ブラックペアン シーズン2 最終話の前に‥‥

 
シーズン1の原作は海堂尊の「新装版 ブラックペアン1988」。
 

 第10話 さよなら!オペ室の悪魔!!復讐の結末は?!ペアンに涙!感動秘話 最後のオペで助けろ(2018年6月24日 放送)

倒れた佐伯教授(内野聖陽)の緊急手術を行った渡海(二宮和也)。しかしこれはあくまでも応急処置。

渡海は、完治させるための再手術を行う条件として、自分が探している“飯沼達次”の居場所を明らかにすることを佐伯に求める。

しかし佐伯は「命よりも大事なものがある」とそれを拒み、外科学会に出席するために無理を押して東京に向かう。
一方東城大では、美和(葵わかな)が藤原師長(神野美鈴)の命で秘密裏に担当していたある患者の容体が急変する。それは高階(小泉孝太郎)や香織(加藤綾子)の知るところとなり・・・。そして、ブラックペアンの真実は渡海の手で白日の下にさらされる・・・。(公式より)

 

以下ネタバレを含みます。

「ちなみに、教授の心臓、まだ完治してませんから」ニヤリ。第9話の最後、渡海の言葉が聞こえなかったところ。
なに?という顔の佐伯。
「カエサルの手術はあくまでも応急処置です。発作が起きたら何時間ももたないでしょう。一刻も早い再手術をお勧めします。まあ、それができるのは私しかいないんですけど…。なので改めてお伺いします。飯沼達次は今どこですか?」
「メスで患者を脅すのか?医者にあるまじき行為だな」
「私が救ってやった命だ。私がどう使おうと自由でしょ」と、渡海は静かな脅しで佐伯を追い詰めているが、

佐伯は3日後の理事長選が終わるまでは手術を受けるつもりはないし、飯沼さんの事も言えないと。
選挙は東京の学会で行われるから、渡海は主治医として同行しろと。
佐伯が死んだら飯沼達次の居所は分からない。
「私から目を離さない方がいいんじゃないか?」

 

<仮眠室>

渡海がソファーで寝ていると、治験コーディネータの木下がやってきた。

「もういいんですか?探さなくても…飯沼達次さん」

「どこにいるかは、大体検討がついたよ」

「でしたらもう、私は手を引かせていただきますね。では」と立ち去ろうとした時、

渡海が「その患者が医療過誤に関わっていても?」

「医療過誤は絶対に許せません」

ならあんたには教えておいてやるか…

 

<佐伯の病室>

看護師長が訪れている。

「大動脈解離・・・渡海とかいめ、ほんとに残し追って…」

「飯沼さんはこのままでよろしいのでしょうか?」

「あの患者を手術できるのは私だけだ。私が留守の間、よろしく頼むよ」と。

 

<帝華大>

西崎が激怒している。

理事の根回しはしているが、票数は互角だと坂口が恐る恐る報告している。

「互角じゃない!本来なら私の完全な勝ちだったんだ!」

ー東城大の論文の方が未来を見据えた優れたものだと思ったものですからーby池永

池永も高階も最後の最後で裏切って!!!と西崎は怒り心頭だ。

 

<東城大スタッフルーム>

黒崎がスタッフたちに周知している。

今週末佐伯教授が東京で行われる外科学会に出席する。

佐伯の状態は危険には変わらないので渡海が同行することになった。

留守の間は、佐伯外科の責任者を高階に任せると。佐伯の指名だ。

スタッフたちも、高階の言動を見てきて考えを改めたようで一目置いているようだ。

黒崎が一緒に佐伯外科を盛り上げていこう!と高階の手をにぎる。

スタッフたちも同意して拍手をしていた。

 

その様子を見ていた渡海は、なんともいえない顔をして仮眠室へ戻っていった。

 

<仮眠室>

渡海の後を追って、高階が入ってきた。

「西崎大先生に捨てられたと思ったら、今や佐伯清剛の懐刀とはね…。捨てる神あれば拾う神ありか・・・」

 

「前におっしゃっていた言葉の意味を教えていただけませんか?」

”佐伯清剛を信じるな。あの男は俺の親父を裏切ったんだ”という言葉だ。

 

「あいつは死神だぞ」と言って去っていった。

 

<特別室>
花房は食事を持って病室を訪れるが、飯沼の姿はなかった。

<仮眠室>
世良が渡海に学会のスケジュールを伝えるために仮眠室を訪れると、渡海の姿がなかった。
段ボールに宅配便の送り状が貼ってあった。送り主の渡海の母親の住所が書いてある。

<病院の待合室>
世良は渡海の母親の住所を手に歩いていたところ花房を見つけた。
「ペアンのことなんだけど…」と花房に話しかけると
花房は「もういいんじゃないですか?」と冷たく返答する。

<特別室>

花房が特別室に戻ると飯沼がいた。売店に行っていたようだ。
突然、飯沼が痙攣をおこす。
患者の事を知られてはいけないと看護師長から言われている花房は、ナースコールを押さずに看護師長に電話で指示をあおぐ。
佐伯の指示で止血剤を取りに急ぐ花房。

途中、高階とぶつかりそうになる。

高階は特別室から急いで駆けてきた花房を見て、特別室には誰もいないはずだが…と不信がっている様子。

 

止血剤をナースセンターで探す花房。猫田がその様子を観察していた。
 

看護師長と合流して特別室に戻ると、高階が飯沼の応急処置をしていた。
「応急処置をしました。状態は安定していますが、胸腔内出血を起こしている可能性があります。早急にオペをすべきかと。患者のデータを見せてください」と高階が看護師長にお願いするが、特別な患者なので教授命令で非公開にしていると拒否された。

 

<渡海の実家>
世良は渡海の実家を訪れていた。
渡海の母親:春江は食事をつくって世良に食べさせている。

「若いんだから、たくさん食べてよ。日本人の体はお米でできているの」渡海がいつも言っている言葉だ。

 

渡海の父、一郎はどんな医者だったのかを春江に尋ねる。

「普通のお医者さん。患者さん一人一人に常に一生懸命で何日も家に帰ってこないことがあった。主人のアルバム見る?」と渡海の部屋に置いてあるとのことで、世良は春江と一緒に渡海の部屋へ入った。


渡海の部屋には一面の外科結びの糸が・・・

「こんなにすごいですよ!これ!」と世良が驚嘆する。

「あの子ね。昔、市民病院で働いていたの。お父さんが亡くなってから、急に東城大病院に行くんだって一生懸命になって。でも佐伯先生に気に入っていただいてよかった~」

 

渡海先生は東城大の医者になるためにこんなに…努力をしてきたのか…と世良は胸がつまって泣きそうになる。

<東城大の旧舘の前>

渡海がタバコを吸っている。

以前ここで父:一郎とタバコを吸って話をしたことを思い出している。

「征四郎、お前はどんな医者になりたいんだ?」

「普通の医者でいいよ」

「どんな時代になろうと人は変わらん。医者は医者だ。お前はそのままでいい。普通の医者になれ」

「なんだよそれ」と、かつての渡海には笑顔があった。

今の渡海は暗い表情だ。

「地獄に落とすか…」

 

<某レストラン>
医療コーディネータの木下は、渡海の指示で東城大病院内を探っていた。
飯沼達次の居場所が特別室にいるということが分かったが、24時間看護師長が付いているので身動きがとれないと渡海に報告する。
「そんなもんどうとでもなる。もう決めている。チャンスは1度きり。そこで全てが終わる」と渡海。

 

<佐伯外科チームの会食>
明日の学会を前にして、佐伯外科チームが会食をしている。
佐伯は世良を呼び、渡海を見張れと命令した。
医療ジャーナルの池永と面会するために、部屋に戻ろうと立ち上がった佐伯が胸を押さえて倒れた。
渡海が胸腔穿刺をして佐伯は意識を取り戻す。
「まだ生かしておいてやる。お前の地獄はまだ先だ」と渡海。

 

<佐伯の部屋>

黒崎と数名の医者が心配そうに見守っている。

日本外科ジャーナルの池永が訪れて佐伯の体調を心配する。

 

<世良と渡海の部屋>

世良は渡海と同部屋だった。

渡海は既にベットで横になっていたため、世良はドアへの通路を塞ぐように座り眠ってしまった。

世良が寝入った頃、渡海は世良を跨いで部屋を出て行った。

 

ー理事長選当日ー

<東城大>

申し送りのため、特別室の患者対応を花房に任せて部屋を出る看護師長。

花房一人になったのを見計らい、飯沼はベットを出て車椅子に乗り、買い物に行くと言う。

驚いた花房は、代わりに行ってきます!と部屋を出て行った。

部屋には飯沼達次、一人だった。

 

そこへ渡海が部屋に入ってきた。

「ようやく会えましたね」と渡海。

以前、東城大で手術をした際に胸にペアンを置き去りにされている。確認しようと渡海は説明と提案をするが、

飯沼は、主治医は佐伯なので他の医師の話は受け入れないと拒否する。

佐伯が手術をしてから何年も飯沼は佐伯が治療してきたらしい。

突然、胸を押さえて飯沼が苦しみだす。

戻ってきた花房にレントゲンを持ってくるように指示する渡海。

 

レントゲン機器を急いで特別室に運んでいる花房を目撃した高階は後をつけて特別室に入っていく。

そこには渡海がいた。

佐伯から留守中の責任を任されていた高階は許可なくレントゲンを撮影しようとする渡海を咎める。

また、渡海が消えたことを知った世良が佐伯に報告し、佐伯は看護師長に特別室の確認するように指示する。

看護師長は高階に電話をして、特別室の様子を確認して欲しいと依頼するが、

既に高階は特別室にいて…渡海がここに居ることを看護師長に告げようとしていた。

 

「俺を信じろ」と渡海が意を決したように言葉を発する。

 

覚悟のようなものを感じた高階は、特別室の患者が飲み物を欲しがっているが野菜ジュースで良いか?と尋ねた。

 

高階は改めて渡海に状況説明を求めた。

渡海がレントゲンを撮影すると、飯沼の胸にはペアンが写っていた。

「うそだろ!!ペアンがどうして」と高階は絶句した。

 

渡海の父:渡海一郎がこの医療過誤をなすりつけられた。全て佐伯の仕業だ。

飯沼さんには証言をしてもらうため、生きていてもらう必要がある。

全ての根源であるペアンを取り出す。と渡海。

 

しかし、佐伯の許可がないと…と高階は躊躇するが、

 

渡海「必要なら」高階「ルールは変えろ」

今日全てを終わらせる。

 

渡海、高階、花房、猫田が飯沼を手術室に運び、ペアンを取り出そうとしている。

手術室のモニターを見た看護師長はマイクを手にするが、治験コーディネータの木下に止められる。

今、ここで人を読んだら、佐伯のペアンの秘密が公になってしまうと…。

 

<外科学会の会場>

理事長選の会場では、西崎の発表がスタートしていた。

 

<東城大の手術室>

手術室ではペアンを取り出そうとしていたが出血と癒着がひどくなかなか取り出せない。

 

そこへ、東京にいるはずの佐伯が車椅子に乗って現れた。世良が付き添っている。

ドクターヘリを使って理事長選の会場から移動してきたのだ。

 

<外科学会の会場>

佐伯が発表する順番となった。代わりに黒崎が登壇している。

「土壇場で逃げたのか…」とご満悦な西崎。

 

<東城大の手術室>

理事長選を捨ててまで駆け付けた佐伯に驚く高階。

「そのペアンをはずすな」と佐伯。

「お前は権威を守りたいだけだろ!もうすぐ終わるぞ。親父、もうすぐ終わるぞ。見てろよ佐伯、このペアンがお前の悪事の証拠だ。これであんたは終いだ。おい、詫びろ。まず俺に詫びろ。そして親父にも詫びろ。親父の全てを奪ったこのペアンでお前が全てを失うんだよ!!!」と渡海。

 

渡海が手を伸ばしてペアンをはずす。

「やめろーーー」

 

ペアンが飯沼の胸から取り出された。

「さよなら佐伯清剛」と渡海。

 

さよなら佐伯清剛

 

すると、突然、飯沼さんの胸から大出血が起きた。

 

「地獄の扉を開けたな、渡海…。どけ、わたしが処置をする」と佐伯は手術着に着替えた。

 

「ペアンを無理に外したことで大動脈弓部が損傷したんだ。まずは大動脈弓部を縫合する」

「どうするつもりだ。俺に治せなかったものがあんたに治せるわけないだろう」

「聞け!渡海!これは置忘れではない。あの日、近くで起きた大型バスの事故で何人もの患者が運ばれてきた。

その時、私は入院していた飯沼さんの容体が急変したことに気づき処置をしていた。

だが、オペ室は満室で人も機材も不足している状況だった。飯沼さんの出血はどうやっても止められなかった。

やむを得ず私はペアンを体内に残したまま処置を終えた。それしか方法がなかった。

その後、私はアフリカへの長期の医療支援に向かわざるを得なかった。だがそんな折、思いがけないことが起きた。

飯沼さんが急患で私の不在中に運ばれてきたのだ。

その対応にあたったのが一郎先生だった。

先生は飯沼さんの胸の中を見て驚いたことだろう。

知らせを聞いた私だが電話も通じない状況で私は仕方なくファックスを送った。

一郎先生はペアンが処置に必要なことを悟ってくれた。

そして、ペアンを残したまま処置を終えた。

 

だが、その術後、一郎先生が手にしていたレントゲン写真を黒崎が偶然見かけてしまい、ただちに医療過誤が指摘された。

一郎先生は非難を浴びた。

結局、一郎先生は、それ以上の反論はせず、自分の執刀ミスだと認めて東城大を去っていった。

 

私は帰国してから教授にそのことを聞かされた。その時、一郎先生は病に侵され、亡くなっていた。

 

そして、私は一郎先生からの手紙を手にしたんだ。

 

”わが盟友、佐伯清剛君へ 何も言わなくていい 医者は患者のことだけを考えろ 人を救え 飯沼さんを救え 君にすべてを託す”

 

余命いくばくもないと知った一郎先生は、私を守り、医療過誤という不名誉を一身に背負われたままこの世を去られたんだ。

これが事実だ。私はお前の父上に渡海一郎先生に生かされたのだ」

 

「全て私の責任だって言ってくれたら親父だってあんな思いをして死ななかったんだよ」

 

「患者が助かるならそうした。それなら私も喜んでクビになった。だがそうなれば、誰がこの患者を治す?安易にペアンを外せば患者は死ぬんだぞ。渡海、お前でさえ治せなかったんだぞ。自らの腕を過信する者にこの患者は決して治せない。だから誰にも言うわけにはいかなかった。私を恨むなら恨め。殺したければ殺せ。だが、この患者だけは死んでも守る。

このブラックペアンはそのためのものだ。こいつは私自身への戒めでもある。我々医者は完ぺきではない。そのことを決して忘れず、奢ることなく、日々その腕を研鑽し、本当の医療とは何かを常に問い続ける覚悟の証だ。

ブラックペアンを使うのは私一人で充分だ。そしてブラックペアンを使う時が来た時、それは私が外科医を辞める時だ。私はこのために生きてきたんだ。そしてそれも今、終わる…

ブラックペアンを!」

 

看護師長がブラックペアンを佐伯に手渡した。

佐伯はそれを飯沼さんの胸に処置してそっと胸に押し込んだ。

「さらば渡海一郎」

 

血圧が安定し、出血は止まった。

 

渡海は涙を一筋流し、そして立ちあがり歩き出した。

 

「渡海、医者は完璧ではない。まだまだ我々にはできないことがあるんだ。」

渡海は何も言わずに去っていった。

 

閉胸を命じられた高階は戸惑っていた。

 

「ブラックペアンは特殊なカーボン製だ。レントゲンには写らんし、火葬されたら一緒に燃えて灰になる。閉胸しろ。教授命令だ」

高階は納得したように閉胸を開始した。

 

「ブラックペアンは役目を終えた。私もだ。これからは・・・」佐伯は膝から崩れ落ちて倒れた。

第二手術室に運ばれる佐伯。

 

世良は渡海を探して走る。渡海は呆然と歩いている。

電話をするが留守電だ。

「渡海先生どこにいるんですか?すぐに来てください。教授が倒れたんです!それから佐伯教授が倒れたときに…」

 

<外科学会の会場>

黒崎が一生懸命に発表をしている。

会場からは、その話はもう聞いた。佐伯教授はどこですか?と黒崎の発表に不満の声が・・・

「佐伯教授は急ぎ病院に戻られました。申し訳ございません」と黒崎。

 

すると、西崎が「東城大には佐伯教授しか医者はいないのでしょうか?まさに特別な個人の腕に頼らなければならない私が一番危惧していた状況でしょう。こんなお忙しい佐伯教授にとても理事長の職が務まるとは思えませんな」と。

理事の面々は大きく頷く。

うなだれる佐伯外科の面々・・・

 

<東城大の手術室>

佐伯は出血が多く、危険な状況だ。

高階、そして、渡海を見つけることができなかった世良、花房と猫田、看護師長が処置にあたる。

 

<東海大の旧舘>

渡海はぼおっとして座っている。

 

<外科学会の会場>

「佐伯教授は戻ってこられないようです。そろそろ投票に入られてはいかがですか?」

司会者が「そうですね。それでは・・・」と進めようとした時、

池永が挙手をして、「佐伯先生に代わり、私にお時間をいただきたい」と登壇する。

「実は昨夜、佐伯先生と少しお話をしました」

 

身体の具合が思わしくないことを隠して学会に出席するとは、それほどまでに理事長の椅子は欲しいものなのかと池永が佐伯に尋ねた。

「私の命はもう私一人のものではないのです。さまざまな人に生かされて私はここにいるんです。何より示さねばならないのです。ある人から託され、私が身をもって学んできたことを…。私は医者というものは常に謙虚でいなければならないと思っています。外科医の腕にも最新の医療にも限界はある。命を前にしてあまりにも頼りない。だからこそ、その両輪で補い合い、高め合わなければならない。未来の多くの患者を救う最新の研究。目の前で苦しむ患者を救う最高の腕。その2つが欠けてはならない…」と佐伯は語った。

 

「反目する2つの志、それを共存させることこそ、これからの医療には必要なのです。佐伯先生はそれを目指しておられます」

 

<東城大のオペ室>

「裂け目が大きすぎて、どうすることもできない…」

心停止。アドレナリンをワンショットと、心臓マッサージをする高階。

 

<東城大の旧舘>

”私は渡海一郎先生に生かされたのだ”という佐伯の言葉を渡海は思い出していた。

着信が入る。世良から何度も着信が入っていた。

 

世良の伝言を聞いてみる「…それから佐伯教授が倒れた時に、”渡海、そのままでいい。普通でいい。医者は患者のことだけを考えろ。救え。渡海、ただ人を救え。お前に全てを託す” とうおっしゃってました」

 

<外科学会の会場>

「研究を重ねるのも、腕を磨くのも、最後は人です。不完全な人が完璧を目指すからこそ医療は成長し続ける。それが佐伯先生の思いであり、願いなのです」

盛大な拍手が巻き起こった。

 

<東城大のオペ室>

「心拍戻りません!!!」

「諦めるな!諦めたら終わるぞ。諦めるな!諦めたら…これ以上は・・・」と高階は涙を流す。

「まだ終わっていません。まだ終わっていません!」と世良。

 

突然、手術室から出て、走り出す。

 

「まだ終わっていない。終わっていませんよね。渡海先生…」

渡海が歩いてきた。

 

「邪魔」と。

 

「心停止から5分です」高階

「大丈夫だ。まだ間に合うよ。続けろ」

次々と指示を出し、処置を行う渡海。

 

<外科学会の会場>

「では開票を行います」

 

<東城大のオペ室>

縫合が完了した。心拍が戻るが、VFになってしまう…。

DCをかける。

「こういう時の声は届くぞ。声掛けてやれ!」と渡海。

佐伯先生!佐伯先生!!!

と世良や看護師長ら皆が声を掛けている。

「戻ってこい」と渡海も。戻ってこい!と。

 

心拍が再開し、血圧も安定した。

 

<外科学会の会場>

最期の一票です。

東城大学の佐伯教授と。

 

西崎は行くぞ!と坂口に声を掛けて会場を出ていく。

「どちらに?」

「研究だよ。研究。それが医者というものだ」

 

<佐伯の病室>

佐伯が意識を回復した。

「どうして助けた?おまえを東城大に引き入れたのは、せめてもの罪滅ぼしのつもりだった。だがお前は計り知れない外科医の天分を持ち合わせていた。私を恨むことで腕を磨き続けるお前のその成長を私はもっと・・・もっと見ていたい。そう思った。

私はお前の望み通り死んでもよかったんだ。渡海…」

渡海は病室を出ていこうとしている。

「そのままでいい。普通でいい。医者は患者のことだけ考えろ。救え。ただ人を救え”。俺の尊敬する医者の言葉です」

渡海は深く頭を下げて、病室を出て行った。

 

<東城大の廊下>

「出ていくんですか?」

「大学病院ってのは、誰かが責任とらなくちゃいけないんだよ」

「え?じゃあ、僕は?僕はどうなるんですか?まだ教わらなきゃいけないことたくさんあるのに。だって僕、渡海先生についていけるように役立てるように死に物狂いで頑張ってきたんですよ。なのにいきなり出ていくなんて、あんまりじゃないですか」

渡海は何も答えずに去っていく。

 

「じゃあいいんですか?一億円は!渡海先生には1億円、借りがあります。でもまだなにも返せてないですよ…だから僕の事もっとこき使っていいんで命令していいんで出て行かないでください」世良が頭を下げる。

 

ため息をついて渡海が「わかったよ」と。

「とりあえず腹減った。米炊いてこいよ」

「え?米?」と嬉しいけど戸惑う世良。

「早く!」と怒鳴る渡海。

「はい!」と走っていく世良。

 

その後ろ姿を見ながら、渡海は「じゃあな」と言った。

「お前はいい医者になれ」と。

 

渡海は出口の方に歩いていく。

 

ーーー

そして、日本総合外科学会の理事長に就任した佐伯教授は、必要な組織改革を行った後、あっさりと理事長職を他の大学の教授に譲り、後進の育成のため医師たちの指導にあたっている。

一方、いまだ理事長の椅子を目指す帝華大の西崎教授は新たな研究開発に力を注いでいた。

 

その二人の教えを受け継ぐ高階先生は、佐伯外科のブレーンとして最新医療を取り入れながら研究に力を注いでいる。

 

でも僕と同じように時折寂しそうな顔をみせていた。

 

渡海が手に入れたお金は全て医療過誤で苦しむ人々の支援団体に寄付していたことがわかる。

 

仮眠室では、治験コーディネータの木下と花房が卵かけご飯を食べている。

世良は渡海先生と食べると決めているので、今は食べない。

 

木下が振込人不明の1000万の入金があったそうだと世良と花房に伝える。

それは…

 

ー感想ー

あらためてシーズン1を振り返ってみると、佐伯は出世や権力よりも患者のための医療を深く考えていたのではないか…と思い当たる。そして、渡海を父親のように見守り、厳しく接してきたのだ。

それは、シーズン2の天城に対しても同様なのかもしれない。。。

一気に見てしまい、シーズン2の最終回が待ちきれない。

 

 

 シーズン2 第1話から第8話までのネタバレ目次

第1話「神に愛された悪魔」

第2話「神に愛された悪魔VS少女の祈り」

第3話「成功率0%のオペの行方!?」

第4話「天才医師VS医療AI」

第5話「お前は死ねない!50億円オペの結末は?」

第6話「メスを持った看護師&去り行く医師」

第7話「手術失敗!裏取引の罠」

第8話「渡海と天城の秘密」

第9話「戦う人よ、諦めないで!」