秋葉原事件 その1 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

秋葉原通り魔事件

ヒトがヒトを殺めるということ

ヒトが自分を殺めるということ

昔からヒトが起こし続けている悲しい事実

ひとつの命が無くなるということ

10の涙が流れるということ

100の憎しみが生まれるということ

そしてそこには笑顔が消えるということ

明日を迎える意志が途絶えるということ

これらのどれかひとつでもあってはいけないことだ

先日ニュースで彼の生きた時代を振り返っていた

ファミコンが生まれた時期に出生し

近所にはガキ大将の声がしなくなっていた

良し悪しを学んでいた頃にウィンドウズ95が発売され

物事を考えるのはコンピューターの役割だと教わった

吸収力を発揮する時代に携帯メールが日常化となり

主語を持たない間違った文章が信仰宗教のようになった

これは新しいコンピューターウイルス?

僕は昨年、詩集「ティーンに捧げる宝物」でこんな詩で代弁したんだ

「文字が足りません」


文字が足りません

ネットの海原や ブックストアの巨大化

メールの乱用に 多国籍外来語の嵐

文字が多すぎて まことの文字が分かりません


生きると死ぬの文字が 宙を舞っています

善と悪の日めくりカレンダー めくっています

簡単なカタカナが 絵文字にしか見えません

習字を習ってまで元旦に書くほどの

心に刻む文字が足りません


だから 作家さん 詩人さん 哲学者さん

僕たちを奮い立たせる文字を創ってください

これでは 僕の十年後という題の卒業文集を書くことができません

恋という字を 変と書いたのは僕だけ?

いつまで 盲目でいればいいの


ことばがありません

TVゲームの擬人化や ロボット音声のお経

カーナビ美女の生き方案内 間違い探しの討論番組

ことばが多すぎて まことのことばが分かりません

同時通訳器がないと 人間に話しかけることができません

腹話術をしないと 告白することができません

疑う耳がないと お家から出ることができません

ボイストレーニングをしてまで世界の人々に主張できる


心に響くことばがありません

だから おとうさん 教師さん 政治家さん

僕たちが海に向かって叫べることばを教えてください

これでは 生まれてくる子供たちへという題のビデオレターを収録することができません

愛ということばが アイーんと聞こえたのは僕だけ?

いつまで 耳なしほういちでいればいいの

島国日本が美しくあり続けているのは

日本人がヒトからヒトへ伝え続けていることがあるからだ

旅をして多くのことを伝えてもらい

そのなかで自分の「本当に大切なこと」を整理し

そして自分にとっての「本当に大切なこと」を後輩に伝える

そうして日本は育ってきたんだ

そうして日本は美しくなってきたんだ

多くの人はヒトを殺めてしまった彼のことをこう批評する

「自分に負けた人間」

彼は本当に自分に負けただけなのだろうか?

そもそも勝ち組負け組と分けるラインは誰かが創っただけで

生き方テストの採点は先生がするものではない

自己採点のみが与えられている権利である

彼はこの自己採点で赤点をとっていたのだろうか

いや、誰かが採点したテストで赤点を取っていただけなんだ

彼が今までの自分の生き方に哲学を感じていたのなら

何故「本当に大切なこと」を書き綴らなかったのだろう

先ほどのニュースではある言葉によって閉められていた

「家族」

そこにはそれまで彼に接した人間の責任があったのだろうか

いやそれは違う

彼に接することのできなかった人間の責任である

彼に「本当に大切なこと」を伝えられなかった人間に責任があるのだ

僕はこの事件を悔やみ

そして自分を責める



2008年7月29日 記


明日に続く…