皆さんこんばんは。なじょんしょばのanniです。
既に開催から2か月半も経ってしまいましたが、第6回CRM講座のレポです。
ちなみに第1~5回の内容はこちら↓。
以下、第6回の概要です。
開催日時:8/26(土) 19:00~21:00(夜の部)
場所:Web
講師:現役機長のHideさんと副操縦士のMoriさん
テーマ:Decision Making(意思決定)~あなたは独断で動いていませんか?チーム内のあらゆるリソースを活用して最善の決断へと導くリーダーに必要な能力とは~
CRM=Crew Resource Managementとは「マネジメントをする立場として、様々な情報や部下などの能力を最大限に引き出し、最良の結果を出すために必要なスキル」です。
※ Morgenrot(モルゲンロート)さんのHPより
それでは僭越ながら、私の視点から今回の講座の感想を書いてみたいと思います。
尚、文字ばかりだとアレなので、箸休め的に適当に過去or最新の写真を貼りますが、講座の内容とは全く関係がない点は悪しからず。また、最近空港ではなく海の港へ行くことが多いのでそちらの写真がメインです。
1. はじめに
講義はいつもどおりまずはCRMとその構成要素の説明が。
・コミュニケーション ⇒ 第2回
・チーム形成・維持 ⇒ 第3回
・ワークロードマネジメント ⇒ 第4回
・状況認識マネジメント ⇒ 第5回
・意思決定 ⇒ 今回
第2回~第5回のスキルをどのように活かしてチームを導いていくのか?といったお話です
クルーズ船・飛鳥Ⅱの入港。
2. 概要
目の前の問題に対し、解決策の立案、解決策の選択・決定に至るプロセスが今回の意思決定です。
意思決定の大まかな流れですが、
① 目的を達成するための譲ることが出来ない最低条件を明確にする。(例:予算や納期など)
② 各自が自分の意見を出して解決策を提示する=リーダーシップ・フォロワーシップ
③ メンバーの意見を活用する。
④ 決定事項をメンバーに伝え、実行する。
です。
箇条書きにすると至極当たり前のことに思えますが、人が集団になって一枚岩になるというのはとても難しいこと。その反面、一枚岩になったときのパワーはもの凄いのも事実。
そのパワーを上手く引き出して問題を解決していく。これが意思決定だと私は理解しました。
クルーズ船・飛鳥Ⅱの接岸。
3. 最低条件の明確化
リーダーはメンバーに解決策を考えてもらい、提案を募る場合があります。
この時、条件を曖昧にしたまま検討を始めてしまうと実行不可能な解決策が出てきしまいますし、メンバーからは「最初から言ってよ」と苦情が来ることにもなりかねません。
そしてそんなモチベーションが下がった状態で再考しても、良い結果が得られるとは思えません。
仕事でも、とりあえず検討しろと言われたけれどもインプットが全然足りず、上司に何度も情報を求めることに・・・なんて経験はないでしょうか?
メンバーに必要な時に必要なだけのインプットをしっかり与えられるリーダーが理想ですよね。
ということは、リーダーは出てきては困る提案を予め想定しておかないとマズそうです。そこから逆算して最低条件を提示すると。つまり、丸投げする人はリーダーに向いていないというわけです。
巡視船と虹。
4. リーダーシップ・フォロワーシップ
ここでは第3回で習った「チーム形成・維持」のスキルが求められます。
リーダシップを発揮し、自由で活発に意見が出る雰囲気を醸成し、上手く意見の相違を解決するということになるかと思います。
高圧的なリーダの下では自分に考えがあってもメンバーは意見を出しにくいですし、内心は反論しつつも黙って従うメンバーもいるかもしれません。
メンバーはフォロワーとして、リーダーや他のメンバーに積極的に働きかけるような姿勢が求められると。
しかし、精神的に相容れないリーダに対してメンバーは自発的に動こうとするでしょうか?
結局、人間は感情で動く生き物で、理屈じゃ動きません。それでも表面上は動くかもしれませんが、高いパフォーマンスが発揮されるかどうかが疑問です。
そうならないために次の取り組みが必要になります。
北陸新幹線陸揚げ。来年は敦賀まで開通するので増車でしょうか。
5. メンバーの意見を活用する
コツはメンバーを上手に頼るリーダを目指すとのことです。そのポイントは、
・チームの「価値基準」を共有する。
・経過に細かく指示しないで管理しない。
・結果についてのコメントをしっかりする。
・失敗はリーダの責任という覚悟を持つ。
ですが、私としては「チームの「価値基準」を共有する」というのが一番大切なんじゃないかと思いました。
仕事においても同じ未来を共有できるか?というのはとても大切で、職場の足並みが揃うかはこれにかかっているのでは?と。
従業員にとってその会社の事業が魅力的であれば、従業員は自ら率先して自律的に働くような気がします。しかし従業員にその魅力を伝え、理解してもらうための経営側の努力も必要でしょうし、経営者や管理職自身に何かしらの魅力も必要な気もします。
後の3つは一言で言えば信頼感の醸成でしょうか。
また、ここではチームの雰囲気(Climate)がとても大事になってくるとのことです。そのポイントは、
・自分の行動がチームに与える影響を意識して行動する。
・エラーを指摘しやすい雰囲気作り、指摘されたら受け入れる。
・チーム内の雰囲気をモニタし、適宜修正する。
・メンバを信頼していることを示し、自分も信頼を得るように努める。
とのことですが、コミュニケーション、チーム形成・維持、ワークロードマネジメント、状況認識マネジメントとあらゆるスキルを活用する必要がありそうです。
どれだけ気を回して仕事ができるか?ある程度自分に余裕がないと難しそうだなと思いました。最近の管理職層は仕事に忙殺されて余裕がなさそうですし、これはなかなか大変ですね(汗)
新幹線を見て、養生テープって最強の使い勝手だよな・・・と、ふと思いました。
6. 決定事項をメンバーに伝え、実行する
リーダは決定事項をメンバーに伝え、解決策を実行に移すわけですが、各メンバーが決定事項を正しく理解しているかが大事になってきます。
しかし、それをリーダーがメンバーにいちいち確認するのも先のチームの雰囲気を悪くしかねません。リーダーは自分を疑っているのか?と。
そのためにはメンバーも自ら理解したことをリーダに示さなければならないのですが、確かにこの行為は怠りがちだなと思いました。
そのため、航空業界ではSRTO=Standard Resoponse To Orderというものがあるそうで、要は復唱と確認です。
CRM講座ではここで、PF=操縦担当とPM=モニタ担当のギヤダウンの実演がありました。
PF:Gear down
PM:Gear down(復唱)
PM:ギヤレバーを操作
PM:3 Green(3つあるランディングギヤが各々正常に出た事を示すランプの色と数)
PF:Check!
これは「PFがPMに指示 ⇒ PMは復唱して指示を理解したことを示す ⇒ PMは指示を実行した結果をPFに報告する ⇒ PFは結果を確認し、問題が無いことをPMに伝える」という見事な流れでした。
小松空港空の日イベントでJALの物販をゲット。↑をデザインされた方が直接販売していました。
7. ミニゲーム
参加者全員で、集団の意思決定を体験しました。
まず10種類の動物が提示され、日本人が日本を動物に例えた場合に、その10種類の選ばれるランキングを予想するというもの。
参加者自らがリーダー役やメンバー役を決め、協力しながら答えを出すというものですが、いやはやなかなか難しい。また、幾つか条件が提示されますが、その一つに「多数決はしない」というのもありました。
特に相手の表情を伺えないWebでの開催だったので、相手の感情が読めないというのも厄介でしたが、良い経験になりました。
ドイツから直送のおビール。下戸な私はコップ一杯で出来上がりました。
8. おわりに
今回はこれまでのCRM講座の総集編ということで、一つの区切りになりました。
しかし、CRM講座で学んだ知識を身に付けるには実践と復習がキモ。ようやくその入口に立ったというところで、これを完全にマスターして自身のスキルにするには訓練が必要となると思います。そう言った意味では、1度の受講ではなく複数回の受講が望ましいのかなと。
Hideさん曰く、また同様の講座を開催する予定とのことで楽しみにしておきます。
ちなみにCRMで少し気になってWebを徘徊していたら、↓の論文を発見しました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kjsass/64/4/64_117/_pdf
CRM訓練についての記述があり、なかなか興味深いものがありましたのでご参考まで。
また、先日↑の航空講座が開催され、私はWebで参加しました。
講座では元CAのYoshikoさんが語る、ここでは書けないような爆笑裏話が聞けたり、フライトシミュレーターを使って現役パイロットさんから操縦の指導を受けられるなどなど、日常では絶対に味わえない体験が出来るイベントです。
今回は成田開催ということで参加が叶わなかったのですが、いつかアクセスしやすいところで開催された際には是非とも参加してみたいなと思いました。
おわり。