南米・鳥獣虫魚・探遊 -114ページ目

タライロンを解析する・1


タライロンが含まれるエリスリヌス科は、もちろんカラシン目(もく)だけど、同目の大特徴であるはずの脂鰭(あぶらびれ)が欠けている。同科魚の体型は、ドンコ型。化石属も含め、以下の4属10数種が記載されている(2011年現在)。


1.エリスリヌス属(レインボー・ホーリー類)⇒2種

2.ホプレリスリヌス属(ストライプ・ホーリー類)⇒3種

3.ホプリアス属(ホーリー類)⇒10種

4.パレオホプリアス属(原始ホーリー類)⇒1種(一千万年くらい前に絶滅)



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レインボー・ホーリーはヒレが美しい。大きくて25センチまで。



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ストライプ・ホーリーは、明瞭な黒バンドが特徴。大きくて40センチまで。



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パレオホプリアス・アシスブラジリエンシスの化石(下顎)。おそらく1メートル級。


ホプリアス属の10種


1. Hoplias aimara (Valenciennes 1847).

2. Hoplias malabaricus (Bloch 1794)

3. Hoplias brasiliensis (Spix & Agassiz 1829)

4. Hoplias lacerdae (Miranda Ribeiro 1908)

5. Hoplias intermedius (Gunther 1864)

6. Hoplias microlepis (Gunther 1864)

7. Hoplias patana (Valenciennes 1847)

8. Hoplias teres (Valenciennes 1847)

9. Hoplias australis Oyakawa & Mattox 2009

10. Hoplias curuira Oyakawa & Mattox 2009


タライロンは、ホプリアス属に含まれる。学名は、ホプリアス・アイマラである。昔はホプリアス・マクロフタルムスという種類もタライロンとされていたけど、2006年にエリスリヌス科の大家、サンパウロ大学(日本の東大みたいなとこ)のドクター・オヤカワ(日系博士)によって、アイマラのシノニム(別名同種)に帰結された。アイマラ種とマクロフタルムス種のホロタイプ(模式標本)産地は、実は同じとこ(フレンチ・ギアナのカイエンヌ付近)なのである。


グランデ・オガワは、以前のこと、サンパウロ大学博物館に勤務するドクター・オヤカワを訪ねたことがある。いろいろと難しいコトを教わった。ホプリアス属の種類分類の決め手だという下顎にある微細なパッチの数や形の違いなど聞いたけど、当時はまるでチンプンカンプンだった(笑)。2009年に上梓されたオヤカワ論文を入手して、やっとこパッチの意味が判明した。あまりにも専門的なので、詳しく触れないが、その位置を図版を載せよう。ちなみにこのパッチは、感覚神経が通るチャンネル(通路)の開口部で、外部振動などを感知している。



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ホプリアス属は、下顎のパッチで分類する


なんでここまで細かいコトまで分類に使わなくっちゃいけないの? もちろん理由がある。タライロンも含め、すべてのホプリアス属の各種は、外観がたいへ~んに極似しているのだ。まあ大きくなるのをタライロンと思えばいいけど、ラセルダエって種は10キロ超になるし、インテルメディウス種も数キロになるからなぁ。



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ラセルダエ種と思われるデカいホプリアス

登場! 淡水シーラカンス?

熱帯魚界で「淡水シーラカンス」の異名を持っているのがタライロンである。分類的には類縁じゃないけど、もちろんイメージである。しかし、このキャッチは当たった。タライロンが日本で始めて紹介されたのは、1993年18号のアクアマガジン誌だった。この本の表紙を見て、頭がぶっ飛んだ諸賢が多いと聞く。怪魚中の怪魚が、ついに登場という感じだった。何を隠そう(笑)、アクアマガジン誌の写真&記事は、若かりしころのグランデ・オガワ仙人だった。



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1993年18号のアクアマガジン


それまでホーリーって魚は、まあ知られていて、マニアチックな飼育家が遊び程度に飼っていた。やたら噛みつく、やたら暴れる、やたら食う、やたら丈夫、やたら飛び出す、などやたらプリミティブ、やたらアホな魅力のある面白い性格だったけど、いかんせん、サイズ的な迫力に欠けていた。


ところでホーリーって愛称は、日本だけの呼び名と思うけど、属名のホプリアスからきている。どうしても思い出してしまうのが、聖書(ホーリー・バイブル)、そしてFF(フライ・フィッシングでなく、ファイナル・ファンタジー)の攻撃黒魔法のホーリー。ホーリーの出せるホーリー・ランスって剣もあった(笑)。



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ホーリーくん


ホーリーくんまんまの魅力でやたらと巨大化するヤツがいた。タライロンだ! 学研の科学雑誌にも登場(これも仙人さまの執筆)、日本の夏のイベントの目玉となり、人気は赤丸急上昇。スーパー・マニアの触手が、むずむずと動いてしまった。数多くの人気魚が過去の栄光になってしまった現在でも、熱帯魚界のタライロン人気は衰えていない。


日本の釣り雑誌(これも仙人執筆)にも載った。日本にはスネークヘッド(ライギョ)・フィッシングの変質マニアがいて、彼らのアンテナにも触れた。


 

ホーリーやタライロンが含まれるエリスリヌス科の魚族をすべて網羅する内容の予定で、グランデ・オガワは、「タライロン大全」というのを2009年から書き始めている。大全は、まだ未完だけど、一部の内容を2009年9月号のアクアライフ誌に載せている。しかし、けっこう誤植(もしかしら編集の勘違い修正?)があって、ちょっとムカっとしている。



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アクアライフ誌の記事

次回は、タライロンの分類に迫る!

ライブ・フォシル

シーラカンスの名を知らないヒトは少ないでしょう。「生きた化石」といえば、これだよ。ラチマー女史の発見物語りを、新田次郎が小説にもしてる。長いことアフリカのコモロ諸島付近の1種類とされてたけど、インドネシアのマナドで2種類目が発見されているね。まだ新種がいるかも知れない。


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古代魚シーラカンス


熱帯魚マニアでアクセルロッド氏の名を知らないヒトは少ないでしょう。さきがけ熱帯魚雑誌・TFH(トロピカル・フィッシュ・ホビイスト)の総帥、カージナル・テトラの学名はパラケイロドン・アクセルロッディ。ネグロ河畔のバルセロスには、アクセロッド研究所って魚類研究施設がある。


バルセロスってのはその昔、アマゾナス州の首都だった(現在はマナウス)とこで、大型ピーコックバス・フィッシングのベースとしても知られるけど、カージナル・テトラやヘッケル・ディスカスその他の大集積地である。まあ熱帯魚の里だね。


そうそうアクセルロッド氏ね。言ってみれば、同界の重鎮である。彼は、ブラジルのセアラ州アラリッペ山地、サンタナ層から産する中生代白亜紀の魚類化石の蒐集家でもあった。TFHのアトラス・シリーズで化石図鑑の「サンタナ」ってのも出版しているくらいだ。サンタナ層からは、2種類の絶滅シーラカンス類が発掘されている。その一つにアクセルロディクティス(Axelrodichthys)ってのがいる。全長80センチくらいだ。



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アクセルロディクティスの化石


もう一つのシーラカンスは、マウソニアで全長3メートルもあった巨大種である。ブラジルにはサンタナ層以外にも、いくつかの産地がある。実はこれは極秘事項(笑)なんだけど、バイア州沿岸の某島の岩礁で友人がマウソニアの全身骨格を見っけている。「USAかユーロに売っぱらえば、数百万円は稼げるから密掘に行こうぜ」と誘われているけど、まだ実現化していない(ホントのお話し)。


シーラカンスは、総鰭類って、たいへん進化した魚族だ。魚類から両生類に大進化したハイギョにも近縁である。地質時代にはたくさんの種類がいた。淡水に生息していた種もいた。


さて、ここまでがアマゾンのタライロン話しの伏線である(笑)。いつものように次回に続く。

イーリャ・ド・シーノ(ベルの島)

8月の某日。ロッジの数キロほど下流にあるイーリャ・ド・シーノという場所に遊びにいった。イーリャってのは、アイランド、つまり「島」という意味である。シーノってのは、「ベル(呼び鈴)」のこと。つまり、ベルの島。



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イーリャ・ド・シーノ、頂上を制覇した(?)の画像


乾期で水が引いて、周囲2キロ程度の小さな川中島だ。周りには似たような島が無数にあって、とりたて特別のように見えない。しかし、ここは近在の住人には、ちょっと知られた場所である。島の頂上付近にある大きな岩に、不思議な図柄が刻まれているからだ。


博物学本によると、200年くらい前のインディオたちは、岩絵を描く風習はもうなかったらしい。彼らに聞いても、「昔っから、そこにあるだべ」という答えしか帰ってこなかった。学者さんたちは、少なくとも数百年、あるいは数千年前の民族のアートじゃないかと考えている。



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これが岩に刻まれた古代アート


いちばんはっきりした模様は、何でしょう? グランデ・オガワの脳細胞は、「タコ型の火星人」、「動物の♂を後ろから見たとこ」などイメージしたけど、ブラジル人たちは、呼び鈴、すなわちシーノと観た。これが島の名前の所以だね。


コロニア時代の奴隷制度があったころは、そんな情景もあったけど、古代民族がシーノをもってて、テーブルでチリンチリン鳴らして、「おーい、ねえちゃん! 冷えたビール持って来~い!」と使ったわけはない。すなわち呼び鈴説は却下される。じゃ、何でしょう? 貴兄&貴女に判りますか?



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絵の大きさはこのくらい


呼び鈴以外は、ちょっとかすれているけど、同じ岩には、たくさんの絵が描かれている。インディオ・アーチストたちの共感を呼ぶキャンバスだったのだろう。



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同じ岩の右のほうにある図柄


これは、四肢動物に間違いないでしょう。左側のは、カメと言われている。シングー河にはたくさんのモンキヨコクビガメがいて、古代から食われていた。右側のは、首がないからカエルかな? シングーのある部族は、フタイロネコメガエルの粘液を皮膚に植えて幻覚剤として使っていた。


シングー河の流域には、岩絵のある場所が点在している。グランデ・オガワは今後、一つずつ訪問&検証していこうと思っとります。








南米コーヒー考

コーヒーは熱帯植物だけど、原産地は新大陸ではない。アフリカだったか、中東辺りだったよね。コロニゼーション、植民化が始まってから、新大陸に持ち込まれた。


史実によると、ブラジル最初のコーヒー園は、アマゾン地方のベレン近郊にできた。たいへん実が成った。農園主はぬか喜んだけど、アマゾンでの栽培には、大欠点があったのだ。四季感が薄いので、年がら年中、次から次に結実し、収穫期がないのである(笑)。


日本人移民をブラジルが受け入れたとき、コーヒー労働者として雇用された経緯があるけど、収穫にたくさんの人件がいる。ところがアマゾンでは時期というものがないので、効率よく人手を投入できない。そんな理由があって、コーヒー栽培地は、四季のある南方に移っていった。


アマゾン地方の田舎を歩いていると、庭にコーヒー樹が植っているのをよく観かける。赤い果実がたわわに成っている。もちろん自家消費用に植えたんだけど、そんな家庭を訪問して、これはウチのコーヒーよ、と言われて出されたことは滅多にない。コーヒーは飲むまでに、収穫⇒果肉落とし⇒乾燥⇒焙煎⇒粉砕、という面倒な作業がある。しかし、粉になったのが安価で、どこでも売っている。買ったほうが、だ~んぜん楽だし仕事が早い。



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シングー河畔、庭のコーヒー


コーヒーは各国で煎れかたが違うけど、ブラジリアンといえば、デミタス・カップでちょこっと飲むのが基本だ。「闇夜のように黒く、太陽のように熱く、愛のように甘い」がベストとされている。黒いのは煎りが強いからだ。ブラジルにはアイス・コーヒーは存在しない。冷えた液体は、コーヒーと認知されない。グランデ・オガワはコーヒー大好き。アモール(愛)も嫌いじゃない。でも、30年以上ブラジルに住んだ今でも、甘過ぎるコーヒーが苦手だ。てなわけで、自分で煎れて飲むことが多い。


美味しいコーヒーは、香りが重要ポイントだ。苦いのは悪くないけど、煎りが強すぎると、ややそこなわれる。今までブラジル・コーヒーでイケテると思ったのは、ミナス・ジェライス産オーガニックのトルマリン。日系農園で作っている。


ペルー・コーヒーは、一般に最低だ(笑)。けっこうましなホテルでも熱湯+インスタント粉がでてくる。この国には、コーヒー文化の歴史がなかった。しかし、フジモリ以降、ちょっと事情が変わりつつある。日系大統領が低地アンデスのコカイン畑を焼き払ったとき考えた。気候が似ている隣国コロンビアは、輸出で大儲けてしてるじゃないか、ウチもやろうぜ。最近は、もとコカイン畑で良品コーヒーを栽培してる。タラポートで作っているオーガニックは美味しい。グランデ・オガワのお気に入りは、オロ・ヴェルデという銘柄。


経験の範囲内だけど、アルゼンチン・コーヒーは美味しくなかった。インスタントも苦味がなくて、たいへん不味い。


コロンビアは、やっぱ美味しい。クソ寒いボゴタのエル・ドラド空港で深夜に飲んだとき、今まで経験したコーヒーで一番美味しかった気がした。だもんで、旅行中に入手できる機会があったら、なるべく買っておく。最近、アジトで飲んでいるのは、下写真の2つの銘柄。



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コロンビアのファン・ヴァルデスとオマ


面倒なときは、ブラジル・ネスカフェだけどね(笑)。



河剣歯虎の習性、エサ&フライ

シングー河畔のジモピー連中は、カショーロをノーシンカーの小魚の泳がせで狙っている。

カショーロは、かなり大きな魚も食うようだ。以前のことロッジ上流の深い流れで、ビックーダの60センチくらいのが狂ったように水面に飛びだした。ボート・パイロットは、巨大カショーロに追われたんだぜ、と言っていた。細身とはいえ、60センチを食う大物? そりゃ、バケモンだ。


グランデ・オガワは、エサでカショーロを狙うこともある。一部のルアー野郎にライブ・ベイトを軽ろんじる風潮があるが、エサ釣りほどルアー・フィッシングの勉強になる実戦授業は他にない。フィーディングの繊細なキモなどは、やみくもにルアーを投げていてもよく解らない。



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ギョロ眼の牙くん


余談だけど、一部のフライ野郎にはルアー野郎よりさらに他人の釣りをバカにするヤツがいる。人のタックルをちらりと横目で見て、「ルアーなら釣れてアタリマエだよなぁ……」のようなことを、聞こえるようにツィートする。グランデ・オガワは、こういうヤカラを、フライマン(蝿男)と呼んでいる。


さて、現地式ノーシンカー・エサでやっていて、雨期の激流にいるカショーロが水面から意外に深くないとこで捕食することが多いという知見を得た。そこでカショーロの浅タナ攻略・ウキ釣法も考案してみた。ウキ下は1.5メートルくらい。外道のピラニアが少ないという福音があって、根ががりなし、デカいビックーダもよくアタル。ジモピーも感心してた。この反則技は、そのうちブログで紹介しよう。


グランデ・オガワは、ケダモノと呼ばれたことはあっても蝿男じゃない。しかし、フライ・フィッシングも大好きである。ピラルクも3尾釣ったことがある。エサもやるけどフライもやる。まあ、ようするにナンデモありなのね(笑)。



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フライ・フィッシングは楽しい


カショーロ・アイコンもフライ・ロッドの撃墜マークにしたいけど、現アジトにはハード・パワーなフライ・タックルがな~い。#10番以上を再度入手して挑戦したいね。ひじ腱鞘炎の再発に注意しなくっちゃ。腱鞘炎は、ハイ・ナンバーの片手フライ屋の持病。やったことないヒトにゃ分からないけど、超重フライ・ラインを飛ばすのは、ルアー・キャスティングの何倍も腕力がいる。だからDハンドル・ロング・ロッドでスペイをやるヒトが多い。まあ、オレの撃墜マークは来年ころかな?


とりあえず2011年版、カショーロの気まま放談は、ここまで。参考になりましたか?








河剣歯虎のルアー・フィッシング

ルアー・フィッシングのとき、大きすぎる牙は、長物論が当てはまる。ハード・ルアーを大牙がはじくのである。これによって、フッキングが甘くなる現象が確かにある。しかし、ソフト・ルアーはアメリカ軍みたいな物量ストックでもないと使えない。一発アタれば、再起不能のズタズタだ。



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シングー河のカショーロ


甘いフッキングに対処する手法だが、タパジョース水系タイマアスー・ロッジのオーナー、カルロン(でかいカルロス)は、ロッドを常に立て気味にしてリーリングするメソッドを提唱している。カルロス理論は、なんとなく正しい気もする。強い早アワセはやめとけ、という意味もあるだろう。


グランデ・オガワは、なるべくデカいトリプル・フックのルアー使用を提唱している。もちろん深く刺すためだ。トリプル・フックが3つのルアーという手もある。どれかが刺さるだろうという、数撃ちゃ当たる理論である(笑)。 


ラージ・フックの関係上、ルアーは大き目しかない。主流は、やっぱミノーだ。ミノー・カラーは、グランデ・オガワの好みで言うと、ウロコ感キラキラのナチュラル風。ダメとは言わないけど、なぜか、レッド・ヘッドでは釣ったことがない。

しばしばトップにも炸裂する。乾期の盛りに、ブラジル製ペンシルのドクター・スポックで何本か釣った経験がある。この時期のカショーロは、おおいに腹を減らしている。



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ドクター・スポック、グランデ・サイン入り


付近にピラニア嬢が多いこともあって、ワイヤー・リーダーを使いたい。グランデ・オガワは、100ポンド以上の太いワイヤーが好きである。なぜかっていうと、細めのワイヤー・リーダーは根がかりで強く引っ張ると、びよぉ~ん・びよぉ~んのコイル状オモチャになりやすいのが気になる。


キャスティングのキモは遠投に尽きる。激流のあっちまで投げて、渦を横切るように引く。やっぱり良く出るコースと、まるで出ないコースがある。水中の大岩とか、巻き返しとか、小魚が流れやすいとか、フィーディング・ポジションを見つけよう。


大型カショーロのパワーは、半端でない。流れに乗るからである。リール・スプールが悲鳴をあげまくる。ラインは太めで、たくさん巻いておくとよい。

カショーロ分類の考

カショーロは、カラシン目(もく、と読んでね)・キノドン科に分類されている。同科は、数属がいて、その中にキバを発達させた2つの属がある。


一つはラフィオドン属で、日本の熱帯魚界ではドラド・カショーロと呼ばれている。このネーム、どっかで勘違いあったみたい(笑)。出所は、ブラジル・パンタナル地方のパイクカラシン類(アセストロリンクス属)との混同。アセストロリンクス類を現地では、ドラード・カショーロと呼ぶ。大型になると頬部が金色になるからだ。ラフィオドン類は、現地でカショーロ・ファッコンとは呼んでいる。パンタナル地方には2年以上住んだけど、ラフィオドン類をドラード・カショーロと呼ぶとは、聞いたことがない。



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ラフィオドン類のイラスト


ファッコンとは、大きなナイフという意味である。カショーロ・ファッコンは、アマゾンにもオリノコにもラプラタの水系にもいて、群れをなす。大きいのは90センチちょいまで見たことがあるが、一般に数十センチ級が多い。よくルアーで釣れるけど欠点がある。薄身ボディから繰りだされるパンチにパワーがないのだ。



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カショーロ・ファッコン(ラフィオドン属)…パンタナルのピキリ川・グランデ・チーム隊員がゲット


キノドン科ハイドロリックス属。これがペッシ・カショーロ類である。数種が記載されている。



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ハイドロリックス類のイラスト


その昔、博物学者ウォーレスが標本をエンピツでスケッチしたルーツのあるハイドロリックス・ウォーレシーって種類は、ネグロ河の特産種らしい。一般に小型とされる。ネグロ河水系支流ブランコ川の最上流ウラリクアラに巨大カショーロがいるが、これがウォーレシーかどうか不明。


オリノコ水系にいる種類は、ハイドロリックス・アルマータスとされている。アルマータスとは、「武器を装備した」というような意味だね。スペイン語圏では、パヤラと呼んでいる。



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オリノコ水系のパヤラ


上写真は、コロンビア・メタ河のパヤラ。魚はどうでもいいけど(笑)、コロンビアの女の子は可愛いね。


アマゾン水系のヤツは、ハイドロリックス・スコンベロイデスという種だとされる。グランデ・オガワは、アルマータスとの違いが判別できないけど、識者に聞いたら、「日本の熱帯魚界では、巨大になるヤツがアルマータスだと認知されている…… 」とのこと。よく意味の分からない状況ですな(笑)。


しかし、ブラジル・アマゾンにいる種もウルトラマンのように(?)巨大化する。オリノコのヤツは、20キロ以上になるけど、それに負けないくらいのがタパジョース河やシングー河にいるぞ。



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タパジョース河のカショーロ(シノッピにて)


明日から上流に行きます。ブログは、ちょっと中断。


大牙のお話し

動物の歯の表面は、エナメル質でできている。エナメル質は、リン酸カルシウムを成分としてるけど、動物生体パーツで最も硬い物質である。モース硬度で言うと、6~7もある。この数値は、鉱物の長石~石英(水晶)に匹敵する。


絶滅獣サーベル・タイガーの長大な牙は、かえって無用の長物だったのではないかという駄説がある。突き刺して殺すときに大きな獲物が暴れたら折れるだろう、肉を食うときも邪魔である。など邪推する学者さんがいる。でも、そういう風に進化してきたんだから、それなりの理由があったに違いない。生息期間も、地質時代的にけっこう長いから環境によく適応してたはずだ。


 さて、やっとペッシ・カショーロのお話し。河の剣歯虎の大牙は、獣虎と違って、下顎についているが、その用途は、獲物にダメージを与えることに決まってる。


なぜ大牙が下顎か? これについてグランデ・オガワは、こう考えている。ペッシ・カショーロは、ヘッド・スタンダー系である。すなわち水中で頭を下げた格好が好きなんだな。ここで一句。


腹へるほど、こうべをさげる、カショーロかな(字余り)…… シングー仙人記より


前傾姿勢からエサのを捕るには、すくい上げるのが常套手段であろう。そのとき引っ掛けるのに、下顎の牙が発達してたほうが有利である。牙の格好も、湾曲していて、引っ掛けに適している。



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カショーロの大牙の湾曲。ベロがいやらしい(?)


前ブログで紹介した古代の有袋剣歯虎・チラコスミルスの大牙は、下顎にある鞘状の骨に収まるようになっている。勢い余って岩へ激突したときなどに秘蔵品を折らない配慮だろう。カショーロの大牙も顎を閉じたとき、上顎にある穴にすっぽり収まるようになっている。



カショーロは、交換できる牙パーツを顎骨内にいつも用意している。牙が折れたら、パーツが起きあがってきてすぐ修復される。これはカショーロに限らず、牙魚全般のシステムだ。



カショーロ話しは、さらに続く

サーベル・タイガー(剣歯虎)

サーベル・タイガーをご存知ですか? アイス・エイジ(氷河時代・180万年~1万年くらい前)に南北アメリカで跳梁した大型ネコ類だ。


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グランデ・オガワのCGイラスト、2007年の作品


USA・ロス近郊にランチョ・ラ・ブレアって有名な化石産地がある。タールのプールがあって、アイス・エイジの膨大な数のアホな獣どもが脚を入れて動きができなくなって沈んだ。もがく動物の悲鳴を聞いてサーベル・タイガーも喜々として続き、アホ獣の仲間入りをした。ランチョ・ラ・ブレアのサーベル・タイガーは、スミロドン・ファタリス(スミロドン・カリフォルニクスとも呼ばれる)という種類である。ファタリスは、ハリウッドCG映画のアイス・エイジにもディエゴくんが出演していた(笑)。ちなみに、1作目の助監督、そして2作目の監督を務めたサルダーニャさんは、ブラジル人であるね。


アイス・エイジって言葉は、スイス生まれで19世紀のアメリカで活躍した博物学者ルイス・アガシが唱えた名称だ。彼は1865年に夫婦同伴でブラジルにきて、時の皇帝ドン・ペドロ二世と謁見し、その翌年までアマゾンの魚類の探索を行った。アガシは、本格的なオモシロ可笑しい自然史の講義が得意で、現在のアマゾン自然研究のメッカ、ベレン市のエミリオ・ゴエルディ博物館の設立も、アガシの熱弁に触発されてできた現地の博物学同好会がその発端になっている。コリドラス・アガシジー、アピストグラマ・アガシジーなど有名熱帯魚の学名に、その名が冠されている。



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スミロドン・ポプラトールの頭骨(ブラジル・ミナス・ジェライス州の洞窟産)


サーベル・タイガーの最大種は、南米で進化した。スミロドン・ポプラトールである。体長2.4メートル、体重340キロくらいとされている。牙の長さは、28センチもあった。


うんちくついでに、もっと古い時代にもサーベル・タイガーに似た牙獣がいたことを教えよう。チラコスミルスである。これはカンガルーと同じ有袋類で、ボルヒエナ(ボルハイエナ)類という肉食の仲間。アルゼンチンの新生代第三紀中新統(2千万年くらい前)から化石が発見されている。恐竜が絶滅した後、孤立した南米の陸上肉食動物のニッチェ(生態地位)を次いだのが、巨大恐鳥(フォルスラコス類)とボルヒエナ類である。この時代には、まだ真正ネコ類は南米にいなかった。ボルヒエナ類の化石はブラジル、サンパウロ州タウバテでも発見されている。



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チラコスミルスの頭骨。オジさんは、タウバテ自然史博物館のアルバレンガ博士。化石鳥類の専門家。


余談だけど恐鳥、すなわちテラー・バードは、地上性の鳥だ。化石は、やはりアルゼンチンに産地が多い。ブラジルでは、タウバテから全身骨格のパラフィソルニス・ブラジリエンシスが記載されている。体高2メートル、時速80キロで走って小獣を血祭りにあげていた。



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パラフィソルニスの骨格


ちなみにタウバテのトレメンベ層は、淡水魚化石が多産する。カショーロ類の報告はないが、カラシンやシクリッド、ナマズ化石が多数記載されている。参考にナマズのロリカリア科おそらくプレコに近縁のタウバテイア・パライーバの画像を載せよう。



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プレコの一種? タウバテイア・パライーバ化石頭骨(8センチ)


 シングー河のペッシ・カショーロ話しの伏線でサーベル・タイガーから書き始めた筈だった。しかし、グランデ・オガワ得意の脱線でお話しが長くなっちゃった(笑)。だもんで、続く。