ブラックペアン シーズン2

 

原作は海堂尊の「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」。

シーズン1で“オペ室の悪魔”と呼ばれた天才外科医・渡海征司郎を演じた二宮和也が、シーズン2では心臓冠動脈バイパス術の世界的大家で、“ディアブル(悪魔)”と呼ばれるほどの金の亡者、天城雪彦を演じている。

 

天城と渡海の関係は?

天城はなぜ東城大に来たのか?

シーズン1との関連は?

 

 

 

天城雪彦    …    二宮和也
世良雅志    …    竹内涼真
花房美和    …    葵 わかな
パク・ミンジェ    …    キム・ムジュン
垣谷雄次    …    内村 遥
関川文則    …    今野浩喜
田口公平   …    森田甘路
速水晃一    …    ヤマダユウスケ
北島達也    …    松川尚瑠輝
宮元亜由美    …    水谷果穂
パク・    …    チェ・ジウ(特別出演)
椎野美咲    …    田中みな実
真行寺龍太郎    …    石坂浩二
猫田麻里    …    趣里
藤原真琴    …    神野三鈴
黒崎誠一郎    …    橋本さとし
菅井達夫    …    段田安則
高階権太    …    小泉孝太郎
佐伯清剛    …    内野聖陽

 

   第8話:渡海と天城の秘密

佐伯は天城とともに、ウエスギモータース・上杉会長の2カ所同時ダイレクトアナストモーシス手術を見事に成功させ、全日本医学会会長の座に当選して就任した。

だが、選挙前、全日本医学会会長就任とともに東城大病院・院長の座を明け渡すとしていた佐伯が、院長続投を宣言し、東城大病院の病院長選挙にも出馬すると表明。同時に、現職教授や講師陣には退陣を要求し、若手に活躍の場を広げるために世代交代を図ると言う佐伯に、医師たちは動揺を隠せなかった。


当初、新院長確定と見られていた副院長の江尻はハシゴを外されたことに深い憤りを感じており、新病院長立候補の所信表明演説で「この独裁者を引きずり降ろそうではありませんか!!」と反佐伯を掲げ敵意を露わにしていた。

 

看護師長も「この改革はうまくいくのでしょうか?」と佐伯に疑問を投げかける。

「組織には血の入れ替えが必要な時が必ず来る。新しい地平線を目指すためにも我々は痛みを超えて前進せねばならん。看護師とて同じだよ。君には感謝している。だが今は後進に道を譲ることが君の務めだ」と佐伯は突き放す。

看護師長は力が抜け膝から崩れ落ちるように床に座り込んでしまった。

 

天城は資料室で2016年6月の手術記録を見ている。ページをめくると、No.47が抜けている。

天城は部屋に帰り、青い絵を見ながら考え事をしていると、ピロピロっとメールが到着した。

メールを見ると、心臓のCT画像だった。

 

佐伯は天城との会話を思い出していた。

~~~~

「上杉会長が倒れた時、なぜ敢えて佐伯式を行わなかったんですか?ムッシュ、隠し事はダメですよ」

(前回音声が聞こえなかった部分です)

「私を脅す気か?お前がなにかを嗅ぎまわっていることはとっくに気づいているよ。あまり余計なものに首を突っ込むもんじゃない」と佐伯が答えると

「ご忠告ありがとうございます。ただ僕はあまのじゃくなので、そういわれると余計に首を突っ込みたくなるんです」と言って部屋を出て行った。

~~~~

 

天城の部屋に厚労省の富沢が来訪している。

「天城先生が患者から法外な治療費を要求していると報告がありまして」

「法外ではありませんよ。財産の半分を賭けさせてオペをしているだけですよ」

「それを世間では法外と言うんです。そのような人物がトップに立つ病院に本当に許認可を出してよいものか省内で問題になりまして」

そこへ世良が割って入る「あの、患者さんの同意は得ているんです。新病院の協議だって何か月も続けてきたじゃないですか…どうして今なんでしょうか?」

しかし、天城があっさりと「分かりました。白紙に戻します」と了承してしまう。

厚労省の富沢は、認可申請書を佐伯教授に戻しておくので、修正して保健所へ再提出するように言い残して退出する。

 

世良は「いやいやいや・・・ダメですよ。本気で言ってます?」

「ムッシュの今や医学会会長となったんだ。僕の役目は終えただろう。そろそろ帰るかな」と本気で退散しそうなので、

世良がめずらしく

「オペをしましょう!今までよりももっとすごいオペをして実力で厚労省を認めさせましょう。センター長は天城先生しかいないって」と提案する。

「無理だよ」と軽く反対する天城に対し、「大丈夫です!誰か患者さんいないんですか?」と世良は前のめりだ。

「いるよ。一人。ただ僕はシャンスサンプルをやめるつもりはないんでね」と。

 

院長室では、黒崎が佐伯に休養を勧めている。佐伯の症状が進んでいるようだ。院長選もあるが、まだやることがある。オペは控えなければならないので他に気づかれないように仮の予定を入れておいてくれと黒崎に指示を出す。

 

その後、看護師が厚労省の富沢から預かった書類を佐伯に手渡した。

代表名の天城雪彦に赤く抹消線が引かれていた。

高階が桜宮市の医師会会長である真行寺に直談判し、天城を新病院のセンター長から降ろすように画策をしていたのだ。

しかし、佐伯の方が一枚上だった。医学会会長の権限を利用して厚労省の上層部を動かして許認可をとりつけていたのだ。

 

一方天城は、渡海が根城にしていた外科の仮眠室を訪れた。段ボール2箱以外は、実家に送ってしまったそうだ。残された渡海の私物を探ると1枚の写真が見つかった。双子と思われる幼児、ひとりは鼻に医療用のチューブをつけている。双子の誕生日のようだ。ケーキがある。そして、誕生日プレゼントに青と黄色のミニカーをもらったようだ。

なんとなくその様子が脳裏に浮かぶ天城。

部屋に帰り、ブラックペアンと一緒に保管していたミニカーを確認する。天城が持っているミニカーは黄色だ。写真を更によく確認する天城。

 

佐伯は考え事をしていた。机の上の手紙に目を通す。至急と記された封筒を開けてみると、心臓のCT画像が入っていた。慌てて佐伯は天城の部屋へ駆け込む。天城はいない。

その時、一本の電話が佐伯に入る。

「突然電話なんてどうした?」

電話の相手は「あいつが俺の周りを嗅ぎまわっているんですけど、邪魔です。何とかするんじゃなかったんでしたっけ?」

「渡海、おまえに言われなくてもわかっている。これから動くところだ」

電話の相手は渡海だった。

 

天城の部屋を佐伯が出ると、世良が立っていた。

「渡海先生ですか?今の電話」

「聞き間違いだろう」

「今、どこにいるんでしょうか?渡海先生」

「わたしゃ知らんよ」と佐伯が白をきると、

世良は「ここでなにをされていたんですか?天城先生に何か御用でしょうか?」と今度は天城のことを尋ねる。

佐伯は「君も不思議な男だな。二人の悪魔からともに信頼を得て」としみじみと語ると、振り向いて歩き出した。

しかし、

突然ふらりとよろめき、壁に手をついた。

世良が駆け寄り、佐伯を支える。

すると佐伯は「今後の東城大を背負っていくのは案外君のような医者なのかもしれんな」と世良の腕をポンと叩き、歩き去った。

世良は佐伯の様子がいつもと違うことを感じ、また、残した言葉の真意をどのように受け止めれば良いかわからず立ち尽くしていた。

 

翌日。佐伯はカンファレンスがあるにも関わらず、東城大病院に姿を現さなかった。そして天城もまた、病院に現れない。

<スタッフルーム>
天城に“至急開封”と書かれた封書が届く。天城が不在のため、世良が預かるが、ミンジェは命に関わることであれば大変なのでと開封してしまう。すると、そこには、佐伯に届いたものと同じ心臓CT画像と、心臓超音波検査の報告書が入っていた。

既にバイパス手術の跡がある。封筒の中には、「バイパスグラフト全て閉塞してきており、緊急手術の必要があります」というメモが入っていた。
心臓CT画像には患者名がない。至急患者を特定しなければと世良とミンジェが慌てている時に、医師たちがスタッフルームに戻ってきて、佐伯の体調がおかしいから病気じゃないか?と噂をしていた。確かに佐伯は過去にバイパス手術していると言っていた。世良とミンジェは院内で情報を集めようと動き出したが個人情報でもあるため思うようには入手できない。

するとその様子を見た看護師長が声を掛けてきた。

<田舎の一軒家>
その頃天城は、水田が広がる一軒家を訪れていた。

近所の主婦が声を掛けてくる。「あんた息子さんかい?」「ええ、多分」と天城が答える。

主が亡くなり遺品もそのままになった空き家で、遺品を探る天城。

壁には絵と共に医師免許が飾られていた。名前は渡海征四郎。この家は渡海の実家だったのだ。

また、箱には双子の写真が・・・。成長記録として手形を押したノート。4歳のところでひとり分が途絶えている。
アルバムには3歳の誕生日の写真がなかった。渡海の私物から見つけた写真が元々収められていたようだ。

そして、母子手帳が2冊。征四郎と雪彦という名前が書かれている。
天城はこの家に生まれ、渡海征四郎とは双子の兄弟だったのだ。

その時、天城の前に佐伯が現れる。

仮眠室で探し物をしていることを聞きつけ、ここに現れると思って佐伯は来たのだ。
「こんなところで何やってる?」と問う佐伯に、

天城は「興味深い写真が出てきましてね(渡海が持っていた誕生日の写真)、どうしても確かめたくなってここに来たんです。僕のもうひとりの父、渡海一郎の家にね」と答えた。


天城雪彦は、渡海征司郎が双子の弟だということも、もちろん知っていた。

 

天城と渡海は双子の兄弟だった。

心臓のCT画像は誰のものなのか?今すぐに手術をしなければならないのは、佐伯なのか?それとも天城なのか?渡海なのか?
 

 

 

 

以下、ネタバレになります。

<東城大スタッフルーム>

看護師長に佐伯の健康診断の結果を見せてもらった世良だが、佐伯の心臓には異常がなかった。

世良はもう一度思い返してみる…。

天城がVIPとのゴルフで痛めたという腕・・・、上杉会長のオペの際、一瞬、手の力が抜けふらついた天城…

すごいオペするための患者さんがいないのかを尋ねた時、天城は「いるよ。一人」と言った。

 

これは天城先生のCT画像だと悟った世良は、突然、駆け出す。

 

<渡海一郎の家>
「金ってのは皮肉なもんですよね。あの時に金があれば僕はずっとここで暮らしていたんだろうし、家族もバラバラに壊れずに済んだはずだ」

「しかたがなかったんだ」

「しかたがなかった…ですか、まあ、僕が生き続けるには何年もの間、オペを受け続ける必要があった。だけどそれには莫大な費用がかかる。それを払うことができないと悟った渡海一郎は、信頼のおけるフランス国立大学病院の心臓外科の権威:天城司先生のところに僕を養子に出した。新しい父のおかげで僕は生きながらえることができました。だけど、やっぱり僕の心臓は完治しなかった。育ての親のおかげで僕は病気と向き合うことができました。生みの親のおかげで家族を壊される苦しみを知りました」

 

「ちがう。そうじゃないんだ」と佐伯が天城の言葉をさえぎる。

そして、苦しそうな表情を浮かべながら窓際に向かい、何気にカーテンを開けると、そこには桜の木があった。

「来てみろ。おまえの母さんは桜の木が大好きで、亡くなるまであの二本の桜の木を息子のように大事にしていたよ。一郎先生も同じだ。遠く離れていてもいつもお前の事を心配していた。片ときもお前のことを忘れてはいなかったよ」としみじみと佐伯が語る。

 

桜の木を見ていた天城が突然、肩を震わせ始めた。

そのうち、それは笑いに変っていく。

「僕も仮眠室でその写真を見つけた時はなにかの間違いかと思いましたよ。だって僕と両親との思い出はそのおもちゃだけなんだから。でもそれも僕の記憶違いということですよね?」

 

天城は自分が捨てられたのは心臓が悪かったのと、それを治す費用が莫大にかかるからだと言い聞かせて生きてきた。

だが、仮眠室で見つけた写真に写っていた子供のうち、酸素吸入器をつけている子供は青いミニカーを持っている。天城が持っていたミニカーは黄色だった。病気だったのは天城ではなく、征四郎の方だったのだ。

天城は今まで嘘をつかれていたことに気づいたのだった。

 

「それは・・・思い違いじゃ…」と佐伯は動揺する。

 

「じゃあ、これは?」といって、天城は母子手帳のうち、征四郎の手帳を取り上げ、ページを開いて佐伯に見せた。

そこには、渡海征四郎 要観察:冠動脈疾患 と記載されていた。

 

「説明してください」と天城は佐伯に迫る。

 

佐伯は「ずっと黙っておくつもりだった。司先生と一郎先生はおまえたちを会わせないようにしていた。3歳のお前たちに施したオペの秘密を守るためにな」と苦しい表情を浮かべながらも、真相を語りはじめた。

渡海征司郎は、多発性冠動脈瘤を発症しており、3歳の時に父・渡海一郎と天城司による緊急手術を受けることになった。

だがオペは難航し、征司郎の命は尽きる寸前だった。

そこでふたりは、健康な兄・天城雪彦の内胸動脈を征司郎に移植するという賭けともいえる手術を試みた。

結果、征司郎は一命をとり止めたが、一方で大きな問題をはらんでいた。血管の移植は、違法行為だったのだ。2人がそのまま双子として成長すれば、やがて互いに気付き、いずれはその違法行為が表沙汰になってしまう。それを防ぐために、オペの秘密を守るべく、雪彦を天城司の養子として双子を別れさせたのだ。

佐伯は残酷な真相を語り伝えると、「本当の悲劇は、そのあとだった」と続ける。

フランスで天城雪彦としての生活を始めた天城もまた、多発性冠動脈瘤を発症してしまったのだ。移植手術で既に征四郎に内胸動脈を渡してしまっていた天城には、将来詰まる可能性が高い静脈でのバイパス手術を施すしかなかったのだ。

天城先生は心から悔いていた。だから何に変えても天城を助けようとしていたのだと。

天城は、「やっぱふざけてるよ」と佐伯につかみかかり、何度も突き飛ばし、「何を勝手に…」と、やり場所のない怒りと悲しみを佐伯にぶつけ、そして、泣き崩れる。静かに「…返せよ…」と。

 

佐伯はこみあげてくる感情があふれ出しそうになりながら、天城をひしと抱き、「絶対にお前を死なせはしない。私がなんとかする。全ての医者が見放しても私が必ずお前の心臓を治してみせる」と。

 

しかし、天城は「無理だよ。だって、僕の心臓を治せるのは僕しかいないんだから…」

(天城の心臓を治すにはダイレクトアナストモーシスが必要なのだが、天城以外にできる人はいない。切ない…)

 

そして、天城は家を出て行った。

 

<渡海一郎の家の庭>

天城は世良からの着信に気づき、電話する。

「あ、もしもし天城先生?今どこですか?早く治療受けないと」

「なんの話だ?」

「早川先生のオペの時、ゴルフのやりすぎで腕がしびれたって言ってたのはホントは免疫が落ちたせいで帯状疱疹がでちゃったからですよね?上杉会長のオペの時も失敗したふりして縫合を二手に分けたのも、あれ心不全が悪化したせいで時間がかかったからですよね?いつもの天城先生だったら全部自分でできるんだから。いつもみたいに、笑ってウソだよって言ってくださいよ!」

世良は感情が爆発してまくしたてる。

 

ところが、天城は静かに「完成したスリジエセンターの桜も綺麗なんだろうなぁ」と。

「いやいやいや、何言ってるんですか、やめてくださいよ」

 

世良との会話が途中なのに、天城は耳からスマホを離してしまう。

そして、桜を見ている。満開の桜がキレイだ。

「頼んだぞ…ジュノ…」

 

「天城先生、聞いてます?ちょっと天城先生?」

 

ヒグラシの鳴き声だろうか、ピピピピ…と聞えたと思ったら

 

桜に花は咲いていない。緑の葉が茂っている。

そして、天城が倒れていた。

 

「天城ーー!」と佐伯が家から飛び出してくる。

 

救急車で東城大病院に搬送された。

 

<東城大病院>

「どうして誰にも相談しなかったんでしょうか?」と世良

佐伯は、

「しなかったんじゃない。できなかったんだ。幼少期にフランスに渡ってから、多発性冠動脈瘤になり静脈によるバイパスを行ったが、全て詰まってきている。残された唯一のオペはダイレクトアナストモーシスだけなんだ」

 

「ということは、天城先生の心臓は、天城先生にしか治せないということですか?」

「いや、ダイレクトアナストモーシスは私がやる」と佐伯は覚悟を決めた。

 

<研究室>

高階がエルカノ・ダーウィンの修正を行っている。

プログラムの更新には再起動が必要で30分ほどかかるという。

その時、佐伯から高階へ電話が入った。

「天城が倒れた。幼少期からの心臓疾患でダイレクトアナストモーシスを施すしか手がない。エルカノを使って私が手技で再現する。エルカノへのアクセス準備を頼む」と。

佐伯はすぐに準備をすると約束した。その会話を聞いていた江尻が、もし天城先生がいなくなれば金持ち優先の新病院構想はなくなる。エルカノはどうせ再起動する予定だったんだから間に合わなかったことにすればいいと高階に非情な選択を迫った。

 

研究室に入ると、関川が再起動を始めてもよいかと尋ねるので、

高階は自分がやるよといって、外部からのアクセス付与をした。

 

江尻は「なぜ?」と高階の行動に驚きを隠せない。

だが、高階は「私が目指すのは万人に平等な医療です。目の前の一人を助けずしてそれは実現しません」と。

 

高階は、関川らチームの皆に状況を説明する。

佐伯教授がエルカノの指示のもとダイレクトアナストモーシスをする。

前回の天城とのオペではは精密な作業を実現するダーウィンでの手術だった。

 

「では、ダイレクト・アナストモーシスを始める」佐伯の宣言で手術が始まると、内胸動脈の剥離、冠動脈の剥離と、助手を務める世良が的確に佐伯を支え、ダイレクト・アナストモーシスの準備を進めていく。

その時、エルカノが僧帽弁逆流のアラームを立てる。ダイレクト・アナストモーシスの前に、僧帽弁形成術が必要な状態に陥ったのだ。

心機能の状態を考えるとリスクが高いが、佐伯は「引き下がったところで、天城は死ぬ。私がこの手で天城を救う」と、佐伯式手術に着手、着実に縫合を進める。

しかし、再びエルカノがアラームを立てる。佐伯が縫う針が術部から外れているというのだ。戸惑う世良に、佐伯はふいに告白する。「見えないんだ。私の目は、緑内障の進行で視野が欠けているんだ」。恐ろしい告白をすると、針の先端を縫合部に誘導するよう世良に指示をした。

【BGM:ショパン「英雄ポロネーズ」】
世良が佐伯の手を誘導し、佐伯は針先の感覚だけで繊細な縫合を進めるという奇跡的な術式が始まる。

もはや佐伯は術部に目も向けていない。

英雄ポロネーズの音楽とコラボするように、佐伯は針を進めていく。
ポロネーズが終わりに近づき、無事、完了しそうだという雰囲気が漂う

 

が、

高階が「左心室の動きが落ちてるぞ」と異変に気付く。

 

心筋虚血を起こしており、中断していたダイレクト・アナストモーシスをすぐにも施さないと、心停止してしまう。

エルカノの「ただちにダイレクト・アナストモーシスを行ってください」の声が響く──。

必死に心臓マッサージを行う佐伯も「これまでか」とつぶやく──。

だがその時。オペ室にひとりの医師が入ってくる。

なんと、渡海が現れたのだ──!

 

世良「渡海先生!」

佐伯「渡海、間に合ったか!」

現れた渡海は、天城瀕死の事態にも関わらず、世良に「まだ1億円払ってもらってないけど」と悪態をつくと、「1000万で、もみ消してやるよ」と、オペに加わることになった。

心臓マッサージを続け天城の延命に奔走する佐伯が「お前はダイレクト・アナストモーシスができるか?」と問うと、渡海は「いいえ。やりませんよ、俺は。あんなギャンブルみたいなこと」とまさかの返答をし、不敵に笑うのだった。
 

天城の命は救えるのか?

 

ー感想ー

感動が溢れてしまうほどの神回でした。

 

渡海と天城の関係、天城がフランスへ行った理由など、伏線回収が行われ、天城と渡海は双子の兄弟であり、心臓疾患のオペの秘密を守るために兄弟が離れ離れになったことなどが分かりました。

 

しかしながら、天城先生の表情が切なすぎて…泣けます。

自分の心臓病が原因で家族から引き離されて、更に何度も手術を受けなければならなかったと自分を恨んでいた天城先生だったが、実は天城先生の心臓は健康で問題はなく、このような不運な状況に至ったのは、勝手に手術をされてしまったからだ…。

これを知った時の天城先生の気持ちを考えると、行き場のない想いをどうやって消化すればよいのか途方に暮れてしまう。

 

佐伯に対しての「何を勝手に…返せよ」という絞り出すような言葉に天城先生の気持ちが集約されているように思う。

 

佐伯教授が突然、お父さんのように優しく見えてきた。天城の事を一郎先生と司先生の代わりに守っている存在だったのだ。天地と佐伯の親子愛的なものにも泣けてくる。二宮さんも内野さんもホント演技がうまい。

 

天城がシャンスサンプル(二者択一)をするのは双子だったから。両親は一緒に生活をする息子を二人のうち一人選んだ。選ばれなかった天城は、家族から引き離された上、心臓病も完治しなかった。賭けに負けた人は心臓病が治らない。だから勝つ人だけを手術したということなのだろうか…。

 

桜の木を見る天城先生の目。その切ない想いが溢れてきて泣けました。何度も。二宮さんホントすごいです。

 

渡海先生、天城先生を助けてください!ダイレクトアナストモーシスではなくていいです。渡海式で!!

 

ますます次回が楽しみ。

 

 シーズン2 第1話から第9話までのネタバレ目次

第1話「神に愛された悪魔」

第2話「神に愛された悪魔VS少女の祈り」

第3話「成功率0%のオペの行方!?」

第4話「天才医師VS医療AI」

第5話「お前は死ねない!50億円オペの結末は?」

第6話「メスを持った看護師&去り行く医師」

第7話「手術失敗!裏取引の罠」

第8話「渡海と天城の秘密」

第9話「戦う人よ、諦めないで!」