たたかい終えて(第168回直木賞)。 | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

あっという間に3月。

信じたくないが、とうとう・・・花粉症になったっぽいんです!!!

わ〜ん><

 

とはいえ花粉症の症状が出たのはおとといまでの数日間。

昨日から全然目も痒くないし、鼻もでない。

一方、花粉症のプロである汗かき夫は毎日辛そう。ウシシ。←

結局、毎年数日だけ花粉症らしき症状が出るものの、すぐに終わる。

いよいよとうとう花粉症になった、と毎年騒いで高い目薬を買っては、買った途端に目も痒くなくなり、そのまま放置されていくのであった。

毎年毎年、もったいないやろーーーーー!!!!

 

↓アレルギー検査を受けた話。スギ花粉も多少ありましたが・・・

 

そんな花粉症疑惑まみれのあもちゃん、嬉々として第168回直木賞の選評を読みました!!

いやー、こんなにウッキウキで読んだのおひさしぶり〜ふ。

直木賞受賞の小川さんのお姿をあちこちで見かけるたびに、心から応援しちゃうよね。

(器がオチョコなみに極小のあもちゃん、外したら受賞作家まで憎い!ウソ)

 

そんなわけで第168回の選評について書いていきたい。

 

 

 

↓あもる一人直木賞(第168回)選考会の様子はこちら・・

 

 

 

 

 

 

 

受賞記念企画として、小川さんは選考委員の一人でもある浅田次郎さんと、千早さんはこれまた選考委員の北方のオジキと対談としていた。オジキの直木賞関連の最後?の仕事。

 

対談の内容は圧倒的に浅田さんと小川さんの方が面白く、対談の内容全てが興味深かったが、オジキと千早さんの対談で興味深かったのは北方のオジキは女性作家からは「ダディ」と呼ばれていること・・・だ・・だでぃ・・ヒロミ・ゴー?

(男性作家は、オヤジorオジキ呼びだそう・・私、男性作家だった!?笑)

 

そんな直木賞選考委員退任が決まっているダディから、千早さんはありがたく小説家のあり方などを拝聴(←勝手な私の想像)していました。

改めて思うのは、小説家の世界って狭いんだな〜。

ま、どの世界も狭いんだけどさ。

選考する側と選考される側が知り合いとか仲良しとか、超絶やりにくくないですか!?

和をもって尊しとなすあもちゃん、すぐあれこれ忖度しちゃいそうなんですけど。

 

↓オジキ、選考委員やめるってよ。

 

一方の小川さんと浅田さんは、小説の書き方やら受賞作の内容・取材体験などについて触れつつ、時代小説を書く側として、戦争の是非はともかくとして、勝負としての戦争や勝ち方・戦い方、戦いの視野などについて、まさに受賞作の「地図と拳」の「地図」の大きさの把握などに触れながら語っておりました。また受賞作では「都市計画と建築」も大きなテーマになっており、「建築には歴史と思想が詰まっている」との描写についてお二人が熱く対談する様子がとにかく面白かった!私もあれこれ話した〜い。

 

さて話は直木賞選評に戻り、本物の選考委員がいかに候補作を読んだのか、が選評として載っていたので簡単にまとめたい(受賞作を中心に)。

※ざっくり◎○△×で分けたが、選考委員の微妙な表現については私のさじ加減なのでご了承を。

 

(選考委員は掲載順)

・浅田次郎 「光のとこにいてね」 △

      「地図と拳」 ◎

      「クロコダイル・ティアーズ」 ×

      「しろがねの葉」 ○

      「汝、星のごとく」 △

 

受賞作二作とも絶賛するも、「地図と拳」を「しろがねの葉」より高い点をつけたのはそれぞれのテーマが持つ求心力の差である、としている。小川さんとの対談でもそうだったが、浅田氏はとにかく「地図と拳」に一貫してブレずに流れる力強いテーマに高い評価を与えている。

 

・北方謙三 「光のとこにいてね」 △

      「地図と拳」 ◎

      「クロコダイル・ティアーズ」 △

      「しろがねの葉」 ○

      「汝、星のごとく」 △

 

何度もいうが、オジキ最後の直木賞選評である。

そしてこちらも何度もいうが、ここ最近オジキがまともになっててつまんないわ。←コラッ

オジキの選評は受賞作2作に対するものより、他の候補作3作への選評が丁寧であったように思う。ベテランからの置き土産でしょうかね。

「クロコダイル・ティアーズ」と「光のとこにいてね」のラスト、私は面白いと感じた箇所なのだが、どちらもオジキはお気に召さなかった模様。

ただ、その意見もきっと出るだろうなあ、と思っていたので想定内であったし、一方のオジキもそこは賛否分かれるだろう、と書いてた。

 

・宮部みゆき「光のとこにいてね」 △

      「地図と拳」 ◎

      「クロコダイル・ティアーズ」 △

      「しろがねの葉」 ◎

      「汝、星のごとく」 △

 

宮部さん、いつもは受賞作にしか触れないのにここ最近は全候補作について触れてくれる。

誰かになんか言われたんやろか笑

受賞作二作について、こちらもまた大絶賛でした。

小川さんの作品は登場人物がキャラ立ちしている小説であるので、キャラのキャスティングの妄想を膨らませて、あれこれ俳優の名前を挙げていた宮部さん。

キャラ立ちしているのはそのとおりなのだが、流石に宮部さんのあげた俳優陣(特に須野明男を賀来賢人としたこと)は納得できません!笑

ちなみに私もキャラ立ちしていた何人かの人物は勝手に容姿や風貌を想像しておりました。実在の人物ではなく漫画で。

あもちゃんイチオシの細川は有閑倶楽部の清四郎でした。←例えが古い笑

(宮部さんは神木隆之介くんだったそうです。。。。似てるっちゃ似てる。。。?)

 

・髙村 薫 「光のとこにいてね」 ×

      「地図と拳」 ○

      「クロコダイル・ティアーズ」 ×

      「しろがねの葉」 ◎

      「汝、星のごとく」 ×

 

髙村さんって毎度厳しいわあ・・・。

読んでる方は面白いが、当の作家さんたちは内心色々言いたいことはあるかもしれん。どちらも大変な仕事ではある。

千早さんに関してその小説の才を絶賛し、さらに島根の方言とあいまって女性らしい柔らかさのある文章を生んでいる、と作品も絶賛していた。

小川さんの作品も、オーソドックスではあるが、エンターテインメントとして間然するところなし、と高く評価している。

 

・伊集院静 「光のとこにいてね」 不明(多分×)

      「地図と拳」 ○

      「クロコダイル・ティアーズ」 不明(多分×)

      「しろがねの葉」 ◎

      「汝、星のごとく」 不明(多分×)

 

選評最後に「誌面つきて他作家の評ができなかった」とありまして、いつも受賞作にしか触れないんですが、誌面尽きるとか言ってないで誌面を計画的に計算して、他の作家の評をしたまえ、と思う私なのです。

それはさておきこちらは千早さん推しだったご様子。他作家の評ができないくらい誌面を割いて絶賛しておりました。

もう一方の小川さんについては「丹念な執筆の進め方は評価されるべき」と言いつつも、なんとな〜くモヤモヤしているご様子(特に満州の扱い)。「選考委員からこれほど多くの支持を得たのだから、何かがあるのだろう。」・・・ってナニその言い方!?評価しないなら評価しないとはっきり言えばいいのに。誌面はまだ残ってたぞ。

 

・三浦しをん「光のとこにいてね」 △

      「地図と拳」 ◎

      「クロコダイル・ティアーズ」 △

      「しろがねの葉」 ○

      「汝、星のごとく」 ×

 

私がしをんちゃんラブなことに加え、伊集院氏の選評の直後に読んだこともあり、しをんちゃんの選評の細やかな内容に改めて拍手を送りたい気持ちになった。

まず冒頭に誰を推したか、を書いてあるのがいいよね。

これ、小説じゃないんだから選考委員として選評を書く以上、自身の選考過程を書くってすごく大事なことだと思う。しをんちゃんを直木賞選考委員に選んだこと、そしてしをんちゃんがそれを受けてくれたことは私たち読者にとって大変ありがたいことだと思う。しをんちゃんは直木賞の良心。

で、そんな良心しをんちゃんは小川さんを推したそうです。ま、そうでしょうね。

2番目に推したのが千早さん、もう少しファンタジック(本作が持つ小説本来の呪術性の方向へ)に飛翔・飛躍しても良かったのでは?など多少の減点があったが、二作受賞に異論なし。

選考委員全体に評価の低かった(でも私は割と評価高め)「クロコダイル・ティアーズ」について、思ったより評価が高くてちょっとホッ。

そして凪良さんと一穂さんの作品が同じテイストと口を揃えて皆が描く中、しをんちゃんはそんなこと言ってなくて、それもまたホッ。設定やテーマが丸かぶりしているだけで、テイストは全然違いますから!!!

 

・林真理子 「光のとこにいてね」 ×

      「地図と拳」 ○

      「クロコダイル・ティアーズ」 ×

      「しろがねの葉」 ◎

      「汝、星のごとく」 ×

 

林のおばちゃんの選評って、結果は全然違うのに思ってることは私と通じることも多かったりするのだが(それがまたイヤ笑)、今回はまるで違いましたなあ。

「クロコダイル・ティアーズ」が明らかに読者を誘導している、ルール違反、と書いているが、いやいや、それがこの作品の面白いところだから!!!と私は言いたい〜。この作品はその誘導に引っかかりながら、最後はっきりしない結末をモヤモヤするのを楽しむものなんじゃ。

最初から最後までブーブー言っている私であったが、小川さんの作品のようなぶっとい本を私は、漬物石、と呼んでいるが世間一般には「鈍器本」と言われているらしい。林のおばちゃんがそう書いておりました。それだけは勉強になりました〜。

そんでもって林のおばちゃんは千早さんを推したそうです。ふーん。小川さんを推したのかと思っていたがちょっと意外。おばちゃん以外にも小川さんではなく千早さんを推す人も多く、W受賞になって本当に良かった。

 

・角田光代 「光のとこにいてね」 △

      「地図と拳」 ◎

      「クロコダイル・ティアーズ」 △

      「しろがねの葉」 ○

      「汝、星のごとく」 ×

 

小川さんを推したご様子。

小川さんの作品について一番簡潔に、的確に、そして小説家らしい表現で選評を書いていて大変好感が持てたし、何よりなるほどそういうふうにまとめてきたか〜と感心した。あの鈍器本の内容をしっかりと短い文章で的確に説明している。しをんちゃんとはまた違う方向でいい選評を書くんだな〜角田さん。

他の作品についても短いながらもきっちりとした選評を書いている。千早さんの作品の読み方については、むむ?と思う箇所もなくはなかったが・・。

 

・桐野夏生 「光のとこにいてね」 △

      「地図と拳」 ◎

      「クロコダイル・ティアーズ」 △

      「しろがねの葉」 ◎

      「汝、星のごとく」 △

 

私が「社会問題を盛り込みすぎている」と苦言を呈した「汝、星のごとく」のてんこ盛りについて、「今現在の問題が盛りだくさんで読み応えはあるものの(略)」と書いていて、なんとお優しい・・と思いました笑

角田さんの選評でむむ?と思った千早さんについて、桐野さんがそれを受ける形でとてもいい選評を書いていたのが印象的。

他の作品についてもマイナス点や助言が書いてあって、こちらもなかなか読み応えのある良い選評であった。

 

桐野さんだけでなく他の選考委員の方々も口を揃えて、千早さんの文章がいい、と書いていて、そうなんだよね〜簡潔でいい文章を書くんだよね〜。

と私も思っていたのだが、千早さん、幼少期はアフリカのザンビアに住んでいた、との情報がこの雑誌からもたらされた。

海外在住経験のある作家さんの文章って割と特徴があって、くだらないことへの勘だけは鋭いあもちゃん、すぐにその匂いを嗅ぎとっちゃうのだが、千早さんの文章からは全くわからなかった。

うーん、あもちゃん久々(←え?)の失態〜

と思ったら、千早さんのお母さまは国語の先生だったらしく、海外在住時にも毎日日記を書き、母親から文章の添削をされていたそう。あ、なるほど納得〜の瞬間であった。

 

全体的に選評を見回してみると、評価は受賞作二作が突出していたように思う。

それくらい突出してないと、あもちゃん、当てられないんだあ・・><

ただ満票だった小川さんに対し、一方の千早さんも推す選考委員も多数いてくれて良かったと思う。千早さんにも良かったし、何よりW受賞を予想していた私にも良かった笑

(ちなみに私は千早さんを推す人の方が多いのではないか、と小川さんを勝手に心配しておりました。トンチンカンにもほどがある。いずれにせよW受賞で良かったです!)

 

そんなわけで今回の栄光を大いに引きずって、次回も(←言いたい)!当ててみせるぞ〜!

各作品の感想・書評は後日アップ予定です。