パパ・パパゲーノ -100ページ目

ファルセット

 歌を歌うときに、音程が高くなるに従って声が出しにくくなりますね。もちろん、自分の声の低い方の限界近くも出しにくいけれど。


 高い方へ上がっていくと途中で、声が裏返るところがあります。無理して登っていくと、のどが詰まったような無理な発声になってしまいます。そのときには、裏声(ファルセット、イタリア語 falsetto )で歌えると、まあ、楽に高い声が出せるようになります。


 私は、誰に教わったわけでもないけれど、裏声を出すことはできます。裏声であるというだけで、きれいな声ではありませんよ。事情があって、人に裏声の出し方を伝授しようとしたら、むずかしいのなんの。言葉で説明するのがこんなに難しい領域もそう多くはないと思いました。


 ネットで検索してみると、プロから、悪戦苦闘している初心者の告白まで、たくさん出てきますが、それを読んでファルセットが出せるようになると言えそうな解説にはついに出会わなかった。実際に表声・裏声を目の前で出してもらっても、真似する手がかりがないのですね。


 美空ひばりという人は、裏声もじつに魅力的でした。


 ひとり酒場で呑む酒は


という歌の、「のーむーさーけーはー」の「さ」のところが裏声だったと思います。あんな声がファルセットです、としか、今のところ言えないのです。力を抜いて、頭から抜けるような、ちょっと息の混ざったような声です。


イメージ検索

 このブログでも、ときどきグーグルのイメージ検索のことを書いています。画像検索とも言うようです。


 グーグルの検索機能は目を見張るばかりですね。スカーレット・ヨハンソンでも、モニカ・ベルッチでも、小池栄子でも、名前を打ってイメージの画面にすれば、写真や絵や、漫画や、なんでも画像で出てきます。


 シャルロット・チャーチというイギリスのソプラノ歌手は、パパラッチに追いかけられているらしく、望遠の盗撮写真が何枚もあって気の毒なくらいです。いっときは、悪質な合成写真が公開されていました。さすがに、今は消えています。


 どんなカタチか色か、というのが文字を入力するだけで分かる仕掛けは、じつに重宝しますが、一歩進んで、写真画像を示して、これは何という名前か分かる検索機能というのはまだできていませんよね。あったら、使いたい。花の名前がそうして分かる日がくるといいと、切実に思いますね。


 ついでに夢を。コンピュータにマイクでメロディーを録音したら、その曲名が出てくる仕組みができないものでしょうか。


 グーグルの画像検索の、逆のことができるとどんなにいいだろうと考えています。

索引

 単行本を編集するときは、索引をつけるのが普通でした。今は索引のない本が多いので、ちょっとさびしい。


 コンピュータで、全文検索すれば簡単にできる、と思っている人が多い。これは、本を書く学者の中にもいます。索引項目(愛、合う、和える、などなど)が出てきたページを残らず掲載しても、それを索引と呼ぶことはできません。


 定義や、説明や、解釈や、その項目について情報が得られるページを示さなければいけないからです。ですから、索引は、それを書いた人が、「ここを参照してください」という目的で作らなければ役に立たないのです。


 実際には、著者以外の人が、意図を忖度して項目選びをすることもあります。私もやったことがあります。大切なのは、参照ページが多すぎないことです。言語学の専門書の中には、チョムスキーという(20世紀アメリカを代表する学者であることに疑いはありませんが)項目だけ突出して参照ページの多い本がありました。太字にして、とくに大事なページを示すやり方もあります。これも、多すぎると役に立たない。


 要は、引く人の役に立つか否か、です。探している項目の情報が、ピタピタと当たる索引というのがときどきあります。そのように作られた本に会うと、本を読むよろこびが倍加します。

ヴェニスの舟歌

 合唱団の指導をしてらっしゃる方のブログで「ヴェニスの舟歌」という曲のことが出てきました。ネットで検索してみたら、メンデルスゾーンのピアノ曲集「無言歌」の1曲に、そのタイトルがありました。同じ曲集にもう1曲同じタイトルのものがあります。


 ブログで言及なさったのが、これかどうかは分かりませんが、第11曲の「舟歌」の心にしみることといったらありません。私が見つけたCDでは、アンドラーシュ・シフというピアニストが弾いています。名前から類推すると、ハンガリー人かもしれません。


 「無言歌」で、もっとも有名な曲は「春の歌」、ピアノを弾く人たちは、おそらく「スプリング・ソング」と呼んでいるものです。ソドードミミドーソ ソソーソレドシラソ と始まるあの曲です。


 全部で22曲からなる「無言歌」を通して聴いたのは初めてです。メンデルスゾーンは、ヴァイオリン協奏曲に子どものころから親しんでいますが、ソプラノのヴォカリーゼ(練習曲でしょうね)も素敵でしたし、このピアノ曲もメロディーが美しい。たまたま、あるところからもらって聞かずじまいにしていた「弦楽四重奏」のCDもあります。これから聞きます。


 耳のレパートリーが増えるのはローゴの楽しみが増えることなのですね。


 

仏手柑

  近所の蕎麦屋に行ったら、出窓にカボチャほどの大きさの黄色いかんきつ類が置いてありました。帰りしなに尋ねたら、「柚子です」という返事。鼻を寄せて匂いをかいだら確かにかすかに柚子の香りがしました。それにしても大きさがすごい。観賞用の柚子なのでしょうね。


 小林古径(こけい)という日本画家がいました。1884年生まれ、1957年没。東京芸術大学教授でした。上半身裸身の婦人が、紺色の縞の着物を着たひとに長い黒髪を梳いてもらっている、『髪』という絵が、ずっと前に切手になったことがあったと思います。


 歴史物語を題材にしたもの、動物・植物を描いたもの、能の舞台を描いたもの、など、凛呼とした気品にあふれる絵画をたくさん残しました。出身地、上越市に小林古径記念美術館というのがあるそうです。まだ訪れたことはありませんが。


 東京・竹橋の国立近代美術館に、古径作『仏手柑』という小品が常設されています。30センチ四方に納まるほどの絵です。この、黄色というか、橙色というか、うすい青地に浮かぶ、ミカンの色が昔から大好きです。この絵の前に立つと、その瞬間、盗人になろうかなという、イケナイ心的状態になります。


 仏手柑(ぶっしゅかん)は、生食はできないのだそうです。木になっている様子を一度は見たいと思っていますが、どこで見られるのでしょうね。