ブラックペアン シーズン2

 

原作は海堂尊の「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」。

シーズン1で“オペ室の悪魔”と呼ばれた天才外科医・渡海征司郎を演じた二宮和也が、シーズン2では心臓冠動脈バイパス術の世界的大家で、“ディアブル(悪魔)”と呼ばれるほどの金の亡者、天城雪彦を演じている。

 

 

 

   第9話:戦う人よ、諦めないで!

天城の心臓マッサージを続ける佐伯。

手術室に入ってくる人影が・・・

それは渡海だった!

 

佐伯は心臓マッサージを続けながら、「お前はダイレクト・アナストモーシスができるか?」と問うと、

渡海は「いいえ。やりませんよ、俺は。あんなギャンブルみたいなこと」とまさかの返答をした。

 

渡海は天城を救うのか?救わないのか?

 

ー余談ー

(天城は渡海の実家の島根で倒れたため、島根の東城大関連病院に搬送されている。

 世良は静岡の東城大病院から島根まで駆け付けた。

 そして、渡海も…)監修の山岸先生で理解が深まりました。

ーーーー

 

以下、ネタバレになります。

「どういうことだ。おい!」と佐伯。

すると、渡海の後ろから「遅くなりました」と治験コーディネータの椎野が入ってきた。

そして器材も運び込まれた。

椎野はウエスギモータース上杉会長と交渉して実験用エルカノダーウィンを貸し出してもらったのだ。

「必ず、天城先生の命を救ってくれ」という上杉会長からの伝言だ。

 

ダイレクトアナストモーシスをエルカノダーウィンを使って佐伯が、

僧帽弁形成術は佐伯式で渡海が

二人の同時オペだ。

 

渡海の助手には世良。

「なに?見るなよ」と世良に言葉を投げかける渡海。

(6年ぶりの再会で感慨深い世良と、きっと渡海も同じ思いを感じて照れていたような気がする…)

 

同時オペがスタートした。

遠く離れた東城大では高階たちがモニターを見つめる。

 

渡海は世良に「早く」「早く」「急げ」と糸のサポートを指示しながら迅速に佐伯式を進めていく。

(渡海の指示が以前のように怒鳴っていない。世良の成長がわかる)

 

東城大では

「はやっー!」と関川、「懐かしい。東城大の悪魔」と高階。

 

「このスピードならもう少しで終わる」と椎名。

 

しかし、、、天城の心拍が停止した。

アラームが鳴っているが、渡海は更にスピードアップして進める。

 

天城、渡海、天城、渡海

と黒背景の白文字が交互に現れる…

 

佐伯がダイレクトアナストモーシスを完了した。

続いて、渡海が僧帽弁形成術を完了した!

心臓マッサージを施す渡海。

 

「代われ!」と佐伯が心臓マッサージを続ける。

なかなか心拍が再開しない。

「戻ってこい、天城。天城ーーー」

 

 

拍動が再開した!

佐伯は涙目だ。

渡海、世良、椎野、東城大のスタッフたちも安堵と歓喜。

高階は固まっている。

 

「ありがとう。上杉会長にも礼を言っておいてくれ」と佐伯が椎野に言い残し、ふらふらになりながら手術室を出ていく。

 

「閉胸します」と世良。

渡海が閉胸を進めていく。

「ありがとうございました」

「別にお前を助けたわけじゃないから」

「6年間がんばってきました。なんか言ってください」世良は涙声だ。

「お前、1円も振り込まないから、もう辞めたのかと思ってたよ。後、閉胸頼むわ」と言って去ろうとする。

「渡海先生、また教えてください」と世良。

それには答えずに、渡海は「ここまできて殺すなよ、お前」と言って手術室を出て行った。

ふっと笑みがこぼれた世良。

 

切り抜きハサミここまできて殺すなよ

 

 

<天城の病室>

世良が天城の意識回復を待っている。

 

天城が目を開けた。

「天城先生」

「どうして僕はここに?」

「佐伯先生がエルカノダーウィンでダイレクトアナストモーシスをしてくださって、それと、渡海先生が来てくれました」

「そっか…」と。

 

そして、世良は渡海から預かっていた青色のミニカーを天城の枕元に置いた。

 

「それと、なんていったら言いか…」と世良が声を詰まらせると

「なにも言わなくていいよ。ジュノがなにを知ろうと、僕たちの関係は変わらない。そうだろ?」

「はい」

「これからも素直な忠犬として主人に尽くしてくれ」

ふふふと世良に笑いが戻り、「僕、犬じゃないですよ。上司と部下です」

「パティスリールブランのカヌレが食べたいなぁ。買ってきて」

「ちょっと待ってくださいよ。それどこに売ってるんですか?てか、そんなの術後に食べてもいいんですか?」

「はやく!」と天城が世良を急かすと、世良は安心したように

「はい、買ってきます。ほんとに無事でよかったです」と言って出かけて行った。

 

天城は世良が枕元に置いた青いミニカーを見つめる。

幼い日の二人の光景がよみがえる。

 

天城は箱の中にある自分の黄色いミニカーと渡海の青いミニカーを並べる。しみじみと感慨にふけっている。

そして、なにかを思い出して、クローゼットの方に向かい、スーツの上着のポケットを探った。

 

~~~~

渡海の実家でのこと。写真やアルバムが入っていた箱の中に一枚の紙を見つけた。

広げて内容を確認してみると、それは医療ファイルから紛失していたNO.47の記録だった。

 

「患者名:徳永栄一、特別室、執刀医:天城司…」

 

その時、足音が聞こえて…佐伯がやってきたのだった。

天城は急いでその紙をスーツのポケットに入れた。

~~~~

 

しかし‥‥ポケットからその紙は消えている。

 

佐伯が持ち去ったのだった。

 

<研究室>

高階が天城のオペの映像を見ている。

佐伯が執刀中の場面だ。

看護師長が「なにか気になることでも?」と話しかける。

「いや、ちょっと確認したいことがあって…」と。

 

「実は私も…。検査室でこれを」と、佐伯のOCT検査結果を高階に手渡した。

それを見た佐伯は「あっ」と驚きの声をあげた。

 

<天城の病室>

「回復は順調そうだな」と佐伯が病室を訪れている。

「ムッシュは?目の具合はいかがですか?」

「やはり、気づいていたか…」

緑内障のため視野に問題がある状況であのような手術をやり遂げたことに、天城は賛辞を送りながら、感謝と共にこのご恩を必ずお返ししますと約束した。

 

すると、佐伯は、病み上がりで申し訳ないのだが、国際親善外科学会での公開オペをして欲しいと。

学会で世界中にアピールすることで優秀な人材を確保できるとの作戦からだった。

 

天城は快く引き受ける。

「新病院の最後の仕上げだ。頼んだぞ」と佐伯。

 

「ときに、ムッシュ。佐伯清剛が気にかけていたのは僕が天城司の息子だからですか?それとも渡海一郎の息子だからですか?」

「なんの話だ?」

「ブラックペアンに隠された過去の話ですよ。渡海一郎への懺悔の気持ちがあったんじゃないですか?」と言って

渡海一郎が医療過誤の汚名を背負って失脚した件について言及する。

 

「佐伯先生が患者の体内に残したペアンのせいで、渡海一郎は医療過誤を疑われ東城大出ていくことになった。それは、余命いくばくもない渡海一郎があなたを守るために自ら選び決断した。そして6年前、それとブラックペアンを交換することに成功したあなたは真実を永遠に封印することに成功された。レントゲンに写らない、火葬したら一緒に燃えて灰となるカーボン製のブラックペアン。これはよく考えられました。」

「患者の命を救う、唯一の方法だった」

「おっしゃる通り!でも、これ客観的にみると、渡海一郎が失脚したおかげで、あなたが教授という地位にたどり着けたとも言える。」

「なにが言いたい!」

「実は…うちの父がこれを持っていました」と、箱の中に保管していたブラックペアンを佐伯に見せる。

「こんなものいくらでも同じものを作れるだろう」

「僕も最初はそう思いました。ですが父が亡くなる直前に、(2022/7/15)父が危篤との知らせを受け、僕はゴールドコーストから父の病院に駆けつけました。すると、父は死の淵で僕に言ったんです。

”ブラックペアンの約束は破られた”

そう言って、父は息を引き取りました。佐伯先生、なぜうちの父がこれを持っていたんでしょう?佐伯先生、ブラックペアンの約束ってのは何なんですか?」

佐伯は、何を言っているかわからんと、天城の言葉をはねつけた。

「佐伯先生、そんな怖い顔しないでくださいよ。大丈夫ですよ。ムッシュに助けていただいた恩義は必ず返しますから」と。

(天城はいつも佐伯のことをムッシュと呼んでいるのに、佐伯先生と呼びかけ、その口調はまるで渡海のように怒りに満ちていて違う人物のよう。が最後はムッシュといつもの天城に戻っている)

 

その後、天城は職務に復帰してスリジエハートセンターの設立準備を進めていった。公開手術の患者には、第2話で登場した繁野さんの孫娘:結衣が選ばれた。

 

<病院ロビー>

繁野結衣が世良にアップルパイを食べてもらおうとしていた。前回、世良は食べられなかったのだ。

めちゃめちゃ嬉しそうな世良がパイを食べようとすると、ミンジェが横取りして食べてしまった。

悔しがる世良。結衣と花房が笑っている。

ミンジェは手作りのコインで、天城の真似をしている「シャンスサンプル」

その光景を遠目で天城が見て微笑んでいる。

 

<カンファレンスルーム>

天城が繁野結衣の症例について説明をしている。子供に対してのダイレクトアナストモーシスは世界初なので話題性があると。

黒崎は、「で、この患者にはいくらふっかけたんだ?」と嫌味を言う。

「黒崎先生では死んでも払えない額です」とあっさりと天城は返答する。

当日の助手には高階、垣谷、関川が選ばれた。

 

<天城の部屋>

世良が部屋に入ってくる。

公開オペ当日のスタッフに世良の名前がなかったことについて、天城に説明を求める。

「どういうことなんですか?結衣ちゃんは僕の患者です。納得いきません」

「だからだよ。本当の同意書はこれだよ」と、手術予定日が公開オペの翌日になっている同意書を世良に見せた。

「どういうことですか?」

 

<佐伯の部屋>

公開オペが行われる外科学会と院長選の日程が重なっているため、佐伯は外科学会の方に出席する。

院長選の演説は任せたいと黒崎に頼んでいる。

 

<スタッフルーム>

佐伯が書棚でファイルを読んでいる時、天城が声をかける。

「ムッシュ、少しよろしいですか?」そういって、仮眠室の方へ佐伯を招いた。

 

<仮眠室>

「8年前にオペした患者の居場所を教えていただけますか?」と天城は佐伯に尋ねるが、佐伯は白を切って答えない。

「では、天城司が東城大でオペをした患者といえば思い出していただけますか?」

天城司が亡くなる5年前、天城雪彦は父の書斎で論文とブラックペアンを発見した。

 厳秘と朱印が押された論文。

 表紙には「冠動脈病変に対して行うダイレクトアナストモーシスの可能性について」

 執筆者は真行寺龍太郎

 年月日は1989年7月11日

天城雪彦がその論文を読んでいると、父が書斎に入ってくるなり、その論文を取り上げ

「この論文のことは忘れろ。絶対に口外するんじゃないぞ」と怒った。

しかし、亡くなる直前、天城司はブラックペアンの約束は破られたと言い残した。

天城雪彦が父の遺品を整理していると、捨てたと思っていた論文が丁寧に保管されていたのを発見した。

 論文の表紙にはあの時に書かれていなかった”徳永の手術ができるのは雪彦だけだ”という文字が・・・

その後、天城雪彦はゴールドコーストに戻り、徳永のオペのことを調べ始めた。

すると、ちょうどその時、世良が現れ、佐伯からのオファーを受け取ったのだ。(シーズン2の第1話)

 

天城は東城大に行くことで不幸なことが起きるのではないかと不安だった。

そこで空港の搭乗ロビーでコインを投げた。最後に神が背中を押してくれて東城大に来たのだった。

 

天城は東城大に赴任してから徳永のことを調べるために手術記録を書庫で調べていた。

が、見つからない。手術記録NO.47が紛失していることは分かった。

そして、渡海の実家でその記録を見つけ、上着のポケットに入れておいた。

 

その後、意識を失い、回復した時にはその記録がなくなっていた。

「ねえムッシュ、返して」

 

「そんなもの知らん。それに私には司先生の手術記録を隠す理由などない」と佐伯が反論する。

 

「あるでしょ」と天城はスマホに保管されたNO.47の手術記録を佐伯に見せた。

「詰めがあまかったですね。隠したことで自ら証明しちゃったんですよ。これがあなたにとって都合の悪いものだと」

手術記録は執刀医の天城司以外は架空の名前で埋められていた。

「それでようやくわかりました。8年前の徳永さんのこのオペ、失敗してるんでしょ? その失敗したオペをあなたは天城司一人になすりつけたんだ。だから父は"ブラックペアンの約束は破られた"そう言ったんじゃないですか?」

佐伯は無言のままだ。

「まあいい、僕は遺言を果たすまでだから…徳永さんの居場所は?教えてもらいましょうか?どこにいるんですか?」

と天城は怖いくらい冷静に佐伯に迫る。

 

「それだけは言えん。徳永さんの管理は全て私に任されている。たとえお前であろうと手は出させん」と佐伯が口を開いた。

「なら勝手にやらせていただきます。この公開手術の後、徳永さんを必ず探し出し、父の遺言通りオペをします。あなたの悪事を世に知らしめるために」

そして、天城はどける?と佐伯に道を譲らせて仮眠室を出て行った。

 

どける?

 

 

<繁野結衣の病室>

世良と花房が結衣の容態を見ている。結衣は緊張しているようであまりよくないらしい。眠っている。

そこへ着信が・・・天城から世良へメッセージが届く。

 

<仮眠室>

佐伯が電話をかけている。

 

<ナースルーム>

看護師長がぼんやりと立っている。

戻ってきた花房が声をかける。「回診終わりました」

看護師長がお疲れ様と花房に返答した時、看護師長に着信が入った。

「どうしました?」と話しながら裏へ隠れるように移動する看護師長。

 

<某バー>

江尻、高階そして菅井が密談中。

明日の理事長選の打ち合わせだ。

 

ー翌日ー

世良はどこかの病院の外科の病室201を訪れている。

「世良君?ひさしぶり」と医師に声をかけられた。

 

<外科学会の会場>

佐伯は控室のコート掛けに上着を掛けようとするが、視点が定まらず落としてしまう。

手でコート掛けの位置を把握して、上着を掛けることができた。

その様子を天城が見ていた。

「患者の受け入れ準備は終わったのか?」

「それなんですが…今回のオペの患者が来られなくなりました。でも安心してください。新しい患者さんはもう見つけてあります。その人は徳永栄一さんです」

(な、なんと)

 

佐伯に着信が入る。「徳永さんの病室に世良先生が・・・」

昨夜、天城が仮眠室から出て行った後、佐伯は看護師長に電話をかけ、富士見診療所の患者の転院手続きを指示していたのだ。

それを渡海からメッセージを受けた世良が看護師長と佐伯の会話を聞いていたのだ。

(徳永の居場所が判明した)

 

「おまえというやつは!!!」と佐伯が激怒する。「徳永さんは無理なんだ。たとえお前でも。だから私は新病院が完成し万全の体制を整えてからオペをする予定だったんだ。下手をすると、公開手術の場で術死するぞ」

「またこの期に及んで詭弁を」と天城。

そんな古い手には乗らないと、天城は徳永さんの手術の同意書を佐伯に手渡す。

徳永さんは意識がないために同意書にはサインができない。

そのため、管理を任されている佐伯にサインをもらおうということだ。

 

佐伯は同意できないと突き返すが、天城は徳永さんへの医療過誤を告発すると脅す。

公表されれば全日本医学会会長:佐伯の大スキャンダルとなる。

「自分の命と患者の命、どちらを救います?」

 

佐伯は同意書に署名して、富士見診療所へ徳永さんを公開オペが行われる東京国際医大付属病院へドクターヘリで搬送するように指示を出した。

 

世良はバックを床に置いて搬送準備にとりかかる。

 

「自分のためではなく患者のためとは、医者の鏡だ」と軽蔑するように佐伯に言い放つ。

「悪魔め!」と佐伯。

 

徳永さんが世良に付き添われて東京国際医大付属病院に到着した。

最新の検査を実施すると…徳永さんは右冠動脈・前下行枝・回旋枝の3箇所がほぼ閉塞している状態。

天城は3箇所すべてをダイレクトアナストモーシスする予定でいるが、

高階は3箇所すべては危険なので、1箇所のみであとは通常のバイパス手術でと提案するが…

 

世良がバイパスはできないと理由を説明する。

以前、オペをしているので、残っているのは右内胸動脈だけであるため、2カ所のバイパスはできず、3箇所をダイレクトアナストモーシスで対応するしかないというのだ。

 

かなり危険なオペとなることが予想され、オペスタッフには戸惑いがあるようだが、

「皆さんは言われた通りに動いていただければこのオペは成功します」と天城は準備を任せて去っていった。

 

<屋上>

天城がコインを投げている。

なにを賭けているのか?

世良が声をかける。「なにに賭けていたんですか?徳永さんのオペですか?」

天城は「たまたまだよ。そもそも執刀医がやる意味はない」

 

世良は徳永さんのオペに立ち会いしたいと申し出るが、天城は断る。

「どうしてですか?僕を危険なオペに立ち会わせないためですか?」と執拗に天城に迫る。

 

すると、天城は、ダイレクトアナストモーシスを始めたきかっけについて話し始めた。

天城がある程度経験を積んだ頃、母の狭心症を治すために冠動脈バイパス術を行うことになった。

しかし、母は星占いの運勢が悪いと、手術当日になって延期を願ってきた。

天城はそんなことよりも早く治した方が良いと言って説得して手術を受けさせた。

 

だが、そのオペの最中、心筋梗塞が起きた。

何度もつなぎ直したが、バイパスが詰まってしまい死を待つだけになってしまった。

 

その時、あの論文(真行寺が書いたダイレクトアナストモーシスの可能性について)を思い出して、無我夢中にダイレクトアナストモーシスを実施した。そして成功した。

「一生かかってもできないんだって。これは神が僕に与えた産物だから」と天城だけができる理由を話した。

 

だが、その後、容態が急変して、天城が最初で最後、唯一経験した術死となってしまった。

母は悪性高熱を発症し、体温が急上昇していく。対処するためダントロレンの投与を指示するが…ダントロレンはなかった。

 

息絶えた母の胸を縫合する天城。なんとも言えない表情をしている。

 

「僕はそれ以降、患者にシャンスサンプルを課すようになったんだ。そんな風な事故に立ち会いたくないからね」

「今回はシャンスサンプルされたんですか?」

天城は答えない。

 

世良に着信が入る。繁野結衣ちゃんが酸素投与の状態になったということで花房から指示を仰ぐ連絡だった。

血管拡張剤で様子をみるよう指示を出した。

 

「早く自分の患者の元に帰りなさい」と天城

「わかりました。その代わり約束してください。必ずオペを成功させて戻ってきてください。結衣ちゃんと待ってます」

「Bien sûr. (もちろん)」

そして、自分の患者の元に世良は走り去っていった。

 

<公開オペ会場>

開始5分前になり、患者の変更がアナウンスされた。

会場にいた真行寺が「あの患者!どうしてここに?!」と驚愕している。

 

<公開オペ手術室>

さあ開幕だ。じゃあ始めよう」

高階が開胸をしていく。

 

<東城大>

選挙演説がスタートした。

副院長の江尻が登壇している。

世良が会場に到着して黒崎に報告した。すると、黒崎は怒っており外へ連れ出した。

 

<公開オペ手術室>

開胸が終了し、天城が内胸動脈の剥離にとりかかる。

が、、、、天城が手をとめた。

胸の中を覗いた高階が「こ、これは!!!」と。

 

<東城大>

黒崎が世良を問い詰めている。

「徳永さん連れ出したそうだな!なんてことしてくれたんだよ!」と世良の襟をつかんで叱責する。

「勝手なことをしたことはわかっています。ですが、徳永さんの心臓を治せるのは天城先生しかいません」

黒崎は、ふん!という感じで世良の襟から手を離した。

会場内でざわめきが起こっている。江尻が演説をしている最中のはずだが…

江尻の横には、佐伯を長年支え続けていた藤原看護師長が並んで登壇していたのだ。

佐伯の世代交代と改革に異を唱え、佐伯を失脚させて、江尻を病院長に当選させることを声高に叫んでいた。

そして、佐伯の緑内障の件まで公表してしまった。

 

黒崎はどうしてこんなことになっているんだ?と混乱状態。

そこへ、花房が結衣ちゃんの容態急変の知らせを持って飛び込んできた。

 

<公開オペ手術室>

徳永の胸の中は癒着が予想以上に激しかった。

天城は躊躇なく進めていくと述べる。

その時、関川が、、、

患者の体温上昇を告げた。

 

これってまさか、悪性高熱?!

 

 天城の脳裏には母の時の模様が蘇っている。

 

麻酔科医が慌てて薬剤を探している。

「落ち着くんだ。すぐにダントロレンを静注させてくれ」と高階。

 

すると、麻酔科医は、、、

「すみません。ダントロレンはありません」と。

 

悪性高熱、母の死、そして、天城が投げたコインは裏だった!!!!!

 

どうなる?次回は最終回。

 

次週の予告

舞台は再びオーストラリアへ

世良「彼女を一人の医師として救いたいです。オペを許可してください」

天城「いかがですか?パンドラの箱を再び開ける気分は?」

佐伯「おまえ一人だけが授かった力なんだ」

谷垣?「どうしました?天城先生?」

真行寺?「ダイレクトアナストモーシスはこれで終焉だ」

手術中の天城が胸を押さえている

天城「もう会うことは叶わない」

 

 

ー感想ー

渡海が天城を救ってくれました!!!

世良と渡海の再会のシーンは胸があつくなりました。。。

 

佐伯がエルカノダーウィンを使ってダイレクトアナストモーシスを実施する。

これは、シーズン2を通して、実は、天城の心臓を治すために、天城と佐伯が段階的に進めてきた計画だったのでは…とも思える。

第6話の早川の緊急オペで右手のデータはエルカノにインプットされており、

第7話の上杉会長のオペでは、2か所同時のダイレクトアナストモーシスが必要となり、エルカノダーウィンのサポートを得て佐伯がダイレクトアナストモーシスを実施する。

佐伯が緑内障による視野に問題を発生してしまったことが懸念材料であったが、エルカノのモーション補正のおかげでその問題も解消できた。

 

切ない経緯で抱えた天城の心臓の問題は、これで解決できたのだ。本当によかった(^^)/

 

天城が復活した途端、天城司の遺言ということで、徳永さんの医療過誤の件を暴き出す天城。

これは渡海がシーズン1で起こした行動と同じ。

二人の父が佐伯により医療過誤の汚名をきせられている・・・。

 

佐伯は悪人なのか?善人なのか?本当にわからなくなってきた。

 

ダイレクトアナストモーシスの論文は真行寺によって1989年に執筆されており、

徳永さんのオペを天城司が実施したのが2016年6月29日。8年前。

渡海が東城大を去ったのが6年前。

真行寺と佐伯は5年前に決別。

天城司は2022年7月に死亡。ブラックペアンの約束は破られた。徳永の手術ができるのは雪彦だけだというメモ。

 

真行寺と佐伯は何を隠しているのか?

黒崎もなにかを知っていそう。

 

そして、佐伯教授に私は言いたい。なぜ徳永さんの手術が無理なのかをしっかりと説明してくれ!と。

シーズン1の飯沼さんの時もそうだったが、無理であることの理由を説明してくれれば備えることもできるし、延期する方法だってある。もはや、佐伯の言葉を信じることができない心境に天城がいるとはいっても、それをなぜしないのか・・・?!

 

いよいよ次週が最終回。

ダイレクトアナストモーシス誕生の秘話、天城がシャンスサンプルをする理由も判明した。

が、天城司の医療過誤という新たな疑惑が提示され、一体、どうなるのか?

 

予告に流れている天城先生が胸を押さえるシーン。天城は無事に手術を終えられるのか?

そして、公式の最終回あらすじによると、結衣ちゃんも緊急事態になり手術になるという…。

猫田の登場はあるのか?オーストラリアに再び舞台が移る理由は????

 

監修の山岸先生の解説は第8話に対してのものですが、天城のオペについて詳しく書かれていて理解が深まりました。