サーベル・タイガー(剣歯虎) | 南米・鳥獣虫魚・探遊

サーベル・タイガー(剣歯虎)

サーベル・タイガーをご存知ですか? アイス・エイジ(氷河時代・180万年~1万年くらい前)に南北アメリカで跳梁した大型ネコ類だ。


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グランデ・オガワのCGイラスト、2007年の作品


USA・ロス近郊にランチョ・ラ・ブレアって有名な化石産地がある。タールのプールがあって、アイス・エイジの膨大な数のアホな獣どもが脚を入れて動きができなくなって沈んだ。もがく動物の悲鳴を聞いてサーベル・タイガーも喜々として続き、アホ獣の仲間入りをした。ランチョ・ラ・ブレアのサーベル・タイガーは、スミロドン・ファタリス(スミロドン・カリフォルニクスとも呼ばれる)という種類である。ファタリスは、ハリウッドCG映画のアイス・エイジにもディエゴくんが出演していた(笑)。ちなみに、1作目の助監督、そして2作目の監督を務めたサルダーニャさんは、ブラジル人であるね。


アイス・エイジって言葉は、スイス生まれで19世紀のアメリカで活躍した博物学者ルイス・アガシが唱えた名称だ。彼は1865年に夫婦同伴でブラジルにきて、時の皇帝ドン・ペドロ二世と謁見し、その翌年までアマゾンの魚類の探索を行った。アガシは、本格的なオモシロ可笑しい自然史の講義が得意で、現在のアマゾン自然研究のメッカ、ベレン市のエミリオ・ゴエルディ博物館の設立も、アガシの熱弁に触発されてできた現地の博物学同好会がその発端になっている。コリドラス・アガシジー、アピストグラマ・アガシジーなど有名熱帯魚の学名に、その名が冠されている。



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スミロドン・ポプラトールの頭骨(ブラジル・ミナス・ジェライス州の洞窟産)


サーベル・タイガーの最大種は、南米で進化した。スミロドン・ポプラトールである。体長2.4メートル、体重340キロくらいとされている。牙の長さは、28センチもあった。


うんちくついでに、もっと古い時代にもサーベル・タイガーに似た牙獣がいたことを教えよう。チラコスミルスである。これはカンガルーと同じ有袋類で、ボルヒエナ(ボルハイエナ)類という肉食の仲間。アルゼンチンの新生代第三紀中新統(2千万年くらい前)から化石が発見されている。恐竜が絶滅した後、孤立した南米の陸上肉食動物のニッチェ(生態地位)を次いだのが、巨大恐鳥(フォルスラコス類)とボルヒエナ類である。この時代には、まだ真正ネコ類は南米にいなかった。ボルヒエナ類の化石はブラジル、サンパウロ州タウバテでも発見されている。



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チラコスミルスの頭骨。オジさんは、タウバテ自然史博物館のアルバレンガ博士。化石鳥類の専門家。


余談だけど恐鳥、すなわちテラー・バードは、地上性の鳥だ。化石は、やはりアルゼンチンに産地が多い。ブラジルでは、タウバテから全身骨格のパラフィソルニス・ブラジリエンシスが記載されている。体高2メートル、時速80キロで走って小獣を血祭りにあげていた。



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パラフィソルニスの骨格


ちなみにタウバテのトレメンベ層は、淡水魚化石が多産する。カショーロ類の報告はないが、カラシンやシクリッド、ナマズ化石が多数記載されている。参考にナマズのロリカリア科おそらくプレコに近縁のタウバテイア・パライーバの画像を載せよう。



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プレコの一種? タウバテイア・パライーバ化石頭骨(8センチ)


 シングー河のペッシ・カショーロ話しの伏線でサーベル・タイガーから書き始めた筈だった。しかし、グランデ・オガワ得意の脱線でお話しが長くなっちゃった(笑)。だもんで、続く。