ブラックペアン シーズン2

 

原作は海堂尊の「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」。

シーズン1で“オペ室の悪魔”と呼ばれた天才外科医・渡海征司郎を演じた二宮和也が、シーズン2では心臓冠動脈バイパス術の世界的大家で、“ディアブル(悪魔)”と呼ばれるほどの金の亡者、天城雪彦を演じている。

 

天城と渡海の関係は?

天城はなぜ東城大に来たのか?

シーズン1との関連は?

 

 

 

天城雪彦    …    二宮和也
世良雅志    …    竹内涼真
花房美和    …    葵 わかな
パク・ミンジェ    …    キム・ムジュン
垣谷雄次    …    内村 遥
関川文則    …    今野浩喜
田口公平   …    森田甘路
速水晃一    …    ヤマダユウスケ
北島達也    …    松川尚瑠輝
宮元亜由美    …    水谷果穂
パク・    …    チェ・ジウ(特別出演)
椎野美咲    …    田中みな実
真行寺龍太郎    …    石坂浩二
猫田麻里    …    趣里
藤原真琴    …    神野三鈴
黒崎誠一郎    …    橋本さとし
菅井達夫    …    段田安則
高階権太    …    小泉孝太郎
佐伯清剛    …    内野聖陽

 

   第6話:メスを持った看護師&去り行く医師

維新大学の菅井教授は、東城大の佐伯病院長との権力争いに挑んでいて、佐伯を失墜させるために、佐伯の新病院・スリジエハートセンター構想を失墜させようと仕掛けるものの、天城の華麗なオペを前に失敗を繰り返してきた。

菅井教授は、全日本医学会会長選挙への挽回を図ろうと、VIPのオペを画策していた。

患者は日本一の自動車メーカー・ウエスギモータースの上杉会長。

上杉は維新大が開発した医療用AI・エルカノにも出資しており、医学界にも大きな影響力を持つ人物だ。

菅井は上杉に、新たに開発したエルカノⅡと、その開発にも携わった医師・早川玲子が手術に臨むと提案した。
エルカノⅡは、初代開発者・野田が失態を示したエルカノを改良し、手術用ロボット・ダーウィンとのコラボレーションを実現したという。エルカノⅡが頭脳となり、ダーウィンを手足として高度な手術を施す最新機器だ。

デモンストレーションとして米粒にモナリザを描いてみせるエルカノ・ダーウィンを、菅井は“世界一の医者”と誇り、上杉もその精密性に賛辞を送る。だが上杉は、「私はたとえ世界一の自動車があっても、ドライバーも世界一でないと気が済まない」 と、執刀医は天城が抜擢されることになった。

天城は当初「僕にメリットがない」と菅井からの手術依頼を断ったが、上杉の総資産額が6000億円にも上ると聞くや、「協力しますよ~」と手術を引き受けたのだった。

早川は天城の起用に異議を唱えたが、菅井は「天城などすぐに使い捨てる」と企みを語る。上杉の手術の前に行う臨床試験で、エルカノ・ダーウィンに天城のダイレクト・アナストモーシスを学習させれば、実際の手術には天城は不要になるというのだ。

さらには、ダイレクト・アナストモーシスが天城だけの技術でなくなれば、全日本医学会会長選への東城大の最大の武器もなくなると見込んでいた。

世界一の医療機器エルカノ・ダーウィンと世界一の医師・天城による手術。上杉にその臨床試験を見せるべく、東城大に入院している治験患者の手術が行われることが決まり、手術の準備が始まる。

 

そんな折、東城大病院にエルカノ・ダーウィンとともにやってきた早川が、猫田と出くわす。すると早川は、オペを終えたばかりで血の付いた猫田の手袋を見るや、「まさかこっちに来てもあんなことやってるんじゃないんでしょうね。看護師がメスを持つなんて…」と訝し気な顔を見せた。
 

東城大の医師が、維新大の知り合いに状況を尋ねたところ、猫田は看護師であるのに医療行為をしてしまったらしい。そして維新大を追放されたということだった。

 

猫田さんの過去が明らかになっていきます。

 

『ブラックペアン シーズン2』7分でわかる! 第6話SPダイジェスト

<仮眠室>

猫田はソファーで卵かけご飯を食べている。

6年前、渡海がいた頃は、渡海がここで卵かけご飯を食べていた…。

懐かしく思い出していると…そこに天城が突然現れた。

 

天城は猫田に頼みがあった。臨床試験のオペで猫田にスタッフとして参加して欲しいと。

猫田は断る。

「才ある人間が過去に囚われて逃げているだけなんて、時間の無駄だと思わない?」と猫田の実力を認めての抜擢であると説得する。

が、「あなたにはお米のおいしさがわかりますか?」

「いいや。僕は米よりもパンの方が性に合うんでね」と天城。

「だから私はあなたが嫌いなんです」と天城をにらみつけて返答する猫田。

 

<東城大病院長室>

看護婦長が佐伯に尋ねている。

「維新大のエルカノを使った臨床試験。どうして許可なさったんですか?」

「高階君が中心にやっているプロジェクトだからな。それに天城も参加するのだから、うちでやるのが妥当だろう」

「しかし、臨床試験には維新大の早川先生も参加すると聞いています。高階先生は論文の末尾に菅井教授の名前を書くつもりではないでしょうか。このまま放っておいていいんでしょうか。この結果次第で、医学会長選の情勢は大きく動きます」

「われわれが優先すべきは、あくまでも新病院だ。そして、日々のオペを粛々とこなすことだよ。君も早く仕事に戻りたまえ」


<臨床試験当日>
天城がエルカノⅡといろいろ議論した結果、今回の治験患者にはダイレクト・アナストモーシスではない術式が適用できると判断し、自分が執刀する必要はなくなったと言うのだ。

颯爽と病院を立ち去る天城。

 

早川は直前で中止に大激怒。脇腹を気にしているような素振りをした後、早川が胸を押さえて倒れてしまう。

検査の結果、早川の心臓には瘤ができており、ダイレクト・アナストモーシスが必要な状態であると診断された。

それを知った菅井は「ラッキーだ」と晴れやかな笑顔で早川の病室を訪れ、エルカノ・ダーウィンと天城による手術の治験患者となるよう命令する。

早川はそれでは臨床試験に立ち会えず、データ分析や報告もできないと訴えるが、
菅井は「最優先は上杉会長のオペにエルカノ・ダーウィンを間に合わせることだ。君の代わりはいくらでもいるが、上杉会長のかわりはいないんだよ。自分が開発したエルカノ・ダーウィンを自分で試すことができるなんてすばらしいじゃないか。よかった。よかった。」と一方的に結論をだした。

 

<東城大病院長室>

佐伯が、猫田が初めて東城大病院に来た日を回顧している。

「きみが初めてうちに来た日も、こんな雨の日だったな」

8年前、渡海が「猫拾ってきたんで、うちでみてもらってもいいですか?」と猫田を連れてきた。渡海は外部研修で維新大のオペに入った際、猫田の技術を見ていずれスカウトしたいと考えていた。その猫田が維新大を追われたことを知り、すぐさま東城大病院に連れてきたのだった。
「渡海が気に入った通り、君の腕は一流だった。東城大として、これまでの君の貢献に感謝するよ」

「わたしのほうこそ、佐伯教授には感謝しています」

それを聴いた佐伯はなんだか涙ぐんでいるような表情を見せ、机の上から1通のエアメールを猫田に渡した。、スイスから届いたものだった。

 

<某レストラン>

天城と治験コーディネータの椎野が食事をしている。

料理が美味しいと喜ぶ椎野に、その料理はAIが考案したものだと天城は言う。

が、店主は、その料理は先代が考案した看板メニューだと言う。

「わたしを騙したんですか?」

「いいや。人間かAIかの区別がつかないところまで来ているという話だよ。で、また、上杉会長にお会いしたいんだが」

椎野はムッとして「わかりました。連絡しておきます」と。

 

<早川の病室>

猫田が採血のために訪れている。

「なんでわざわざあなたが・・・。患者を殺しかけたあなたに見てもらうなんて恐ろしいわ。あの時のこと、恨んでるの?」

ーーー
実は猫田は8年前まで、維新大に勤めていた。

ある日、早川が担当する手術に猫田はオペ看護師として入っていたが、早川担当の別の患者が急変し、オペは中断された。

「続きは戻ってきてからやるから、ガーゼつめて、様子を見ていて」と猫田に指示して行ってしまった。

すると突然、患者の術部から血が噴き出してしまった。

医師不在のオペ室で、猫田は患者を死なせたくない一心で、血が噴き出した箇所の縫合を試みた。

しかし早川はこれを「医師免許を持った人間しかやってはいけない行為を行った」と糾弾し、結果、猫田は維新大を追放されたのだった。
ーーー

「あなたは看護師がやってはいけない医療行為をしたのよ!」

「そんな昔の事、忘れました」

翌日。
早川の容態が急変した。高階は天城に臨床試験を前倒しして、ダイレクト・アナストモーシスが必要だと訴えるが、天城はVIPとのゴルフで手を負傷し、3日後でないと手術はできないと言う。

天城の負傷が癒える3日後まで、早川の容態を維持するための術式をエルカノⅡが分析し、エルカノ・ダーウィンを操っての緊急手術が始まった。関川と猫田もオペに参加している。

天城は菅井教授とスタッフルームで観賞している。


高階がエルカノⅡの指示で、バイパスと瘤の切除手術を順調に進め、切除した瘤の縫合はエルカノ・ダーウィンが自動で進めていく。

無事完了し、高階はあとを任せて手術室を出ていく。

しかし、その時エルカノⅡが「アームが動きません」とアラームを発する。なんと、オペ看護師を担当していた猫田がダーウィンのアームを早川の体から無理矢理引き抜いたのだ。さらに、エルカノⅡのスイッチを切る猫田。

「出血してます。すぐに止血しないと」と猫田は主張するが、暴力的な行動を咎められ、オペ室から引っ張り出されてしまう。だが早川の術部からは本当に出血が見られ、高階が対応し事なきを得た。

 

<佐伯の部屋>

看護師長が、猫田の処分が謹慎では軽いのではないかと佐伯に相談に来ている。

「とにかくこの件は、私に預けてくれないか」と。

納得できていない表情で看護師長は退出する。

すれ違いに天城が佐伯の部屋に入ってきた。

「お呼びでしょうか?ムッシュ」

「君に話しておきたいことがある。猫田君のことだ」

 

その夜。

<ナースセンター>

普段着の猫田が通りすぎる。

それに気づいた看護師が看護師長に電話で報告する。

 

<手術室>

誰かがエルカノを破壊しようと、手で持ち上げている。

「何しているの?」と天城が明かりをつけた。

 

<早川の病室>
再び早川の容態が急変する。猫田が気づきナースコールを押す。

オペ室に運ぶが、当直の医師は別の患者にかかっている。

このままだと危ない。すると猫田は「オペするしかないでしょ。術後出血の応急措置するよ!」と手術を始めようとする。

看護師長がマイクで制止するが、猫田は「だったら目の前で人が死んでいくのを黙ってみてるんですか?私は誰も死なせない」とメスを入れる…。

そこに高階が現れ、いつかの早川同様、「これは医師にしか許されていない医療行為だ!医師でないあなたが、絶対に踏み込んではいけない領域なんだ!」と糾弾し、猫田からオペを引き継ごうとする。

すると猫田は間髪入れず「医者です」と返した。高階はなおも怒りをあらわに怒鳴るが、

天城が現れ「子猫ちゃんの言う通りだよ。彼女はれっきとした医者なんだ」と笑った。

実は猫田は、東城大で看護師として働きながら、東城大の医学部に入り医師免許を取っていたのだ。

 

猫田を東城大に連れてきた渡海は、「こっちでも変なことすんなよ」と医療行為を行わないよう釘を刺す反面、「変なことしてえなら、医者になれ」と猫田を焚き付けたのだ。患者を殺したくない一心で医師を目指すと誓った猫田は、勤務時間外に練習を続けた。そんな猫田に、渡海がオペ技術を教え込んでいたのだ。

まだ国家資格を取ったばかりの猫田に天城がアドバイスを送りながらオペを進め、無事に手術は成功した。

渡海の教えで技術を習得した過去、渡海が「できたじゃん」と猫田に声を掛ける。

そして今、手術を終えた猫田に、天城が「トレビアン。できたね」と笑う。

渡海と天城、2人の天才医師の指導を受けた猫田は8年の苦労を乗り越え、患者を救う医療行為を行える医師になったのだ。

術後出血に対する猫田のオペは見事に完了した。

 

だが、モニターの数値に異常が起きる。高階は今度こそ「ダイレクト・アナストモーシスをするしかない」と天城に告げる。

対して右手を負傷している天城は、左手だけでもできると自信を見せるもフォローが必要だと言い、なんと「子猫ちゃんやってみる?」と猫田を助手に指名した。

執刀医は片手の天城、助手に猫田とエルカノ・ダーウィンを配置しての手術準備が整った。しかし、早川の容態は一触即発の中、天城はゆったりと「シャンス・サンプルしてないじゃん」と言い出す。二者択一の悪魔の賭けの儀式を、早川は行っていない。ならば天城の手術は始まらないと言うのだ。

こんな時に何言ってると高階が憤るが、猫田は「私がやります」と賭けに名乗り出た。

天城が「早川先生のダイレクト・アナストモーシスに提供する内胸動脈はどっちだ。右かな?左かな?」という二者択一のテストを出した。猫田は見事正解を答え、天城は「合格だ。ではこれより、エルカノ・ダーウィンと、猫田先生と共同で、ダイレクト・アナストモーシスを開始する」と、颯爽と手術を始めた。

【BGM:モンティ「チャルダッシュ」】
エルカノ・ダーウィンが天城の右腕となり、猫田が見事に助手を務める。

天城の指示の下に、天城と猫田とダーウィンの腕がオペを進めていく様は、さながら天城が指揮を振り協奏曲を奏でる楽団のようだ。

L’opération est finie(ロペラシオン エ フィニー 手術完了)
Le cœur est si beau(ル クール エ シ ボー 心臓は美しい)


エルカノⅡも繰り返し、手術は見事成功裏に終わった。

<早川の病室>
オペの映像を見たという早川は、最初の手術で無理矢理エルカノを止めた猫田に「猫田さん、私を助けようとしてやったのね」と感謝を告げた。

実はあの時、エルカノは縫合を終えた瘤を縫合していないと誤認し、再度縫合しようとしていた。それにいち早く気付いた猫田は、無理矢理エルカノ・ダーウィンを止めるしかないと判断していたのだ。

開発チームから外され逆恨みした野田が、エルカノに偽の学習データを入れ、エルカノが起こすはずのない医療ミスを起こさせていたのだった。

天城が野田を警察に引き渡し捜査が始まれば、エルカノ・ダーウィンはしばらく使えない。

「もう終わりだわ」と悔やむ早川に、猫田は「生きていれば、またいくらでもやり直せますから」と涙ながらに告げた。

 

<維新大の上杉の病室>
エルカノ・ダーウィンの臨床実験失敗を知った上杉は、菅井に「天城先生の手でオペを受けることにします」と告げた。

「上杉会長のオペをするのは東城大です」。同意書を手にした天城が現れた。

また、上杉は、シャンスサンプルにも勝っていた。

上杉が賭けたのは臨床実験の結果。エルカノ・ダーウィンの臨床実験は失敗すると賭けていた。そうすることで、臨床実験が成功すればエルカノ・ダーウィンの手術を受ける。失敗すれば天城のダイレクト・アナストモーシス手術を受ける、という見事な二重の準備をしていたのだ。

 

<佐伯の部屋>

治験コーディネータの椎野が佐伯にうまくいったと報告の電話をしている。

引き続きよろしく頼むと佐伯が電話を切り、窓を見てみると…

なにかがおかしい。佐伯は手を目に当てて、見えるかどうかを確認しているようだ…

 

<東城大の病院出口>

猫田がスーツケースを転がしながら廊下を歩いている。

東城大に来たときからの渡海との会話を思い出していると、

「こっそり出ていくとは…」と天城。

「海外の病院に医師として呼ばれたそうですね。」

佐伯が猫田に渡した封書はオファーレターだったのだ。

「君もそろそろ前を向いて進んでいく時だ」と佐伯が言った。

 

天城は「あなたならいい医者になれますよ」

「私は悪魔のような医者になります」

 

そして猫田は去っていた。

 

翌日、上杉会長が東城大に入院した。
容態が急変する。天城がいない中、急遽佐伯がオペを担当することになった。

佐伯は突然オペの手を止める。

視力に問題が発生しているのか?目を見開く佐伯。

「今日はやめておこう」と閉胸して薬物治療に切り替えると言う。

<天城の部屋>

箱の中に、黄色いミニカーとブラックペアンが入っている。

 

この時、ブラックペアンを巡る新たな物語が始まっていることを誰も気づいていなかった…

 

 

ー感想ー

猫田さんが去っていってしまった…。「そろそろ前を向いて進んでいく時だ」という佐伯の言葉は、どこか父親みたいな優しさもあり、菅井教授の冷たさと対比すると、人間らしい。

天城先生と猫田さんの掛け合いがとても面白かっただけに、猫田さん不在で寂しい。

 

天城先生のかるーいふるまいと発言が、なんだか憎めなくて良い。辛辣な言葉の裏に、あたたかい思いやりが感じられるのは気のせいだろうか…。

 

また、監修の山岸先生の解説も更に理解を深める助けになる。

天城先生が左手で、猫田さんとダーウィンがサポートするという場面では、山岸先生が差し替えようの映像を事前に撮っておいたのだが必要のないくらい二人の演技が素晴らしく、外科の器具を扱うだけでもコツがあって大変なのに、俳優さんはすごいです!的なことをおっしゃっています。

 

佐伯教授の目の状況が心配です。

 

ますます次回が楽しみ。

 

 シーズン2 第1話から第9話までのネタバレ目次

第1話「神に愛された悪魔」

第2話「神に愛された悪魔VS少女の祈り」

第3話「成功率0%のオペの行方!?」

第4話「天才医師VS医療AI」

第5話「お前は死ねない!50億円オペの結末は?」

第6話「メスを持った看護師&去り行く医師」

第7話「手術失敗!裏取引の罠」

第8話「渡海と天城の秘密」

第9話「戦う人よ、諦めないで!」