roll
(3)アームプル Arm Pull
(4)キック Kick
(5)呼吸パターン Breathing Patterns
(3)耐久性(持続性)をつけるには
個人の身体的能力にもよるが、やはり連続して長い距離を泳ぐ能力を養成すること。と同時に同じペースをくずさずにそれだけ長時間そのペースが持続できるかを身につけること。
これには定期的に目標を決めて練習をすることが条件となります。
その練習は
①
連続泳:たとえば3kmのレースに出場するならば約15%増し(オープンウオーターではあらかじめ接待された距離よりも平均で15%以上は多く泳ぐことになる)の距離を連続して泳げるかをトライして自信をつけて下さい。※これははじめてレースに出場する人は精神的にも体力的にも重要です。
②
ペースの確立:自分のレベルに応じて200m。400m。800mの距離を設定して自分のペースが一定になるようなレペテイショントレーニングをおこなうこと。以上を理解してオフシーズンに十分なトレーニングを積んでください。
Open Water Swimming by Penny Lee Deanから引用(抜粋)
誰でもできるトレーニング計画のすすめ
シーズンを迎えるにあたって、「どうやってトレーニング計画を立案するの?」
「どうしても仕事の合間に練習をおこなうので効率的な方法を教えて」との問いに今回、「気軽に誰でもできるトレーニング計画」をご紹介します。
仕事や家事の合間にトレーニングをやらねばならないのでもっとシンプルにわかりやすく計画を立案してその計画をスムーズに達成できることを念頭に自分のトレーニング計画を作成すること。
●いろんなスイマーがいればいろんな練習法がある
スイマーもいろんなレベルのスイマーがいて、ビギナーからエリートスイマーまでいろいろ。基本的な考え方はみな同じなのですが、実際に役に立つトレーニングプランの内容はそれぞれの個人にあったものであるべきで、皆それぞれが違うもの。
例えばビギナーはひとつひとつ自分のレベルや身体能力に見合ったゴールを目指して
■
楽に
■
達成可能なレベルからステップ・バイ・ステップで始める。
特に持久力・耐久力が必要なオープンウオータースイミングは段階的に計画されたトレーニングシステムがすべてのレベルで必要なのです。
●5つの期間;シーズンを大きく5つの期間に区分してみる
(1)基礎期間:
まず体力づくり。あなたの弱点を理解して矯正すべく、筋力アップや心肺機能の強化です。
スポーツクラブ等でインストラクターと相談のうえ、マシーンなどを利用して筋力強化をおこなってください、また自宅などでストレッチコードなどを利用したチューブトレーニングをおこなうのもよい。
そうはいっても人間のやること。「あ~・やる気はあるけど行動が伴わない」「つい食っちゃ~寝る・飲んじゃ~練習しない」なんてことになっちゃうのですよね。だから一人でやるよりも仲間を見つけてグループにやる事を意識してスポーツクラブに通うクセをつけること。暇を見つけたらとにかくスポーツクラブにゆけと。そこへゆけばきっと同じ志を持った仲間がいるものです。
(2)集中期間:
基礎体力が出来上がったら、次は可能な限り長い距離を泳いで週間・月間で○○kmを泳ぎこむという目標をたてる。
“量のスイムトレーニング”をおこなってください。一定のペースで安定した泳力を養成する。
安定した基礎泳力の向上です。フォームやかっこなど気にせずにたくさん泳ぎ込む。
まわりにひんしゅくを買ってもかまわん。泳いで・泳いで・泳ぎぬけ。特にビギナーの人などは距離をこなすことによってある程度水中での姿勢ができてくるもの。
水に同化するボデイポジションというか水の抵抗を受けにくくなるストリームライン等が身についてくるよ。(フォームの矯正はそれからで大丈夫・心配なし)。
(3)ピーク期間:
シーズンがだんだん近づくにつれて量から“質のスイムトレーニング”に切り替える。
具体的にはレペテイション反復(100mx10本)を30秒レストであるいは(50mx30本)15秒レストで。
イージーハード練習・デセンデイング・ネガテイブスプリッツなどなどを通して距離に応じた自分のレースペースを確立すること。自分のスピードに見合ったレースペースの確立が重要です。一見矛盾するようですがオープンウオータースイミングでは安定した一定のペースで泳げるイーブンペースと実際のレースで一気に飛ばす場所と一定のリラックスしたペースで泳ぐことを組み合わせた『スピードの変化』をつけたスイムペースの両方を学ぶことが重要。
(4)競技期間:
スイムレースは複数大会を選んで出場する。その場合、最重要視する大会に照準を合わせ、徐々に泳ぐスピードの向上を図ってゆく。ひとつひとつのレースは出場前に必ずレース戦略をたてておくことが重要。
ビジュアライゼーションといって出場前に自分が出場することを想定してレース会場到着からレース召集・スタート・レース中・レース後にわたって各シーンを画像でイメージしてみる。
不安な点や不明な点があれば書き留めておく。質問等はレース説明会等で積極的に質問する。
(5)休息期間:
大会が終わったあとは、その結果を(タイム。着順)等を確認しながら成功した点・達成できなかったことなどを箇条書きにしてじっくりと次の目標を立案する。
この期間はゆっくりと心身ともにリラックスし充分な休息をとること。レース後に実際のスイムがイメージと異なった点などについて自分で検証し、改善することによって次回のレースは格段の差がでてくるはず。
それぞれの期間については、当然あなたの経験度や体力・泳力・体調・そしてレース期間の長さ(年間どれくらいのレースに出場するか)によって異なります。それぞれのステージにおいてどのようなトレーニングを積んでゆけばいいか。ステージごとに体力の増進や筋力アップなどをおこなって競技の日に最高のコンデイションにもって行くことを理解してください。
特に忙しい人はこの期間を短期にして2~3ケ月サイクルで体調を整えてゆくことも可能です。
気をつけなければいけないことは短距離などの選手と異なり、持久力・耐久力を必要とするオープンウオータースイミングはそれだけ長い期間の調整が必要で、体調をベストの状態にしてゆくのは時間がかかるということを理解してください。
参考資料:Serious
Training for Serious Athletes by Rob Sleammaker